「検証済みで、信頼性の高い抗体」への徹底したこだわり（Atlas Antibodies社）

Vol.12 「検証済みで、信頼性の高い抗体」への徹底したこだわり

抗体を取り扱うAtlas Antibodies 社に、会社概要や抗体検証方法などについて伺いました。

Atlas Antibodies 社は、「ヒトの全タンパク質を標的とする高品質な抗体を、お客様に提供する」という非常に明確な使命を持っています。当社の取り扱い製品群は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびそれらの抗原から構成されています。
IHC（免疫組織染色）における第一人者として、Atlas Antibodies 社は業界最大級の「IHC 検証済み抗体」製品ポートフォリオを有しています。スウェーデンのストックホルムにある施設では、独自技術により綿密にデザインした抗原を用いて、「高いレベルの抗原特異性・再現性および多彩なアプリケーション」に優れたポリクローナル抗体を製造しています。その数は21,000 種類にものぼり、当社ではTriple A Polyclonalsというブランドと称して販売しています。

Atlas Antibodies 社は、権威あるHuman Protein Atlas projectの研究者が、このプロジェクトで使用した独自の抗体を商用化し、世界中の研究者が利用できるようにしたいと考え、会社設立に至りました。そのため、会社名がこのプロジェクト名を反映したものとなっているのです。
Human Protein Atlas project とは、クヌート・アンド・アリス・ヴァレンベリ財団（the Knut and Alice Wallenberg foundation）により資金提供され、2003 年にMathias Uhlén 教授率いるスウェーデン研究者チームが開始したプロジェクトです。その目的は、正常またはがん組織・細胞におけるヒトタンパク質発現・局在についての「完全な免疫組織学的地図」を作ることです。

ここ数年でいくつかの報告によって、「抗体の特異性や機能性を確かなものとするための検証方法に 関する一般的ガイドライン」が欠如していることが指摘されています。抗体の検証のための国際的ワーキンググループ（the International Working Group for Antibody Validation：IWGAV）が2016 年9 月のNature Methods 誌において「抗体検証のための提案」という論文を発表するなど、この問題に対する取り組みが進められています。IWGAV のガイドラインによると、抗体評価の柱となる「5 つの概念」は以下のものです。

1. Genetic strategies：標的タンパク質をノックアウト／ノックダウンして検証する
2. Orthogonal strategies：抗体非依存的な方法（RNAseq、質量分析）により検証する
3. Independent antibody strategies：複数の抗体により、相互に評価する
4. Expression of tagged proteins：タグ無し／タグ付きタンパク質の染色結果を比較する
5. Immunocapture followed by MS：タンパク質を抗体で捕捉し、質量分析する

Atlas Antibodies 社は「透明性」を何よりも重要と考えていますので、すべての検証データは、当社ウェブサイトおよびHuman Protein Atlas ウェブサイトにて公開しています。ほかの抗体メーカーとは異なり、Atlas Antibodies 社は抗体産生に使用した抗原の正確な配列も公開していますので、お客様は「標的タンパク質における抗体の結合位置」や「抗体が認識するアイソフォーム」を知る事ができます。
すでに提示している検証データに加えて、IWGAV が提唱した概念1. ～4．に基づく正式な検証データを追加しています。2017 年末までに、IWGAV の提唱する概念のうち少なくとも1 つによって、当社取扱い抗体5,000 種類以上の検証が完了する予定です。

Atlas Antibodies 社の、「より透明性の高い抗体評価」に対する取り組みが、日本のお客様にとって適切な抗体を選択しやすくなることに繋がり、また当社の抗体をお使いいただいた結果、みなさまの研究が進んでいくことを願っています。

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