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UltraRIPA Kitアプリケーションデータ

掲載日情報:2017/09/25 現在Webページ番号:80890

UltraRIPA Kitを用いてさまざまな知見が得られています。本ページでは新しいアプリケーションデータをご紹介いたします。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


UltraRIPA Kit B buffer単独での脂質ラフトタンパク質抽出能の評価

(データご提供:東京大学 大学院薬学系研究科 衛生化学教室)

COS-1細胞をPBSで洗浄後、SDS buffer、1% Triton X-100 buffer、UltraRIPA Kit A bufferおよびUltraRIPA Kit B bufferで溶解し、遠心分離(14,000 rpm、5 min、4℃)にて可溶性画分と不溶性画分に分離した。不溶性画分は同量のSDS-PAGE サンプルバッファーで変性溶解した。脂質ラフトマーカーのひとつであるFlotilin1の可溶化できた量をSDS-PAGE/ウエスタンブロットで評価した。1% Triton X-100やRIPA bufferでは大部分のFlotilin 1は不溶性膜画分に留まっているのに対して、UltraRIPA Kit B bufferではほぼ全量が溶解できていることがわかった。

UltraRIPA Kit B buffer単独での脂質ラフトタンパク質抽出能の評価

各バッファーの組成:
・SDS buffer(2% SDS、1% Triton X-100、50 mM HEPES・Na (pH 7.2)、150 mM NaCl)
・UltraRIPA Kit A buffer(1% NP-40 Alternative、0.1% SDS、50 mM Tris-HCl (pH8.0)、150 mM NaCl、0.5% Sodium Deoxycholate)
・UltraRIPA Kit B buffer(組成非公開)
・1% Triton X-100(1% Triton X-100、50 mM HEPES・Na (pH 7.2)、150 mM NaCl)


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NGF刺激依存的なIntegrinの脂質ラフト移行をUltraRIPA Kitで観察

(データご提供:国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第五部)

使用した試料:マウス由来初代培養DRG神経細胞(DIV13、~106 cells/35 mm dish)
ターゲットタンパク質:Integrinβ1、Flotillin 1

プロトコル

  1. 培養神経細胞を50 ng/ml NGF存在下・非存在下で培養(各試料2本ずつ用意)
  2. 細胞をPBSで洗浄した後、UltraRIPA Kit A buffer 150 μlを添加し、氷上インキュベート
  3. 遠心分離で可溶性画分①と不溶性画分に分画
  4. 2本用意したA buffer不溶性画分のうち、一方には1×SDS sample buffer 150 μlを添加して完全可溶化②
  5. もう一方のA buffer不溶性画分には、B bufferを150 μl添加して沈殿を懸濁
  6. 遠心分離でB buffer可溶性画分③と不溶性画分に分画
  7. B buffer不溶性画分には1×SDS-PAGE sample bufferを150 μl添加し完全可溶化④

結果
NGF刺激でFlotillinの変動が見られなかったのに対し、Integrinβ1はNGFによりRIPA不溶性画分に濃縮するのが観察された。


結果1
結果2

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UltraRIPA Kitを用いた神経シナプス関連タンパク質の可溶化と複合体解析

(本データは学習院大学理学部 高島明彦教授、住岡暁夫助教との共同研究のもと、取得したものです)
現:国立水俣病研究所 主任研究員

◆B buffer直接添加による可溶化効率の検証

使用した試料:マウス脳組織(海馬+大脳皮質)由来P2膜画分

P2膜画分の回収プロトコルはこちら(クリックで展開します)

マウス脳組織から海馬および大脳皮質を摘出し、ホモジナイズバッファー(10 mM HEPES (pH 7.4)、0.32 M Sucrose、protease inhibitors)を加えてダウンス型ホモジナイザーで破砕した。
組織破砕液を低速(1,000×g)で10分間遠心分離し、沈殿した核画分(P1画分)を除去した。
上澄(S1)画分をさらに中速(13,200×g)で20分遠心分離し、上澄(S2)画分を除去して、沈殿の膜(P2)画分を回収した。


使用バッファー条件
SDS:2% SDS、50 mM Tris-HCl (pH 8.0)、150 mM NaCl
1% Triton:1% Triton X-100、50 mM Tris-HCl (pH 8.0)、150 mM NaCl
UltraRIPA Kit
A buffer (RIPA):1% NP-40、0.5% deoxycholate、0.1% SDS、50 mM Tris-HCl (pH 8.0)、150 mM NaCl
B buffer:非開示

プロトコル

  1. P2画分に各バッファー100 μlを添加し、氷上でソニケーション処理した
  2. 破砕液を高速(100,000×g)で遠心分離し、不溶性画分を沈殿させ、各可溶性画分を回収した
  3. 各不溶性画分に2% SDSバッファーを100 μl添加して可溶化した

結果

検証したいずれの神経シナプス関連タンパク質においても、UltraRIPA Kit B bufferは1% Triton X-100やRIPAバッファー(A buffer)に比べて高い可溶効率が認められた。

結果3

◆神経細胞膜由来RIPA不溶性画分のB buffer可溶化効率の検証

使用した試料:マウス脳組織(海馬+大脳皮質)由来P2膜画分

プロトコル

  1. P2膜画分にA buffer (RIPA) 200 μlを添加し、氷上でソニケーション処理した
  2. 破砕液を高速(100,000×g)で遠心分離し、可溶性画分を除して不溶性画分を単離した
  3. A buffer不溶性画分に対して、2% SDS、A bufferまたはB bufferを200 μl添加し、氷上でソニケーション処理した
  4. 各溶液を遠心分離(100,000×g)で可溶性画分と不溶性画分を分離した
  5. B buffer不溶性画分に残存するタンパク質を調べるため、B buffer不溶性画分に2% SDSを添加し完全可溶化した

結果

B bufferは神経細胞膜のRIPA不溶性画分に含まれる大部分のタンパク質を可溶化することができていることがわかった。
また、NMDA型グルタミン酸受容体サブユニットであるGluN1、GluN2Bを高効率に抽出できた。
一方で、PSD95は可溶化向上が見られたものの、B bufferの不溶性画分に残っていることがわかった。

結果4

◆UltraRIPA Kit を用いた神経シナプスタンパク質複合体の解析

使用した試料:マウス脳組織(海馬+大脳皮質)由来のP2膜画分
ターゲット:NMDA型グルタミン酸受容体 NMDAR (GluN1/GluN2B)
      AMPA型グルタミン酸受容体 AMPAR (GluA1/GluA2)

プロトコル

  1. P2膜画分にUltraRIPA Kit B bufferを添加し、氷上でソニケーション処理
  2. 破砕液を高速(100,000×g)で遠心分離し、可溶性画分を得た
  3. 可溶性画分100 μlにコントロールIgGまたは抗GluN2B抗体 or 抗GluA2/3抗体を1 μg添加し、4oCで1時間反応後にProtein A ビーズ 20 μl bed volを添加してさらに1時間反応させた
  4. PBST(0.05% Tween20 in PBS)によりビーズを3回洗浄した
  5. 1× SDS-PAGE サンプルバッファーを添加して、100℃加熱条件下で溶出した

結果

UltraRIPA Kit B bufferを用いることで、NMDAR、AMPARともに免疫沈降で複合体を特異的に検出することができた。

結果5

SYN (Synaptophysin)


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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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