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遊離亜鉛イオン(Mobile Zinc: Zn2+)の局在を蛍光標識する試薬 Zinc-Stamp™ <Mobile Zinc-Responsive Protein Labeling Reagent>

掲載日情報:2024/07/04 現在Webページ番号:80823

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

細胞内の遊離亜鉛イオン(Mobile Zinc: 遊離Zn2+)に応答してZn2+周辺に存在するタンパク質を蛍光(フルオレセイン)標識する試薬です。試薬の添加後、細胞を固定し、蛍光顕微鏡でZn2+の局在を観察できます。また、細胞内Zn2+の輸送動態に関わるタンパク質の同定・解析にも有用な試薬です。

製品名変更のお知らせ

本製品は、以下のとおり製品名を変更いたしました。
なお、製品仕様、商品コード、価格、容量に変更はございません。

  • 旧品名:Zin-Pro Capture <Mobile Zinc-Responsive Protein Labeling Reagent>
  • 新品名:Zinc-Stamp™ <Mobile Zinc-Responsive Protein Labeling Reagent>

Zinc-Stamp™の製品イメージ

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Zinc-Stamp™の製品イメージ

まとめ買いバナー

亜鉛イオン(Zn2+)解析の重要性について

必須元素である亜鉛(Zn)は、細胞内でも高濃度に存在する遷移金属であり、タンパク質のフォールディングや酵素活性などのタンパク質の機能発現に重要な役割を果たすことが知られています。総タンパク質の約10%は、Zn結合タンパク質であるとの見積もりも報告されています。通常、メタロチオネインのような金属タンパク質によって亜鉛イオン(Zn2+)はタンパク質内に安定に保管され、細胞内の遊離Zn2+(Mobile Zinc)は低濃度に保たれています。一方で、遊離Zn2+はタンパク質表面に弱く結合することでシグナル伝達因子として働くことが徐々に明らかになってきており、過剰な遊離Zn2+と疾患(たとえば、脳内虚血や脳傷害、てんかんやアルツハイマー病など)との密接な関係性が示唆されています。これらのことから、細胞内の遊離Zn2+のホメオスタシスは幅広い分野で注目され始めています。


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Zinc-Stamp™とは

Zinc-Stamp™は、京都大学 浜地教授により開発された、細胞内の高濃度Zn2+を感知して、周囲のタンパク質に選択的に蛍光色素フルオレセインを導入するタンパク質標識試薬(文献中の名称:AIZin-2)です。生理現象、病理現象に大きく関与すると考えられているZn2+の細胞内挙動を、タンパク質レベルで解析できる優れたツールとして注目されています。

Zinc-Stamp™(AIZin-2)

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Zinc-Stamp™(AIZin-2

タンパク質標識の原理

Zinc-Stamp™は、Zn2+キレート部位と活性スイッチ型標識基Acyl imidazole、およびフルオレセインが連結した構造です。Zinc-Stamp™自体はタンパク質標識活性が弱いために、そのままでは標識反応は進みません。Zn2+Zinc-Stamp™のdipicorylamine/acyl imidazoleによりキレート化されるとacyl imidazoleが活性化され、周辺タンパク質へのフルオレセイン標識反応が進行します。このZn応答性分子設計により、周囲環境におけるZn2+の存在の有無に応じたタンパク質の標識が可能となります。

Zinc-Stamp™のZn応答性タンパク質標識原理

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Zn応答性タンパク質標識原理

Zinc-Stamp™を用いた細胞イメージング

Zinc-Stamp™は、遊離Zn2+が高濃度に濃縮された領域において、Zn2+により活性化されて周囲のタンパク質をフルオレセイン標識します。

Zinc-Stamp™を用いた細胞イメージング

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Zinc-Stamp™は、生細胞中ではZn2+の有無に関わらず蛍光を発しますが、細胞固定によって遊離の蛍光色素を除去することで、Zn2+に応答してタンパク質に標識された蛍光のみが観察されます。これによってZn2+量の変化や局在を観察することができます。

生細胞 固定細胞
TPEN(−) TPEN(+) TPEN(−) TPEN(+)
生細胞 TPEN(−) 生細胞 TPEN(+)

固定化



固定化操作で遊離の蛍光色素が除去される

固定細胞 TPEN(−) 固定細胞 TPEN(+)
  • Zinc-Stamp™  
  • :核

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Zn2+キレーターTPENによって細胞内Zn2+を枯渇させたヒト腎臓がん細胞株786-O細胞のZinc-Stamp™による蛍光イメージング像

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特長

  • Zn2+に対する高い特異性があります。細胞内の他の主要な金属イオンであるMn2+, Fe2+, Fe3+, Na+, K+, Ca2+, Mg2+には反応性を示しません。
  • Zn2+の有無で高いSN比を示します。Zn2+存在下では迅速にタンパク質をフルオレセイン標識します。
  • 細胞膜透過性があるため、培地に添加するだけで自発的に細胞に取り込まれます。
  • Zinc-Stamp™により標識されたタンパク質は、細胞固定後に免疫染色による局在観察、および抗フルオレセイン抗体を用いた免疫沈降法による精製が可能です。
  • 推奨使用濃度1 μMでは細胞毒性がほとんどありません。
  • さまざまなアプリケーションに使用可能です(下記参照)。
  • 分子式:C46H40N6O11
  • 分子量:852.85 g/mol
  • 溶解性:DMSO
  • Ex/Em:495/515 nm (一般的なFITC用フィルターが使用できます。)

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アプリケーション

アプリケーションの分類


各種試料へのZinc-Stamp™の添加
Zinc-Stamp™によるタンパク質標識
細胞固定 細胞溶解
免疫染色 SDS-PAGE 抗フルオレセイン抗体で免疫沈降
顕微鏡観察 蛍光タンパク質による
総タンパク質解析
Western blot
(任意の抗体)
質量分析による
網羅的解析
🡇 🡇 🡇 🡇
アプリケーション① アプリケーション② アプリケーション③

アプリケーション①:細胞内遊離Zn2+の局在観察

Zinc-Stamp™で標識したタンパク質の局在は、細胞を固定することで可視化できます。免疫染色や各種オルガネラマーカーとの共染色も可能であるため、遊離Zn2+の輸送に関わるタンパク質との関係を時空間的に観察できます。

SNOC 10 min SNOC 2 hour

SNOC 10 min

SNOC 2 hour

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細胞をメタノールで固定し、フルオレセインの蛍光シグナルを共焦点顕微鏡で観察した。酸化ストレス処理を行った10分後は細胞全体に標識が見られるが、2時間後はベシクル状の染色像が観察され、遊離Zn2+が毒性を抑えるためにベシクルに輸送されたことがわかる。

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アプリケーション②:標識総タンパク質の解析

アプリケーション②:標識総タンパク質の解析

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C6グリオーマ細胞に酸化ストレス処理(一酸化窒素発生試薬SNOC、200 μM)し、その15分後または180分後にZnキレート剤TPEN(400 μM)非共存下・共存下で1 μM Zinc-Stamp™を添加して10分間培養した。細胞をSDS-PAGEサンプルバッファーで溶解後、SDS-PAGEで電気泳動し、蛍光イメージャーとCBB染色で観察した。CBB染色で総タンパク質量には変動が見られないが、酸化ストレス処理時間に応じてZinc-Stamp™により標識されたタンパク質のバンドパターンが変動していることがわかる。一方で、Zinc-Stamp™による標識は、Znキレート剤TPENの添加による阻害が示されたことから、Zinc-Stamp™による標識活性はZn2+によるものであることがわかる。

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アプリケーション③ 標識タンパク質のウエスタンブロット及び質量分析での解析

C6グリオーマ細胞をSNOC(一酸化窒素発生試薬) 200 μMで0、10、180分間酸化ストレス処理を行った。次に、Zinc-Stamp™により標識されたタンパク質を抗フルオレセイン抗体(anti-FL)による免疫沈降により精製し、ウエスタンブロット(A)および質量分析(B)で解析した。


A:ウエスタンブロット法による個々のタンパク質の解析

A:ウエスタンブロット法による個々のタンパク質の解析

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抗フルオレセイン抗体による免疫沈降精製物を電気泳動し、個々の特異的抗体でウエスタンブロットすることで、各タンパク質の標識量を評価できる。バンドが強く得られるものほど、Zn2+濃度が高い領域に存在するタンパク質であることを示す。ミトコンドリアタンパク質のCitrate synthetaseは酸化ストレス処理を行った10分後にバンドが得られ、ERタンパク質のCalnexinやGRP94は180分後に強いバンドが得られた。遊離Zn2+は細胞質でメタロチオネインから放出されたのち、ミトコンドリアを経てERに輸送されることがわかる。

B:質量分析による網羅的な解析

抗フルオレセイン抗体による免疫沈降精製物を電気泳動後、トリプシン消化を行った。次に、それぞれの試料にTMT法によって安定同位体を標識し、LC-MS/MSで酸化処理0分/10分、10分/180分の組み合わせで比較解析を行った。TMT法を用いることで、それぞれ試料間におけるZinc-Stamp™により標識されたタンパク質量の変動を網羅的に解析できた。

B:質量分析による網羅的な解析(NO 0 min vs 10 min) B:質量分析による網羅的な解析(NO 10 min vs 180 min)
NO 0 min vs 10 min NO 10 min vs 180 min

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使用文献

  • Miki, T., et al., "A conditional proteomics approach to identify proteins involved in zinc homeostasis.", Nat. Methods, 13(11), 931~937 (2016). [PMID:27617391]

この論文では、Zinc-Stamp™AIZin-2)を使用したコンディショナルプロテオミクスにより脳内虚血のモデルとして知られる酸化ストレス条件下におけるグリオーマ細胞内のZn2+の輸送経路をタンパク質レベルで解明しました。酸化ストレスによってメタロチオネインから放出された遊離Zn2+の毒性を抑えるため、細胞がZn2+をCOPⅠ/COPⅡ小胞およびER-Golgi 中間分画(ER-Golgi intermediate compartment; ERGIC)に封じ込めることを世界で初めて分子レベルで明らかにしています。


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価格

[在庫・価格 :2025年04月26日 00時00分現在]

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納期 文献数
Zinc-Stamp <Mobile Zinc-Responsive Protein Labeling Reagent>
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細胞内の遊離亜鉛イオン(Zn2+)に応答して、Zn2+周辺のタンパク質を蛍光標識(フルオレセイン標識)する試薬。試薬添加後に細胞を固定し、蛍光顕微鏡でZn2+の局在を観察できる。標識されたタンパク質は抗フルオレセイン抗体で免疫沈降できるため、細胞内Zn2+の輸送動態に関わるタンパク質の同定・解析にも有用(旧品名: Zin-Pro Capture)。
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2017年10月15日号 p.19
ニュース2018年3月15日号 p.6

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Zinc-Stamp <Mobile Zinc-Responsive Protein Labeling Reagent>
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細胞内の遊離亜鉛イオン(Zn2+)に応答して、Zn2+周辺のタンパク質を蛍光標識(フルオレセイン標識)する試薬。試薬添加後に細胞を固定し、蛍光顕微鏡でZn2+の局在を観察できる。標識されたタンパク質は抗フルオレセイン抗体で免疫沈降できるため、細胞内Zn2+の輸送動態に関わるタンパク質の同定・解析にも有用(旧品名: Zin-Pro Capture)。
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掲載カタログ ニュース2018年3月15日号 p.6
ニュース2024年9月15日号 p.32

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Zinc-Stamp <Mobile Zinc-Responsive Protein Labeling Reagent>

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説明文 細胞内の遊離亜鉛イオン(Zn2+)に応答して、Zn2+周辺のタンパク質を蛍光標識(フルオレセイン標識)する試薬。試薬添加後に細胞を固定し、蛍光顕微鏡でZn2+の局在を観察できる。標識されたタンパク質は抗フルオレセイン抗体で免疫沈降できるため、細胞内Zn2+の輸送動態に関わるタンパク質の同定・解析にも有用(旧品名: Zin-Pro Capture)。
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掲載カタログ ニュース2017年10月15日号 p.19
ニュース2018年3月15日号 p.6

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説明文 細胞内の遊離亜鉛イオン(Zn2+)に応答して、Zn2+周辺のタンパク質を蛍光標識(フルオレセイン標識)する試薬。試薬添加後に細胞を固定し、蛍光顕微鏡でZn2+の局在を観察できる。標識されたタンパク質は抗フルオレセイン抗体で免疫沈降できるため、細胞内Zn2+の輸送動態に関わるタンパク質の同定・解析にも有用(旧品名: Zin-Pro Capture)。
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掲載カタログ ニュース2018年3月15日号 p.6
ニュース2024年9月15日号 p.32

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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