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Guide for selecting the best cross-linking reagent 架橋試薬（クロスリンカー）の選択ガイド

掲載日情報：2021/12/29 現在Webページ番号：8022

プロテオケム /
ProteoChem, Inc.
[メーカー略称：PTC]

ProteoChem社は、米国ユタ州に本拠を置くバイオテクノロジー企業で、タンパク質化学やプロテオミクス研究用試薬、分析標準品などを製造販売しています。ここでは、お求めになりやすい価格のクロスリンカー（架橋試薬）をご紹介します。

※本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

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架橋試薬の原理と選択法

タンパク質架橋試薬は、下図のようにスペーサーアームの両端に反応基（ここでは反応基１と反応基２）を有する化合物で、標的となる生体分子上の様々な官能基と特異的に反応して、これらを結び付けることができます。その主な用途としては、「タンパク質架橋試薬の利用」に書かれたような利用例が考えられています。

架橋試薬（クロスリンカー）の一般的な構造

架橋試薬（クロスリンカー）の構造図。スペーサーを挟んで、両端に反応基を持つ。

上図の場合は、反応基1はタンパク質Aのアミノ基と反応し、反応基2はタンパク質Bのスルフヒドリル基と反応し、2種のタンパク質を結合します。また架橋試薬分子内にジスルフィド結合などを含むようにすれば、タンパク質結合を適当な還元剤で切り離すことが可能となります。また、重水素のような安定同位体で標識された架橋試薬を用い、MS（質量分析）の手法で解析することも可能です。

タンパク質架橋試薬の利用

タンパク質架橋試薬の使用例タンパク質架橋試薬選択の目安
    • タンパク質分子（サブユニット）の構造研究、またはタンパク質の空間的配向の決定
    • 生体模倣ゲル内での分子の動向の研究
    • 生体内（in vivo）でのタンパク質の動向の研究
    • タンパク質―タンパク質相互作用の研究
    • キャリアタンパク質―ハプテン結合体の形成
    • 抗体―タンパク質架橋結合体の生成
    • 抗体―酵素複合体または蛍光―ペプチド複合体の作製
    • 質量分析への応用（同位体標識架橋試薬）
    • 固体表面へのタンパク質の架橋固定
    • 酵素活性およびタンパク質分解の分析
    • タンパク質、ペプチド、その他の対象分子上に存在する、キーとなる官能基の種類（例えば、一級アミン、スルフヒドリルなど）
    • スペーサーアーム長（標的間の分子距離）の設定
    • 対象が生体膜に関わる場合、架橋試薬が水溶性か疎水性（膜透過性）かで反応域を調節
    • 架橋試薬を後で切断（開裂）する必要があるか否か
    • 外部からの刺激によるスイッチング（光反応性／熱反応性）は必要か

参考文献：

  • Miernyk J.A. and Thelen J.J., "Biochemical approaches for discovering protein-protein interactions", Plant J., 53(4), 597～609 (2008). [PMID: 18269571] (Review)
  • Belsom A and Rappsilber J., "Anatomy of a crosslinker", Curr. Opin. Chem. Biol., 60, 39～46 (2021). [PMID: 32829152] (Review)

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ProteoChem社の架橋試薬選択ガイド

ProteoChem社では、スペーサーアームの各末端に異なる反応基（例えば、スルフヒドリル反応性 ～ アミン反応性）を有する”Heterobifunctional Crosslinker”、スペーサーアームの両端に同じ反応基（例えば、アミン反応性 ～ アミン反応性）を有するような”Homobifunctional Crosslinker”、スペーサーアームをさらに追加することなく2つの対象分子を結合する”Zero-length Crosslinker”、質量分析に有用な”Deuterated Crosslinker”を、高純度かつお求めになりやすい価格で提供しています。


凡例

  • ●：膜透過性
  • ●：水溶性
  •   ―：該当せず
  • Thiols（or Hydroxylamine）：チオール基を持つ化合物（あるいはヒドロキシルアミン）などで架橋試薬を切断できる

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ヘテロバイファンクショナル架橋試薬の選択テーブル（スペーサー長順）

ヘテロバイファンクショナル（heterobifunctional）架橋試薬は、両端に2つの異なる反応基を持つ便利な試薬です。これを使えば、タンパク質共役反応を、制御された2段階反応で行うことができます。また、タンパク質を架橋する際に、二量体やポリマーの形成を避けることができます。

商品コード（cから始まる5桁の文字列）をクリックすると価格表をご覧いただけます。

クロスリンカーの略称と
構造式※		 反応基１ 標的１ 反応基２ 標的２ スペー
サー長		 M.W. 切断
 膜透
過性		 水溶性
 商品
コード
SBA
SBAの化学構造式		 NHSエステル -NH2 -Bromoacetyl -SH 1.5 Å 236.0 ― ● ― c1120
SIA
SIAの化学構造式		 NHSエステル -NH2 -Iodoacetyl -SH 1.5 Å 283.0 ― ● ― c1119
Sulfo-SIA
Sulfo-SIAの化学構造式		 Sulfo-
NHSエステル		 -NH2 -Iodoacetyl -SH 1.5 Å 385.1 ― ― ● c1135
BMPS
BMPSの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Maleimide -SH 5.9 Å 266.2 ― ● ― c1122
SPDP
SPDPの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Pyridinyldisulfide -SH 6.8 Å 312.4 Thiols ● ― c1116
GMBS
GMBSの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Maleimide -SH 7.3 Å 280.2 ― ● ― c1124
MBS
MBSの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Maleimide -SH 7.3 Å 314.3 ― ● ― c1114
Sulfo-MBS
Sulfo-MBSの化学構造式		 Sulfo-
NHSエステル		 -NH2 Maleimide -SH 7.3 Å 416.3 ― ― ● c1115
ANB-NOS
ANB-NOSの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Nitrophenylazide＊ -NH2 7.7 Å 305.2 ― ● ― c1134
SMCC
SMCCの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Maleimide -SH 8.3 Å 334.3 ― ● ― c1108
Sulfo-SMCC
Sulfo-SMCCの化学構造式		 Sulfo-
NHSエステル		 -NH2 Maleimide -SH 8.3 Å 436.4 ― ― ● c1109
PDPH
PDPHの化学構造式		 Hydrazide -CHO Pyridinyldisulfide -SH 9.2 Å 229.3 Thiols ● ● c1113
EMCS
EMCSの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Maleimide -SH 9.4 Å 308.3 ― ● ― c1123
SMPB
SMPBの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Maleimide -SH 11.6 Å 356.3 ― ● ― c1121
SMPH
SMPHの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Maleimide -SH 14.3 Å 379.4 ― ● ― c1112
LC-SPDP
LC-SPDPの化学構造式		 NHSエステル -NH2 Pyridinyldisulfide -SH 15.7 Å 425.5 Thiols ● ― c1117
Sulfo-LC-SPDP
Sulfo-LC-SPDPの化学構造式		 Sulfo-
NHSエステル		 -NH2 Pyridinyldisulfide -SH 15.7 Å 527.6 Thiols ― ● c1118
Sulfo-SANPAH
Sulfo-SANPAHの化学構造式		 Sulfo-
NHSエステル		 -NH2 Nitrophenylazide＊ -NH2 18.2 Å 492.4 ― ― ● c1111

＊：320～350 nmの光照射で活性化され、-NH2を含む種々の官能基と反応する。

※：構造式は、必ずしも左側が反応基１／右側が反応基２とはなっていません。


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ホモバイファンクショナル架橋試薬選択テーブル（スペーサー長順）

ホモバイファンクショナル（homobifunctional）架橋試薬は、架橋試薬のスペーサーアームの両端に同じ反応基を持つため、一段階で２つのタンパク質の化学的架橋が行えます。また、この試薬は、タンパク質二量体やタンパク質ポリマーの形成にも応用できます。

商品コード（cから始まる5桁の文字列）をクリックすると価格表をご覧いただけます。

クロスリンカー
の略称と構造式		 反応基 標的 スペー
サー長		 M.W. 切断
 膜透
過性		 水溶性
 商品
コード
DST
DSTの化学構造式		 NHSエステル -NH2 6.4 Å 344.2 Periodate ● ● c1133
BS2G
BS2Gの化学構造式		 Sulfo-
NHSエステル		 -NH2 7.7 Å 530.4 ― ― ● c1126
DSG
DSGの化学構造式		 NHSエステル -NH2 7.7 Å 326.3 ― ● ― c1104
BS3
BS3の化学構造式		 Sulfo-NHSエステル -NH2 11.4 Å 572.4 ― ― ● c1103
DSS
DSSの化学構造式		 NHSエステル -NH2 11.4 Å 368.3 ― ● ― c1105
DSP
DSPの化学構造式		 NHSエステル -NH2 12.0 Å 404.4 Thiols ● ― c1106
DTSSP
DTSSPの化学構造式		 Sulfo-NHSエステル -NH2 12.0 Å 608.5 Thiols ― ● c1107
DSSeb
DSSebの化学構造式		 NHSエステル -NH2 14.1 Å 396.4 ― ● ― c1136
EGS
EGSの化学構造式		 NHSエステル -NH2 16.1 Å 456.4 Hydroxylamine ● ― c1130
Sulfo-EGS
Sulfo-EGSの化学構造式		 Sulfo-NHSエステル -NH2 16.1 Å 660.5 Hydroxylamine ― ● c1129


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ゼロ長架橋試薬選択テーブル

ゼロ長（Zero-Length）架橋試薬はスペーサーアームを持たず、直に２つのタンパク質を結合します。例えば、架橋試薬のカルボジイミド塩酸塩 (EDC-HCl) は、ペプチド合成、免疫複合体の調製、およびタンパク質架橋のために一般的に使われます。また、触媒として作用しEDC-HClカップリング効率を高めるため、N-ヒドロキシスクシンイミド (NHS) またはN-ヒドロキシスルホスクシンイミド (スルホ-NHS) と併用して日常的に使用されます。

商品コード（cから始まる5桁の文字列）をクリックすると価格表をご覧いただけます。

クロスリンカー
の略称		 標的 スペー
サー長		 M.W. 切断
 膜透
過性		 水溶性
 商品
コード
CDI
CDIの化学構造式		 -NH2と-COOH 0.0 Å 162.2 ― n/a （加水分解） c1131
DCC
DCCの化学構造式		 -NH2と-COOH 0.0 Å 206.3 ― ● ― c1132
EDC-HCl
EDC-HClの化学構造式		 -NH2と-COOH 0.0 Å 191.7 ― ― ● c1100
NHS
NHSの化学構造式		 -NH2と-COOH 0.0 Å 115.1 ― ● ― c1101
Sulfo-NHS
Sulfo-NHSの化学構造式		 -NH2と-COOH 0.0 Å 217.1 ― ― ● c1102


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重水素標識架橋試薬選択の選択テーブル（スペーサー長順）

ここでご紹介する重水素標識（Deuterium-labeled）架橋試薬（Deuterated Crosslinker、重水素化クロスリンカー）は、質量分析 (MS)を利用した研究用に、タンパク質やペプチドを同位体標識するための高品質な試薬で、ProteoChem社が自社製造しています。利用法としては、例えば重水素(d 4またはd 8) および軽水素 (d 0) 架橋試薬を架橋反応中に1:1の比で同時に用い、次に架橋されたタンパク質またはタンパク質複合体を質量分析に供するために消化し、得られた、同位体標識を有する架橋ペプチドは、質量スペクトルにおいて、4または8質量単位だけ異なるピークとして容易に同定されるようになります。

商品コード（hから始まる5桁の文字列）をクリックすると価格表をご覧いただけます。

クロスリンカーの略称と
構造式		 反応基 標的 スペー
サー長		 M.W. 切断
 膜透
過性		 水溶性
 商品
コード
BS2G-d4
BS2G-d4の化学構造式		 Sulfo-NHSエステル -NH2 7.7 Å 534.4 ― ― ● h5101
DSG-d4
DSG-d4の化学構造式		 NHSエステル -NH2 7.7 Å 330.3 ― ● ― h5103
BS3-d4
BS3-d4の化学構造式		 Sulfo-NHSエステル -NH2 11.4 Å 576.5 ― ― ● h5100
DSS-d4
DSS-d4の化学構造式		 NHSエステル -NH2 11.4 Å 372.4 ― ● ― h5102
DSP-d8
DSP-d8の化学構造式		 NHSエステル -NH2 12.0 Å 412.5 Thiols ● ― h5104


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お問い合わせ先

（テクニカルサポート 試薬担当）

reagent@funakoshi.co.jp

製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
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タンパク質解析