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技術情報:タンパク質精製のフォーマット選び(アフィニティクロマトグラフィー)Vol.2

掲載日情報:2026/01/19 現在Webページ番号:73456

タンパク質の精製およびビオチンのブロッキングについてご紹介します。


タンパク質精製

複雑なタンパク質混合物の中から目的タンパク質を単離することは、他の分子の影響を受けずに機能解析を行うための前提条件であり、タンパク質精製はバイオテクノロジーにおける重要なアプリケーションの1つです。目的タンパク質は、別の分子に対する親和性(アフィニティ)という固有の性質を利用することで、他の分子から非常に効率的に単離できます。また、分子量や電荷、疎水性の違いなど、アフィニティ以外の特性を利用した精製も可能ですが、これらの特性はタンパク質間で大きく似通っている場合があります。


アフィニティ精製の模式図

アフィニティ精製の模式図

別の分子に対する親和性を利用してタンパク質を精製する場合、相互作用する相手(リガンド)、例えばタンパク質、低分子、金属イオンなどをクロマトグラフィーマトリックス(固定相)に固定します。固定相は、主にアガロースや合成ポリマーで構成されており、ビーズ状の形でカラム内に充填されています。これらのビーズは、移動相と呼ばれる液体に囲まれています。このカラムに目的タンパク質を含む試料を加えると、試料は移動相を介して固定相のビーズ間を通過します。その間に、目的タンパク質はリガンドに結合しますが、他の分子は移動相に残るため、洗浄によって除去できます。目的タンパク質を溶出するには、例えばpHを変えるなどしてバッファー条件を変更し、リガンドとの相互作用を解消します。あるいは目的タンパク質をリガンドから解離させる競合物質を加えて、目的タンパク質だけを遊離させます。一方、リガンドは固定相に固定されたままです。

この直接的なアフィニティ精製法は、抗原と抗体の相互作用を利用した抗体精製において、最も一般的に用いられています。例えばProtein A(リガンド)は、イムノグロブリンG(IgG)抗体(目的タンパク質)の精製に利用できます。
では、相互作用の相手となる物質が不明な目的タンパク質は、どのように精製すれば良いのでしょうか。この場合は、相互作用が既知の親和性を利用して、目的タンパク質を間接的に捕捉できます。目的タンパク質に相互作用が既知の短いペプチドをタグとして付加することで、固定相上に固定されたリガンドに結合させることができます。この短いペプチドはアフィニティタグと呼ばれ、例えばHis-tag、GST-tag、Strep-tagⅡ、Twin-Strep-tagなどがあります。これらのアフィニティタグは、それぞれ金属イオン、グルタチオン、Strep-Tactin、Strep-Tactin XTに結合します。

アフィニティ精製の比較

アフィニティ精製の比較


高い特異性と得られる目的タンパク質の純度の高さから、アフィニティを利用したシステムはタンパク質精製の主要方法となりました。しかし、His-tagなどの幅広く用いられているアフィニティタグの中には、欠点や制限を有するものもあります。これらのタグを用いると、目的タンパク質の性質に影響を与えたり、溶出や洗浄に厳しい条件が必要となって、目的タンパク質の収量に影響する可能性があります。さらに、多くのタグはさまざまなバッファー条件には対応できないため、精製後の実験に支障をきたさないように、目的タンパク質からタグを除去する必要があります。

幅広く用いられているStrep-tag技術は、2つのストレプトアビジン変異体(Strep-TactinおよびStrep-Tactin XT)と、2つのアフィニティタグ(Strep-tagⅡおよびTwin-Strep-tag)で構成されています。使用できるバッファー条件の制限が少なく、高い特異性により非常に高純度のタンパク質を得ることができます。

IBA社では、Strep-TactinまたはStrep-Tactin XTを用いたさまざまレジンを用意しており、Strep-tagⅡやTwin-Strep-tagとの融合タンパク質の精製に対応しています。Strep-TactinとStrep-Tactin XTではプロトコルが異なりますが、いずれのレジンも簡単かつ短時間に多様な方法で、高純度のタンパク質を得るという目的は共通しています。


資料:Latex Clearing Proteinなどのタンパク質を用いたStrep-TactinとStrep-Tactin XTの精製システムの比較

Strep-Tactin XT vs. Strep-Tactin High Capacity

Strep-Tactin XT vs. Strep-Tactin High Capacity

Strep-Tactin

Strep-Tactin XT High Capacity

Strep-Tactin XT Beats Strep-Tactin

Strep-Tactin XT Beats Strep-Tactin

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資料:別の精製システムとの大きな違い(特にHis-tagとStrep-tagシステムの違い)

Comprehensive Comparison of The Protein Purification Systems

Comprehensive Comparison of The Protein Purification Systems
His-tagシステムとStrep-tagシステムの違いに加え、目的タンパク質や発現宿主、精製条件の特性に応じた推奨システムについてご説明しています。
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資料:Expiシステムで得られた上清からのタンパク質精製における各システム間の違い

Protein Purification From EXPI Supernatants

Protein Purification From EXPI Supernatants
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動画:Strep-tagを用いたタンパク質精製の概要

IBA社独自のStrep-tag技術は、組換えタンパク質のアフィニティ精製に広く利用されており、自然界で最も強力な非共有結合性相互作用の一つであるビオチンとストレプトアビジンの相互作用に基づいて開発されています。このシステムには、2種類のアフィニティタグ(Strep-tagⅡおよびTwin-Strep-tag(Strep-tagⅡを連結したタグ))が含まれています。これらのタグのペプチド配列は、特別に設計されたストレプトアビジンの変異体であるStrep-TactinとStrep-Tactin XTに対して固有の親和性を示します。

Strep-tag技術は、生理学的条件下で非常に高純度のタンパク質が得られることを特長としており、タンパク質精製分野に加えて、アッセイ法開発のためのタンパク質の固相化、タンパク質間相互作用の研究など、さまざまなアプリケーションに利用できます。


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ビオチンのブロッキング

細胞培養上清やライセートに含まれる遊離ビオチンのブロッキング

細胞培養上清には、高濃度の遊離ビオチンが含まれている場合があります。Strep-Tactin XTをレジンとして用いる場合は、ビオチンはこのレジンに非可逆的には結合せず、結合能にも影響しないため、通常は大きな問題になりません。しかし、Strep-Tactinをレジンとして用いるアプリケーションでは問題となる場合があります。Strep-Tactinの機能低下を防ぐためには、アビジンを含む試薬BioLock(#2-0205-050)を用いて、遊離ビオチンを捕捉することができます。
アビジンは、ストレプトアビジンに非常によく似たタンパク質で、鳥類や爬虫類、両生類の卵白に存在します。アビジンは4つのサブユニットから構成され、1分子あたり最大4分子のビオチンと結合できます。ストレプトアビジンの変異体であるStrep-TactinおよびStrep-Tactin XTとは異なり、アビジンはStrep-tagⅡまたはTwin-Strep-tagとは結合できません。そのため、細胞ライセートや細胞培養上清に含まれる遊離ビオチンを選択的に捕捉することができます。一方で、目的タンパク質に付加されたStrep-tagⅡまたはTwin-Strep-tagはレジンに結合ができる状態のまま残ります。ビオチンを含む培地や細胞内のビオチンプールに関する概要は、下記Blocking of Biotin in Cell Lysates and Culture Mediaをご覧下さい。BioLockによるビオチンのブロッキングは簡単かつ迅速で、試料にBioLockを添加して、短時間インキュベートするだけで、前処理が可能です。

Blocking of Biotin in Cell Lysates and Culture Media

Blocking of Biotin in Cell Lysates and Culture Media
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ビオチン化タンパク質のブロッキング

細胞ライセートには、遊離ビオチンに加えて少量のビオチン化タンパク質が含まれています。通常、細胞ライセート中のビオチン化タンパク質は量が少ないため、Strep-TactinまたはStrep-Tactin XTを用いたタンパク質精製の結果に影響しません。しかし、高感度が要求される分析に用いる場合は、この不純物を除去する必要があります。その選択肢の一つとして、タンパク質精製前に試料をBioLock(#2-0205-050)で処理する方法があります。また、目的タンパク質が既に精製済みで、Strep-Tactin Conjugate(#2-1502-001)やStrep-Tactin XT Conjugate(#2-1568-050)を用いてウエスタンブロッティングで検出したい場合には、アビジンによるブロッキングも可能です。検出直前に、アビジンを溶解したPBSでメンブレンを数分間インキュベーションします。ただし、検出にStrepMAG-Classicなどの抗体を用いる場合、ビオチン化タンパク質のブロッキングは必要ありません。Strep-TactinやStrep-Tactin XTとは異なり、この抗体はビオチンやビオチン化タンパク質を認識しないため、非特異的なシグナルは生じません。

結合パターン

Strep-tagⅡ、Twin-Strep-tag、ビオチンの結合パターン

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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