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Molecular glue(分子糊)とPROTACの試験およびプロファイリング用キット Molecular Glue/PROTAC Optimization Kitシリーズ (BPS Bioscience社)

掲載日情報:2025/03/24 現在Webページ番号:72120

AlphaLISA法により、特定のタンパク質を標的とするMolecular glue(分子糊)とPROTAC(Proteolysis Targeting Chimera:タンパク質分解誘導キメラ分子)の結合試験およびプロファイリングを行う上で、コントロールや阻害物質を含む必要な試薬をセットにしたキットです。


PROTACによるタンパク質分解に関する創薬研究に有用なPROTAC阻害物質測定キットについてはPROTAC研究用製品(BPS Bioscience社)をご覧下さい。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

標的タンパク質(POI)の分解へのアプローチと応用

概要

従来、タンパク質の活性制御のアプローチは阻害物質やリガンドを用いた直接的なタンパク質相互作用に依存していました。しかし、これらは既知の4,000種類の疾患関連タンパク質のうちのわずか約10%のみが対象であり、多くは四次構造のため「薬物治療不可能」とみなされています。近年、標的タンパク質分解(Targeted Protein Degradation、TPD)と呼ばれる細胞自身のタンパク質分解機構の力を活用し、「薬物治療不可能」なタンパク質を標的とする新しい戦略が開発されています。TPDは阻害物質とは異なり非化学量論的に作用するため、ごく少量で済み、細胞内のすべてのタンパク質機能に影響を及ぼし、薬剤耐性の発生につながる傾向はありません1。これらの特性は、がん、神経変性疾患、炎症性疾患、感染症の治療に大きな臨床的利点をもたらします。そのため、TPDは、特に新しい治療戦略の開発を目指す製薬会社に注力されている研究分野となっています。

TPD戦略と臨床応用

真核細胞は、タンパク質の合成から分解まで、タンパク質の質を制御するために非常に複雑で相互に関与する経路を発達させてきました。タンパク質恒常性システムのどこかの段階で不均衡があると、野生型または変異型タンパク質が蓄積し、最終的には病気を引き起こす可能性があります。欠陥のあるタンパク質は、プロテアソーム、ユビキチンプロテアソームシステム(UPS)、またはリソソームにより除去されます。タンパク質を分解するためには、タンパク質のユビキチン化が必要です。これは、E1(ユビキチン活性化酵素)、E2(ユビキチン結合酵素)、およびE3リガーゼを含む多段階のプロセスで、1つまたは複数のユビキチン(Ub)が標的タンパク質に共有結合します。Ubタンパク質の行き先は、どのリジンがユビキチン化されるかによって決定され、K48ポリユビキチン化はプロテアソームに、K63はリソソームに標的化されます。リソソームは、細胞小器官、タンパク質凝集体、病原体も消化し、エンドサイトーシス、貪食、またはオートファジーを介して細胞の「ゴミ」を受け取ります。疾患関連タンパク質の除去にプロテアソームおよびリソソームシステムを利用するいくつかの戦略が考案されており、その中には、PROTAC(Proteolysis Targeting Chimeras、Arvinas, Inc. の登録商標)、Molecular glue(Molecular glue)、LyTAC(Lysosome-Targeting Chimera)などがあります(下表参照)。

PROTAC

PROTACは、プロテアソーム内でタンパク質分解を引き起こす、最初に開発されたTPD技術の1つです。これらは、標的タンパク質(protein of interest、POI)結合ドメイン(ペプチドまたは低分子)、リンカー、および E3リガーゼリガンドで構成されています。形成された三元複合体内のPOIとE3リガーゼの近接性により、ユビキチンがPOIに転移し、分解の標的となります。

PROTACは、キナーゼ、転写因子、GTPaseなど、がんに関与するさまざまなタンパク質を対象に開発されてきました。BTK(Bruton tyrosine kinase)、p38、BCL-xLを標的とするPROTACの例は、この技術のさらなる利点を示しています。BTKは慢性リンパ性白血病に関与しており、低分子阻害物質であるIbrutinibをベースにしたPROTACは野生型だけでなく変異型タンパク質も分解しますが、Ibrutinibは野生型タンパク質のみを標的とします。P38はがんにおける細胞の生存、移動、増殖に関与しており、4つのアイソフォームが知られています。同じ単一の阻害物質、同じE3リガーゼ、および異なるリンカー結合部位で構成されるPROTACのアイソフォーム固有のTPDによって、複雑なアイソフォーム固有の阻害物質を開発する必要性はなくなりました。

BCL-xL(B-cell lymphoma-extra-large)は、多くの種類のがんで過剰発現しています。現在のBCL-xL阻害物質は血小板も標的にするため、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。しかし、選択されたE3リガーゼがCBRNのように血小板で非常に低いレベルで発現しているPROTACのコンテキストで阻害物質を使用すると、BCl-xLの分解をがん細胞に限定でき、患者の生活の質が大幅に向上します1~4。さまざまな文献においてPROTACががん治療に幅広く応用され、その可能性を示唆されています。最近、PROTACの精製戦略が研究されており、リン酸化PROTACや光PROTAC1など、特定の細胞条件下でのみ機能するPROTACが開発され、この技術の特異性が広められています。

PROTACはウイルス感染症の治療にも使用できます。一例として、C型肝炎(HVC)の治療では、PROTACはTelaprevir(HCVプロテアーゼ阻害物質)を用いて HVC NS3/4aプロテアーゼの分解を誘導します1。SARS-CoV-2を標的とするPROTACは、重症患者に対する有用な治療アプローチとなる可能性があります。

PROTACとMolecular glueの作用の概略図

PROTACとMolecular glueの作用の概略図

PROTACは、POI結合ドメインとリンカーを介して結合したE3リガンドを介して、標的物質をE3リガーゼと接触させる。一方、Molecular glueは、糊のように標的物質とE3間の結合を単純に安定化させる。


Molecular glue

Molecular glue(MG)分解物質にはリンカーはないもののPOIとE3リガーゼを結合し、PROTACと同様の結果をもたらします。PROTACとは異なり、MGはE3リガーゼを標的タンパク質に直接動員するのではなく、標的タンパク質とE3リガーゼの相互作用を安定化し、標的のユビキチン化を促進します。MGは分子量が低くPROTACよりもコンパクトですが、その設計はより複雑であるため、これまでに開発されたMGの数は限られています。例としては、転写因子IKZF1/3をE3リガーゼCRBNに結合するThalidomideとPomalidomideがあります1。二重メカニズム分解物質は、PROTACとMolecular glueの特性を1つの分子に組み合わせることができます。一例がGBD-9で、CRBNを動員することでBTKとGSPT1(G1 to S phase transition 1) のMGを分解するPROTACとして機能します1,5

GBP-9などの二重メカニズム分解物質の作用の概略図

GBP-9などの二重メカニズム分解物質の作用の概略図

PROTACは、POI結合ドメインとリンカーを介して結合したE3リガンドを介して、標的物質をE3リガーゼと接触させる。一方、Molecular glueは、糊と同様に標的物質とE3間の結合を単純に安定化させる。


LyTAC

LyTACはPOIリガンド、リンカー、およびLysosome targeting receptor(LTR)リガンドによって形成され、リソソーム分解を利用して標的物質のポートフォリオを拡大し、標的物質のプールを膜および細胞外タンパク質にまで拡張します。POIとTRLとの三者複合体の形成によりエンドサイトーシスが起こり、最終的にリソソームで分解されます。組織特異的LTRの使用によりLyTACは組織特異的になり、すべての臓器を標的とし重大な副作用をもたらす可能性のある阻害物質の使用は避けられます。LyTACはPROTACよりも新しく、神経変性疾患、自己免疫疾患、およびがん治療に応用されています。たとえば、エンドサイトーシスを誘発するpoly-M6P(Mannose-6-Phosphate)を抗EGFR抗体に結合させたり、poly-M6Pを抗PD-L1抗体に結合させたりすることで、EGFRとPD-L1が分解されます1。リソソーム経路を標的とする他のいくつかの方法が開発されており、治療への応用に大きな期待が寄せられています(下表参照)。


TPDの種類 分子構成 作用機構 POIの例
PROTAC(Proteolysis-Targeting Chimera)  POI-binding ligand Linker
 E3 ligase ligand
POIのユビキチン化とプロテアソーム分解 ER、AR、BCL-xL、STAT3、EGFR、EZH2、BRAF、HPK1、FAK、BTK、NS3/4a
MG(Molecular Glue)  POI-binding ligand
 E3 ligase ligand
POIのユビキチン化とプロテアソーム分解 IKZF1/3
LyTAC(Lysosome-Targeting Chimera)  POI-binding ligand
 DNA aptamer linker
 LRT ligand
エンドサイトーシスによるリソソーム分解 EGFR、PD-L1
Bispecific Aptamer Chimera  POI-binding ligand
 DNA aptamer linker
 LRT ligand
エンドサイトーシスによるリソソーム分解 PTK-7、MET
AbTAC(Antibody-based PROTAC)  Bispecific antibodies targeting POI
 transmembrane E3 ligase
エンドサイトーシスによるリソソーム分解
GlueTAC  Nanobodies binding antigen
 Cell penetrating peptide
 Lysosome sorting sequence(CPP-LSS)
エンドサイトーシスによるリソソーム分解 PD-L1
AUTAC(Autophagy-Targeting Chimera)  cGMP-based degradation Tag Linker
 POI ligand
細胞質タンパク質とミトコンドリアのオートファジーによるリソソーム分解 ミトコンドリア
ATTEC (Autophagosome Tethering Compound)  POI ligand
 LC3 ligand
オートファゴサイトーシスによるリソソーム分解 ハンチンチン
AUTOTAC(AUTOphagy-Targeting Chimera)  P62 ZZ domain
 POI binding domain
オートファジーによるリソソーム分解 Tau、ARなどのミスフォールドタンパク質
CMA-based degrader(Chaperone mediated autophagy (CMA)-based degrader)  Cell membrane penetration sequence
 POI binding domain
 CMA targeting motif
CMAによるリソソーム分解 変異ハンチンチン、PSD-95、DAPK1、α-シヌクレイン

参考文献

  1. Zhao, L., et al., "Targeted protein degradation: mechanisms, strategies and application", Signal Transduction and Targeted Therapy, 7(1), 113 (2022). [PMID:35379777]
  2. Samarasinghe, K.T.G and Crews, C.M., "Targeted protein degradation: A promise for undruggable proteins", Cell Chem. Biol., 28(7), 934~951 (2021). [PMID:34004187]
  3. Ishida, T. and Ciulli, A., "E3 ligase Ligands for PROTACs: How They Were Found and How to Discover New Ones", SLAS Discov., 26(4), 484~502 (2021). [PMID:33143537]
  4. Dale, B., et al., "Advancing targeted protein degradation for cancer therapy", Nat. Rev. Cancer, 21(10), 638~654 (2021). [PMID:34131295]
  5. Yang Z., et al., "Merging PROTAC and molecular glue for degrading BTK and GSPT1 proteins concurrently", Cell Research, 31(12), 1315~1318 (2021). [PMID:34417569]

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適用

  • 特定のタンパク質を標的とするMolecular glueとPROTACの同定
  • 特定のタンパク質を標的とする新規化合物の設計
  • 異なるMolecular glue/PROTACの活性の比較試験

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製品ラインナップ

品名をクリックすると製品の詳細、商品コードをクリックすると各製品の価格表をご覧いただけます。

品名 Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for
CDK/Cyclin K-DDB1 Containing Complex CDK2/CDK9-Cereblon Binding RBM39-DCAF15
商品コード 82588 82643 82251
反応スキーム Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK/Cyclin K-DDB1 Containing Complex Assayの反応スキーム Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK2/CDK9-Cereblon Binding Assay Kitの反応スキーム Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for RBM39-DCAF15 Binding assay kitの反応スキーム
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標的物質  CDK12(Cyclin Dependent Kinase 12)
 CDK13(Cyclin Dependent Kinase 13)
 DDB1(DNA damage binding protein 1)含有複合体
 CDK2(Cyclin Dependent Kinase 2)
 CDK9(Cyclin Dependent Kinase 9)
 Cereblon(CRBN)
 RBM39(RNA-binding protein 39)とDCAF15(DDB1 and CUL4 associated factor 15)間の相互作用

キットに含まれるコントロール  (R)-CR8(Molecular glue)
 THZ531(デュアルCDK12-CDK13阻害物質)
 CDK2/9 Degrader(PROTAC)
 FN-1501(CDK阻害物質)
 E7820(Molecular glue)
 Arginine
アッセイフォーマット AlphaLISA
アッセイ数 384 assays
測定動物種 Human
キット内容  Cereblon/DDB1/CUL4A/Rbx1 complex
 CDK12/Cyclin K, GST-tag
 PP-02 Assay Buffer
 (R)-CR8(MW=431.5 Da)
 THZ531(MW=558 Da)
 Cereblon, FLAG-Tag
 CDK2/Cyclin A2, His, GST-Tag
 CDK9/Cyclin K, GST-Tag
 PP-02 Assay Buffer
 CDK2/9 Degrader(MW=816 Da)
 FN-1501(MW=431 Da)
 Rbx1/CUL4B/DDB1/DCAF15/DDA1 complex
 RBM39, GST-Tag
 PP-02 Assay Buffer
 Detection Buffer 3D
 E7820 (MW=336 Da)
 L-Arginine
 Plate sealer
別途必要な機器、試薬  AlphaLISA Nickel chelate acceptor beads
(Revvity社:#AL108C)
 AlphaScreen Glutathione donor beads
(Revvity社:#6765300)
 Optiplate 384-well, white opaque
(Revvity社:#6007290)
 AlphaScreen microplate reader
 Adjustable micropipettor and sterile tips
 AlphaLISA anti-FLAG acceptor bead
(Revvity社:#AL112C)
 AlphaScreen Glutathione donor beads
(Revvity社:#6765300)
 Optiplate 384-well, white opaque
(Revvity社:#6007290)
 AlphaScreen microplate reader
 Adjustable micropipettor and sterile tips
 AlphaLISA GSH acceptor beads
(Revvity社:#AL109C)
 Alpha Nickel donor beads
(Revvity社:#AS101D)
 Optiplate 384-well, white opaque
(Revvity社:#6007290)
 AlphaScreen microplate reader
 Adjustable micropipettor and sterile tips


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Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK/Cyclin K-DDB1 Containing Complex(#82588

AlphaLISAを用いてCDK12(Cyclin Dependent Kinase 12)、CDK13(Cyclin Dependent Kinase 13)、またはDDB1(DNA Damage Binding protein 1)を含む複合体を標的としたMolecular glue(分子糊)/PROTACの試験およびプロファイリングを行うキットです。

CDK、Cyclin K、DDB1について

CDK(Cyclin-Dependent Kinase)は、多くの重要な細胞機能に関与するセリン/スレオニンキナーゼです。CDK/Cyclin Kは、転写調節、DNA損傷修復、ゲノム安定性に関与することで、がんやその他の疾患において病態生理学的に重要な役割を果たしています。CDK12/13は、RNAポリメラーゼⅡのC末端ドメインのSer2をリン酸化することで転写を調節し、DNA損傷応答(DDR)に関連するタンパク質の発現を調節します。CDK/Cyclin Kのメカニズムと不活性化によるゲノム不安定性の誘発の仕組みを理解することは、疾患に対する標的療法や個別治療戦略の開発につながる可能性があります。

DDB1(DNA damage-binding protein 1)は、Cullin 4(CUL4)ベースの E3ユビキチンチガーゼ複合体の中核成分として機能します。(R)-CR8などのMolecular glueは、CDK12/Cyclin KとCUL4アダプタータンパク質DDB1との複合体形成を誘導し、CDK12/Cyclin Kをユビキチン化および分解を促進します。CR8は、Cyclin Kの一価分解物質として作用することでpan-CDK阻害物質と見なされています。CR8は、溶媒側に出たピリジン環非含有のCDK阻害物質であるSeliciclibから派生したものです。CR8に溶媒側に出たピリジン環を導入することで新しい作用機構が発生し、低分子構造の改変が革新的なツールを生み出すことになりました。これらのMolecular glueとPROTACの開発により、がん治療に新たな道が開かれれることが期待されます。


測定原理

Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK/Cyclin K-DDB1 Containing Complex Assayの測定原理概略

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Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK/Cyclin K-DDB1 Containing Complex(#82588)の測定原理概略

Molecular glue(分子糊)/PROTACの試験物質をDDB1/CereblonやCDK/Cyclin KなどのDDB1含有複合体とともにインキュベートし、それらを近接させる。DDB1/Cereblon複合体にはHisタグが含まれており、ニッケル-AlphaLISAアクセプタービーズによって認識される。CDK12/Cyclin K には、ドナービーズに結合するGSTタグが含まれており、ドナービーズが励起されると一重項酸素が生成し、それがアクセプタービーズを励起し、CDK/Cyclin KとDDB1/Cereblon複合体の相互作用レベルに比例して発光する。


使用例

CDK12/Cyclin K-DDB1/Cereblon複合体の相互作用

CDK12/Cyclin K-DDB1/Cereblon複合体の相互作用

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CDK12/Cyclin K-DDB1/Cereblon複合体の相互作用

さまざまな濃度の2つのMolecular glueである(R)-CR8とHQ461によるCDK12/Cyclin K-DDB1/Cereblon複合体の結合を測定した。

(R)-CR8誘導によるCDK12/Cyclin K-DDB1/Cereblon複合体の相互作用

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(R)-CR8誘導によるCDK12/Cyclin K-DDB1/Cereblon複合体の相互作用

Staurosporine (#27002) およびTMZ531のさまざまな濃度においてMolecular glueの(R)-CR8を介したCDK12/Cyclin K−DDB1/Cereblon複合体との相互作用を測定した。Pan-kinase阻害物質であるStaurosporineは、IC50=4.0 μMで相互作用を阻害した。CDK12およびCDK13の共有結合阻害物質であるTMZ531は、Kinact/Kiは示されていない。

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Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK2/CDK9-Cereblon Binding(#82643

AlphaLISAを用いてCDK2(Cyclin Dependent Kinase 2)、CDK9(Cyclin Dependent Kinase 9)、またはCereblon(CRBN)を標的としたMolecular glue(Molecular glue)/PROTACの試験およびプロファイリングを行うキットです。

CDK2、CDK9について

CDK2(Cyclin-Dependent Kinase 2)は、細胞周期のG1期からS期への移行に特に関与する細胞周期調節因子です。Cyclin EおよびCyclin Aと複合体を形成し、DNA複製および細胞周期の進行に関与する主要な基質をリン酸化します。CDK9(Cyclin-Dependent Kinase 9)は主に転写を制御します。CDK9はPositive Transcription Elongation Factor b(P-TEFb)複合体の触媒コアを形成し、RNAポリメラーゼⅡのC末端ドメイン(CTD)をリン酸化して転写伸長を促進する上で重要な役割を果たします。

CDK9は、特に血液悪性腫瘍におけるがん治療の新たな標的物質になっています。HIV複製にも関与しているため、抗HIV療法の潜在的な標的物質です。CDK9阻害物質は、炎症性疾患や心血管疾患の治療における有用性について研究されています。CDK2は、腫瘍学、特に細胞周期制御の調節不全を伴うがんにおいて、十分に検証された標的物質であり、特定の神経変性疾患にも関与している可能性があります。またCDK2は、Kisqali、Verzenio、IbranceなどのCDK4/6阻害物質によるエストロゲンレセプター陽性の乳がん患者が治療後に獲得する耐性機構であることが明らかにされており、これはCDK2活性を直接調節するCCNE1(cyclin E1)の上方制御によって引き起こされる現象です。多くのCDK2阻害物質が開発中ですが、薬物治療が比較的難しいために標的外の毒性効果が問題となっています。低分子阻害物質に代わるものとして、分解物質が考えられています。CDK2とCDK9はいずれも臨床研究が進行中であり、がんを含むさまざまな病状の臨床試験において、種々の阻害物質が試験されています。


測定原理

Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK2/CDK9-Cereblon Bindingの測定原理概略

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Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK2/CDK9-Cereblon Bindingの測定原理概略

Molecular glue/PROTACの試験物質をCereblon(CRBN)、CDK2、またはCDK9とともにインキュベートし、それらを近接させる。CRBNにはFLAGタグが含まれており、抗FLAG AlphaLISAアクセプタービーズによって認識される。CDKには、ドナービーズに結合するGSTタグが含まれている。ドナービーズが励起されると、一重項酸素が生成し、それがアクセプタービーズを励起し、CDK2/CDK9 のCereblonとの相互作用レベルに比例して発光する。


使用例

CDK2/9分解物質を介したCereblonとCDK2およびCDK9との相互作用

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CDK2/9分解物質を介したCereblonとCDK2およびCDK9との相互作用

さまざまな濃度のCereblonにおいて、CDK2/9分解物質(PROTAC)のCDK2およびCDK9がCereblonに結合する能力を測定した。


阻害物質FN-1501およびPomalidomideによるCDK2/9分解剤物質介したCDK2およびCDK9とCereblonとの相互作用の阻害

CDK2/9分解物質によるCDK2およびCDK9とCereblonの相互作用の阻害をさまざまな濃度のFN-1501およびPomalidomide(#82026)で測定した。CDK阻害物質FN-1501は、CDK2およびCDK9の結合をそれぞれIC50=1.4 μMおよびIC50=2.1 μMで阻害した。Pomalidomideは、CDK2およびCDK9の結合をそれぞれIC50=19.8 μM およびIC50=5.2 μMで阻害した。

CDK2/9分解物質によるCDK2-CRBNの相互作用の誘導

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CDK2/9分解物質によるCDK2-CRBNの相互作用の誘導

CDK2/9分解物質によるCDK9-CRBNの相互作用の誘導

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CDK2/9分解物質によるCDK9-CRBNの相互作用の誘導

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Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for RBM39-DCAF15(#82251

AlphaLISAを用いてRBM39(RNA-binding protein 39)と DCAF15(DDB1 and CUL4 associated factor 15)間の相互作用を標的としたMolecular glue/PROTACの試験およびプロファイリングを行うキットです。

DCAF15、RBM39について

DCAF15は、E3タンパク質リガーゼ複合体DDB1-DDA1-CUL4-Rbx1の基質結合成分であり、標的タンパク質のユビキチン化とプロテアソーム分解に関与しています。DCAF15が基質タンパク質に結合すると、E3リガーゼ複合体の活性が引き起こされ、タンパク質基質のユビキチン化と最終的な分解が起こります。DCAF15の最も重要な標的物質の1つは、腫瘍を標的としたmRNAおよびタンパク質発現の重要な因子であるRBM39(RNA-binding motif protein 39)です。最近の研究で、RBM39が予想に反してアリールスルホンアミドの標的物質であることが明らかになりました。この物質は、RBM39とE3ユビキチンリガーゼ構成因子であるDCAF15間のMolecular glueとして機能し、標的物質を選択的に分解します。

E7820はアリールスルホンアミドの一つで、RBM39をRbx-CUL4-DDA1-DDB1-DCAF15 E3リガーゼ複合体に動員し、プロテアソームによるユビキチン化と分解を引き起します。将来、RBM39の動員に関与する新しいMGとPROTACの開発によるDCAF15を用いた他の目的タンパク質の分解への応用が期待されます。


測定原理

Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK2/CDK9-Cereblon Bindingの測定原理概略

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Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK2/CDK9-Cereblon Bindingの測定原理概略

Molecular glue/PROTACの試験物質をDCAF15複合体およびRBM39とともにインキュベートし、それらを近接させる。DCAF15にはHisタグが含まれており、ドナービーズによって認識される。RBM39にはGSH-AlphaLISAアクセプタービーズに結合するGSTタグが含まれている。ドナービーズが励起されると、一重項酸素が生成し、それがアクセプタービーズを励起し、RBM39とDCAF15との相互作用レベルに比例して発光する。


使用例

E7820を介したDCAF15とRBM39の相互作用

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E7820を介したDCAF15とRBM39の相互作用

さまざまな濃度のMolecular glueであるE7820において、DCAF15とDCAF11(ネガティブコントロール)のRBM39への結合を測定した。

ArginineによるDCAF15とRBM39のE7820を介した相互作用の阻害

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ArginineによるDCAF15とRBM39のE7820を介した相互作用の阻害

さまざまな濃度のArginineにおいて、E7820を介したDCAF15とRBM39の相互作用の阻害を測定した。

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価格

[在庫・価格 :2025年04月25日 20時55分現在]

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Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK/Cyclin K-DDB1 Containing Complex (384reactions)
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検出方法:AlphaLisa
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Molecular Glue/PROTAC Optimization Kit for CDK/Cyclin K-DDB1 Containing Complex (384reactions)

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説明文 Protein Accession No: Cereblon:Q96SW2;DDB1:Q16531;Cul4a:Q13619;Rbx1:P62877
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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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