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病態可視化マウス販売

掲載日情報:2020/06/18 現在Webページ番号:7196

病態可視化マウスの販売および、同マウスとの交配受託サービスを承ります。繁殖許諾権や小ロットから大ロット(30匹以上)まで、幅広い納品数に対応します。

株式会社安評センターでは、大学や研究機関などで樹立された遺伝子改変マウスを、ライセンス許諾を受けて販売しております。
「小胞体ストレス可視化マウス(ERAI-Lucマウス)」「酸化ストレス可視化マウス(OKD-Lucマウス)」は、金沢医科大学 岩脇隆夫先生の発明によるものです。
「生体ストレス可視化マウス(UMAIマウス)」は、金沢医科大学・トランスジェニック社の共同研究により開発されたものです。
「炎症可視化マウス(IDOLマウス)」は、群馬大学・熊本大学・トランスジェニック社の共同研究により開発されたものです。

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病態可視化マウス一覧
Tg型小胞体ストレス可視化マウス
(ERAI-Lucマウス)
KI型小胞体ストレス可視化マウス
(ERAI-Lucマウス)
酸化ストレス可視化マウス
(OKD-Lucマウス)
生体ストレス可視化マウス
(UMAIマウス)
炎症可視化マウス
(IDOLマウス)
病態モデルマウス


小胞体ストレス可視化マウス(ERAIマウス)

ERAIマウスは、IRE1によるXBP1 mRNAのスプライシングを可視化できるレポーターマウスです。UPR(Unfolded Protein Response)の経路を利用してレポーター原理としています。

小胞体ストレスとは

小胞体は、細胞内におけるタンパク質の製造、品質管理工場の役割を担います。小胞体ストレスは、タンパク質合成過程の不具合で生じた変性タンパク質(不良品タンパク質)が蓄積することにより引き起こされるストレスです。

過度の小胞体ストレスは細胞死を誘導し、アルツハイマーなどの神経変性疾患、メタボリックシンドロームなどの要因になると考えられています。また、加齢に伴う老化現象、心筋梗塞や脳梗塞などの虚血性疾患、様々なウイルス感染症などの多彩な疾患群においても、小胞体ストレスとの関連が注目されています。

病態可視化マウス受託サービス

特長

小胞体ストレス可視化マウス(Tg型ERAI-Lucマウス)

  • 小胞体ストレスを可視化するERAI遺伝子を導入したマウスです(遺伝型:ヘミ Tg(ERAI/+))。
  • ルシフェラーゼをレポーターに、小胞体ストレスを発光で示します(図1)。
  • CAGGSプロモーターでERAIが発現し、全身で小胞体ストレスの検出が可能です。

小胞体ストレス可視化マウス(KI型ERAI-Lucマウス)

  • ROSA26遺伝子座にERAI遺伝子をノックインしてあります(遺伝型:ヘテロ Rosa(ERAI/+))。
  • Creマウスとの交配で、特定の組織でERAIを発現させることができます。
  • 目的外の組織のルシフェラーゼ発光を抑え、観察を容易にします(図3)。
病態可視化マウス受託サービス

図1. 小胞体ストレスの可視化

病態可視化マウス受託サービス

図2. 小胞体ストレスによるXBP1タンパク質の発現制御

原理

ERAI(ER stress activated indicator)遺伝子には、小胞体ストレス因子であるXBP1タンパク質の発現制御の仕組みが利用されています(図2)。

小胞体ストレスが無い状況では、XBP1 mRNAは、イントロンがあるままで翻訳され、不活性型XBP1タンパク質が合成後、速やかに分解されます。一方、小胞体ストレスが入ると、イントロンが除かれ、活性型XBP1が合成されます(図2)。

ERAI遺伝子には、N末XBP1タンパク質とイントロンまでのcDNA配列がルシフェラーゼcDNAの上流につないであります。小胞体ストレスのシグナルを受けて、イントロン部分が除かれたとき、ルシフェラーゼタンパク質部分が合成され、発光する仕組みです(図3)。

病態可視化マウス受託サービス

図3. ERAI遺伝子の条件発現と細胞内ストレス可視化メカニズム

文献

特許

:特許第4446057号 「生体刺激存在下でのmRNAのフレームシフトを利用した蛋白質の発現方法」



ER-Protein Capture Kitバナー

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酸化ストレス可視化マウス(OKD-Lucマウス)

OKDマウスは、酸化ストレスによって惹起されるNrf2による転写誘導を可視化できるレポーターマウスです。Keap1とNrf2により制御されている酸化ストレス応答遺伝子群の反応をその原理として利用しています。

酸化ストレスとは

酸化ストレスは、細胞内の酸化反応が亢進する状態です。これにより、DNA、脂質やタンパク質などの生体成分の酸化変性、細胞機能の障害が引き起こされます。さらに、これら変性生体成分が、動脈硬化、糖尿病、リウマチなどの要因になると考えられています。

病態可視化マウス受託サービス


特長

  • Tg型OKD-LUCマウスは、酸化ストレスを可視化するOKD48遺伝子を導入したマウスです(遺伝型:ヘミTg(OKD/+))。
  • ルシフェラーゼをレポーターに、酸化ストレスを発光で示します(図4)。
  • ARE(Antioxidant Response Element)とTKプロモーターで、OKD48遺伝子が発現し、酸化ストレスを検出します(図5)。
病態可視化マウス受託サービス

図4. 酸化ストレスの可視化

病態可視化マウス受託サービス

図5. Keap1とNrf2による酸化ストレス応答反応

原理

  • OKD48(Keap1 dependent Oxidative stress Detector that has the best performance in 48 candidates)遺伝子には、酸化ストレス因子であるNrf2タンパク質の発現制御システムが利用されています(図5)。
  • Nrf2タンパク質は、酸化ストレス下で安定化・核移行します。さらに、核内でARE(Antioxidant Response Element)を介し、酸化ストレス遺伝子を発現させます。
  • 正常時には、Nrf2はKeap1によるユビキチン化を受け、速やかに分解されます(図5)。
  • OKD48遺伝子は、Nrf2のユビキチン化ドメインとルシフェラーゼを融合させて作られており、AREの制御下で発現するので、酸化ストレスの影響で、ルシフェラーゼを安定的に発現します(図6)。
病態可視化マウス受託サービス

図6. OKD48遺伝子と酸化ストレス可視化メカニズム

文献

特許

WO/2012/099279「酸化ストレスインジケーター発現用核酸構築物とその使用」



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生体ストレス可視化マウス(UMAIマウス)

特長

  • ATF4の翻訳誘導を可視化できるUMAI-Luc遺伝子をもつトランスジェニックマウスです(遺伝型:ヘミ Tg(UMAI/+))。
  • ルシフェラーゼをレポーターに、生体ストレスを発光で示します(図C)。
  • UMAIマウスでは、アミノ酸飢餓、疑似ウイルス感染、小胞体ストレス、酸化ストレスの各種ストレスを誘導した際に、発光シグナルの誘導が観察されました(図C)。

原理

ATF4の翻訳誘導 UMAI遺伝子

生体ストレスとATF4
ストレスはヒトの様々な病態おいて重要な役割を担っていると考えられていますが、様々なストレスに対して生体は共通のシグナル経路を使用して、対応します。これがintegrated stress response (ISR) と呼ばれ、転写因子であるActivating transcription factor 4 (ATF4)がその下流のストレス応答遺伝子の発現制御において中心的役割を果たします。これらのストレスにはアミノ酸飢餓、ウイルス感染、小胞体ストレス、酸化ストレスといったものが含まれます。

UMAI遺伝子
ATF4遺伝子から転写されるmRNAには、真のATF4翻訳域の上流に”偽“の翻訳域が存在します(上図A,B、uORF1, 2)。翻訳開始複合体eIF2-GTP-Met-tRNAにより、非ストレス時にはこの偽の翻訳域から翻訳が開始され(AUG1, AUG2)、ATF4タンパク質は産生されません。しかし生体ストレスによって活性化されたリン酸化酵素によりeIF2αがリン酸化されると、翻訳開始反応が遅れ、真のATF4のタンパク質合成(AUG3)が開始されます(上図A)。UMAIはこの機構を用いてレポーター遺伝子を発現させる仕組みです(上図B)。
UMAIマウスでは、アミノ酸飢餓(ΔLeu給餌)、疑似ウイルス感染(poly I:C投与)、小胞体ストレス (Tunicamycin投与)、酸化ストレス(亜ヒ酸投与)の各種ストレスを誘導した際に、発光シグナルの誘導が観察されました(下図C)。

生体ストレスの検出

生体におけるこれらストレスの継時的観察を行うツールとして、本マウスが有用であると考えられます。

文献

  • Iwawaki, T., et al., Sci. Rep., 7, 46230,(2017).


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炎症可視化マウス(IDOLマウス)

IDOLマウスは、炎症性サイトカインであるIL-1βの発現制御を可視化できるレポーターマウスです。

炎症とは

炎症は、創傷、微生物感染、自己免疫疾患などが原因として起こり、発赤、腫脹、発熱といった急性炎症の症状を呈します。慢性化した炎症は、老化、がん、動脈硬化、肥満、神経疾患など様々な病態と関わっていることが示唆されています。炎症箇所には、様々な炎症性細胞が浸潤し、炎症性因子を発現することが知られており、その代表的な因子としてIL-1β (interleukin 1 beta) が挙げられます。

炎症とは


特長

  • 炎症可視化マウスは、炎症を可視化するIDOL遺伝子を導入したマウスです(遺伝型:ヘミ Tg(IDOL/+))。
  • ルシフェラーゼをレポーターに、炎症を発光で示します(図4)。
  • IDOL遺伝子では、IL-1βプロモーターの制御下のルシフェラーゼに、IL-1βのCaspase-1切断配列を介して、タンパク質分解を促進するPEST配列が融合してあります。
炎症の可視化

炎症の可視化
全身的に炎症反応を惹起するLipopolysaccharide(LPS)を腹腔内投与したとき、全身で強い発光シグナルが観察された。

原理

  • IL-1βはNFκBによる転写制御と、インフラマソームでのプロセッシングにより、その成熟型の発現が制御されています。
  • NFκBは平常時にはIκBと結合して抑制された状態にありますが、炎症刺激によりIκBがリン酸化、分解されることによりNFκBが遊離して核内移行、IL-1βプロモーターに結合し、その転写を活性化します。
  • IL-1βタンパク質は前駆体として産生され、炎症刺激により活性化されるCaspase-1を含むインフラマソームにより消化されて成熟型となります。
  • 炎症刺激により、IDOL遺伝子の転写活性化が起こると同時に、合成されたタンパク質において分解促進配列が切断され、ルシフェラーゼが安定的に発現します。
炎症の原理1
炎症の原理2

文献

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価格

価格例
凍結胚(50個):¥100,000~
オスメス2ペア :¥340,000~

繁殖許諾権価格
アカデミア価格 :¥200,000(購入施設における交配・繁殖制限なし)
営利企業向け価格:¥200,000(購入施設における交配・繁殖制限有(年間15匹まで)、制限を超えた匹数については追加費用)

自施設で繁殖を希望される場合は、繁殖許諾権と、凍結胚あるいは生体マウスを購入していただきます。
マウスの輸送費・微生物検査費を、別途いただきます。
炎症可視化マウス(IDOLマウス)は繁殖効率が悪いため、凍結胚購入の場合の個数についてはご相談下さい。


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ご注意

本製品の使用は、ご購入者の自施設における研究目的に限られています。
本製品、および、その派生物の第三者への譲渡・配布・再販はご遠慮下さい。
本製品のご購入の際には、別途、ライセンス確認同意書のご提出をお願いしております。
可視化マウスのルシフェラーゼによる発光の検出には、お客様にて検出機器(IVIS Imaging Systemまたはそれに準じたもの)をご用意いただく必要があります。


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ご注文方法

ご注文方法、価格などの詳細につきましては、当社受託・特注品業務担当(Tel. 03-5684-1645、Fax 03-5684-6539、e-mail:jutaku@funakoshi.co.jp)までお気軽にお問い合わせ下さい。


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