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細胞内一酸化窒素(NO)の局在を蛍光標識 NitO-Stamp™ <NO-Responsive Protein Labeling Reagent>

掲載日情報:2025/05/15 現在Webページ番号:71895

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

細胞内の一酸化窒素(Nitric oxide、NO)に応答してNO近傍タンパク質を蛍光標識(フルオレセイン標識)する試薬です。試薬の添加後に細胞を固定することで、蛍光顕微鏡でNOの局在観察ができます。また、細胞内NOの近傍タンパク質の同定・解析にも有用です。

本製品は京都大学工学研究科 浜地格教授、田村朋則講師の研究成果をもとに、フナコシ(株)が製品化し、販売しています。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

NitO-Stampの製品イメージ

NitO-Stamp™の製品イメージ


NO解析の重要性について

一酸化窒素(Nitric oxide、NO)は分子量30の小さなガス状分子ですが、生体内においてさまざまな役割を果たしていることが知られています。
以下は、NOの生理的意義が盛んに研究されている分野の一部です。

  • 血管の拡張(Vasodilation)
  • 神経伝達(Neurotransmission)
  • 血小板接着(Platelet adhesion)
  • 炎症反応(Inflammation)

生体内のNOは、L-アルギニンを基質として一酸化窒素合成酵素(Nitric oxide synthase、NOS)によって生成されます。生成されたNOは、タンパク質の翻訳後修飾(ニトロ化、ニトロシル化)などを介して種々のタンパク質機能を調整し、シグナル伝達物質として機能します。NOは生体内では不安定であり、半減期は数秒程度と見積もられていることから、生体内で発生後、狭い範囲でのみ機能する局所的なシグナル伝達物質であると考えられています。そのため、NOが細胞内のどこで発生・拡散するのか、発生した高濃度NOの近傍にあるタンパク質はどのようなものかを解析することは、NOの生理機能を調べるために極めて重要です。


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原理

NitO-Stamp™は、NO反応性部位とフルオレセインがリンカーを介して連結した構造です。NitO-Stamp™はそのままではタンパク質標識活性はありませんが、NO反応性部位がNOと反応することで活性型となり、周辺タンパク質へのフルオレセイン標識反応が進行します。

原理

既存のNO応答性蛍光プローブは、NOと反応して発蛍光となる仕組みを利用しています。生細胞内でのNOの発生を観察することはできますが、NOと反応して発蛍光となったあとに細胞内の他の領域に拡散するため、NOの局在観察には不向きでした。また、細胞の固定によりプローブが除去されてしまうため、固定細胞では観察できませんでした。
一方、NitO-Stamp™は生細胞でNOの有無を評価できませんが、NOに応答して周辺タンパク質をフルオレセイン標識するため、細胞を固定することでNOの局在を観察することができます。固定細胞で観察できることから免疫染色との共染色も可能です。


LPSとIFN-γ添加による免疫刺激でNOを発生させたマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞の蛍光イメージング像

LPSとIFN-γ添加による免疫刺激でNOを発生させたマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞の蛍光イメージング像

既存のNO検出プローブは細胞全体に蛍光像が拡散しているが、NitO-Stamp™は細胞固定をすることでNOの局在に応じた蛍光像が得られる。


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特長

  • 一酸化窒素(NO)存在下で周辺タンパク質をフルオレセイン標識します。
  • NOに対する高い選択性があります。細胞内でみられる他の主要な活性分子種(H2O2, O2, 1O2, •OH, NO2, NO3, ONOO)にはほとんど反応性を示しません。
  • 細胞膜透過性があるため、培地に添加するだけで自発的に細胞に取り込まれます。
  • NitO-Stamp™で標識されたタンパク質は、細胞固定後に局所観察することができ、特定のタンパク質を標的とした抗体と共染色も可能です。
  • NitO-Stamp™で標識されたタンパク質は、抗フルオレセイン抗体を用いた免疫沈降法で濃縮が可能です。
  • 推奨使用濃度1~10 μMでは、細胞毒性がほとんどありません。
  • さまざまなアプリケーションに使用可能です(下記参照)。
  • 分子式:C37H33N3O11
  • 分子量:695.67 g/mol
  • 溶解性:DMSO
  • Ex/Em:495/515 nm (一般的なFITC用フィルターが使用できます)

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使用例

アプリケーションの分類

アプリケーションの分類

下記使用例をご参照下さい。


使用例①:NOドナーの添加による細胞内タンパク質のフルオレセイン標識

ヒト腎臓がん由来の786-O細胞をNitO-Stamp™(1 μM)で15分処理した後、NOドナーであるNOC-7(1 mM)を添加して1時間培養した。冷メタノールによる細胞固定後に共焦点レーザー顕微鏡で蛍光像を観察した(緑色: フルオレセイン、青色: 核)。

NOドナーの添加による細胞内タンパク質のフルオレセイン標識

使用例②:マウスマクロファージ細胞株の免疫刺激によって発生するNOの局所観察

NOの局所観察
オーバーレイ画像

マウスマクロファージ由来のRAW264.7細胞に免疫刺激(0.5 μg/ml LPS、7.5 ng/ml INF-γで20時間処理)を与えた後、10 μM NitO-Stamp™を添加して1時間培養した。細胞を冷メタノールで固定した後、小胞体マーカーであるCalnexinで免疫染色し、共焦点レーザー顕微鏡で蛍光像を観察した。
左図:免疫刺激によってフルオレセインの蛍光強度が大きく増大した。さらに誘導型NO合成酵素(iNOS)阻害剤 1400Wによって蛍光強度が減少した。
右図:免疫刺激によるフルオレセインの蛍光像は、小胞体マーカーCalnexinとの共局在が見られた。


使用例③:SDS-PAGEによる標識総タンパク質の解析

RAW264.7細胞に免疫刺激(0.5 μg/ml LPS、7.5 ng/ml INF-γで20時間処理)を与えた後、10 μM NitO-Stamp™を添加して1時間培養した。ライセートを作製後にSDS-PAGEを行い、フルオレセインの蛍光とCBB染色で観察した。免疫刺激よる総タンパク質量の変動は見られない一方で、フルオレセイン標識されたタンパク質が増加していることが分かった。

SDS-PAGEによる標識総タンパク質の解析

使用例④:NO近傍タンパク質の質量分析での網羅的解析

画像内容説明
画像内容説明

RAW264.7細胞に免疫刺激( 0.5 μg/ml LPS、7.5 ng/ml INF-γで20時間処理)あり(+)、なし(-)のそれぞれに10 μM NitO-Stamp™を添加し、60分間培養した。細胞抽出液を作製したのち、抗フルオレセイン抗体で免疫沈降を行い、In-gel digestionでペプチド溶液を得た。
免疫刺激(-)試料にTMT lightタグを、免疫刺激(+)試料にTMT heavyタグを修飾したのち、両者を混合してLC-MS/MS解析で試料間の変動を網羅的に解析した。


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使用文献

Nishikawa, Y., et al., "Development of a Nitric Oxide-Responsive Labeling Reagent for Proteome Analysis of Live Cells.", ACS. Chem. Biol., 14(3), 397~404 (2019). [PMID:30715847]


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価格

[在庫・価格 :2025年06月07日 20時55分現在]

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NitO-Stamp <NO-Responsive Protein Labeling Reagent>
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説明文
細胞内の一酸化窒素(NO)に応答して,NO周辺に存在するタンパク質を蛍光標識(フルオレセイン標識)する試薬。試薬添加後に細胞を固定することで,蛍光顕微鏡でNO濃度が高い部位を観察できる。NO近傍タンパク質の解析も可能。
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NitO-Stamp <NO-Responsive Protein Labeling Reagent>

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説明文 細胞内の一酸化窒素(NO)に応答して,NO周辺に存在するタンパク質を蛍光標識(フルオレセイン標識)する試薬。試薬添加後に細胞を固定することで,蛍光顕微鏡でNO濃度が高い部位を観察できる。NO近傍タンパク質の解析も可能。
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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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