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導電性複合材料、バイオセンサー、センシング、光電池など幅広い用途に有用です Silver Nanoparticle(銀ナノ粒子)

掲載日情報:2025/06/04 現在Webページ番号:71792

強力なプラズモニック光学特性・抗菌性・高い導電性を兼ね備えているSilver Nanoparticle(銀ナノ粒子)です。球状のSilver Nanoshpere(銀ナノスフェア)に加え、六面体状のSilver Nanocube(銀ナノキューブ)、金ナノ粒子の表面を銀でコートしたSilver Shelled Gold Nanosphere(銀コート金ナノスフェア)があります。性能を著しく低下させる原因となる凝集を抑制*1した製品であり、クエン酸塩、タンニン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、シリカ、アミン末端シリカなど、さまざまなキャッピング剤と一緒に使用できます。製品と一緒に透過電子顕微鏡(TEM)、動的光散乱法(DLS)、ゼータ電位、紫外可視分光法(UV-Vis)の特性評価データを含むバッチ固有の分析証明書(COA)をご提供します。


30 nm Silver Nanosphere

30 nm Silver Nanosphere
(#AGCN30

75 nm Silver Nanocube

75 nm Silver Nanocube
(#SCPH75

20 nm Silver Shelled Gold Nanospheres

20 nm Silver Shelled Gold Nanosphere
(#BMCH20


Silver Nanoparticle(銀ナノ粒子)とは

銀ナノ粒子は抗菌性・高い導電性・光学特性を持ち、さまざまな分野で利用されています。並外れた効率で光を吸収・散乱し、金属表面の伝導電子が集団振動を起こすことで光と強い相互作用を起こします。この振動は表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance、SPR)として知られ、振動を起こさない同じ大きさのナノ粒子よりも銀ナノ粒子の方が吸収と散乱の強度が高くなります。銀ナノ粒子の吸収・散乱特性は、粒子サイズ、形状、粒子表面近傍の局所屈折率を制御することで調整ができ、特定の用途に特化した銀イオン放出プロファイルを開発することができます。


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銀ナノ粒子の応用技術

医療分野

銀ナノ粒子の特性である抗菌性により、創傷被覆材に広く配合され、医療用途や消費財の防腐剤や殺菌剤として使用されています。単位質量あたりの表面積が大きく、継続的に銀イオンを周囲に放出します。また銀イオンは生理活性があり、さまざまな細菌に対して幅広い抗菌特性を持ちます。

導電性複合材料

銀ナノ粒子の融点は、銀と比較すると数百度低いため焼結させると優れた導電性を示します。そのため、プラスチック・複合材料・接着剤に用いられることがあり、銀ナノ粒子ベースの銀インクは、フレキシブルエレクトロニクスの印刷に利用されています。

プラズモニクス

銀ナノ粒子はユニークな光学特性により、特定の波長で表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance、SPR)を生じ、入射光を強く吸収または散乱します。この表面プラズモン共鳴効果は非常に強く、従来の暗視野顕微鏡で直径20 nmのナノ粒子を撮影することができます。表面プラズモン共鳴は、プラズモニクスという新しい分野の基礎となっており、バイオメディカルラベル、センサー、検出器などに応用されています。また、表面増強ラマン分光法(SERS)や表面増強蛍光分光法などの分析技術の性能向上にも用いられています。

太陽光発電

太陽光発電分野では、プラズモニック銀ナノ粒子の大きな散乱・吸収断面積を利用した太陽電池の開発に高い関心を示しています。 銀ナノ粒子は効率的な光アンテナとして機能するため、銀ナノ粒子をコレクターに組み込むことで太陽電池の光電変換効率を向上することができます。


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製品ラインナップ

商品コードをクリックすると価格表をご覧いただけます。

形状:Silver Nanosphere(銀ナノスフェア)

球状の銀ナノスフェアは、導電性複合材料、バイオセンサー/センシング、太陽電池に有用です。

表面修飾 濃度 粒径 商品コード
未修飾(Citrate) 1 mg/ml 40 nm AGCB40
50 nm AGCB50
60 nm AGCB60
75 nm AGCO75
80 nm AGCB80
100 nm AGCB100
0.02 mg/ml 30 nm AGCN30
40 nm AGCN40
50 nm AGCN50
60 nm AGCN60
80 nm AGCN80
100 nm AGCN100
PVP 1 mg/ml 50 nm AGPB50
75 nm AGPO75
Dried*2 50 nm AGPD50
75 nm AGPD75
Silica Shelled 1 mg/ml 90 nm AGSH50
140 nm AGSH100

*2 表面安定化技術により、単分散ナノ粒子に再分散させることができます。

形状:Silver Nanocube(銀ナノキューブ)

六面体状の銀ナノキューブは、バイオセンサー/センシング、イメージング、光学的効果に有用です。

表面修飾 濃度 粒径 商品コード
PVP 1 mg/ml 55 nm SCPH55
75 nm SCPH75
100 nm SCPH100

形状:Silver Shelled Gold Nanosphere(銀コート金ナノスフェア)

表面を銀でコートした金ナノスフェア(金ナノ粒子)は、金と銀の光学特性である表面プラズモン共鳴を合わせ持ちます。

表面修飾 濃度 粒径 商品コード
未修飾(Citrate) 1 mg/ml 20 nm BMCH20

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ナノ粒子の光学特性

ナノスフェアのサイズによる光学特性の影響

直径10~100 nmのナノスフェアの消光(散乱+吸収)スペクトル

消光(散乱+吸収)スペクトル(直径10~100 nm)

ナノスフェアのアルベド(全消光に対する散乱の割合)のプロット

アルベド(全消光に対する散乱の割合)のプロット


銀ナノスフェアは直径が大きくなるにつれて、消光ピーク(散乱+吸収)は長波長側にシフトしてブロードになり、銀ナノスフェアのアルベド(全消光に対する散乱の比率)は増加する。直径が80 nmを超えると、第一ピークよりも短波長側に第二ピークがシフトする。この第二ピークは、第一ピークの双極子共鳴とは異なる電子振動パターンを持つ四極子共鳴によるものと考えられる。
金ナノスフェア(金ナノ粒子)は直径が大きくなるにつれて、消光ピーク(散乱+吸収)は長波長側にシフトしてブロードになり、金ナノスフェアのアルベド(全消光に対する散乱の比率)は増加する。粒子が大きくなるにつれて、粒子の散乱ピークは吸収ピークよりも長波長側にシフトする。
こちらをクリックするとMie散乱理論に基づいたオンラインシミュレーターが使用できます


銀ナノスフェアの凝集による光学特性の影響

アスペクト比を変化させた銀ナノ粒子の消光スペクトル

50 nmの銀ナノスフェアに炭酸ナトリウム(塩濃度20 mM)を添加した時の消光スペクトル


銀ナノスフェアの光学特性は、粒子が凝集して各粒子表面付近の伝導電子が非局在化し、隣接する粒子間で共有されることで変化する。これにより、表面プラズモン共鳴が低エネルギーにシフトし、吸収と散乱のピークが長波長側にレッドシフトする。消光スペクトルの急速かつ不可逆的な変化は、銀ナノスフェアが凝集していることを明確に示している。紫外可視分光法(Ultraviolet-Visible Absorption Spectroscopy、UV-Vis)は、銀ナノスフェア溶液の安定性をモニターし、特性評価が行える。上の左図から消光ピーク強度の低下は、安定な銀ナノスフェアが減少するためであることがわかる。また、凝集体の形成によりピークはブロード化または、長波長側に第二ピークが形成されることが示される。上の右図の黄色溶液は凝集していない銀ナノスフェア、灰色溶液は凝集している銀ナノスフェアの画像。


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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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