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標的糖鎖のみに極めて高い特異性を持つ新規モノクローナル抗体 Anti-CDw75, Mouse-Mono (クローンFR9)

掲載日情報:2023/09/25 現在Webページ番号:71515

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

抗CDw75抗体(クローンFR9)は、糖タンパク質のN-結合型糖鎖や糖脂質の糖鎖構造として知られるCDw75 (Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc) を特異的に認識するマウスモノクローナルIgM抗体です。既存の抗体と異なり、周辺構造に依存せず標的糖鎖のみを認識することが可能です。
本製品は国立研究開発法人 産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 奥田 徹哉 博士の研究成果を元に、フナコシ(株)が製品化し、販売しています。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


免疫細胞染色によるがん細胞の染色例

免疫細胞染色によるがん細胞の染色例
バーキットリンパ腫細胞(Raji細胞)の免疫細胞染色による染色例。クローンFR9またはアイソタイプコントロールIgM抗体を一次抗体として用い、Alexa 488を標識した二次抗体を用いて検出を行った。クローンFR9を用いた場合(上段)、細胞の表層が蛍光染色されるのに対し、コントロール抗体を用いた場合(下段)には蛍光は検出されなかった。この結果から、クローンFR9が細胞表層に発現する抗原を特異的に認識できていることが分かる。
左:明視野顕微鏡像、中央:蛍光顕微鏡像、右:合成像

Okuda, T., et al. (2022) より改変して引用。


CDw75について

CDw75 (Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc) は哺乳動物細胞の糖タンパク質のN-結合型糖鎖や糖脂質に見られる糖鎖構造であり、非還元末端がシアル酸で修飾されています。CDw75は、B細胞性腫瘍の細胞表層マーカーとして、さらに胃がんや大腸がんの悪性度と相関性のある新規腫瘍マーカーとしても同定されています。また、CDw75は6SLNという名称でも知られており、ヒトインフルエンザウイルスが感染受容体とすることが報告されています。このように、CDw75は重大疾病との関連が明らかになっていることから、診断指標としての有効活用や治療ターゲットとして検討されています。これまでにCDw75を認識する複数のモノクローナル抗体が得られていますが、これらは互いに異なる抗原特異性を示すことからCDw75だけではなくその近傍の領域を含んだ構造をエピトープとして認識すると考えられています。そのため、糖鎖周辺構造に依存せずCDw75のみを特異的に認識できる抗体が望まれていました。
糖鎖に対する抗体を得ることは、糖鎖の哺乳動物に対する免疫原性の低さから非常に難しいとされていますが、産業技術総合研究所の奥田博士は標的糖鎖の免疫原性を高めることで効率よく抗糖鎖抗体を作製する新たな手法を開発し、新規抗CDw75抗体(クローンFR9)の作製に成功しました。クローンFR9は、エピトープであるCDw75をコアタンパク質/脂質の構造に依存することなく認識する一方で、前駆体や類似構造は認識せず極めて高い特異性を有しています。ウエスタンブロット、免疫細胞染色、フローサイトメトリーに使用でき、糖鎖解析をより容易にするツールとして有用です。

CDw75(赤字部分)を含む糖鎖の例

CDw75(赤字部分)を含む糖鎖の例


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特長

  • 一般的な抗糖鎖抗体と異なり、標的糖鎖であるCDw75 (Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc) のみを、糖鎖近傍のコアタンパク質/脂質の構造に依存せずに認識します。
  • CDw75に対して極めて高い特異性を示し、前駆体や類似構造は認識しません。
  • ウエスタンブロット、免疫細胞染色、フローサイトメトリーに使用できます。免疫細胞染色の場合、PFAによる固定処理をした試料にも使用可能です。

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抗体の情報

品名(クローン名)Anti-CDw75, Mouse-Mono(FR9)
商品コードFDV-0046
抗体種マウスモノクローナル抗体
抗原CDw75 (Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc) 含有の人工糖脂質
エピトープCDw75 (Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc)
サブタイプIgM (κ)
性状精製品(0.5 mg/ml)、溶解バッファー:PBS
適用FCM、IC、WB  スキムミルクでのブロッキングは不可
特異性CDw75を含む糖タンパク質およびスフィンゴ糖脂質を特異的に認識する。類似構造は認識しない。

略号 Mono:Monoclonal、FCM:フローサイトメトリー、IC:免疫細胞染色、WB:ウエスタンブロット


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原著文献

  1. Okuda, T., et al., "Purification of anti-glycoconjugate monoclonal antibodies using newly developed porous zirconia particles.", Sci. Rep., 11 (1), 3233 (2021). [doi:10.1038/s41598-021-82457-0] [PMID:33564002]
  2. Okuda, T., et al., "A zirconia-based column chromatography system optimized for the purification of IgM from hybridoma culture supernatants.", Anal. Biochem., 657, 114900 (2022). [doi:10.1016/j.ab.2022.114900] [PMID:36122604]

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使用例

FR9抗体の抗原特異性の検定

FR9抗体の抗原特異性の検定

各種糖鎖抗原をコーティングしたマイクロプレートを用いたELISA法により、クローンFR9(青:ハイブリドーマ培養上清、オレンジ:精製抗体)の抗原特異性を検定した。その結果、CDw75を含む抗原をコーティングしたウェルにおいてのみ、有意なシグナルが検出された。クローンFR9がCDw75に対して極めて高い特異性を持ち、類似構造を認識しないことが分かる。

Okuda, T., et al. (2021) より改変して引用。


表. 検定で用いた抗原に含まれる糖鎖構造

抗原名抗原に含まれる糖鎖構造
LNGalβ1,4GlcNAc
CDw75Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc
3SLNNeu5Acα2,3Galβ1,4GlcNAc
GM3Neu5Acα2,3Galβ1,4Glc
GD1aNeu5Acα2,3Galβ1,3GalNAcβ1,4(Neu5Acα2,3)Galβ1,4Glc
GT1bNeu5Acα2,3Galβ1,3GalNAcβ1,4(Neu5Acα2,8Neu5Acα2,3)Galβ1,4Glc
FetuinNeu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc-R, Neu5Acα2,3Galβ1,4GlcNAc-R など
AsialofetuinGalβ1,4GlcNAc-R など

ELISA法によるクローンFR9と抗原の反応曲線

ELISA法によるクローンFR9と抗原の反応曲線

抗原としてFetuin(CDw75を含む糖タンパク質)をコーティングしたプレートを用いて、クローンFR9の希釈系列の抗体活性検定を行った。その結果、クローンFR9の濃度に比例してより強いシグナルが検出された。


ウエスタンブロットによる抗原の検出例

ウエスタンブロットによる抗原の検出例

抗原タンパク質をSDS-PAGEによって分離し、CBB染色(左図)およびウエスタンブロッティング(右図、クローンFR9を一次抗体として使用)によって分析した。
レーン1:Fetuin
レーン2:Asialofetuin(シアル酸が除去されたFetuin)
レーン3:α2,3シアル酸のみ除去したFetuin

クローンFR9はすべてのシアル酸が除去されたAsialofetuinは認識しない一方で、α2,3シアル酸のみ除去(CDw75は残っている)したFetuinは認識した。このことからも、クローンFR9はCDw75を特異的に認識していることが示唆された。

Okuda, T., et al. (2022) より改変して引用。


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Anti-CDw75, Mouse-Mono(FR9)
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説明文
糖タンパク質のN-結合型糖鎖や糖脂質の糖鎖構造として知られるCDw75 (Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc) を特異的に認識するマウスモノクローナル抗体。
クローン:FR9
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抗原種 免疫動物 Mouse クラス IgM 標識 Unlabeled
交差性 適用 FCM,IC,Western Blot
クロナリティ Monoclonal フォーマット 性状 Purified 吸収処理
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製品記事 Anti-Globotetraosylceramide (Gb4Cer), Mouse-Mono (PA5)
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Anti-CDw75, Mouse-Mono(FR9)

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説明文 糖タンパク質のN-結合型糖鎖や糖脂質の糖鎖構造として知られるCDw75 (Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc) を特異的に認識するマウスモノクローナル抗体。
クローン:FR9
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
抗原種 免疫動物 Mouse
交差性 適用 FCM,IC,Western Blot
標識 Unlabeled 性状 Purified
吸収処理 クラス IgM
クロナリティ Monoclonal フォーマット
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Anti-Globotetraosylceramide(Gb4Cer), Mouse-Mono(PA5)
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説明文
スフィンゴ糖脂質の一種であるグロボテトラオシルセラミド(Globotetraosylceramide, Gb4Cer)を特異的に認識するマウスモノクローナル抗体。
クローン:PA5
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
抗原種 免疫動物 Mouse クラス IgM 標識 Unlabeled
交差性 適用 FCM,IC,TLC immunoblot
クロナリティ Monoclonal フォーマット 性状 Purified 吸収処理
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Anti-Globotetraosylceramide(Gb4Cer), Mouse-Mono(PA5)

文献数: 0

説明文 スフィンゴ糖脂質の一種であるグロボテトラオシルセラミド(Globotetraosylceramide, Gb4Cer)を特異的に認識するマウスモノクローナル抗体。
クローン:PA5
法規制等
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抗原種 免疫動物 Mouse
交差性 適用 FCM,IC,TLC immunoblot
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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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