HOME > 試薬 > 免疫化学 > ウイルス/微生物/アレルゲン > 微生物 > 細菌認証
HOME > 試薬 > 細胞培養 > ATCC商品 > 細菌認証

細菌認証

掲載日情報:2025/12/24 現在Webページ番号:71089

ATCC®では、製品が高い水準であることを保証するため、製品がお客様の手に渡る前に数多くの品質管理(Quality Control:QC)試験を実施しています。本記事では、ATCC®が細菌株の品質管理において実施する通常の検査について、いくつかの例をご紹介します。

細菌の増殖、保存、応用に関する一般的な技術情報のまとめは、「細菌の培養方法をご紹介します(ATCC® Bacteriology Culture Guide)」をご覧下さい。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
商用利用については、ATCC® Webサイトをご確認下さい。

細菌認証

ATCC®では、すべての細菌株について、表現型および遺伝子型に関する検査を何重にも行い、菌株同定が正確であること、培養物の純度、すべての生化学的結果が一貫していることを確認しています。この品質管理の水準を維持するために、品質管理で使用するすべての機器や生化学的試験についても、同様に評価しています。

表現型の特徴付け

ATCC®に細菌株が到着すると、最初にコロニー増殖とグラム染色により、特徴的なコロニーおよび細菌の形態の分析を行います。さらに、血液寒天プレートで培養物の純度の検査を行います。しばしば複数のコロニータイプが存在する場合がありますが、それは細菌が混在していることを示しています。

純度や形態に加えて、細菌の糖代謝、抗生物質感受性、その他のさまざまな生化学な反応性に対する一貫性についても検査を行います。ATCC®では、これらの表現型に基づいて細菌種の同一性を確認するために、通常、適切なAPIストリップ検査とVitekカードを使用しています。両技術では、細菌株の増殖と生存性を評価するために、20種類以上の生化学的検査を行います1。APIストリップ検査は、さまざまな生化学的アッセイの結果に基づく7桁のコードを付与する方法により、細菌の同定を行っています。この付与された7桁のコードは、特定の細菌種に紐づけられた識別番号です。一方、Vitekシステムは、各生化学反応の光減衰測定を自動で行い、コンピューターベースで細菌種を同定します1、2。ATCC®ではVitekシステムにおいて90%以上の同定率をもって判定しています。

遺伝子型およびタンパク質型の特徴付け

ATCC®では、主に16SリボソームRNA(rRNA)配列決定により、細菌の遺伝子型を確認しています。16S rRNA配列は、原核生物種間で高度に保存され、普遍的であるため、細菌の系統学および分類学の解析に広くに使用されています。一般に、16S rRNA遺伝子配列は可変領域と保存領域の両方から構成されており、これらの配列を比較することで、少なくとも属レベルの区別が可能です3、4。二次的な遺伝子型の同定方法として、リボタイピングがあり、これは、rRNAオペロンを制限酵素で消化することによって生成される、さまざまなサイズのゲノム断片を比較解析するものです5、6

リボタイピング

原核生物同定のもう1つの方法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)によるもので、これはペプチド質量のマッチングを利用してタンパク質を同定するプロテオタイピング法です7。この方法を用いることでイオン化された成分の分析により、原核細胞の質量スペクトルパターンが得られ、各試料のタンパク質プロファイルを表す固有のスペクトルが作成されます。これらのスペクトルパターンを、既知の生物のプロファイルを保存したデータベースと比較することで、迅速かつ正確に生物種を同定することができます。

参考文献

  1. Janda, J.M. and Abbot, S.L., "Bacterial identification for publication: when is enough enough?", J. Clin. Microbiol., 40(6), 1887-1891(2002). [PMID:12037039]
  2. Shetty, N., et al., "The Vitek analyser for routine bacterial identification and susceptibility testing: protocols, problems, and pitfalls.", J. Clin. Pathol., 51(4), 316-323(1998). [PMID:9659247]
  3. Clarridge, J.E. 3rd., , "Impact of 16S rRNA gene sequence analysis for identification of bacteria on clinical microbiology and infectious diseases.", Clin. Microbiol. Rev., 17(4), 840-862(2004). [PMID:15489351]
  4. Janda, J.M. and Abbott ,S.L., "16S rRNA gene sequencing for bacterial identification in the diagnostic laboratory: pluses, perils, and pitfalls.", J. Clin. Microbiol., 45(9), 2761-2764(2007). [PMID:17626177]
  5. Bruce, J., "Automated system rapidly identifies and characterizes micro-organisms in food.", Food Technology, 50, 77-78(1996).
  6. Woese, C.R., "Bacterial evolution.", Microbiol. Rev., 51(2), 221-271(1987). [PMID:2439888]
  7. Demirev, P.A., et al., "Microorganism identification by mass spectrometry and protein database searches.", Anal. Chem., 71(14), 2732-2738(1999). [PMID:10424165]

用語集

  • 脱離:物質が表面から放出、または表面を通過する現象。
  • リボタイピング:制限酵素処理によるゲノムDNA断片のフィンガープリントを用いた同定方法。

© 2025 American Type Culture Collection. The ATCC trademark and trade name, and any other trademarks listed in this publication are trademarks owned by the American Type Culture Collection unless indicated otherwise.

お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
表示価格に、消費税等は含まれていません。一部価格が予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承下さい。