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簡便で信頼性の高い微生物リファレンススタンダード ATCC® MicroQuant™

掲載日情報:2025/01/16 現在Webページ番号:70948

微生物品質管理試験用の正確に定量化された微生物リファレンススタンダードです。革新的な凍結保存技術を用いることで、製品を安定的かつ急速に再水和するペレットの形態で供給します(☞ 下記ビデオ参照)。これにより、微生物試験機関において求められる一貫した定量性と正確かつ再現性のある結果に対応します。

ATCC® MicroQuant™ペレットの再水和

ATCC® MicroQuant™ の開発の背景

微生物の品質管理試験(QC)の重要性

医薬品の微生物汚染は製薬業界にとって深刻な懸念事項であり、米国食品医薬品局(FDA)が製品をリコールする主な理由の1つになっています1,2。 汚染された製品のリリースは患者の健康と安全に重大な影響を及ぼし、永久的な障害や生命を脅かす可能性があります。汚染された製品がリリースされた後のリコールは、慢性疾患患者にも有害です1。製薬企業にとって、リコールは多大な経済的損失、規制当局からの監視、ブランドイメージの失墜、風評被害につながる可能性があります1。 これらのリスクの軽減には、堅牢な品質管理プログラムの実装が不可欠です。米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、日本薬局方(JP)などの世界的な規制機関は、開発および製造プロセス全体を通じてさまざまな品質管理試験の実施を義務付けています。これらには、環境モニタリング、増殖促進試験、バイオバーデン試験、無菌試験、適合性試験などの試験が含まれます3-7。 これらの手順を適切に守られていれば、製品の市販化の前に微生物汚染をすることができ、製品のリコールの回避できます。


微生物リファレンススタンダードの使用上の課題

微生物の品質管理試験の精度は、使用するリファレンススタンダードの品質に依存します。そのため、各薬局方に準ずる厳密な基準を満たした培養コレクションから特徴付けられた微生物株が事前に選択されたリストを参照入力生物として指定しています。たとえば、USPでは、ATCC®などの培養コレクションによって維持されているリファレンススタンダードの使用を推奨しています。ATCC®では、厳密な基準を満たしており、かつシードロット培養管理手法に基づいて管理されているリファレンススタンダードの提供を通して微生物の品質管理試験のニーズを満たしています。

試験に必要なリファレンススタンダードの特定は容易ですが、製薬企業や試験機関では、リファレンススタンダードの保管、取り扱い、定量化における課題に直面することがしばしばあります。マーケティング調査によると、多くのお客様自身において内部コントロールバンクを開発し、維持していることが分かりました。しかし、これらのコントロールバンクの作成には、複雑な拡張プロトコル、熟練のスタッフ、広大な実験室スペースと機器が必要となります。これらの内部コントロールバンクの保管も、お客様にとって懸念事項になります。多くの場合、コントロールは凍結乾燥よりも簡単である凍結保存されます。ただし、微生物株の凍結は最適な保管方法ですが、正しく行われないと氷結晶の形成や浸透圧の逸脱により株が損傷するリスクがあります。さらに、超低温冷凍庫や極低温冷凍庫は、購入、稼働、維持に費用がかかる場合があり、また冷凍庫の性能に関連する不確実性もあります。
微生物リファレンススタンダードの正確な定量化も、もう1つの大きな課題です。リファレンススタンダードは、USP General Chapter requirementsの要件を満たす低力価(10~100 CFU/ml)または高力価 (約 105~108 CFU/ml)で調製するように規定されています。これらの要件を満たし、ロット間で正しい定量をするのは難しい場合があります。

市場には、これらの問題の一部を軽減するのに役立つ、定量化された微生物の品質管理試験用のディスポーザブル製品があります。しかし、微生物標準株の取り扱いは容易ですが、すぐに使用できないことが多く、播種前の処理に最大1時間を要する場合があり、さらに製品のいくつかは定量の精度と一貫性が低いことから、一貫した定量も問題となります。最後に、入手可能なディスポーザブル製品は、NCTCやATCC®などの培養コレクションによって取得された株に由来しており、オリジナルのソース材料ではないことから、継代履歴や材料の取り扱い方法に関する疑問が生じる可能性があります。

MicroQuant™ の開発

ATCC®は、前述した微生物試験機関が直面する主要な課題に対処するため、革新的な凍結保存技術を活用することにより、安定的かつ急速に再水和するペレット形状のMicroQuant™製品を開発しました。これにより一貫した定量と正確で再現性のある結果を提供します。MicroQuant™製品をご使用いただくことで、厳格な品質基準を順守しながら、ワークフローの簡素化と迅速な処理時間を可能にします。


参考文献

  1. Hock SC, et al., "Contamination Trends & Proposed Solutions.", Pharmaceutical Engineering, April 2023. Accessed online://ispe.org/pharmaceutical-engineering/march-april-2023/contamination-trends-proposed-solutions
  2. Patel, R, et al., "A retrospective regulatory analysis of FDA recalls carried out by pharmaceutical companies from 2012 to 2023.", Drug Discov. Today, 29(6), 103993 (2024). [PMID:38670257]
  3. USP General Chapters. <51> Antimicrobial Effectiveness Testing. In: USP-NF. Rockville, MD: United States Pharmacopeia. DOI://doi.usp.org/USPNF/USPNF_M98790_03_01.html
  4. USP General Chapters. <60> Microbiological Examination of Nonsterile Products Tests for Burkholderia Cepacia Complex. In: USP-NF. Rockville, MD: United States Pharmacopeia. DOI://doi.usp.org/USPNF/USPNF_M12455_02_01.html
  5. USP General Chapters. <61> Microbial Examination of Nonsterile Products: Microbial Enumeration Tests. In: USP-NF. Rockville, MD: United States Pharmacopeia. DOI://doi.usp.org/USPNF/USPNF_M98800_01_01.html
  6. USP General Chapters. <62> Microbiological Examination of Nonsterile Products: Tests for Specified Microorganisms. In: USP-NF. Rockville, MD: United States Pharmacopeia. DOI://doi.usp.org/USPNF/USPNF_M98802_01_01.html
  7. USP General Chapters. <71> Sterility Tests. In: USP-NF. Rockville, MD: United States Pharmacopeia. DOI://doi.usp.org/USPNF/USPNF_M98810_01_01.html



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製品ラインナップ

ATCC® No.をクリックすると各製品の価格表をご覧いただけます。

MicroQuant™ 微生物名 ATCC® No. 菌株表示 寄託名 基準株 USP
Low CFU High CFU
100~1,000 CFU/pellet 107~108 CFU/pellet 51 61
Aspergillus brasiliensis 16404-LQ-PACK™ 16404-HQ-PACK™ WLRI 034(120) Aspergillus niger van Tieghem No
Bacillus spizizenii 6633-LQ-PACK™ 6633-HQ-PACK™ NRS 231 Bacillus subtilis (Ehrenberg) Cohn No
Candida albicans 10231-LQ-PACK™ 10231-HQ-PACK™ 3147 Candida albicans (Robin) Berkhout No
Escherichia coli 8739-LQ-PACK™ 8739-HQ-PACK™ Crooks Escherichia coli (Migula) Castellani and Chalmers No
Pseudomonas paraeruginosa 9027-LQ-PACK™ 9027-HQ-PACK™ R. Hugh 813 Pseudomonas aeruginosa (Schroeter) Migula Yes
Staphylococcus aureus subsp. aureus 6538-LQ-PACK™ 6538-HQ-PACK™ FDA 209 Staphylococcus aureus subsp. aureus Rosenbach No

ATCC®webサイトの製品(菌株・細胞株)検索方法



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特長

  • 正確な定量性:USP General Chapter requirementsの要件を満たす低力価(100~1,000 CFU/pellet、10 assays)および高力価(107~108 CFU/pellet) で供給します。バッチ全体にわたる正確な定量によって、ロット間の一貫性が確保されています。
  • シングルユースフォーマット:Ready-to-useフォーマットにより、アッセイ準備を迅速に行うことができます。そのため、取り扱いの特別な知識や増殖する微生物培養物の維持管理の必要性が軽減されます。
  • 室温での迅速な再水和:再水和の処理時間は1分ですみ、実作業時間を短縮し、効率を向上できます。
  • 冷蔵保管:冷蔵温度(2~8℃)で最大6か月間安定しているため、保管が簡単で、いつでもすぐに使用できます。解凍の必要はありません。
  • 継代数0:ATCC®の微生物リファレンススタンダードは、受け取り時点で継代数0(P0)としてみなして取り扱われます。一般的なグリセロールストックの微生物の場合は、解凍から測定を実行するまでに複数回の培養が必要となります。シングルユースフォーマットのATCC® MicroQuant™の場合は、専用バッファーで再水和した後にすぐに測定に使用することができます(従来法との比較を参照)。そのため、継代培養による影響を受けない継代数1(再水和によりP1とみなされる)の微生物を用いた測定結果を得ることが可能です。
  • 信頼性:各製品はISO 17034に基づいて自社製造されているため、ATCC社独自の高い品質の製品をご提供します。

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適用分野

  • 培地試験
  • 品質管理
  • 医薬品試験
  • 水質検査
  • 食品検査

ATCC<sup>®</sup> MicroQuant™の適用分野

MicroQuant™

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従来法との比較


従来の操作方法概略

−70℃の冷凍庫からグリセロールストックバイアルを取り出し融解する 播種する 平板培地上で培養する
1~4日間
定常期まで液体培養する
1~7日間
必要に応じて希釈する
複数回の試験を要する場合あり
−70℃の冷凍庫からグリセロールストックバイアルを取り出し融解する 播種する 平板培地上で培養する 定常期まで液体培養する 必要に応じて希釈する
多段階希釈し播種す 培養する 1~4日間 CFUを計測する 釈した試験管に戻る アッセイする
多段階希釈し播種する 培養する CFUを計測する 希釈した試験管に戻る アッセイする


MicroQuantの操作方法概略

MicroQuant™ High CFU Kitを再水和する
clock ∼1分間
MicroQuant™ Low CFU Kitを再水和する
clock ∼1分間
2~8℃の冷蔵庫からMicroQuant™バイアルと再水和バッファーを取り出す アッセイする

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アプリケーションノート

処理時間の比較

処理時間の比較

図をクリックすると拡大します(🔍)

MicroQuant™製品および各サプライヤーの微生物リファレンススタンダードを各保管場所から取り出し、それぞれのIFUに従って菌株を処理し、処理時間を比較した。図にIFUに記載されている処理時間と、ユーザーが実際に必要とした最大処理時間の両方を示した。MicroQuant™製品は、ユーザー間でわずかなばらつきは見られたものの約1分で再水和した。他のサプライヤーの製品と比べて、MicroQuant™製品の全体的な処理時間は、凍結乾燥製品(Company AおよびB)よりもはるかに短く、冷凍製品(Company CおよびD)と同程度だった。
種や力価範囲による処理時間の違いは見られなかった。


CFU回収評価の比較

それぞれの専用バッファーで再水和した後、各MicroQuant™株のLow CFU調製物とHigh CFU調製物の両方から回収可能なCFUを評価した。MicroQuant™製品は、すべての微生物株において表示されたCFUの範囲を一貫して達成することがわかる。


MicroQuant Low CFU MicroQuant High CFU
MicroQuant™ Low CFU MicroQuant™ High CFU

図をクリックすると拡大します(🔍)


定量性の比較

定量性についてMicroQuant™製品と同力価範囲をターゲットとする他社同等品と比較した。Low CFU(100~1,000 CFU/unit)およびHigh CFU(107~108 CFU/unit)の両方において6種の培養物すべてに対し完全に許容範囲内にあるディスポーザブルコントロールはMicroQuant™ のみであった。また、分析時点において6種すべてでLow・High CFUの両方の微生物レファレンスコントロールの在庫を保有していたサプライヤーは2社だけであった。

  • エラーバー:標準偏差 
  • N.A.:測定不能

Low CFU(100~1,000 CFU/unit)

Low-CFU, A. brasiliensis Low-CFU, B. spizizenii Low-CFU, C. albicans
Low-CFU, E. coli Low-CFU, P. paraeruginosa Low-CFU, S. aureus

図をクリックすると拡大します(🔍)



High CFU(107~108 CFU/unit)

High-CFU, A. brasiliensis High-CFU, B. spizizenii High-CFU, C. albicans
High-CFU, E. coli High-CFU, P. paraeruginosa High-CFU, S. aureus

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FAQ


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ご注文方法

ご注文は専用の分譲依頼書またはオンラインオーダーフォームをご利用下さい。

ATCC®製品は,ご所属の研究機関・企業でATCC Material Transfer Agreement(MTA)にご同意いただいた上で,ご所属部門でユーザー登録書(New Account Application)を提出いただいたお客様が分譲のご依頼・ご購入いただくことができます。
MTAの締結・ユーザー登録の詳細につきましては,こちらをご覧下さい。

MTAの締結・ユーザー登録がされていない場合,専用注文書/オンラインオーダーフォームをご提出いただいても,ご注文を受け付けることはできませんので,ご了承下さい。


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