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マイクロRNAの標的RNAを直接同定します! miR-eCLIP受託解析サービス

掲載日情報:2024/10/09 現在Webページ番号:70923

miR-eCLIP解析サービスは、miRNAの標的mRNAを直接同定するサービスです。トランスクリプトーム全体にわたるmiRNAとmRNA間の相互作用を正確にマッピングすることが可能です。siRNAのオフターゲットの解析を行うことも可能です。

miR-eCLIPとは

miRNAは小さく(22塩基以下)、高度に保存された一本鎖からなるノンコーディングRNAです。真核生物には15,000種以上の既知のmiRNAが存在します。miRNAは細胞に存在する転写産物のうち3分の1において遺伝子発現制御に関わっており、RISC複合体を介して標的mRNAの分解または翻訳抑制を引き起こします。
miRNAは、ほぼ全ての生理機能に関与していることが示されており、その制御異常は多くのヒト疾患に関連しています。mRNAの転写後制御を理解するためには、miRNAの標的を正確に同定することが不可欠ですが、miRNAはサイズが小さく研究が困難なため特殊な解析ツールが必要です。
miRNAの標的を同定する手法としては計算アルゴリズムによる予測や過剰発現/ノックダウン実験が標準的な方法として用いられますが、これらは間接的な手法であり直接miRNAの標的を同定しているわけではありません。一方、Eclipse BioInnovations社のmiR-eCLIPは、RISC複合体を構成するAGO2を標的とした免疫沈降によって、細胞内で実際に相互作用しているmiRNAとその標的mRNAを回収し、トランスクリプトーム全体にわたるmiRNA-mRNA相互作用を直接同定することが可能です。



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特長

  • 実際の細胞内で起こっているmiRNA-mRNA間の相互作用を直接かつ正確に同定できます。
  • 特定のmiRNAまたは遺伝子を濃縮して、より深い深度のリードを得ることができます。
  • 全ての過程をEclipse BioInnovations社の経験豊富なRNA専門家が実施します。
  • 解析結果はインタラクティブなレポートとして納品します。

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解析内容

解析可能な試料

  • UVクロスリンク処理済み*の細胞(2,000万個以上)
  • 急速冷凍した組織(80 mg以上、UVクロスリンク処理は不要)

UVクロスリンク処理の条件など詳細は、当社受託・特注品担当までお問い合わせ下さい。


解析の手順

miR-eCLIP解析の手順

  1. 紫外線によって細胞内のRISC複合体とmiRNA-mRNA複合体を架橋する(細胞試料の場合、架橋はお客様ご自身で行っていただきます)。
  2. RNAの断片化処理を行う。
  3. RISC-RNA複合体を抗AGO2抗体で免疫沈降する。
  4. RISC-RNA複合体中のmiRNAと標的mRNAをライゲーションし、miRNA-mRNAキメラ断片を合成する。
  5. RISC-RNA複合体からmiRNA-mRNAキメラ断片を単離し、NGSライブラリーを調製する。
  6. 次世代シークエンサーで解析する。

解析オプション

トランスクリプトーム全体にわたってmiRNA標的配列の同定を行うスタンダード解析(miR-eCLIP Standard)に加え、オプションとして相補的プローブによる濃縮工程を加えることで、特定のmiRNA(miR-eCLIP+miR)あるいは遺伝子(miR-eCLIP+Gene)にフォーカスした解析を実施することも可能です。


+miR Enrichment
+Gene Enrichment

納品データ

解析後、下記のデータを納品いたします。

データの種類 フォーマット 概要
シークエンス生データ FASTQ シークエンサーから直接読み込み、試料ごとにデマルチプレックスしたデータです。
ゲノムアライメントデータ BAM 下流の解析のために、反復エレメントのフィルタリング、アラインメント、PCR duplicateの除去を行ったリードのデータです。
カバレッジトラック BIGWIG IGVのようなゲノムビューアで可視化するための、ポジティブ鎖とネガティブ鎖上における正規化されたリードカバレッジです。
AGO2、miRNA、siRNAピーク BED siRNAとmiRNAの結合位置と相対的エンリッチメントの一覧表です。
標的サマリーレポート HTML エンリッチされたピークのプロット、Go termsとKEGGパスウェイ、HOMERモチーフ解析、反復エレメントマッピング情報を含むHTMLレポートです。


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解析例

E2F3遺伝子におけるmiRNA結合部位の同定例

E2F3遺伝子におけるmiRNA結合部位の同定例

図をクリックすると拡大します(🔍)

E2F3遺伝子の3’UTRにおける解析実施例。最上段(AGO2-eCLIP)は、miRNAとmRNAのライゲーションを行わずに得られたリード(miRNAの有無に関わらずAGO2と共に免疫沈降された全てのRNAの検出)を示す。上から3段目(miR-eCLIP Standard)では、AGO2-eCLIPのプロトコルにmiRNAと標的mRNAのライゲーション工程を加えて生成したmiRNA-mRNAキメラ断片由来のリード(各種miRNAとmRNAの結合)を示す。また、上から4段目(miR-eCLIP +miR-222)および上から5段目(miR-eCLIP+miR-34a)では、それぞれmiR-222とmiR-34aを標的として、miR-eCLIP+miR解析を行った結果を示しており、個別のmiRNAの結合部位を特異的に示している。


miR-124の遺伝子発現制御機能の検定例

miR-124の遺伝子発現制御機能の検定例

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miR-124ミミックをトランスフェクトしたHEK293T細胞においてRNA-Seqで遺伝子発現量を測定し、コントロール処理との発現量変動を比較した。その結果、TargetScanによって予測されたmiR-124標的遺伝子ではわずかな発現減少しか見られなかった。一方で、miR-eCLIPでmiRNA-mRNAキメラ断片が検出され、miR-124の直接のターゲットであることが示された遺伝子においては、その検出リード数が多い(miR-124がより強く標的mRNAと相互作用している)ほど発現抑制が顕著にみられた。このことから、miR-eCLIPはmiRNAの実際の標的を同定する際に、Targetscanのようなツールによる計算予測よりも擬陽性が少なく有用なツールであることが分かる。


miR-eCLIP standardとmiR-eCLIP+miR解析の比較

miR-eCLIP standardとmiR-eCLIP +miR解析の比較

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miR-17ファミリーを標的としてmiR-eCLIP+miR解析を実施した例。miR-17ファミリーに由来するmiRNA-mRNAキメラ断片リード数はmiR-eCLIP Standardと比較して900倍程度となった。miR-eCLIP+miR解析が特定のmiRNAの標的を同定するのに有用であることが分かる。


miR-eCLIP standardとmiR-eCLIP+Gene解析の比較

miR-eCLIP standardとmiR-eCLIP +Gene解析の比較

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APP遺伝子をターゲットにmiR-eCLIP+Gene解析を実施し、miR-eCLIP standard解析との比較を行った。APP遺伝子上のmiRNA-mRNAキメラ断片に由来するリード数はmiR-eCLIP Standardと比較して50~300倍程度となった。より深いカバレッジによって対象の遺伝子を標的とするmiRNAをより多く同定することが可能になる。


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