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細胞ベースアッセイの所要時間を大幅に短縮できる細胞 ATCC® ThawReady™ Cells
掲載日情報:2025/02/28 現在Webページ番号:70728
従来、細胞ベースアッセイは、マスターセルバンク(MCB)、ワーキングセルバンク(WCB)の作製プロセスに長時間を要しました。ATCC® ThawReady™ Cellsは、一貫性を維持しながら細胞増殖にかかる時間を省き、細胞解凍後にプレートに播種するだけですぐに使用できます。本製品を用いることにより、長期間を要する細胞増殖、およびそれに伴うコスト、時間、ラボスペースを節約し、実験データを迅速に得られることにより研究の効率化が可能になります。
細胞の培養が不要ですぐに細胞アッセイに使えるATCC® ThawReady™ Cells
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ATCC® ThawReady™ Cellsの開発の背景
細胞ベースのアッセイは、研究および産業において、標的の特定、医薬品開発、化合物の毒性試験など、さまざまな用途に広く用いられています。細胞ベースのアッセイを用いる際の大きな課題は、培養細胞に固有のバラツキです。このバラツキに関与するパラメータには、細胞培養方法、長期細胞培養に伴う表現型の変動、さまざまな研究室から調達された生体材料などがあります。連続培養の維持によるこれらの欠点により、細胞ベースアッセイですぐに使用できる細胞製品のニーズが高まっていました。
ATCC® ThawReady™ THP-1 Cells(ATCC® No.TIB-202-AR™)の開発
ATCC® THP-1 cell line(ATCC® No.TIB-202™)は、一般的に用いられる生理学的に関連する細胞モデルですが、取り扱いが難しいことで知られています。このThawReady™ Cell製品の開発と製造を行うため、培養の特性と信頼性を維持する高い基準と厳格な細胞培養プロセスを採用し、また細胞凍結のための動物副産物(Animal By-Product、ABP)を含まない独自の凍結培地を開発しました。
ATCC® ThawReady™ THP-1 Cells(ATCC® No.TIB-202-AR™)は、ロット内およびロット間の変動が低い規格を満たして製造されており、再現性を確保することにより細胞ベースアッセイで最適なパフォーマンスを達成します。この細胞は、高い生存率、解凍後の迅速な回復、適切なマクロファージマーカーの発現、そして期待される機能特性を示すマクロファージ様細胞に分化する能力を一貫して示します。また、研究室のリソースの使用、実験スケジュール、およびアッセイの堅牢性とバラツキを改善し、さらに通常の細胞ベースアッセイの開発で要する長期間と高コストを避け、バイオ医薬品の広範な研究を可能にします。
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特長
- ATCC®独自の動物副産物(Animal by-product、ABP)を含まない凍結培地を用いています。
- 解凍後、すぐに使用できます。
- バイアルには6 × 106 cells以上の細胞数が含まれていることが保証されています。
- 解凍後の生存率が高く、ロット内およびロット間の変動が少ないように製造されています。
- ハイスループットアッセイにも使用できます。
- 細菌、真菌類、マイコプラズマおよびウイルス(Cytomegalovirus(CMV)、Epstein-Barr virus(EBV)、Hepatitis B virus(HBV)、Human Immunodeficiency virus(HIV)、Human papillomavirus(HPV))の非検出を確認しています。
- 細胞生存率:≧80%
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従来の細胞ベースアッセイとThawReady™ Cellsを用いた場合の比較
従来の細胞ベースアッセイ ➡ |
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ThawReady™ Cellsを用いた細胞ベースアッセイ ➡ |
従来の細胞ベースアッセイ | ThawReady™ Cellsを用いた細胞ベースアッセイ | ||
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❶ | 保管場所からバイアルを取り出し解凍する。 | ① | 保管場所からバイアルを取り出し解凍する。 |
❷ | 細胞を培養する。 | ② | 細胞をプレートに播種する。 |
❸ | マスターセルバンク(MCB)を作製する。 | ③ | アッセイを実施する。 |
❹ | 細胞を培養する。 | ||
❺ | ワーキングセルバンク(WCB)を作製する。 | ||
❻ | ワーキングセルバンクからバイアルを取り出し培養する。 | ||
❼ | 細胞をプレートに播種する。 | ||
❽ | アッセイを実施する。 |
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製品ラインナップ
商品コードをクリックすると各製品の価格表をご覧いただけます。
品名 | ThawReady™ THP-1 Cells | ThawReady™ THP-1 NF-κB-Luc2 Cells | |
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由来動物種 | ヒト(男性、1歳) | ||
組織/疾病名 | 末梢血/急性単球性白血病 | ||
製品概要 | 細胞は、解凍後すぐにアッセイに用いることができ、長時間の細胞培養は不要です。ラテックスビーズと感作赤血球に貪食性を示し、表面および細胞質の免疫グロブリンを欠いています。マクロファージの分化は、テトラデカノイルフォルボールアセテート(TPA)で誘導できます。 | NF-κB応答エレメントの下流にルシフェラーゼ遺伝子(luc2)を有するTHP-1ルシフェラーゼレポーター細胞株です。細胞は、解凍後すぐにアッセイに用いることができ、長時間の細胞培養は不要です。NF-κB活性を高感度に定量ができます。 | |
適用 |
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ATCC® No. | 1 pack | TIB-202-AR™ | TIB-202-NFκB-LUC2-AR™ |
3 pack | TIB-202-AR3™ | TIB-202-NF-LUC2-AR3™ | |
5 pack | TIB-202-AR5™ | TIB-202-NF-LUC2-AR5™ | |
10 pack | TIB-202-AR10™ | TIB-202-NF-LUC2-AR10™ |
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使用例
ThawReady™ THP-1 Cells(ATCC® No.TIB-202-AR™)
液体窒素気相中で保存したバイアル解凍後の細胞生存率および細胞数
マクロファージへの分化過程における細胞の形態観察
親株THP-1(図A)とThawReady™ THP1 Cells (図B)を播種し、PMAで72時間処理しマクロファージ様細胞に分化させた。PMA処理0、24、48および72時間経過時点の細胞の形態をそれぞれ顕微鏡で撮影した。
0 hr | 24 hr | 48 hr | 72 hr | |
A | ![]() |
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B | ![]() |
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qPCRを用いたmRNA発現の定量
親株THP-1(図A)とThawReady™ THP-1 Cells (図B)を播種し、PMAで72時間処理しマクロファージ様細胞に分化させた。それぞれについて、qPCRを用いてCD14(図A)およびCD36(図B)のmRNAの発現量を定量した。
フローサイトメトリーを用いたCD14の細胞表面マーカーの発現比較
親株THP-1(A、B)とThawReady™ THP-1 Cells (図C、D)を播種し、PMA未処理の細胞(図A、C)とPMAで72時間処理しマクロファージ様細胞に分化させた細胞(図B、D)表面マーカー(CD14)の発現をフローサイトメトリーで解析した。
PMA未処理 | PMA処理 | ||
親株THP-1 | ![]() |
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THP1 ThawReady™ Cells |
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フローサイトメトリーを用いたCD14の細胞表面マーカーの発現の比較
ThawReady™ THP-1 Cells由来のマクロファージ様細胞の貪食アッセイ
ThawReady™ THP-1細胞を解凍後すぐにPMAを含む培地で3日間培養し、マクロファージ様細胞に分化させた。ThawReady™ THP-1細胞由来のマクロファージ様細胞の貪食能力は、ファゴリソソームの酸性環境に取り込まれた場合にのみ蛍光を発するpHrodo病原体バイオ粒子(Thermo Fisher Scientific社:#P35361)を用いて評価した。マクロファージの分化に伴って細胞質に蓄積するリソソームを染色するため、LysoTracker(Thermo Fisher Scientific社:#L7526)を用いた。
結果から、ThawReady™ THP-1 Cell由来のマクロファージ様細胞の貪食作用により取り込まれたpHrodo BioParticlesは、LysoTrackerで染色されたリソソームと共存しており、貪食中にファゴリソソームが形成されていることが分かった。これらのデータは、ThawReady™ THP-1細胞が貪食能を維持するマクロファージ様細胞に効果的に分化できることを裏付ける。
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- A:分化したマクロファージ様細胞の位相差画像
- B:pHrodo BioParticles(赤色、Thermo Fisher Scientific社)
- C:LysoTracker(緑色、Thermo Fisher Scientific社)
- D:pHrodo BioParticles(貪食作用)とLysoTracker(リソソーム)の染色画像のマージ。DAPI(青色、Thermo Fisher Scientific社)で染色した核
ThawReady™ THP-1 NF-κB-Luc2 Cells(ATCC® No.TIB-202-NFκB-LUC2-AR™)
液体窒素気相中で保存したバイアル解凍後の細胞生存率および細胞数
親株THP-1とTHP1 NF-κB-Luc2 ThawReady™ Cellsの異なるロット間の細胞の形態観察
それぞれ推奨条件で保管した親株THP-1とThawReady™ THP-1 Cellsの異なる3つのロットについて、解凍24時間後の細胞の形態をそれぞれ顕微鏡で撮影した。
親株THP-1 NF-κB-Luc2(Ctrl) | ThawReady™ THP-1 NF-κB-Luc2 Batch 1 | ||
ThawReady™ THP-1 NF-κB-Luc2 Batch 2 | ![]() |
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ThawReady™ THP-1 NF-κB-Luc2 Batch 3 |
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液体窒素で保管・解凍後のThawReady™ THP-1 NF-κB-Luc2 Cells(3ロット間)のルシフェラーゼの発現量の比較
化合物処理による生物発光シグナル強度の用量依存反応曲線
親株THP-1 NF-κB-Luc2と解凍後のThawReady™ THP-1 NF-κB-Luc2 Cellsを96ウェルプレートに播種し、2時間後に細胞を各濃度のLPS(図A)、または1.0 μg/mlのLPSと各濃度のBAY-11で処理した(図B)。3時間処理後に細胞の生物発光シグナルをBright-glo(Promega社)とルミノメーター(Glomax)を用いて検出した。
A | ||
B | ![]() |
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参考資料
下の各画像をクリックすると、それぞれの推奨プロトコルをご覧いただけます。
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ご注文方法
ご注文は☞ 専用の分譲依頼書または☞ オンラインオーダーフォームをご利用下さい。
ATCC®製品は,ご所属の研究機関・企業でATCC® Material Transfer Agreement(MTA)にご同意いただいた上で,ご所属部門でユーザー登録書(New Account Application)を提出いただいたお客様が分譲のご依頼・ご購入いただくことができます。
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