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退色しない蛍光ナノ粒子 蛍光性ナノダイヤモンド

掲載日情報:2022/08/01 現在Webページ番号:70614

Columbus Nanoworks社(Cymaris labs)が製造する蛍光性ナノダイヤモンドです。高い輝度と蛍光寿命を持つことに加え、蛍光が一切退色しないため、安定した蛍光を得ることができます。表面に様々な反応基を持つ製品があり、抗体や生体分子への標識が可能です。


蛍光性ナノダイヤモンドとは

蛍光性ナノダイヤモンドは、ダイヤモンド格子中に炭素原子以外の微量な不純物が組み込まれることで蛍光性を帯びた≦1 μmのダイヤモンドです。炭素原子の代わりに窒素原子(N)が組み込まれ、窒素原子に隣接する位置に空孔(V:Vacancy)が配置されたものはNVセンターダイヤモンドと呼ばれ、赤色蛍光を発します。また、窒素-空孔-窒素が配置されたものはNVNセンターダイヤモンドと呼ばれ、緑色蛍光を発します。

蛍光性ナノダイヤモンドとは 1

蛍光性ナノダイヤモンドとは 2

NVNセンター(青線)、NVセンター(オレンジ線)を持つ蛍光性ナノダイヤモンドの励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)

例えば、NV センターを持つ蛍光性ナノダイヤモンドの場合、緑色レーザー(532 nm)で励起することで、560~800 nm(最大680 nm)の赤色蛍光を発し、100 nm以上の大きなストークスシフト(励起と蛍光の極大波長の差)を持ちます。また、蛍光性ナノダイヤモンド粒子は、粒子内に含まれるNVセンターの数により輝度が増加する性質があります。Columbus Nanoworks社の蛍光性ナノダイヤモンドは50 nmあたり少なくとも15のNVセンターを持ち、高い輝度を誇ります。また、強力なレーザーによる継続した励起状態でも一切退色せず、高い蛍光安定性を示します。



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特長

  • 一般的な蛍光試薬と比較して蛍光安定性が非常に高く、蛍光退色を懸念する必要がありません。そのため、繰り返し測定や長期間のイメージングに最適です。
  • NVセンターを持つダイヤモンドは、100 nm以上の大きなストークスシフトを有しているため、蛍光検出時の励起光の漏れ込みを抑えることができます。
  • ダイヤモンド表面に種々の官能基やタグが修飾されているため、ご希望の生体分子や抗体に結合させることが可能です。また、二次抗体やストレプトアビジンで修飾されたダイヤモンドもラインナップされています。
  • 細胞イメージング、in vivoイメージング、ウエスタンブロッティング、フローサイトメトリーなど、多様なアプリケーションに用いることができます。

Columbus Nanoworks社製蛍光ナノダイヤモンドの特性

蛍光安定性 非常に高い(退色しない)
輝度 高い
蛍光の点滅(Blinking) なし
ストークスシフト 大きい(NVセンターダイヤモンドの場合)
温度安定性 非常に安定(>100℃)
酸や塩基に対する安定性 非常に安定
溶媒に対する安定性 非常に安定
毒性 なし
生体適合性 あり
粒子径 40 nmおよび100 nm
蛍光色 赤色および緑色
表面修飾 様々な官能基やタグを持つ製品ラインナップ


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蛍光性ナノダイヤモンドの蛍光安定性についての動画

蛍光色素のローダミン(右)は、継続励起によって数10秒~数分で蛍光の退色が見られるが、蛍光性ナノダイヤモンド(左)は3時間励起を続けても退色が見られない。


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参考文献

  • Suarez-Kelly, L.P., et al., Nanomedicine., 13(3):909~920 (2017). [PMID:27993723]
  • Suarez-Kelly, L.P., et al., ACS Appl. Nano Mater., 4(3):3122~3139 (2021). [PMID:34027313]

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使用例

蛍光性ナノダイヤモンドとタンパク質の複合体調製

表面に反応性官能基を有する蛍光性ナノダイヤモンドは、抗体などのタンパク質のリジンやシステインと共有結合を形成することで、ダイヤモンドータンパク質複合体の調製に用いることができます。反応終了後に遠心分離(14,000 rpm、4℃)を行うことで、ダイヤモンドと未反応のタンパク質を分離することが可能です。ダイヤモンドの小さなペレットが目視で観察できます。また、上清にダイヤモンドが残っている場合、レーザーペンでレーザー光を透過させるとチンダル現象による光散乱が見られます。

チンダル現象

NVセンターを有するナノダイヤモンドが溶液中でコロイドを形成している様子
左:明視野、右:蛍光イメージング像


蛍光性ナノダイヤモンドによる細胞イメージング

蛍光性ナノダイヤモンドは、エンドサイトーシスによって細胞質に取り込まれることが知られています。細胞毒性や蛍光退色を示さないため、長期間にわたる細胞のイメージングに最適です。Columbus Nanoworks社の蛍光性ナノダイヤモンドは表面修飾可能な官能基やプローブを有しており、二次抗体やストレプトアビジンで修飾された製品も用意されているため、ご希望の生体分子のイメージングに応用することが可能です。

使用例 1

マクロファージ様細胞株における蛍光性ナノダイヤモンド(赤色)の取り込み

使用例 2

ハーセプチン修飾の蛍光性ナノダイヤモンド(赤色)を用いたHER2陽性SKBR3細胞表面のイメージング


蛍光性ナノダイヤモンドによるin vivoイメージング

NVセンターを持つ蛍光性ナノダイヤモンドは近赤外領域の蛍光を発するため、生体深部のイメージングに最適です。生体に対して毒性を示さず、蛍光退色がないため、長時間の生体イメージングに用いることができます。

使用例 3

マウスに蛍光性ナノダイヤモンド(右)と非蛍光性ナノダイヤモンド(左)を皮下注射した後、in vivo蛍光イメージングを行った。


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製品ラインナップ

商品コードをクリックすると、各製品の価格表をご覧いただけます。

蛍光ナノダイヤモンドの種類

図. 蛍光ナノダイヤモンドの種類


粒子名 rFND(NV) gFND(NVN)
蛍光色 赤色 緑色
粒径40 nm 100 nm40 nm 100 nm
表面修飾/商品コード Propargyl10038r 10138r 10038g 10138g
-OH 10031r 11031r 10031g 11031g
PEG 4-OH 10052r 11052r 10052g 11052g
PEG 12-OH 10062r 11062r 10062g 11062g
PEG 36-OH 10072r 11072r 10072g 11072g
PEG 4-COOH 10044r 10144r 10044g 10144g
PEG 12-COOH 10054r 10154r 10054g 10154g
PEG 36-COOH 10064r 10164r 10064g 10164g
PEG 4-Azide 10057r 10157r 10057g 10157g
PEG 12-Azide 10067r 10167r 10067g 10167g
PEG 36-Azide 10077r 10177r 10077g 10177g
PEG 4-Biotin 11020r 11120r 11020g 11120g
PEG 12-Biotin 11030r 11130r 11030g 11130g
PEG 36-Biotin 11040r 11140r 11040g 11140g
-NH2 10037r 10137r 10037g 10137g
PEG 4-NH2 10004r 10104r 10004g 10104g
PEG 12-NH2 10016r 10116r 10016g 10116r
PEG 36-NH2 10011r 10111r 10011g 10111g
PEG 4-NHS 10055r 11055r 10055g 11055g
PEG 12-NHS 10065r 11065r 10065g 11065g
PEG 36-NHS 10075r 10175r 10075g 10175g
PEG 4-Maleimide 10021r 11021r 10021g 11021g
PEG 12-Maleimide 10025r 11025r 10025g 11025g
PEG 36-Maleimide 10030r 11030r 10030g 11030g
PEG 4-Streptavidin 12010r 12110r 12010g 12110g
PEG 12-Streptavidin 12040r 12140r 12040g 12140g
PEG 36-Streptavidin 12050r 12150r 12050g 12150g
PEG 12-Mouse IgG 12051r 12151r
PEG 12-Rabbit IgG 12048r 12148r
PEG 12-Human IgG 12067r 12167r
PEG 12-Goat anti-Human 12062r 12162r
PEG 12-Goat anti-Human(Fc) 12069r 12169r
PEG 12-Goat anti-Mouse 12057r 12157r
PEG 12-Goat anti-Rabbit 12043r 12143r
PEG 12-Goat anti-Rat 12026r 12126r
PEG 12-Donkey-anti-Mouse 12081r 12181r

NHS:N-hydroxysuccinimide ester

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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