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タンパク質や抗体の安定性を劇的に向上させます タンパク質超安定化試薬(PEG-NH2-PRX)

掲載日情報:2023/05/31 現在Webページ番号:70325

PEG-NH2-PRXは、タンパク質や抗体の形状を認識して巻き付き、タンパク質分子表面へポリエチレングリコール(PEG)を可逆的に修飾する試薬です。タンパク質や抗体と混合するだけで安定性を劇的に向上させ、その種類によっては血中滞留性も改善します。

タンパク質安定性向上のための従来手法

近年、抗体や酵素などタンパク質の医薬面への応用が盛んに行われていますが、タンパク質の生理学的安定性の低さや血中滞留性の短さ、輸送や保存方法がしばしば問題となります。そこで、タンパク質の安定性を向上させるために糖やアミノ酸、ポリマーなどを添加する手法、またはPEGなどで化学修飾する手法が用いられます。しかし、前述の添加物は安定化の効果が不十分であり、一方で化学修飾はタンパク質の生理活性を大きく損なう可能性があります。例えば、インターフェロンαやインスリンはPEGで化学修飾することにより、その活性を大きく低下させることが報告されています1,2。これらのことから、安定化効果が高く、またタンパク質の生理活性には影響しない手法が求められています。

1. Bailon, P., et al., "Rational design of a potent, long-lasting form of interferon: a 40 kDa branched polyethylene glycol-conjugated interferon α-2a for the treatment of hepatitis C", Bioconjugate Chem., 12(2), 195~202(2001). [PMID:11312680]
2. Madsbad, S., LY2605541--a preferential hepato-specific insulin analogue, Diabetes, 63(2), 390~392(2014). [PMID:24464715]



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原理

タンパク質超安定化試薬(PEG-NH2-PRX)は、ポリロタキサンと呼ばれる複数のα-シクロデキストリン分子がPEGの軸に貫通した構造を持ちます。さらに、各シクロデキストリン分子はPEG鎖とアミノ基(NH2)で修飾されています。シクロデキストリン分子はPEGの軸に沿って自由に移動・回転することができるため、タンパク質とPEG-NH2-PRXを混合すると、タンパク質の形状や電荷分布に応じてPEG-NH2-PRXが変形し、アミノ基とタンパク質の負電荷が効率的に相互作用することで複合体を形成します。これにより、タンパク質はPEG鎖でコーティングされ、タンパク質の安定性が向上します。この方法は、非共有結合による可逆的なPEG修飾のため、タンパク質の生理活性の維持が期待できます。例えば、タンパク質にインスリンや酵素を用いた際も、活性を損なう恐れはありません。

タンパク質超安定化剤PEG-NH2-PRXの原理

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特長

  • インスリンやアルブミン、ヒアルロニダーゼ、抗体など多くのタンパク質と複合体を形成します。一方、リゾチームのような塩基性の高いタンパク質とは効率的な複合体形成が困難です。
  • 水溶液中でタンパク質と混合することで、複合体形成が可能です。最適な混合比はタンパク質によって異なり予備検討が必要ですが、最初はモル比1:1で混合することをお勧めします。
  • 複合体形成によってタンパク質の安定性が向上し、またその種類によっては血中滞留性も改善します。
  • ラットへの投与による体重・臓器重量への影響や、血液化学検査による変化は見られません。
  • 推定分子量: >300 kDa
  • α-シクロデキストリン平均貫通数: 59.4 個/ポリロタキサン1分子
    アミノ基(NH2)平均修飾数:2.04個/α-シクロデキストリン1分子
    ポリエチレングリコール(PEG)平均修飾数:1.58個/α-シクロデキストリン1分子
  • 水やPBSなどに可溶です。


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参考データ

PEG-NH2-PRXとインスリンの複合体形成

インスリンとPEG-NH2-PRXをPBS中で混合し、分画分子量50 kDaのフィルターを用いて遠心ろ過した。ろ液のインスリン濃度を測定して複合体形成率を評価したところ、ほとんどのインスリンがPEG-NH2-PRXと複合体を形成していることが分かった(下図左)。また、CDスペクトルの測定結果から、PEG-NH2-PRXとの複合体形成後もインスリンの二次構造はほとんど変化しないことが示された(下図右)。

PEG-NH2-PRXとインスリンの複合体形成

インスリンの血糖降下作用に対するPEG-NH2-PRXの効果

インスリンとPEG-NH2-PRXをPBS中で混合し、糖尿病ラットに皮下投与した。ラット血糖値の経時変化の測定結果より、インスリン-PEG-NH2-PRX複合体はインスリンの活性を損なうことなく、血糖降下作用を長時間持続させる効果を持つことが示された。

インスリンの血糖降下作用に対するPEG-NH2-PRXの効果

抗体の振とう安定性に対する効果

タンパク質は化学的・物理的ストレスによって凝集する性質があり、特に振とうによる物理的ストレスは輸送の際に大きな問題となる。PEG-NH2-PRXと抗体(IgG)を混合し、室温下、500 rpmで振とうしたところ、抗体単独では24時間でその多くが凝集したが、抗体-PEG-NH2-PRX複合体は7日間の振とうでもほとんど凝集しないことが示された。

抗体の振とう安定性に対するPEG-NH2-PRXの効果

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原著論文

Utatsu, K., et al., “Supramolecular polymer-based transformable material for reversible PEGylation of protein drugs.” Materials Today Bio., 12, 100160 (2021).[PMID:34841242]



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