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組織の局所構造を可視化できる蛍光色素 HistoBright
掲載日情報:2023/06/01 現在Webページ番号:70324
フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]
HistoBrightは、2光子励起可能な環境応答性の膜染色蛍光色素です。組織浸透性に優れ、組織の局所構造により蛍光特性が変化するため、ハイコントラストに組織を可視化できます。組織透明化処理と2光子レーザー顕微鏡を組み合わせることで、組織ブロックの深部観察や空間的な構造解析を行えます。
※ 本製品は高知大学および愛媛大学の研究成果をもとに、フナコシ(株)が製品化し、販売しています。
※ 本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

HistoBrightは環境応答性蛍光色素であり、溶媒の極性によって広範囲の波長を示す。透明化処理を施した組織に適用すると、組織内の微小環境に応答して蛍光が変化し、その後2光子レーザー顕微鏡と組み合わせることで組織構造を明瞭に観察できる。
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古典的組織構造の解析方法と新規の三次元組織構造解析
組織の構造解析には、従来よりヘマトキシリン・エオジン(HE)法などの有色色素による染色が行われてきました。これらの有色色素による染色は、組織をブロックのままで染色したり観察することが難しいため、一般的には薄切切片を作製してから観察を行います。しかし、薄切切片は組織構造の立体的な情報が失われやすく、立体構造の再現には切片を多数作製する必要がありました。
HistoBrightは高知大学教育研究部 仁子陽輔 博士により合成された新規環境応答性蛍光色素(原著論文での化合物名PC)で、愛媛大学医学部 今村健志 博士、村上正基 博士、川上良介 博士により三次元的組織構造の蛍光イメージング色素としてアプリケーション開発が進められています。HistoBrightは生体膜に集積し、その局所環境に応じて蛍光が緑色~近赤外光まで広範囲に変化する性質を示します。そのため、生体組織に適用すると組織構造に応じた蛍光色調変化が誘導され、組織構造をハイコントラストに観察することができます。HistoBrightは2光子励起が可能なため、共焦点レーザー顕微鏡に加えて、2光子レーザー顕微鏡での観察に利用できます。また、組織透明化処理(ただし、膜構造維持のための脱脂処理操作を伴う手法を除く)と組み合わせることで、厚みのある組織試料を組織構造を壊さずに(薄切切片の作製することなく)観察でき、また、2光子レーザー顕微鏡を使用した深部イメージングによる組織の三次元構造解析も可能です。
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特長
- 環境応答性の膜染色試薬です。周囲の環境に応じて緑色~近赤外光まで蛍光特性が変化するため、検出する蛍光波長域を分けることで組織の局所構造をハイコントラストに可視化できます。
- 脱脂処理を伴わない組織透明化処理(☞RapiClear(SunJin Lab社)、LUCIDなど)と組み合わせることで、より深部の組織構造の三次元的な解析が可能です。
※ 界面活性剤(Triton X-100、Tween 20など)の使用は組織中の脂質膜を溶解し、HistoBrightの染色に影響する可能性があり推奨していません。使用される場合は、適宜最適な条件をご検討下さい。 - 共焦点レーザー顕微鏡(推奨励起光:488 nmレーザー)、または2光子レーザー顕微鏡(推奨励起光:960 nmレーザー)のいずれでも観察できます。
- 2光子レーザー顕微鏡で観察する場合、第二高調波発生(SHG)イメージングと併用が可能で、本試薬と同時に無染色の組織中のコラーゲン線維を観察できます。
- HistoBrightで染色・観察後に、HE染色を行うことができます。
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原著論文
Inoue, K., et al., J. Mater. Chem. B., 10(10), 1641~1649 (2022). Synthesis and photophysical properties of a new push-pull pyrene dye with green-to-far-red emission and its application to human cellular and skin tissue imaging. [PMID:35194628]
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原理
励起・蛍光スペクトル
HistoBrightは溶媒の分子極性に応じて蛍光特性が変化する溶媒極性応答性蛍光色素(Solvatochromic fluorescent dye)です。溶媒の極性によって緑色(低極性)から近赤外光(高極性)まで幅広くシフトします。
リポソーム膜モデルにおける蛍光スペクトルの変化
HistoBrightは脂質膜に高い親和性を示し、脂質膜の相状態に応じて異なる蛍光特性を示します。秩序相Loモデル(スフィンゴミエリン(SM)/コレステロール(Chol))リポソームでの蛍光極大に対し、無秩序相Ldモデル(DOPC)リポソームでは極大波長において30 nm程度の長波長域へのシフトが観察され、また蛍光量子収率も0.72(SM/Chol)→ 0.37(DOPC)と減少しています。

※ 上記の各種蛍光スペクトルデータは高知大学 仁子陽輔 博士よりご提供いただきました。
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アプリケーションデータ
2光子レーザー顕微鏡による透明化ヒト正常皮膚組織のイメージング
ヒト正常皮膚組織ブロックを4% paraformaldehyde / PBSで固定処理後、厚さ500 μmの切片を作製し、組織透明化処理(LUCID)とHistoBright(10 μM)染色を同時に76時間行った。組織ブロックは2光子レーザー顕微鏡により960 nmレーザーで励起し、492 nm(SHG;シアン)、500~550 nm(緑色)、560~593 nm(オレンジ)、593~690 nm(赤色)で蛍光画像をそれぞれ取得し、次に4つの合成画像を作製した。
※ 492 nm(シアン)は組織中コラーゲン線維由来のSHGシグナルであり、HistoBright由来の蛍光シグナルではありません。

次いで、2光子レーザー顕微鏡によりZ軸方向に5 μm間隔で500 μmまで撮影後、画像解析ソフトを用いて三次元構築を行い、ヒト皮膚組織の微細構造を三次元的に可視化した。

2光子レーザー顕微鏡による透明化ヒト正常皮膚組織の三次元イメージング
ヒト正常皮膚組織ブロックを4% paraformaldehyde / PBSで固定処理後、厚さ1 mmの切片を作製し、組織透明化処理(☞RapiClear、SunJin Lab社)*、HistoBright(10 μM)染色、核染色(Hoechst33342)を同時に72時間行った。組織ブロックは2光子レーザー顕微鏡により1,100 nmレーザーで励起し、<492 nm(SHG;シアン)、500~550 nm(緑色)、560~593 nm(オレンジ)、593~690 nm(赤色)で蛍光画像をそれぞれ取得し、次に4つの合成画像を作製した。この取得条件にてZ軸方向に5 μm間隔で撮影後、画像解析ソフトを用いて三次元構築を行い、連続データとして動画化した。
* 本実験では組織ブロックを固定後、膜透過処理を行わずに透明化処理および染色を行っています。
HE染色への再利用
ヒト正常皮膚組織ブロックをHistoBrightで染色・観察し、次いでPBS中で静置して透明化試薬を除去した。その後に薄切切片を作製し、HE染色を行った。HistoBright染色後でも明瞭なHE染色を実施できることが確認できた。

共焦点レーザー顕微鏡と2光子レーザー顕微鏡による染色
ヒト正常皮膚組織ブロックを4% paraformaldehyde / PBSで固定処理後、厚さ0.5 mmの切片を作製し、組織透明化処理(☞RapiClear、SunJin Lab社)*とHistoBright(10 μM)染色を同時に72時間行った。その後、共焦点レーザー顕微鏡(左図:励起光488 nmレーザー)および2光子レーザー顕微鏡(右図:励起光960 nmレーザー)で観察した。両図に大きな差は見られないが、2光子レーザー顕微鏡では2光子励起特有のSHGシグナル(コラーゲン線維)が観察できる。
* 本実験では切片を固定後、膜透過処理を行わずに透明化処理および染色を行っています。

図をクリックすると拡大します()
※ 上記の各種イメージングデータは愛媛大学 川上良介 博士よりご提供いただきました。
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価格
[在庫・価格 :2025年04月25日 20時55分現在]
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HistoBright <Tissue Structure Fluorescent Dye> |
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[在庫・価格 :2025年04月25日 20時55分現在]
HistoBright <Tissue Structure Fluorescent Dye>
文献数: 0
- 商品コード:FDV-0051
- メーカー:FNA
- 包装:0.1mg
- 価格:¥45,000
- 在庫:3個以上
- 納期:1週間程度 ※※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。
- 法規制等:
説明文 | 2光子励起可能な環境応答性の膜染色蛍光色素です。組織浸透性に優れ,組織の局所構造により蛍光特性が変化するため,ハイコントラストに組織を可視化できます。組織透明化処理(脱脂不要な原理に限る)と2光子レーザー顕微鏡を組み合わせることで,組織ブロックの深部観察や空間的な構造解析を行えます。 |
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保存条件 | -20℃ | 法規備考 | |
掲載カタログ |
ニュース2024年7月15日号 p.42 ニュース2023年8月合併号 p.23 ニュース2024年10月15日号 p.3
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製品記事 | |||
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