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低温電子顕微鏡法（クライオEM）に有用な界面活性剤 Detergents for Cryo-EM（Anatrace社）

掲載日情報：2022/02/22 現在Webページ番号：70195

マイクロライティックノースアメリカ /
Anatrace Products LLC（旧 Microlytic North America Inc)
[メーカー略称：MNA]

Anatrace社の膜タンパク質の低温電子顕微鏡法（Cryo-EM、クライオEM）研究に有用な界面活性剤をご紹介いたします。

※ 本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

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低温電子顕微鏡法（Cryo-EM、クライオEM）について

タンパク質の原子分解能構造を決定するための強力な手法として、低温電子顕微鏡法（Cryo-EM）を用いた単粒子解析1があります。最近の数年間で、この分野で革命的な進展があり、2014年以降の累積において、得られたCryo-EM構造の総数の半分以上が決定されました。現在、PDB (Protein Data Bank)には1,300を超える固有のCryo-EM構造があり、その150種以上が膜タンパク質です。Cryo-EM実験においての試料調製の準備段階では、タンパク質溶液をカーボングリッドに分注した後、プランジ凍結してガラス質氷の薄層を作製します。膜タンパク質の以下の4種類のCryo-EM構造は、ガラス化プロセスの改善にフッ素界面活性剤をサンプルバッファーに使用しています。これらのフッ素化界面活性剤は、ガラス質氷中のタンパク質分子の分布を改善し、またグリッドの氷の厚さの分布を改善することが報告されています。

  • リアノジンレセプターRyR1（0.2％フッ素化OM）2
  • Tc toxin TcdA1（0.01% Fluorinated OM）3
  • 多剤耐性タンパク質、MRP1（3 mMフッ素化FC-8）4
  • 嚢胞性線維症膜コンダクタンスレギュレーター（3 mMフッ素化FC-8）5

参考文献

  1. Milne, J. L., et al., FEBS J., 280(1), 28～45 (2013).
  2. Efremov, R. G., et al., Nature, 517(7532), 39～43 (2015).
  3. Gatsogiannis, C., et al., Nat. Struct. Mol. Biol., 23(10), 884～890 (2016).
  4. Johnson, Z. L., and Chen, J., Cell, 168(6), 1075～1085 (2017) .
  5. Zhang, Z. and Chen, J., Cell, 167(6), 1586～1597 (2016) .


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フッ素化界面活性剤とは

フッ素化界面活性剤は、頭部の極性基と尾部のフッ素化疎水性基を含んでいます。これらの界面活性剤は、脂質と混和しないというユニークな特徴を有します。つまり、水素化界面活性剤とは異なり、フッ素化界面活性剤は天然の脂質二重層から膜タンパク質を直接可溶化することはできません。

フッ素化界面活性剤は、膜タンパク質の安定性の改善、単粒子低温電子顕微鏡（Cryo-EM）でのガラス化プロセスの支援、タンパク質結晶化の添加剤など、タンパク質生化学に多くの有用な用途があります。



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製品ラインナップ

Cryo-EM用界面活性剤

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品名／化学式 CAS番号 分子量 純度 製品概要 使用文献 商品コード
（価格）

GDN

C56H92O25

 1402423-29-3 1,165.31 ≧97％（HPLC） バッチ間のばらつきや溶解性など多くの欠点のあるジギトニン（Digitonin）のdrop-in代替品です。
  1. Chae, P.S., et al., Chem.Eur J., 18(31), 9485～9490 (2012). [PMID：22730191]
 GDN101

Amphipol A8-35

（C6.2H10.3O1.35N0.65Na0.35)~72

 326856-53-5 約9 kDa － 1996年にJean-LucPopotによって最初に報告されたアンフィポール（Amphipols）は、界面活性剤を含まない水溶液中で膜タンパク質を安定化できるポリマーです。AmphipolA8-35を使用して決定された膜タンパク質のCryo-EM構造は、現在まで20以上にのぼります。
  1. Manuela Zoonens and Jean-Luc Popot, J. Membr. Biol., 247(9～10), 759～796 (2014). [PMID：24969706]
  2. http://www.ibpc.fr/amphipol
 A835

PMAL-C8

（C19H36O3N2)n

 869856-84-8 約18,500 － PMALアンフィポールは両極性イオン性であり、カルボキシル、アンモニウムアミデート、およびアルキル鎖の繰り返し単位を含みます。
  1. Nagy, J. K., et al., FEBS Letters, 501(2～3), 115～120 (2001). [PMID：11470268]
  2. Gorzelle, B. M., et al., J. Am. Chem. Soc., 124(39), 11594～11595 (2002). [PMID：12296714]
 P5008

NAPol（Non-Ionic Amphipol）

C7H15O4SN(C32H54O15N2)n

 － 7,000～35,000（n=10～50） － NAPolは膜タンパク質の低温電子顕微鏡研究に使用されており、広いpH範囲で溶解し、カルシウムやマグネシウムなどの多価カチオンと互換性があります。 関連資料：August, 2019 Newsletter NAP

Lauryl Maltose Neopentyl Glycol（LMNG）

C47H88O22

 1257852-96-2 1,005.19 － CMCが非常に低いためにバッファー中のLMNGの濃度を低濃度に下げることができ、遊離界面活性剤ミセルの量、およびバックグラウンドを低減することができます。DDMと同様に、LMNGはヘミコハク酸コレステリル（CHS、Cholesteryl Hemisuccinate）との混合物でよく使用されます。
  1. Chae, P.S., et al., Nature Methods, 7(12), 1003～1008 (2010). [PMID：21037590]
 NG310

n-Dodecyl-β-D-Maltopyranoside, Anagrade（DDM）

C24H46O11

 69227-93-6 510.6 ≧99％ β+α（HPLC） ドデシルマルトシド（DDM、Dodecyl Maltoside）は、膜タンパク質の結晶化で最も一般的に使用される界面活性剤で、多くのタンパク質の低温電子顕微鏡法でも使用されています。DDMは、ヘミコハク酸コレステリル（CHS）との混合物でよく使用されます。
  1. VanAken, T., et al., S. Methods Enzymol., 125, 27～35 (1986).
  2. Brown, G. M., et al., Canadian J. Chem., 48, 2525～2531 (1970).
  3. Strop, P. and Brunger, A. T., Protein Sci., 14(8), 2207～2211 (2005).[PMID：16046633]
 D310


膜タンパク質可溶化用LMNG＋CHS Premixed Solution

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品名／化学式 CAS番号 分子量 製品概要 商品コード
（価格）

10:1 LMNG/CHS Pre-Made Solution

C31H50O4・C4H11NO3

 LMNG: [1257852-96-2]
CHS: [102601-49-0]		 LMNG: 1005.19
CHS: 607.9		 脱イオン水中に5％LMNG（Lauryl Maltose Neopentyl Glycol）（#NG310）と0.5％CHS（Cholesteryl Hemisuccinate）（#CH210）をあらかじめ混合した水溶液です。一般的にタンパク質抽出には1％ LMNG/0.1％ CHS、タンパク質精製および構造決定には0.01％ LMNG/0.001％ CHS溶液が使用されます。 NG310-CH210


ガラス化改善用フッ素化界面活性剤

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品名／化学式 CAS番号 分子量 純度 製品概要 使用文献 商品コード
（価格）

Fos-Choline-8, Fluorinated, Anagrade
(1H, 1H, 2H, 2H-Perfluorooctyl)phosphocholine

C13H17F13NO4P

 313997-22-7 529.2 ≧99％（HPLC） フッ素化Fos-Choline-8は、CFTRやTRPV5を含む多くの膜タンパク質構造のガラス化の改善に使用されてきました。一般的な使用濃度は3 mMです。
  1. Frotscher, E., et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 54(17), 5069～5073 (2015). [PMID：25753129]
 F300F

Octyl Maltoside, Fluorinated, Anagrade
(1H, 1H, 2H, 2H-Perfluorooctyl)-β-D-Maltopyranoside・FOM

C20H25F13O11

 118680-70-9 688.4 ≧99％β＋α（HPLC） フッ素化オクチルマルトシドは、TcdA1やRyR1を含む多くの膜タンパク質構造のガラス化の改善に使用されてきました。 一般的な使用濃度は0.01％～0.2％です。 O310F


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Cryo-EM用界面活性剤

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化学式：C56H92O25，M.W.：1165.31，純度：≥ 97% (by HPLC analysis)
CAS No：1402423-29-3
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化学式：(C19H36O3N2)n，M.W.：~ 18,500.0
CAS No：869856-84-8
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化学式：C7H15O4SN (C31H54O15N2)n，M.W.：7000-35000g/mol; (n=10-50)
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化学式：C47H88O22，M.W.：1005.19，純度：≥98% all anomers (by HPLC analysis)
CAS No：1257852-96-2
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N-DODECYL-B-D-MALTOSIDE, ANAGRADE
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化学式：C24H46O11，M.W.：510.6，純度：≥ 99% β+α (by HPLC analysis)
CAS No：69227-93-6
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AMPHIPOL A8-35

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Lauryl Maltose Neopentyl Glycol

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M.W.：LMNG: 1005.19 / CHS: 607.9
CAS No：LMNG: 1257852-96-2, CHS: 102601-49-0
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CAS No：LMNG: 1257852-96-2, CHS: 102601-49-0
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Fos-Choline-8, Fluorinated, Anagrade
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化学式：C13H17F13NO4P，M.W.：529.2，純度：≥99% (by HPLC analysis)
CAS No：313997-22-7
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化学式：C20H25F13O11，M.W.：688.4，純度：≥ 99% β+α (by HPLC analysis)
CAS No：118680-70-9
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Fos-Choline-8, Fluorinated, Anagrade

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FLUORO-OCTYL MALTOSIDE, ANAGRADE

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説明文 化学式：C20H25F13O11，M.W.：688.4，純度：≥ 99% β+α (by HPLC analysis)
CAS No：118680-70-9
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