Polysciences社ミクロスフェアについてのFAQ
掲載日情報:2020/10/22 現在Webページ番号:69730
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Polysciences社ミクロスフェアについてのFAQです。製品の特性、 サイズ分布(単分散性)、ご使用の際の注意点など、よくあるご質問にお答えします。
※本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
Polysciences社ミクロスフェアについてのFAQ(POL社)
Q-1. ポリスチレンミクロスフェアはどのような用途に使用できますか? A-1. ラテラルフロー試験、ラテックス凝集試験、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、キャリブレーションなどの用途に使用されます。Polysciences社のポリスチレンミクロスフェア「Polybead」は下記のような特性の製品を取りそろえています。
項目 | 特性 |
---|---|
粒径 | 粒径は0.05~150μmです。幅広いアプリケーションに対応します。 |
単分散性 | 粒径が0.5~1.0μmの場合、分散係数は<3%です。 |
濃度 | 濃度は1.0~20%です。 |
懸濁液 | 安定した分散性を確保するため、イオン交換水を使用します。 |
着色 | 未着色、赤、黄、青、紫および蛍光色があります。 |
表面修飾 | Plain、‐COOH、‐NH2、‐OH、‐CH2Cl acrylatedがあります。 |
安定性 | 活性を持たず、安全に取り扱うことができ、生物学研究に最適です。 |
タンパク質の親和性 | 共有結合または受動吸着が可能です。 |
ガラス転移 | ガラス転移温度は100℃です。 |
ビーズ密度 | ビーズ密度は1.05g/mlです。細胞密度に類似しています。 4.5μm以上のミクロスフェア(DVB*とクロスリンクされている)や、-COOH標識された製品のビーズ密度は1.06です。 |
589 nmにおける屈折率 | 589 nmにおける屈折率は1.59~1.60です。 |
添加物または残留物 | 生化学的残留物に干渉する界面活性剤や重合体を使用していません。 |
保存剤 | 明記しない限り、含まれていません。粒子はアジ化ナトリウム、チメロサールおよびその他の処理に適合しています。 |
* ジビニルベンゼン(DVB、Divinylbenzene)
Q-2. ミクロスフェアのサイズ分布(単分散性)について教えて下さい。
A-2. 変動係数(CV)はSD/D x100で計算でき、下記の通りです。
D:実直径、SD:標準偏差 いずれの値も製品ラベルに記載されています。
Size in Microns | CV Maximum |
---|---|
0.05 | ≤15% |
0.10 | ≤10% |
0.20 | ≤5% |
0.35 | ≤5% |
0.50 | ≤3% |
0.75 | ≤3% |
1.00 | ≤3% |
2.00 | ≤5% |
3.00 | ≤5% |
4.50 | ≤7% |
6.00 | ≤10% |
10.00 | ≤10% |
>10.00 | ≤15% |
Q-3. Webやデータシートに書かれている通りのサイズのミクロスフェアが送られてくるのでしょうか?
A-3. 製品資料に示されている直径は概寸です。詳細は製品ラベルをご確認下さい。
Q-4. 粒径はどのように測定していますか?
A-4. ディスク遠心式の粒子径分布測定装置で計測しています。
Q-5. ミクロスフェアのゼータ電位は測定していますか?
A-5. 残念ながら行っていません。未修飾/カルボキシル基/アミン標識ポリスチレンは、やや負の電荷を帯びていると考えられます。
Q-6. ミクロスフェアの保存可能期間と保存方法は?
A-6. 保存可能期間は1年としています。防腐剤や安定剤は含まれておらず、溶媒(脱イオン水)には少量の界面活性剤が含まれています。長期間保管する場合は、防腐剤の添加をお勧めします。
ミクロスフェアは時間経過とともに沈降するので、均一性を保つためにもローテーターなどで撹拌することをお勧めします。
微生物の増殖を防止するため、ミクロスフェアは4℃で保存して下さい。なお、凍結させると不可逆的な凝集につながる可能性があるため、凍結させないよう注意して下さい。
Q-7. ミクロスフェアの濃度は?
A-7. 多くの製品は2.5% solidで提供されます(例:100 mlの懸濁液中に2.5 gのポリマースフェアが含まれています)。
液量に対する質量でパッケージングしているため、粒子径によって1 mlあたりの粒子数が変動します。各粒子径に対する1 mlあたりのおおよその粒子数については下記をご参照下さい。
※概寸を元にして計算しています。
Diameter(μm) | Particles/ml(2.5% solids-latex) |
---|---|
0.05 | 3.64 x 1014 |
0.10 | 4.55 x 1013 |
0.20 | 5.68 x 1012 |
0.35 | 1.06 x 1012 |
0.50 | 3.64 x 1011 |
0.75 | 1.08 x 1011 |
1.00 | 4.55 x 1010 |
1.50 | 1.35 x 1010 |
2.00 | 5.68 x 109 |
3.00 | 1.68 x 109 |
4.50 | 4.99 x 108 |
6.00 | 2.10 x 108 |
10.0 | 4.55 x 107 |
15.0 | 1.35 x 107 |
20.0 | 5.68 x 106 |
25.0 | 2.91 x 106 |
45.0 | 4.99 x 105 |
75.0 | 1.08 x 105 |
90.0 | 6.24 x 104 |
Q-8. 官能基を含むミクロスフェアはどのように作られていますか?
A-8. スチレンと官能基含有モノマーを重合させています。官能基は、共有結合反応に使用できるほか、懸濁液の安定性にも寄与します。
Q-9. DVBとクロスリンクさせたミクロスフェアもあるとのことですが?
A-9. 4.5μm以上の粒子は、ポリスチレンとDVBのコポリマーとなっています。
Q-10. 遠心を行うことはできますか?
A-10. 可能です。ミクロスフェアの洗浄などに使用して下さい。ただし、過度な遠心を行うと再懸濁が難しくなるなど、操作には注意が必要です。ペレット化が目的の場合、粒子の沈降速度について考慮する必要があります。
Q-11. 製品は滅菌されてますか?
A-11. 非滅菌品です。必要に応じて、防腐剤(チメロサールやアジ化ナトリウムなど)の添加やγ線滅菌を行って下さい。in vivoや生細胞での解析に使用する場合、事前にミクロスフェアをアルコール処理することも可能です。
※γ線滅菌により、製品がやや黒っぽくなる可能性があります。
Q-12. ミクロスフェアの凝集を防止するための方法は?
A-12. ミクロスフェアは疎水性凝集の影響を受けやすく、他にも下記のような状況が凝集の要因となります。
- 粒子表面の電荷が少なくなる
- 粒子径が小さい(表面積:容積の比率が大きい)
- 粒子の濃度が高い
- バッファー組成
- pH
凝集の解消には、界面活性剤を使用して疎水性を低減させること(例えば0.01~0.1% Tween20またはSDSによる処理)、ソニケーション処理、ビーズ濃度を調節する、ビーズを懸濁させる、バッファーのpHを調節する方法などがあります。
Q-13. ミクロスフェアが再懸濁しません。どうすればいいでしょうか?
A-13. 振とうまたは転倒混和させて下さい。それでも解消しない場合、ビーズの入ったボトルをボルテックスするか、転倒混和する時間を延長します。多くの場合はこれで解決しますが、もしそれでも凝集が解消できない場合は、界面活性剤を添加して下さい。
Q-14. ミクロスフェアを含む組織の包埋は可能ですか?
A-14. 可能です。下記の条件においてラテックスミクロスフェアを光学顕微鏡で観察することができます。
- 非包埋状態のcoverslip monolayer
- 固定/非固定凍結切片
- パラフィン切片
- グリセロールメタクリル樹脂キット
※パラフィン切片は、トルエンやTHFまたは酢酸エチルを使用するとビーズの破損につながるため、洗浄や脱パラフィン処理にはn-butyl alcoholを必ず使用して下さい。
※ミクロスフェアはメチル/ブチルメタクリル樹脂溶液には包埋できません。透過型電子顕微鏡(TEM)用包埋におけるエポン包埋やスパー(Spurr)包埋は行えた実績があります。
Q-15. どのような色素/蛍光色素の製品がありますか?
A-15. 非水溶性の色素を組み込んだ製品がPolybead Dyed、蛍光色素を組み込んだ製品がFluoresbriteです。これにより、ビーズから水溶性バッファーへの色素の滲出を防ぐことができます。緑、オレンジ、黒、青、赤、紫、黄色などで着色されたミクロスフェアもあります。ご要望に応じて、他の色や明度の対応も可能です。
Q-16. 光学顕微鏡で観察できる最小の染色ビーズサイズは?
A-16. 6μmの着色ビーズ(非蛍光性)が、光学顕微鏡(400×)での観察に使用できる最小の粒子です。色素粒子を限界まで拡大すると未着色の外観になります。
Fluoresbrite microsphereは6μmよりも小さい粒子の顕微鏡観察を推奨します。Fluoresbrite 0.05μm粒子は蛍光顕微鏡で対物レンズ:100×、接眼レンズ:10×で観察できます。
Q-17. 受動吸着法は安定なのでしょうか?
A-17. 一般的に、約4~6か月間 ビーズは安定です。ただし、共有結合の方が長期間安定と考えられます。
Q-18. 受動吸着法と共有結合のどちらを行うべきでしょうか?
A-18. 下記のような条件では、共有結合を行う必要があります。
- ポリスチレンに対してのアフィニティが弱い素材を使う場合
- アッセイ系の成分が受動吸着法の素材と置換してしまう場合
- 界面活性剤を使用する場合(ビーズ表面からタンパク質を剥がす作用がある)
なお、ssDNAやペプチドなどのリガンドは相補体/標的因子との結合能を維持するため、1点での結合が必要です。配列を合成する場合、末端に共有結合を行うための反応基を含むような形をご検討下さい。
Q-19. 官能基としてアミンを利用する利点は何でしょうか?
A-19. アミン標識ビーズは、グルタルアルデヒドを用いてタンパク質の結合を行えます。グルタルアルデヒドは、カルボキシル基を介した結合を利用したビーズで使われるカルボジイミドと比べて安定です。
Q-20. どのような分子を標識できますか?
A-20. DNA、タンパク質、レクチン、酵素、ペプチドなどの結合が可能です。
Q-21. BSA以外のブロッキング用試薬でお勧めのものはありますか?
A-21. 毒性のないタンパク質であれば非特異的吸着の阻害に使用できます。BSAの代替物を探す上で、活性タンパク質やブロッキング用タンパク質の大きさを比較する必要があります。IgGを結合させる場合、BSAの使用を強く推奨します。しかし、BSAはサイズが大きいため、より小さなタンパク質の活性を目立たなくさせます。グリシンまたは小さなポリペプチドが代替物となります。
Q-22. 0.5μm以下の粒子にも結合は行えますか?
A-22. 化学的な側面から考えると可能ですが、特定のサイズに応じた粒子の機械的な分離を行う必要があります。よくある方法としては、遠心操作で残存試薬と粒子を分離することです。
ただし、粒径が0.5μm以下のビーズは微量遠心を30分程度行っても沈降しないため、実用的ではありません。また、遠心力(G)を上げ過ぎると再懸濁が困難になるためお勧めできません。透析やスピンフィルター、メンブレン分離などの操作は行うことができます。
Q-23. Fluoresbriteにタンパク質を結合できますか?
A-23. 可能です。ビーズ内部に色素を含みますので、表面はタンパク質吸着を行える状態であり、官能基を介した共有結合も可能です。
Q-24. Fluoresbriteはどのように製造されているのでしょう?
A-24. ポリスチレンベースの粒子は、溶媒を用いた膨潤を利用して色素を取り込ませています。高疎水性の色素(BB, YG, PC Red)は水性環境下ではビーズ内に閉じ込められたままとなります。YOは、わずかながら水溶性であり、強く洗浄操作を行うとYOが流出する可能性があります。
※ BB(Bright Blue)、YG(Yellow Green)、PC Red(Polychromatic Red)、YO(Yellow Orange)
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