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NETosisの動的プロセスモニタリングキット Cayman社 NETosis Imaging Assay Kit

掲載日情報:2019/04/15 現在Webページ番号:68750

ex vivoおよびin vitroでNETosisの動的なプロセスを簡便に可視化できるキットです。キットに含まれる細胞透過性のDNA染色蛍光色素(Permeable Nuclear Red reagent)と、細胞不透過性のDNA染色蛍光色素(Extracellular Nuclear Green reagent)を組み合わせることにより、それぞれ好中球の核DNAと好中球より排出されたDNAを継時的に可視化することができます。

初代ヒト好中球をPermeable Nuclear Red reagentおよびExtracellular Nuclear Green reagentで染色し、20nM PMAで刺激した。Cytation 5 Cell Imaging Multi-Mode Reader(BioTek社)を用いて、明視野モード、GFPおよびCy5 LED /フィルターセットを使用した蛍光モードで30分ごとに画像を撮影した。すべての核は赤色、膜が損傷した細胞の核だけは緑色に染色される。好中球のNETは、ぼやけた赤色の核を形成後、退色して排出されると緑色のぼやけた雲状に可視化される。

NETs(Neutrophil extracellular traps)とNETosisとは

NETs(Neutrophil extracellular traps)とNETosisとは (クリックで開閉します)

好中球細胞外トラップ(NET:Neutrophil extracellular traps)は自然免疫系を構築している重要な要素の一つであり、NETが放出される過程は、ネクローシス(Necrosis)やアポトーシス(Apoptosis)とは異なる細胞死としてNETosisと呼ばれます1,2。NETは、DNA、ヒストン、好中球エラスターゼ、ミエロペルオキシダーゼおよびその他の殺菌性タンパク質で構成されています2。NETは、病原体を捕獲・固定化し、マクロファージなどの他の免疫細胞に対してこれらの病原体を除去するよう警告し、また自身も直接的な抗菌活性を有しています3。NETosisのプロセスは何時間もかけて起こり、アポトーシスやネクローシスとは異なる溶解型細胞死を引き起こすことがあります3,4。興味深いことに、好中球は細胞溶解を誘導せずにNETを排出して細胞質体または「好中球ゴースト」になるものの、走化性や食作用機能は保持します3。NETosisやNETの除去に異常または欠陥があると、全身性エリテマトーデス(SLE)、乾癬および慢性関節リウマチなどの多くの炎症性疾患や自己免疫疾患の原因となる場合があります。5、6

従来のNETosisの分析方法は、DNAや好中球エラスターゼなどのNET成分の定量化に依存していたため、NETを起こした好中球以外の放出も測定していました。別の方法では、NETosisの過程において、固定化した細胞の可視化が用いられていました。しかしこれらの方法では、パラメータを単一の時点で定量化しなければならず、NETosisの動態を研究するのは困難でした。これらの問題解決のため、Cayman Chemical社ではNETosisの発生プロセスの研究のため、ハイコンテントイメージングシステムを用いた簡単な染色プロトコルを開発しました。

参考文献

  1. Brinkmann, V., et al., Science, 303(5663), 1,532~1,535 (2004). [PMID:15001782]
  2. Dabrowska, D., et al., Scand. J. Immunol., 84(6), 317~322 (2016). [PMID:27667737]
  3. Yipp, B.G., et al.P. Blood, 122(16), 2,784~2,794 (2013). [PMID:24009232]
  4. Gupta, S., et al.J. Immunol., 200(2), 869~879 (2017). [PMID:29196457]
  5. Vorobjeva, N.V., et al.B.V. Biochemistry (Mosc.), 79(12), 1,286~1,296 (2014).
  6. Pinegin, B., et al.Autoimmun. Rev., 14(7), 633~640 (2015). [PMID:25797532]

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特長

  • キットには、ヒトの血液から好中球の濃縮、細胞の染色およびNETosisの誘発のための試薬が含まれています。
  • 細胞染色およびNETosis誘導は、複数の動物種に適応が可能です。
  • 測定試料:新鮮血液(ヘパリン処理*)、好中球様細胞株(DMSO-分化HT-60細胞など)
  • 測定方法:蛍光
  • 測定条件:下表参照
  • 測定機器:蛍光顕微鏡、明視野顕微鏡
  • アッセイ数:2×96well plates

他の抗凝血剤は試験していません。EDTAのご使用は避けて下さい。

色素名 励起波長(nm) 蛍光波長(nm) 推奨フィルター 細胞透過性 染色対象
Extracellular Nuclear Green reagent 503 526 GFP/FITC なし 細胞外のDNAおよび膜透過性となった細胞
Permeable Nuclear Red reagent 622 645 Cy5 あり すべての核

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使用例

Extracellular Nuclear Green(細胞不透過性DNA染色色素)を用いたNETosisの検出

NETosisの検出

単離した初代血液好中球をExtracellular Nuclear GreenおよびPermeable Nuclekr Redで染色し、Cytation 5 Cell Imaging Multi-Mode Reader(BioTek社)を用いて画像を撮影した。


NETosisの定量化

NETosisの定量化

初代血液好中球をPMAで刺激し、細胞外核陽性細胞を調製した。Cytation 5 Cell Imaging Multi-Mode Reader(BioTek社)を用いて画像を撮影した。

  • 左図:各時間で緑色に染色された細胞数を計測し、NETosisを起こした細胞数の定量を行った。
  • 右図:カイネティック曲線の直線部分を使用し、各PMA濃度における毎時のNETosisの割合を計算した。

NETosisを起こした初代ヒト好中球の形態のモニタリング

染色例

PMA(phorbol 12-myristate 13-acetate)(#10008014)またはニゲリシン(nigericin)(#11437)を用いて刺激した好中球が、NETosisの過程で排出したDNAを、Extracellular Nuclear Green reagentによって検出した。正常な核をPermeable Nuclear Red reagentで対比染色した。その後、20倍の対物レンズおよびGFPとCy5のLEDフィルターを明視野で組み合わせ、BioTek社のCytation 5 Cell Imaging Multi-Mode Readerで各時間ごとの画像を撮影した。は、NETosisを起こした個々の細胞を示す。各画像右下のスケールバーは、30μmを示す。


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キット内容

  • RBC lysis buffer
  • Cell-Based Assay Neutrophil Isolation Histopaque
  • PMA assay reagent
  • A23187 assay reagent
  • Calcium chloride assay reagent
  • NETosis imaging buffer
  • Extracellular Nuclear Green reagent
  • Permeable Nuclear Red reagent
  • Triton X-100 permeabilization control

測定には蛍光顕微鏡または明視野顕微鏡が必要です。キットには、イメージングに用いる96wellマイクロプレートは含まれていません。


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測定原理および操作方法概略

  1. 単離した好中球を37℃、15~30分間、Permeable Nuclear Red reagentで染色する。
  2. Extracellular Nuclear Green reagentで染色する。
  3. NETosisを誘導物質を添加する。
  4. 明視野、GFPおよびCy5フィルターセットを使用し、プレートを37℃に維持しながら30分ごとに画像を取得してNETosisの動態をモニターする。すべての好中球はPermeable Nuclear Red reagentで染色され、明視野顕微鏡でその核分裂喪失を可視化できる。
  5. NETosisを受けた好中球は、クロマチン脱凝縮を核直径の増加とPermeable Nuclear Redの蛍光強度の減少で検出できる。
  6. 最終的に細胞膜が透過性になると、培地中のExtracellular Nuclear Green reagentにより核が染色される。
  7. Extracellular Nuclear Greenの蛍光の増加によって細胞外へのNETの放出をモニターする。

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FAQ

FAQ (クリックで開閉します)

Q-1. NETosisの動態を可視化するために、細胞内および細胞外DNAの両方を検出するのはなぜですか?
A-1. DNAも好中球エラスターゼもNETosisを受けている好中球によってのみ放出されるわけではないにも関わらず、従来のNETosis測定法では、これらのNET成分の定量によって測定していました。また、これらの方法は、通常は固定化した細胞の視覚化に依存しており、それはNETosisの過程の一部分を捉えているのにすぎませんでした。NETosisのプロセスは何時間にもわたって起こるため、一時点におけるそうしたパラメーターの定量化だけでは限界があり、NETosisの動態研究は困難でした。
本キットの単純な染色法は、ハイコンテンツイメージングシステムを用いて、生きている好中球を観察することにより、発生したNETosisのプロセスを研究するために設計されています。本キットに含まれている細胞透過性DNA色素(Nuclear Red)は、NETosisの過程での核の動的変化の可視化を可能にし、細胞不透過性色素(Nuclear Green)は排出されたDNAを検出します。ハイコンテントプラットフォームで明視野イメージングと、これらの色素の蛍光による可視化を組み合わせることにより、核形態と膜の整合性の明確な変化に基づいて細胞死の様々なモードを区別することができます。重要なことに、好中球は細胞溶解を誘導せずにNETを排出する可能性があります。この場合、好中球は細胞質体または「好中球ゴースト」になり、その走化性機能および食作用機能はそのまま維持されます。この膜の完全性依存性、二重色素、ライブコンテンツイメージングアッセイプラットフォームは、好中球生理学とNETosisの両方を評価するための強力なツールとして新規好中球阻害物質の探索と評価に使用できます。

Q-2. ハイコンテンツイメージングプラットフォームの代わりに従来の顕微鏡でもキットに使用できますか?
A-2. ハイコンテンツイメージングプラットフォームを用いることにより、任意の刺激を与えてNETosisを受けた好中球の割合の動的な定量が可能となります。また、NETosisの定量が可能になり、阻害物質の用量依存的効果の測定や新規好中球標的物質の迅速な探索も可能になります。ハイコンテンツイメージングプラットフォームは、従来の蛍光顕微鏡法と比較してNETosisの動態を観察するための迅速で、偏りがなく、再現性を有し、かつより高感度の方法となります。

Q-3. 本キットはどの動物種/試料種で使用できますか?
A-3. 本キットは、NET産生細胞を含むあらゆる試料で使用できます。キットには、遠心分離によってヒト末梢血好中球を分離するための、ready-to-useのHistopaque試薬が含まれています。
通常、マウスの好中球は循環白血球の10%未満で、回収可能な血液の量はマウスあたり約1 mlであるため、十分な細胞を単離することは困難です。Neutrophil (mouse) Isolation Kit(#601070)を用い、まず腹腔洗浄液または骨髄からマウス好中球を分離することをお勧めします。骨髄または腹腔洗浄液から得られたマウス好中球からNETを生成するのは難しいとの報告がありますが、マウス好中球へ血小板を添加することにより、NET形成を増加させるとの報告もあります1

参考文献

  1. Etulain, J., et al., Blood, 126(2), 242~246 (2015). [PMID:25979951]
  2. Jiang, S., et al., J. Immunol., 192(10), 4,795~4,803 (2014). [PMID:24719460]
  3. Kenny, E.F., et al., eLife, 6:e24437 (2017). [PMID:28574339]

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関連製品 NETosis Assay Kit

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品名 商品コード 測定試料 測定方法 測定波長 製品概要
NETosis Assay Kit 601010 初代好中球 比色 405 nm 好中球の形成したNET(Neutrophil Extracellular Trap:好中球細胞外トラップ)に含まれるエラスターゼの酵素活性を測定するキットです。NETの形成量が推測できます。

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価格

[在庫・価格 :2024年04月19日 17時35分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
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納期 文献数
NETosis Imaging Assay Kit
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説明文
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2019年7月1日号 p.32

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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アポトーシス細胞の検出/抽出キット