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プロテオミクス受託解析サービス(iMPAQT法)
プロテオミクス受託解析サービス(iMPAQT法)
掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:68090
次世代定量プロテオミクス”iMPAQT法”によるタンパク質の大規模解析サービス
最新の質量分析計を使ったタンパク質の網羅解析、バイオマーカー探索の定量プロテオーム解析受託サービスを承ります。がん細胞を使用した基礎的な研究から、特に最近では外科的に切除した腫瘍組織サンプルの分析でご好評いただいています。質量分析を使ったタンパク質の受託解析、検査・外注サービスをご要望の際は是非とも弊社にご相談ください。
※ 本サービスは研究用です。商用・臨床用途にはご利用できません。
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- 次世代プロテオミクス『iMPAQT法』について
- iMPAQT法の特長
- 測定原理
- 分析例1:がん細胞代謝酵素プロファイリング
- 分析例2:各細胞分裂周期での代謝酵素発現量の比較
- 分析例3:アイソザイム分析
- 最新研究事例1
- 最新研究事例2
- 関連文献
- サービス概要
- 価格
- ご注文方法
次世代プロテオミクス『iMPAQT法』について
多くの生命現象にかかわる複数のタンパク質を、同時にかつ正確に測定することができれば、様々な生命現象の理解や病気のメカニズム解明、新しい診断法の開発につながることが期待されます。現在普及している網羅的なタンパク質解析では、高分解能型質量分析計を使ったノンターゲット分析「ショットガン法(DDA法:data-dependent acquisition)」が使われており、大腸菌や酵母などの比較的遺伝子数の少ない生物種においては、ほぼすべての発現タンパク質を検出することが可能となっています。しかしながらヒトやマウスを対象とした場合、試料の複雑性(タンパク質の数や発現ダイナミックレンジの広さ)から、十分な感度や定量再現性が得られていないのが現状です。
一方で定量再現性に重点をおいたタンパク質解析として、三連四重極型質量分析計を使用したMRM(Multiple Reaction Monitoring)法があり、定量プロテオミクスに用いられています。MRM法は感度や定量再現性に優れますが、MRM測定前に高感度ペプチドの選定や測定条件最適化などの手間を要することから、普及が遅れていました。
iMPAQT法(in vitro proteome-assisted MRM for Protein Absolute QuanTification)は九州大学 生体防御医学研究所の中山敬一先生・松本雅記先生らによって開発された次世代の定量プロテオミクス技術です1)。
網羅的な組換えタンパク質リソース(18,000種以上のタンパク質)を利用することで、MRM法に必要な事前情報および内部標準ペプチドを網羅的に取得し、これを用いて容易に数百種類のタンパク質を同時定量(最大400種/時間)することが可能です。特定のパスウェイのタンパク質を一度に定量分析したい場合や、抗体では分離の難しいサブタイプの分析をされたい方にお勧めです。
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iMPAQT法の特長
特長1:18,000種のヒト組換えタンパク質から構築された質量分析データベース
ヒト組換えタンパク質約18,000種を人工合成し、LC-MS/MS測定することで、各タンパク質を質量分析測定するためのメソッドデータベースを構築しています。データベースは順次拡大しており、将来的にはマウスなど動物への適用も目指して開発を継続中です。
特長2:高感度プロテオミクス前処理と高速Scheduled MRM分析
九州大学 生体防御医学研究所の中山敬一先生・松本雅記先生の元で考案されたプロテオミクス用前処理手法(特許出願中)を用いて分析を行います。消化効率改善や吸着抑制効果を高めた前処理法となっており、目的タンパク質を高感度かつ高精度に検出します。また、高度にSchedule化されたMRM分析により1時間で最大400種(1タンパク質=1ペプチドでの検出の場合)のタンパク質を定量分析することが可能です。
特長3:大規模分析から個別分析まで幅広いニーズに対応可能
iMPAQTデータベースを活用すれば、分析したい複数のタンパク質をパネル化することが可能です。アイソザイムなど抗体では分離できずに諦めていた方もiMPAQT法ならば分析しうることが期待できます2)。
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測定原理
基本的な原理はLC-MS/MSを用いたMultiple Reaction Monitoring(MRM)分析となります。MRM法は、四重極(Q-pole:Quadrupole)を3つタンデムに連ねた三連四重極型質量分析計において、プリカーサーイオンを通すQ1フィルターと、CID(衝突誘起解離)による開裂後の断片であるプロダクトイオンを通過させるQ3フィルターの組み合わせを設定することで、特定のペプチドを特異的かつ高感度に定量分析する手法です。
MRMの感度や定量ダイナミックレンジは通常のフルスキャンMSスペクトルの取得と比べて格段に高いですが、一方で選択するペプチドやCIDによるフラグメントの質量を事前に知っておく必要があり、対象に合わせた各分析パラメーターの最適化も不可欠となります。iMPAQT法では組換えタンパク質をベースにこれら事前情報を取得・データベース化しているため、細胞や組織検体などの内在性タンパク質を効率よく定量分析することが可能です。
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分析例1:がん細胞代謝酵素プロファイリング
ヒトがん細胞株11種を対象に、主要代謝酵素群約340種を一斉定量分析し、ヒートマップを作成しました。各細胞の由来によって代謝酵素の特徴的な発現パターンを示しており、各がん細胞が生存や増殖するためにどの代謝経路を活性化させているのかを可視化することが可能となります。
またiMPAQT法では、従来のショットガン法に代表される相対定量分析とは異なり、各酵素の発現量を定量値として算出できるため、各パスウェイの中での重要な因子を把握する事が可能となります。
HeLa細胞中の解糖系酵素発現量
各酵素の発現量を算出し、青色円の面積で量的関係を示しました。HeLa 細胞のグルコースの代謝に関わる解糖経路は、入り口が狭く出口が広い構造になっていることが明らかとなりました。
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分析例2:各細胞分裂周期での代謝酵素発現量の比較
HeLa 細胞にthymidine block を使用して細胞周期を同調させ、2 時間毎に細胞を回収して代謝酵素発現量を測定し、各定量値を元にヒートマップを作成した。
DNA 合成期(S 期)は多くの代謝酵素発現が抑制されている(緑色)。また、細胞分裂後成長期(G1 期)に入ると解糖系・TCA サイクルに関する酵素が大きく発現が上昇(白〇部分、赤色)した。
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分析例3:アイソザイム分析
iMPAQTデータベースを活用すれば、アイソザイムなど抗体では非特異反応により定量的な評価が難しい分子も分析することが可能です。抗体性能でお困りの際はご相談下さい。
注)iMPAQTデータベースはヒト組換えタンパク質をベースに構築されているため、リン酸化など修飾タンパク質の分析はできません。あらかじめご了承下さい。
解糖系酵素:ピルビン酸キナーゼ(pyruvate kinase:PKM)のアイソザイムを分析した。
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最新研究事例1
Cancer Cell 誌の論文にて、解糖系酵素ピルビン酸キナーゼ1(PKM1)が小細胞肺がんを典型とする肺神経内分泌腫瘍の増殖に必須である事を明らかにしました。従来まではPKM2 の選択的な発現がWarburg 効果の成立には必須とされており、ほとんどのがん細胞はPKM1 ではなくPKM2 を圧倒的に高く発現するものでした。ところが本論文では、マウスにおける発がん実験や移植モデルにおける解析において、PKM2 よりもPKM1 の方ががんの増殖を促進することを示しており、これまでのがん代謝研究の定説に反証を唱えています。
本論文では、
- PKM1・PKM2 を選択的に発現するマウスモデルを構築し、in vivo での癌増殖現象確認
- メタボロミクス・トレーサー実験により各モデルの代謝メカニズム解明
- 癌細胞移植モデルでの、遺伝子(mRNA)発現とタンパク質発現(ターゲットプロテオミクス:iMPAQT 法)解析による検証を行っており、各種オミクス解析を駆使した研究事例となっています。
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最新研究事例2
Nature communications
A shift in glutamine nitrogen metabolism Contributes to the malignant progression of cancer.
Kodama M., et. al., Nat. Commun., 11(1 ), 1320( 2020).
本論文では、iMPAQT 法を用いてがん細胞の悪性化に伴う代謝酵素発現を網羅的に調べ、グルタミンの窒素をDNA の前駆体に転移するPPAT という代謝酵素が高発現していることを発見し、この窒素代謝シフトががんの悪性化の過程に必須であることを突き止めました。さらに公共データベースから11,000 人におよぶがん患者のメタアナリシスを行い、PPAT が1,200 種のヒト代謝酵素の中で最もがん患者の死亡リスクを高める因子であることも明らかとなりました。タンパク質レベルでの網羅的な解析結果からメタアナリシスによる遺伝子発現レベルでのデータ検証、さらにはメタボロミクスによるフラックス解析を含めた、『トランスオミクス解析』を実現した研究事例です。
がん悪性化で生じるグルタミン窒素代謝シフト
悪性化がんではグルタミン窒素代謝シフトが亢進しており、その代謝シフトを直接的に制御するPPAT が難治性の小細胞肺がんをはじめとした多くの悪性化がんの効果的な治療標的となる可能性が
示されました。
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関連文献
1. Matsumoto, M., et al., "A large-scale targeted proteomics assay resource based on an in vitro human proteome.", Nat. Methods, 14 (3), 251~258 (2017).
2. Morita, M., et al., "PKM1 Confers Metabolic Advantages and Promotes Cell-Autonomous Tumor Cell Growth.", Cancer Cell, 33 (3), 355~367 (2018).
3. Yoshino, H., et al., "PHGDH as a Key Enzyme for Serine Biosynthesis in HIF2α-Targeting Therapy for Renal Cell Carcinoma.", Cancer Res., 77 (22), 6321~6329 (2017).
4. Morita, M., et al., "PKM1 Confers Metabolic Advantages and Promotes Cell-Autonomous Tumor Cell Growth", Cancer Cell., 33 (3), 355~367 (2018).
5. Kodama, M., et al., "A shift in glutamine nitrogen metabolism contributes to the malignant progression of cancer.", Nat. Commun., 11 (1), 1320 (2020).
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サービス概要
測定機器
QTRAP® 6500 システム(SCIEX社)
ACQUITY UPLC H-Class システム(Waters社)
測定試料
ヒト培養細胞
ヒト凍結組織
ゼノグラフトなど、ヒトサンプルを移植した組織
ヒト白血球、赤血球などの血球成分(お客様にて各血球を単離した場合のみ)
エクソソーム(お客様にてエクソソームを単離したサンプルの場合のみ)
※ その他の試料につきましては、お問い合わせ下さい。
お送りいただく試料の調製について
培養細胞:PBSで洗浄した培養細胞をペレットにし、-80℃以下で凍結保存
組織:30~50 mg程度にカットし、専用のマイクロチューブに入れ-80℃以下で凍結保存
※ 試料調製法については、お問い合わせ下さい。
測定可能項目
①ヒト主要代謝酵素:約340種
②ヒト免疫応答関連タンパク質:約370種
※ 測定するタンパク質パネルのリストはKPSLホームページからダウンロード可能です。なお、パネル内容は予告なしに変更する場合があります。試料をお送りいただく前にご確認下さい。
カスタム分析サービスについて
特定のタンパク質のサブタイプ分析や、良い抗体がなくWestern blotなどで検出できずに困っていませんか。
iMPAQTデータベースは、18,000種のタンパク質の分析メソッドデータベースがあるため、個別分子のカスタム解析も可能です。詳細はお気軽にお問い合わせ下さい。
納品物
納期の目安
試料受領より2か月程度
カスタム分析の場合は、標準品の納品と試料受領の完了から2か月程度
ご注意事項
本受託サービスでは、標準品として合成ペプチドを用いて分析を行うため、得られる定量値は合成ペプチド換算の値となります(前処理工程でのタンパク質の精製や、酵素消化効率は反映されておりません)。また、定量値は添加した内部標準ペプチド濃度から算出した(一点検量線での)値となります。あらかじめご了承下さい。
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価格
※ ご依頼内容により価格は変動いたします。ホームページのお問い合わせフォームか、お電話にてお問い合わせ下さい。
※ 尚、以下のような条件の場合は、価格が変動する場合があります。
- 検体数が多い場合、少ない場合(多い場合、ボリュームディスカウントが可能です)
- 特殊な前処理が必要な場合
- カスタム分析(代謝酵素パネル以外の特殊分析)の場合
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ご注文方法
※ 価格は、ご依頼内容に応じて個別にお見積もりいたします。詳細は、当社受託特注品業務担当までお気軽にお問い合わせ下さい。
メーカーインタビュー:タンパク質を大規模定量分析する技術を産学連携でご提供
九州プロサーチLLP は、(株)産学連携機構九州(九大TLO)と、(株)LSI メディエンスとの共同出資により設立された有限責任事業組合です。医学検査・分析の知識・技術を活用し、研究開発および研究支援を行っています。九州プロサーチLLP が産学連携で技術の実用化に至るまでのお話を伺いました。 |
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