HOME> 試薬> 天然物/有機化合物/糖質> 天然物/有機化合物> その他の有機化合物/阻害物質> 強力かつ高選択的なAKR1B10阻害物質HCCFA(AKR1B10 Inhibitor)
HOME> 試薬> 天然物/有機化合物/糖質> 天然物/有機化合物> 低分子化合物> 強力かつ高選択的なAKR1B10阻害物質HCCFA(AKR1B10 Inhibitor)

類似構造のAKR1B1(AR)の阻害活性が低い 強力かつ高選択的なAKR1B10阻害物質HCCFA(AKR1B10 Inhibitor)

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:67646

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

HCCFAはアルドケト還元酵素(aldo-keto reductase, AKR)1B10を強力かつ選択的に阻害する化合物です。

本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
本製品は富山大学大学院理工学研究部(工学)生命融合科学教育部の豊岡尚樹教授、和漢医薬学総合研究所の早川芳弘教授、岐阜薬科大学生命薬学大講座生化学研究室遠藤智史講師、松永俊之准教授、五十里彰教授らの研究グループ(2017年当時)による共同研究の成果をもとに、フナコシ(株)が製品化し、販売しています。

HCCFAによるAKR1B10とAKR1B1(AR)の阻害曲線

図をクリックすると拡大します(拡大図

HCCFAによるAKR1B10とAKR1B1(AR)の阻害曲線

リコンビナント酵素を用いてAKR1B10阻害物質HCCFAの阻害活性を測定した。AKR1B10とAKR1B1(AR)に対する50%阻害濃度から、HCCFAが強力かつ選択的にAKR1B10を阻害していることがわかる。

まとめ買いバナー

  ☞ 価格表へ  

AKR1B10とその阻害物質について

アルドケト還元酵素(aldo-keto reductase, AKR)スーパーファミリーの1員であるヒト AKR1B10 は分子量36 kDaの単量体のNADPH依存性還元酵素であり、レチノイドやイソプレノイド代謝および脂質過酸化由来カルボニル化合物の解毒などに関与しています。2005年に非小細胞肺がんでの高発現が報告されて以来、喫煙由来非小細胞肺がん、肝がん、子宮がん、胆管がんなど多くのがん種でAKR1B10が高発現していることが報告されてきました。そのため、AKR1B10の阻害物質は抗がん剤開発の新規ターゲットとして注目されています。

AKR1B10はアルドース還元酵素AKR1B1(別名aldose reductase, AR)と70.6 %のアミノ酸配列相同性を示し、構造や基質特異性も極めて類似しています。AKR1B10を阻害する化合物の多くがAKR1B1も同程度阻害してしまうため、それぞれの酵素を選択的に阻害する化合物が探索・創製されてきました。HCCFAはそのような過程で創製された化合物であり、AKR1B10を強力かつ選択的に阻害します。

製品概要

  • 化合物名:7-Hydroxy-2-oxo-2H-chromene-3-carboxylic acid [3-(4-fluorophenyl)propyl]amide
    またはN-[3-(4-fluorophenyl)propyl]-7-hydroxy-2-oxo-2H-1-Benzopyran-3-carboxamide
  • CAS番号:2136579-33-2
  • 分子式:C19H16FNO4
  • 分子量:341.33
  • 融点:207~209℃ (再結晶溶媒:EtOH)
  • 可溶性:DMSO(10~20 mMの濃度でストック溶液を調製できる事を確認しています。)
HCCFA(AKR1B10 Inhibitor)の化学構造

図をクリックすると拡大します(拡大図

HCCFA(AKR1B10 Inhibitor)の化学構造

参考文献

  • Endo S., et al., J. Med. Chem., 60:8441-8445 (2017).

  ☞ 価格表へ  



目次に戻る

特長

  • AKR1B10を強力に阻害する化合物です。
  • AKR1B1の阻害活性が低く、AKR1B10を高選択的に阻害します。
  • in vitro、in vivo どちらにも使用できます。
  • AKR1B10の阻害を介して肺がん細胞の遊走能、増殖能や転移能を抑制するだけでなく、非小細胞肺がんの治療に用いられるシスプラチンに対して耐性能を獲得した肺がん細胞のシスプラチン感受性を回復させることが確認されています。

  ☞ 価格表へ  


目次に戻る

がん細胞とAKR1B10について

紫外線や喫煙などによる慢性的な酸化ストレスの暴露は、発がんと密接に関係していると言われています。

がん細胞は自身が誘導する酸化ストレス環境に適応するため、細胞が備え持つ防御機能を利用し、さらなる増殖・転移能や薬剤耐性能を獲得します。このようながん細胞の生存戦略の一つとしてNrf2シグナルがあり、がん細胞においてNrf2が高頻度に活性型変異を起こしていることや、活性型がん遺伝子産物がNrf2発現レベルを亢進させていることが報告されています。

AKR1B10はNrf2シグナルの下流に位置する抗酸化酵素です。正常組織では主にヒトの腸や副腎に分布しますが、喫煙由来非小細胞肺がん、肝がん、子宮がんや胆管がんなど多くのがん種で高発現しています。がん細胞においてAKR1B10は、レチナールやイソプレノイドの還元により細胞増殖能を亢進させ、反応性アルデヒドの解毒により細胞生存や抗がん剤耐性化を促進させます。このようながん細胞の生存戦略を破綻させるAKR1B10阻害物質は、抗がん作用に加えて抗がん剤耐性化克服作用をも併せ持つ、新規の抗がん剤としても注目されています。

阻害物質HCCFAがん研究

図をクリックすると拡大します(拡大図

  ☞ 価格表へ  



目次に戻る

がん研究におけるAKR1B10阻害物質HCCFAの製品使用例

肺がんA549細胞の遊走能に及ぼす影響

創傷治癒アッセイ(Wound healing assay)を行った。
単層培養したA549細胞に10μlチップ先端で創傷を作り、DMSO(コントロール)またはHCCFA 20μMを含む培地で24時間培養した。HCCFAがA549細胞の遊走能・増殖能を抑制していることが示された。

肺がんA549細胞

図をクリックすると拡大します(拡大図

0時間後と24時間後の明視野画像。DMSO含有培地でもHCCFA含有培地でも、24時間後に創傷サイズは減少していることがわかる。

肺がんA549細胞

図をクリックすると拡大します(拡大図

A549細胞の遊走距離は、DMSO処理時を100%としたときHCCFA処理時は約76%であった。HCCFAがA549細胞の遊走能を抑制していることがわかる。

  ☞ 価格表へ  


マウス尾静脈肺転移モデルにおけるA549細胞の転移能に及ぼす影響

静脈肺転移モデル

図をクリックすると拡大します(拡大図

マウス尾静脈肺転移モデルにおけるA549細胞の転移

ホタルルシフェラーゼ遺伝子を導入したA549-Luc細胞を、DMSO(コントロール)または20μM HCCFA含有培地で24時間培養し、BALB/cヌードマウスの尾静脈に注入した。4日後、マウスの肺におけるルシフェラーゼ発光を測定した。HCCFAによるA549細胞の増殖・転移能の抑制効果がin vivo で確認された。

  ☞ 価格表へ  


CDDP耐性細胞におけるCDDP感受性の回復

CDDP耐性細胞

図をクリックすると拡大します(拡大図

WST-1アッセイを用いたシスプラチン感受性評価<

A549細胞にシスプラチン(CDDP)を2ヶ月間投与し、シスプラチン耐性を持ったA549細胞CDDP-R-A549細胞を樹立した。A549細胞およびCDDP-R-A549細胞を0~40μMのHCCFAで2時間処理した後、CDDP 40μMを含む培地で24時間培養した。HCCFAはCDDP-R-A549で低下したCDDP感受性を濃度依存的に回復させることが示された。


目次に戻る

価格表

[在庫・価格 :2024年04月26日 00時00分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
詳細 商品名
  • 商品コード
  • メーカー
  • 包装
  • 価格
  • 在庫
  • 法規制等
納期 文献数
HCCFA <AKR1B10 inhibitor>
1週間程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
強力かつ高選択的なAKR1B10阻害物質(IC50=3.5 nM)。構造や基質特異性がAKR1B10に類似しているAKR1B1(AR)の阻害活性は低い。化学式:C19H16FNO4,純度:≧98% by HPLC
CAS No:2136579-33-2
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2022年11月15日号 p.22
ニュース2020年10月1日号 p.17

製品記事
関連記事 強力かつ高選択的なAKR1B10阻害物質 HCCFA 販売開始のお知らせ

[在庫・価格 :2024年04月26日 00時00分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。

HCCFA <AKR1B10 inhibitor>

文献数: 0

説明文 強力かつ高選択的なAKR1B10阻害物質(IC50=3.5 nM)。構造や基質特異性がAKR1B10に類似しているAKR1B1(AR)の阻害活性は低い。化学式:C19H16FNO4,純度:≧98% by HPLC
CAS No:2136579-33-2
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2022年11月15日号 p.22
ニュース2020年10月1日号 p.17

製品記事
関連記事 強力かつ高選択的なAKR1B10阻害物質 HCCFA 販売開始のお知らせ

目次に戻る

お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
表示価格に、消費税等は含まれていません。一部価格が予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承下さい。