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安定した明滅(blinking)を維持でき、繰り返しイメージングできます! 超解像イメージング用バッファーEverspark 1.0 /Everspark 2.0

掲載日情報:2024/03/13 現在Webページ番号:67487

Ready-to-useの超解像イメージング用のバッファーです。本製品で適切に封入した試料は数週間にわたり安定しており、繰り返しの超解像イメージング(dSTORM、PALM、MINFLUX、HiLo & TIRF)が可能です。また、マルチカラー(蛍光多重染色)イメージングにも対応しています。
Everspark 2.0は、緑色蛍光色素での解析ができるようになりました。

本製品は、フランスのリヨン第1大学、国立科学研究センターなどの研究者によって開発された技術をIdylle社が製品化したものです。
(Provost, A., et al., "Innovative particle standards and long-lived imaging for 2D and 3D dSTORM.″ Sci. Rep., 9(1), 17967(2019). PMID:31784555
超解像顕微鏡観察時のスケール校正に有用な遠赤色または緑色の蛍光色素でコーティングされたポリマー粒子の単分散懸濁液SpheroRulerについてはこちらをご覧下さい。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


Eversparkのパッケージ

従来の超解像イメージング法dSTORM用バッファー(GLOXバッファー)の問題点

超解像イメージング法の一つDirect stochastic optical reconstitution microscopy(dSTORM)では、バッファー中の酸素が観察に悪影響を及ぼすことが知られています。そのためdSTORM用バッファーはチオールおよび脱酸素酵素システムとして、カタラーゼ、グルコースおよびグルコースオキシダーゼを含んだGLOXバッファーが用いられています。しかしGLOXバッファーでは、含まれる酵素による脱酸素作用と共にバッファーの急速な酸性化が起こるため、蛍光色素の光退色が短時間(2~3時間程度)に起こり、試料調製後は速やかな観察が必要でした。


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Eversparkの特長

  • 超解像イメージング(dSTORM、PALM、MINFLUX、HiLo、TIR)用バッファーです。
  • 本製品で封入した試料は3~4週間保存が可能で、繰り返し超解像イメージングが可能です。
  • 蛍光色素の明滅を促進し、SMLM(Single-molecule localization microscopy)利用を可能にします。
  • さまざまな色素:Janelia Fluor 646(JF 646)、Janelia Fluor 549(JF 549)、Alexa Fluor 647(AF 647)、CF 647、DyLight 550(DL 550)、CF 568、DyLight 650(DL 650)、CF 680、Sulfo-Cy5、mEos2などで検証済みです。詳細は「Everspark 1.0とEverspark 2.0の比較」をご参照下さい。
  • マルチカラー(蛍光多重染色)イメージングに適用可能です。
  • Ready-to-useです。

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Everspark 1.0とEverspark 2.0の比較

品名 Everspark 1.0 Everspark 2.0
波長レンジ 黄色近赤外 緑色黄色近赤外
実績のある蛍光色素 Janelia Fluor 549, DyLight 550, CF 555,
CF 568, Alexa Fluo 568, Janelia Fluor 646, Alexa Fluo 647, CF 647, Atto 647N, DyLight 650, CF 680, Cy5
Alexa Fluo 488, MemBright 488, FITC, FAM, Spy555, CF 568, Alexa Fluo 647
蛍光多重染色 蛍光色素2色を推奨 蛍光色素3色を推奨
適する用途

黄色から近赤外までのほとんどの蛍光色素と互換性を有する。一般的に使用されている蛍光色素を用いた超解像イメージングを、高品質かつ長時間明滅させたい場合に適する。

緑色から近赤外までの幅広い蛍光色素に対応し、より多くの近赤外色素の局在化を示す。蛍光色素3色を用いた超解像イメージング実験で、長時間の明滅が必要な場合や、空間画像解像度を高めてイメージの構築を容易にしたい場合に適する。

明滅現象 +++
光退色および明滅の安定性 封入後、最長2か月まで 封入後、最長3.5か月まで
Everspark 2.0を用いて緑色蛍光色素でイメージングを行う場合、良好な結果を得るには出力200 mWを超える488 nmレーザーを、理想的には出力500 mWのレーザーの使用をお勧めします。

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プロトコル

Eversparkを用いた封入にはWillCo-dish Glass Bottom dishもしくはDepression slidesをご使用下さい。
Eversparkは使用する直前に開封して下さい。開封後、シーリングまでの作業は1分以内に行って下さい。

ビデオプロトコル

WillCo-dish Glass Bottom dish

Depression slide

必要な材料・消耗品などの例(1スライド分)

必要な材料・消耗品などの一例です(クリックで開閉します)
  • Everspark 1バイアル
  • WillCo-dish Glass Bottom dish×1もしくはDepression slide×1
  • カバーガラス(25 mm)
  • ピペットチップ
  • マイクロピペット
  • シリンジ×3
  • キムワイプ
  • ピンセット

プロトコル(前準備:WillCo-dish Glass Bottom dish)

前準備:WillCo-dish Glass Bottom dish(クリックで開閉します)

1. WillCo-dish Glass Bottom dishを1~2 mlの滅菌水で洗浄する。

操作ステップ1

2. 余分な水をすべて除去する。

操作ステップ2

3. シーリング剤の準備:1 mlのSealant catalyst(青色)をシリンジで取り、別の新しいシリンジで取ったSealant basis(黄色)を加える。
  マイクロデッシュの中でピペットチップを用いて混合する。
使用後、シーリング剤のバイアルはしっかりとフタを締める。

操作ステップ3
※ シーリング剤は混ぜると数分以内に重合反応が進みますので、速やかにこの後の工程に進んで下さい。

プロトコル(試料の封入とシーリング:WillCo-dish Glass Bottom dish)

試料の封入とシーリング:WillCo-dish Glass Bottom dish(クリックで開閉します)

4. Eversparkのバイアルを数秒間遠心する。
※ Eversparkによる封入は、バイアル開封からシーリングまで1分以内で実施して下さい。

5. Eversparkのバイアルを開封し、WillCo-dish Glass Bottom dishに必要量をピペットですみやかに添加する。

操作ステップ5
ステップ5のコツ

バッファーがディッシュの中でドーム状になるようにすると、その後気泡ができにくくなります。


6. カバーガラスをスライド面に向け、Eversparkで満たされたcavityに気泡ができないように置く。
このとき、cavity全体をきちんと覆うように注意する。

操作ステップ6

7. カバーガラス側面の余分なEversparkバッファーをキムワイプで吸い取る。

操作ステップ7

8. カバーガラスをピンセットで非常にソフトに押して気泡を抜く。
  カバーガラス側面の余分なEversparkバッファーをキムワイプで吸い取る。

操作ステップ8

9. 混合したシーリング剤を用いてすばやくシールする。
シリンジを用いて作製したシーリング剤をディッシュに回転させるように添加する。

操作ステップ9

10. シーリング剤が重合するまで3分間待つ。
  シリンジやマイクロデッシュの中でシーリング剤が重合していることを確認する。

操作ステップ10

11. 開封したEversparkバッファーバイアルを廃棄する。
※ 一度開封したものは他のスライドに使用しないで下さい。


12. 気泡がないことを確認して下さい。

操作ステップ12

プロトコル(イメージング:WillCo-dish Glass Bottom dish)

イメージング:WillCo-dish Glass Bottom dish(クリックで開閉します)

13. イメージング直前に70%エタノールでガラスボトムディッシュを優しく拭く。
封入後、イメージング前に数時間待つとより良い結果が得られます。
気泡がなければ(適切に封入できれば)同じスライドで最大3週間まで画像取得を繰り返すことができます。


14. 同じスライドで画像取得を繰り返す場合は、スライドを4℃、暗所で保存して下さい。
最大3週間保存可能です。

蛍光の明滅はJF 646、ATTO647、JF 549、AF 647、CF 647、DL 550、CF 568、CF 535ST、DL 650、CF 680、SulfoCy5およびmEos2で検証済みです。



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使用例

Everspark 2.0を用いた多重染色三次元dSTORMイメージングによる共局在

3色三次元dSTORMイメージング1

画像をクリックすると拡大します

3色三次元dSTORMイメージング2

画像をクリックすると拡大します


中心体タンパク質Cep152、ルートレチン、および PCMを、それぞれAF 647、CF 568、AF 488 で標識した。Everspark 2.0バッファー中でVutara VXL (Bruker Corporation)を用いてイメージングし、3D-dSTORM構築を行った。
画像提供:Dr. Karine Monier(CNRS, Unversity Lyon)


Everspark 2.0を用いたAF488蛍光色素のdSTORMイメージの構築

緑色チャネルdSTORMイメージング

画像をクリックすると拡大します

AF 488でコーティングされたビーズを、Everspark 1.0またはEverspark 2.0バッファー中でVutara VXL (Bruker Corporation) でイメージングし、3D-dSTORMの構築を行った。
画像提供:Dr. Karine Monier(CNRS, Unversity Lyon)


Eversparkを用いた長期保存スライドのdSTORMイメージング(Everspark 1.0)

長期イメージングの例

画像をクリックすると拡大します

左図:封入0日目(D0)と7日目(D7)の同一スライド上の中心体の画像

蛍光色素:AF 647、細胞:RPE-1細胞。
450 nmのドーナツ状の中心体の典型的な構造を、局在精度(nm)に応じてIgor Proで色分けして可視化した。

右図:中心体あたりの明滅数(左)と局在精度(nm)の中央値(右)
画像提供:Mr. Corentin Rousset and Dr. Karine Monier(CNRS, Unversity Lyon)


Everspark 1.0を用いた成熟中心体のドーナツ様構造のdSTORMイメージの構築

中心体データ

画像をクリックすると拡大します

紫の点は中心体タンパク質の蛍光像の重心を表す。
蛍光色素:AF 647、細胞:RPE-1細胞
画像提供:Mr. Corentin Rousset and Dr. Karine Monier(CNRS, Unversity Lyon)



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Everspark 1.0と2.0のFAQ

Everspark 1.0とEverspark 2.0のFAQです(クリックで開閉します)


Q-2. Eversparkで封入すると、明滅はどのくらいの期間安定化されますか?
A-2. 封入後2か月間、Everspark 2.0の使用時は封入後3.5か月間、超解像イメージングで一般的な蛍光色素の明滅現象が維持されます。この期間内にバッファーを交換する必要はありません。






























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使用文献

  1. Li, C., et al., "Dia2 formin controls receptor activity by organizing plasma membrane lipid partitioning at the nanoscale.", bioRxiv (2023). DOI: 10.1101/2023.12.15.571857.
  2. Ruglioni, M., et al., "Nanoscale engagement and clusterization of Programmed death ligand 1 (PD-L1) in the membrane lipid rafts of Non-Small Cell Lung Cancer cells.", bioRxiv (2023). DOI: 10.1101/2022.08.09.503318.
  3. Dibsy, R., et al., "HIV-1 diverts cortical actin for particle assembly and release.", Nat. Commun., 14(1), 6945 (2023). [PMID: 37907528]
  4. Fabre, L., et al., "Fluorescent Polymer-AS1411-Aptamer Probe for dSTORM Super-Resolution Imaging of Endogenous Nucleolin.″, Biomacromolecules, 23(6), 2302~2314(2022). [PMID:35549176]
  5. Michalik, S., et al., "Comparative analysis of ChAdOx1 nCoV-19 and Ad26.COV2.S SARS-CoV-2 vector vaccines.″, Haematol., 107(4), 947~957(2022). [PMID:35045692]
  6. Trouve, J., et al., "Metabolic biorthogonal labeling and dSTORM imaging of peptidoglycan synthesis in Streptococcus pneumoniae.", STAR Protoc., 2(4), 101006 (2023). [PMID: 34977669]
  7. Greinacher, A., et al., "Insights in ChAdOx1 nCoV-19 vaccine-induced immune thrombotic thrombocytopenia.″, Blood, 138(22), 2256~2268(2021). [PMID:34587242]
  8. Szikora, S., et al., "Superresolution Microscopy of Drosophila Indirect Flight Muscle Sarcomeres.″, Bio Protoc., 10(12), e3654(2020). [PMID:33659324]
  9. Cavarocchi, E., et al., "Identification of IQCH as a calmodulin-associated protein required for sperm motility in humans.", iScience, 26(8), 107354 (2023). [PMID: 37520705]

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キット内容

  • Everspark 450 μl×10バイアル
  • Sealant catalyst
  • Sealant basis

Everspark専用のシーリング剤が付属します。


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価格

[在庫・価格 :2025年04月26日 00時00分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
詳細 商品名
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  • 価格
  • 在庫
  • 法規制等
納期 文献数
Everspark 1.0
3~4週間 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
  • メーカーサイト
  • お問い合わせ
説明文
超解像イメージング用バッファー。専用のシーリング剤が付属する。
法規制等
保存条件 4℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年7月1日号 p.27

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Everspark 1.0

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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