化学酵素的（Chemo-enzymatic）技術により合成されたN-グリカン N-グリカン（N-Glycan、N-結合型糖鎖）

（1）発見と背景

GlcNAcβ1-Asn結合は、免疫グロブリンなどの血清中に存在する豊富な糖タンパク質の生化学的分析によって最初に発見されました。N-結合型糖鎖は、その立体構造、溶解性、抗原性および糖鎖結合タンパク質による認識を含む糖タンパク質の多くの特性に影響を与える重要な分子です。真核生物や古細菌に主に存在し、まれに細菌にも存在することが知られています。N-グリカンは、細胞生物学においては糖タンパク質を局在化や細胞を介するモニタリングにおけるタグとして用いられます。また、N-グリカン合成の欠陥は、多様なヒトの疾患への関連が報告されています。

（2）N-結合型糖鎖（N-グリカン、N-Glycans）の生合成

リン酸化ドリコール (Dol-P：Dolichol phosphate)

ドリコール（Dlichol）は、5炭素イソプレン単位が直線的に結合したポリイソプレノール脂質で、リン酸化ドリコール（Dol-P）は、N-結合型糖鎖の合成に用いられる。ドリコール中のイソプレン単位数は細胞内、細胞型と生物間で異なっており、一般的な酵母ドリコールでは14イソプレン単位を持つ一方で、哺乳類などの真核生物由来のドリコールは最大19イソプレン単位まで持つことが知られている。

小胞体におけるDolichol-P-P-GlcNAc 2 Man 9 Glc 3の合成

ER膜の細胞質面上に位置するドリコールリン酸（Dol-P）は、細胞質中のUDP-GlcNAcからGlcNAc-1-Pを受け取りDol-P-P-GlcNAc（図赤線囲み部）を生成する。Dol-P-P-GlcNAcは、Dol-P-P-GlcNAc2Man5（図橙線囲み部）に伸長され後にER膜を横切って内腔側に反転される。 ER膜の内腔面には4つのマンノース残基が追加され、Dol-P-Manからは3つのグルコース残基がDol-P-Glcから追加され、Glc3Man9GlcNAc2（図矢印部）が生成される。Dol-P-ManおよびDol-P-Glcも、ERの細胞質面上に作製されて内腔面上に反転される。

N-結合型糖鎖のプロセッシングと成熟化

小胞体で成熟したGlc3Man9GlcNAc2Asn（図赤線囲み部）は、小胞体内のグルコシダーゼで3分子のグルコース残基が切断されてオリゴ（高）マンノース型N-グリカンのMan9GlcNAc2Asn（図橙線囲み部）へ変換される。マンノシダーゼによりこの分子から1分子のマンノースが切断され、糖タンパク質の正常なフォールディングを経てMan8GlcNAc2Asn（図青線囲み部）に変換された場合は、ゴルジ体に輸送されてさらなる修飾を受けて多様な複合体型やハイブリッド型のN-グリカンに変換される。これらの反応は、レクチンのカルネキシンおよびカルレティキュリンによる糖タンパク質の折りたたみと密接に関連しており、糖タンパク質がゴルジ体移行しさらなる修飾が続けられるか、または分解されるかが決定される。