ボツリヌス神経毒素（ボツリヌストキシン） Botulinum Neurotoxin（List Biological Laboratories社）

ボツリヌス神経毒素 （BoNT） は、BoNT/A、BoNT/Bとアルファベット順に続く複数の血清型または毒素型があります。これらの神経毒素は、神経毒素と非毒性の非ヘマグルチニン （NTNH） およびいくつかの追加のヘマグルチニン （HA） で構成される大きなタンパク質複合体として産生されます。

神経毒素は、150 kDaのタンパク質で、ニッキング （タンパク質分解切断） によって活性化されると、酵素活性に関与する約50 kDaの軽鎖（LC）ドメイン、および細胞標的への結合と転座の両方に関与する100 kDaの重鎖（HC）ドメインを形成します。すべてのボツリヌス毒素は共通して、ニューロンから筋肉へのメッセージ送達する小胞融合の機構を無効化することによって筋肉麻痺を引き起こします。ボツリヌス毒素の軽鎖は亜鉛依存性のプロテアーゼで、小胞の融合に関与する特定のタンパク質を標的として、特定の位置で異なるSNAREタンパク質を切断します。これにより、神経伝達物質を含む小胞がシナプスに付着し、その内容物を送達できなくなることで麻痺が起こります。

ボツリヌス神経毒素A、C、およびE型は、異なる部位でシナプトソーム関連タンパク質（SNAP-25）を切断します（ボツリヌス神経毒素C型はシンタキシンも切断）。VAMPまたはシナプトブレビンと呼ばれる別のタンパク質は、ボツリヌス神経毒素素B、D、FおよびG型の標的です。各毒素は、タンパク質の異なる位置でを切断します。神経毒素活性の最終的な結果は同じで、すべての血清型において小胞を含む神経伝達物質は無効になり、筋肉麻痺を引き起こします。

ボツリヌス神経毒素A型は、シナプス小胞タンパク質（SV2）として知られる膜タンパク質と、ニューロンに豊富に存在するガングリオシドの両方に結合する可能性があります。この2つの結合は血清型間で共通しており、神経毒素の結合においてガングリオシドと特定のタンパク質または第2のガングリオシドがともに機能します。ボツリヌス神経毒素は標的の特異性に加え、2つの特定のレセプターを結合する選択的な性質により、神経による筋肉の制御を無効にする正確なツールになります。

ボツリヌス菌神経毒素は、人類が知る中で最も有毒な毒素の1つであり、厳格な規制に従って保有・管理されます。List Biological Laboratories社では、ボツリヌス菌毒素A、B、およびE型をネイティブ培養（ボツリヌス菌の培養）で産生し、D型をは組換え体として産生します。天然のボツリヌス神経毒素は、1つまたは複数の非毒性の神経毒素関連タンパク質（NAP）およびヘマグルチニンと複合体を形成します。神経毒素と補助タンパク質の特異的な凝集体は、毒素複合体と呼ばれます。毒素複合体はpHが中性またはわずかに塩基性の環境にある場合、解離して神経毒素を放出します。