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CELLnTEC社細胞培養についてのFAQ

掲載日情報:2020/08/14 現在Webページ番号:80564

CELLnTEC社細胞培養についてのFAQ

Q-1. なぜ推奨播種密度が重要なのですか?

A-1. 細胞の密度がin vitroでは成長に大きな影響を与えるためです。 細胞は培地中に様々な因子を分泌することによって細胞が成長するのに適した状態(環境)に、増加した細胞間の接触は様々な細胞膜受容体を刺激します。この状態(環境)を構築させるために必要な細胞播種密度があります。
全ての培地と細胞には最低播種密度があり、それ以下だと細胞接着率や成長率が低下してしまいます。
そのためCEL社全ての培地には様々な試験により確認された、細胞が良く接着し増殖するための推奨播種密度を設けています。 逆に播種密度が高すぎると頻繁に継代を行わなければならず、またコロニー形成も困難となるために弊害が生じます。推奨播種密度はこちら「Recommended Protocols」からダウンロードできます。


Q-2. 細胞の正しいインキュベーション温度は何度ですか?

A-2. 細胞は5%CO2濃度下35℃~37℃で培養できます。
皮膚から分離された表皮ケラチノサイトは35℃での培養が生理的に適していると考えられていますが、35℃よりも37℃での培養の方が細胞の成長は若干早いようです。


Q-3. 前駆細胞ではなく初代上皮細胞の培養をしたいのですが、CEL社のProgenitor Cell Targeted (PCT)成分を含むPrime培地を使用できますか?

A-3. はい、増殖する細胞集団を含む全ての初代細胞の培養に使用可能です。PCT成分を含むPrime培地は前駆細胞の分離を改良するように作られていますが、初代細胞培養の確立や長期維持にも理想的で適しています。


Q-4. なぜCEL社の培地には初代細胞の分離用と増殖・分化用の異なる培地が用意されているのですか?

A-4. CEL社のユニークなPrime培地は特に細胞の増殖能を維持しつつ、分化を遅らせるように作られています。よって、このような培地は細胞を分化させたい場合には不向きです。この理由からCEL社では分化誘導用にnon-PCTタイプの培地を提供しています。分化プロトコルはこちら「Recommended Protocols」ご確認下さい。


Q-5. CEL社の培地はどの位の濃度のカルシウムを含んでいますか?

A-5. Prime培地は上皮細胞の分離と培養に適した理想的な低濃度のカルシウムを含んでいます。カルシウム濃度を調整する必要はありません。お客様の実験系においてカルシウム濃度を下げる必要がある場合には、カルシウムフリーの培地をご利用下さい。カルシウムフリー培地は、細胞を成長させ、接着させるためにカルシウムを添加する必要があります。


Q-6. 接着した単層細胞の剥離にはどの酵素を使用すれば良いですか?

A-6. 細胞の剥離には、穏やかに作用するAccutaseをご利用下さい。トリプシン/EDTAもご使用はできますが、作用が強く、剥離後から過剰消化に至るまでの時間が短くなります。
各酵素には下記のような特徴があります。

  • Accutase:タンパク質分解酵素と甲殻類から単離したコラーゲン分解酵素の混合物であり、哺乳動物由来成分を含みません。細胞剥離の際、ほとんどの細胞表面タンパク質にダメージを与えず、不活化や除去する必要もありませんので、細胞剥離液としてのご使用をお勧めいたします。Accutaseは熱に敏感ですので、4℃保存が必要です。使用前には必要分を20℃で温めて下さい。高温に曝したり、加温と冷蔵を繰り返すと活性が低下しますので、ご注意下さい。
  • トリプシン/EDTA:豚膵臓から分離したトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼといったタンパク質分解酵素を含む溶液で、その活性にはロット間差があり、剥離後は直ぐにFCSやFCS添加培地、トリプシン阻害剤などで不活化する必要があります。トリプシンはAccutaseよりも非常に作用が強いため、不可逆的な損傷を与えないよう反応時間は最小限に留めて、迅速・確実に不活性化を行うよう注意が必要です。

Q-7. 2次元培養と3次元培養の違いは何ですか?

A-7. 2次元培養とは別名 単層細胞培養、接着細胞培養ともいい培地中で細胞を単層培養することを指し、細胞は培地に浸されています。細胞は培地にのみさらされており、未分化のまま特別なフェノタイプで維持させたり、分化誘導させることができます。
対照的に3次元培養では細胞が層を形成し、より分化した構造での培養を指しています。3次元培養はある特定のスフェア状に成長するような低分化細胞の維持や、表皮のような完全に分化した細胞シートの形成にも適しています。3次元表皮培養は、基底層の増殖性前駆細胞から最終分化した非増殖性細胞まで全層に渡る細胞分化を可能にします。


Q-8. CEL社のPrime培地は何度で保存するべきでしょうか?

A-8. Prime培地は、必要な因子が添加された状態で凍結されています。ご使用まで-15℃~-25℃で保管して下さい。ご使用時には4℃で一晩かけて解凍し、解凍後は4℃、遮光にて保管して下さい。培地の中には光に対し非常に敏感なものがあります。


Q-9. 追加の添加物は必要ですか?

A-9. いいえ、細胞培養に必要な全てのサプリメントが提供されますので不要です。抗生物質は含まれませんが、CEL社から購入可能です。(ただしCEL社では初代細胞の通常培養に抗生物質の使用は推奨しておりません。)サプリメントバイアルがある製品は解凍後、希釈せずに基礎培地へピペットにより直接加えて下さい。


Q-10. フィーダー細胞やコートしたプレート、CnT培地を含むコンディションメディウムも使用する必要がありますか?

A-10. いいえ、CnT培地はフィーダー細胞やプレートコート、馴化培地を使用する必要がありません。単離したばかりの初代細胞培養を行う時、1型コラーゲンの様なコーティングにより継代1~2回目までは細胞接着力が改善される場合があります。


Q-11. 添加物を加えた後の保存期間はどれくらいですか?

A-11. 4℃暗所保存で6週間です。また、光に曝す時間露光は最小限に留めて下さい。大抵の培地は露光によって急速に分解してしまいます。サプリメント添加済培地または、一度解凍した培地は凍らせないで下さい。特定のタンパク質に不可逆的な凝集をもたらすことがあります。


Q-12. なぜCEL社は通常の培養で抗生物質や抗真菌剤の使用を推奨しないのですか?

A-12. 初代細胞は抗生物質や抗真菌剤処理に対して繊細です。これらを培地に加えることで増殖率の低下を招いたり、細胞の分化挙動に影響を及ぼすことがあります。 通常使用される抗生物質は、培養過程の熱で急速に分解され、効果のない濃度になることで、薬剤耐性微生物の発生リスクを高めます。
2Dそして3D培養での分化過程にある細胞は非常に繊細であるため、抗生物質の影響を受けてしまいます。
なお初代細胞の分離では、組織が無菌ではないため抗生物質や抗真菌剤が必要になる場合があります。よって、CEL社は第二継代まで抗生物質、抗真菌剤の使用を推奨します。


Q-13. 推奨プロトコルはありますか?

A-13. はい、CEL社では細胞の分離、継代、凍結、トランスフェクション、分化などのプロトコルを幅広く提供しています。こちら「Recommended Protocols」から入手できます。


Q-14. 培地中の成分が影響を与えるかもしれないシグナリングの研究をしているので、培地の組成を教えてもらえませんか?

A-14. 培地における大部分の組成リストはこちら「Medium Formulation」から確認して下さい。完全な組成情報は企業秘密ですが、お客様の研究に関連する成分につきましては個別にお問い合わせ下さい。


Q-15. 研究成果の発表のために、培地の組成を教えてもらえませんか?

A-15. 培地の組成について不明でも科学誌への投稿は可能です。CEL社のウェブサイトでは数多くの使用文献情報を提供しています。加えて、大部分の培地組成についてはこちら「Medium Formulation」でも公開しています。


Q-16. 早い継代が必要な増殖細胞を使用しています。CEL社の培地に直接変えることが可能ですか?

A-16. 現在ご使用されている培地によって異なります。ある培地に適合した細胞が別の培地ではうまく培養できないケースはよくあります。このような場合、細胞を古い培地から新しい培地へ引き離さなければなりません。移行の程度や細胞の増殖率にもよりますが、1~4週間かけて段階的に旧培地の濃度を下げていくことをお勧めします。

4週間で馴化させる場合、新培地/旧培地の比率は20/80%、40/60%、50/50%、60/40%、80/20%、100%という段階で行います。
2週間の場合には25/75%、50/50%、75/25%、100%という段階で行います。
なお、培地の変更は細胞の形態や増殖挙動を変化させることがありますのでご注意下さい。


Q-17. なぜ私の細胞は継代後に成長しないのでしょうか?

A-17. 最も一般的な理由として細胞剥離時のトリプシンが不活化されていないことが挙げられます。過剰なトリプシン処理は細胞に不可逆的なダメージを与えるので、顕微鏡で注意深く観察確認しながら剥離させる必要があります。
CEL社では細胞の継代にAccutaseのような温和な酵素の使用を推奨しています。プロトコルはこちら「Recommended Protocols」からご確認いただけます。


Q-18. 私は成体幹細胞に基づく治療法を開発しています。CEL社の培地は治療目的に使用可能なグレードとして製造されていますか?

A-18. Prime培地には動物・ヒト由来成分が含まれておりません。これは細胞療法への適用を検討する際に重要です。必要に応じ、QCテストを追加することで臨床応用への適合性を高めることも可能です。


Q-19. 私が以前分離しこれまで使用してきた培地で育っていた細胞が、CEL社の培地ではよく育ちません。何が問題でしょうか?

A-19. 初代細胞は特定の細胞培地にすぐ馴化します。それゆえ別の培地に切り替える際には、旧培地から引き離す必要があります。移行の程度や細胞の増殖率に応じて、1~4週間かけて段階的にCEL社培地中の旧培地濃度を下げていくことで対処可能です。詳細は(A-16)をご確認下さい。


Q-20. なぜ私が現在使用している培地に比べて分離効率が低いのでしょうか?

A-20. それには様々な原因が考えられます。最も重要なことは、現在の培地に何が含まれているのかを知ることです。

  • FBSやBPEを含んでいますか?CEL社の培地と現在の培地を対照比較してみましたか?
  • 分離の際にトリプシンを使用しましたか?
  • 分離効率の低さは過剰なトリプシン処理が原因である可能性があります。その場合、これまでに使用されていた培地に含まれるFBSやBPE由来のタンパク質がそのトリプシン処理していたのかもしれません。
  • 他の原因としては、トリプシン処理時間が長すぎたことや、トリプシン濃度が高かったことが考えられます。

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