食品や生体試料中のチロシンを簡便に定量できるキット Tyrosine Assay Kit

チロシン（別名：4-ヒドロキシフェニルアラニン）は、ペプチドやタンパク質の構成要素である20種類のアミノ酸の1つです。チロシンは、受容体型チロシンキナーゼによってフェノール側鎖のヒドロキシル基へリン酸基が転移され、標的のリン酸化タンパク質の活性が変化することにより、シグナル伝達において役割を果たしています。また、チロシンの側鎖は光合成にも関与しており、クロロプラストの光化学系Ⅱ（Photosystem Ⅱ）においてP680のチロシン残基161が酸化型クロロフィルの還元の際に電子供与体として働きます。植物や下等な微生物では、チロシンは前駆体であるプレフェン酸から合成されます。プレフェン酸は脱炭酸反応によりp-ヒドロキシフェニルピルビン酸となり、次いでトランスアミナーゼによりチロシンとα-ケトグルタル酸に変換されます。一方、動物では、必須アミノ酸であるフェニルアラニンからフェニルアラニンヒドロキシラーゼの作用でチロシンが生成されます。チロシンは神経伝達物質の前駆体であり、ノルエピネフリンやドーパミンといった神経伝達物質の血中濃度を高めます。いくつかの研究では、チロシンが睡眠不足や長時間労働、寒冷、疲労などのストレス下において、ストレスホルモンレベルを低下させ、ストレスによる体重減少を抑制することが報告されています。さらに、認知機能や身体的パフォーマンスの改善もヒトで報告されています。