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Salimetrics社 唾液採取ハンドブック
掲載日情報:2025/10/22 現在Webページ番号:72424
Salimetrics社の唾液採取ハンドブックです。
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Salimetrics社について
Salimetrics社は、唾液のバイオサイエンスにおいて信頼できるリーダーであり、世界中の研究者を数十年にわたってサポートしてきた実績があります。比類のない精度を有し高品質な唾液測定キット、採取デバイス、そして測定サービスは、唾液関連のあらゆる研究においてSalimetrics社を最適な選択肢としています。Salimetrics社の測定キットを用いた論文は、他のどのブランドよりも多く発表されており、Salimetric社のソリューションは、この分野のゴールドスタンダードとなっています。比類のない精度と信頼性だけでなく、唾液を扱う際の器材や工程を簡素化し、データの質を向上させることでも研究者から信頼を得ています。試料採取から分析まで、あらゆるステップを合理化し、スムーズで効率的な体験をご提供します。
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Salimetrics社の採取器具について
唾液を正しく採取することは、一貫性と正確性を兼ね備えた結果を得るために不可欠です。Salimetrics社は、採取器具と採取方法のグローバルスタンダードの確立に尽力するとともに、参加者のコンプライアンスを向上させる革新的な方法の開発にも取り組んでいます。Salimetric社の採取器具は、ばらつきを低減または排除するために、綿密に設計され、厳格な試験を実施しており、多様な実験参加者グループにおいて信頼性の高い結果が得られるようになっています。唾液採取器具はすべて同じではなく、コットンや合成スワブのように測定対象に干渉し、データに影響を与える可能性もあります。Salimetrics社の採取器具は、Salimetrics社のすべての測定とシームレスに連携するように設計、製造、検証され、お客様の研究における測定対象に最適な採取器具について明確な情報を提供しています。
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唾液採取ハンドブック 目次
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唾液採取ハンドブック
はじめに
唾液試料は、簡便で、侵襲性が低く、繰り返し採取できます。唾液は複雑で不均一な生体試料であるため、適切に採取しないとデータエラーにつながる可能性があります。ただし、適切な唾液採取および取り扱い手順に従うことで、この種の試料から高品質で再現性のあるデータを取得できます。研究者が唾液試料の完全性を最大限に高めることを支援するために、次のアドバイスを提供します。
- 唾液試料の測定に関する知識は急速に増加し、改訂されています。Salimetrics社の技術チームは、唾液のバイオサイエンスをサポートするという使命の一環として、最新情報を維持し、技術サポートを行っています。
- 測定対象に関する文献を参照することをお勧めします。入手可能な文献が不十分と思われる場合は、予備検討の実施を強くお勧めします。特定の研究に使用する最良の方法を決定するのは、最終的には各研究者の責任です。追加の議論や最新情報については、The Salivary Bioscience Bulletinに登録することをお勧めします。
唾液を採取する前に考慮すべきこと
唾液成分の変動
唾液中の多くの分析対象物の濃度は一定ではなく、さまざまな影響に応じて変化することがあります1~5。試料は個人間でも大幅に異なる場合があります。関心のある分析対象物と研究の性質に応じて、いくつかの要因が重要になる場合があります。
- 採取時間:ほとんどのホルモンは発現に日内変動を示しており、これは特定の唾液タンパク質にも当てはまります。コルチゾールに基づく研究は、特に昼夜サイクルを通じてコルチゾール発現リズムの影響を受け、コルチゾールの日周発現に特化した研究が研究設計の中心となります。分析対象に基づく具体的な推奨事項については、文献を参照、または当社テクニカルサポート(試薬担当)までお問合せ下さい。ほとんどの研究では、測定意義を最大化するために、試料採取は特定の時間または一定期間内に行う必要があります。
| ⓘ | 希望の試料採取間隔が遵守されているか評価できるように、可能な限り採取時間を正確に記録する必要があります。 |
- 反応と回復特性:研究に介入やストレス要因が関連する場合、試料採取は、反応を適切に捉えられるようにタイミングを計る必要があります。これは、数か月にわたる長期間隔の研究や、ストレス反応を測定する実験室ベースのストレス反応の研究に当てはまります。
口腔内の位置による影響(スワブ法のみ)
スワブのような吸収材では、唾液全体ではなく局所的な唾液が採取される場合があり、一部の分析対象では結果に影響を及ぼす可能性があります。α-アミラーゼや分泌型IgAなどのタンパク質の唾液中濃度は、口腔内の位置によって異なります6~8。唾液が溜まる場所に吸収材を置くことをお勧めします。直立した姿勢で座っている成人または小児の場合、口の底(舌の下側)が理想的な場所です。横になっている乳幼児、小児、成人の場合は、頭を横に向け、唾液が「溜まっている」頬の側面から採取することをお勧めします。
流涎によって唾液を採取する場合は、唾液が舌の下に溜まるようにし、唾液をストロー状の採取器具を通してチューブにゆっくりと送り込むことをお勧めします。この試料は、すべての唾液腺から採取された唾液を代表しており、特定の唾液腺から唾液を採取するバイアスを排除できます。
流速の影響
DHEA-Sのような一部の親水性化合物や、分泌型IgAなどのより高分子量のタンパク質などの濃度は、唾液の流速増加とともに低下し、唾液α-アミラーゼも同様に影響を受ける可能性があります9、10。Salimetrics社では現在、α-アミラーゼ、分泌型IgA、DHEA-Sなどの分析対象の場合は分泌速度(ml/min)を考慮するよう推奨しています。
希望量の唾液を採取するのにかかった合計時間を記録し、測定結果に流速(ml/min)を掛けて、結果を分泌速度(単位時間あたりの分泌量)として表します。
例(分泌型IgA):205.60 μg/ml × 1.33 ml/min = 273.45 μg/min
唾液を採取するのにスワブを使用する場合、流量を決定するには、採取前と採取後にスワブと保存用チューブを一緒に計量します。(唾液の密度は、おおよそ1.0 g/mlと想定できます。)また、流速を推定できるように、スワブが口の中に入っている時間の長さも記録します。
| ⚠ | スワブは吸収可能容量に達する前に口から取り出さなければなりません。そうしないと天井効果により流量の推定が不正確になります6。 |
| ⓘ | 唾液量の飽和は特に小さなスワブの場合に問題となり、すぐに限界に達してしまう恐れがあります。すべての実験参加者にとって最適な採取時間を決定するには、予備実験が必要になる場合があります。 |
試料量と唾液分泌刺激物質
現在のイムノアッセイでは少量の試料(100 μl未満)を使用するように設計されており、ほとんどの場合、十分な試料量を採取するために刺激を与えるものは必要ありません。測定に干渉したり、分析対象によっては濃度が変化したりする恐れがあるため、唾液試料を採取する際には、口腔刺激物質の使用は推奨されません11。唾液測定の結果に対する不要な変動源を最小限に抑えることが目標となります。例えば、風味のないパラフィン/ワックスを噛むだけでも、流速依存性の分析対象に影響を与える可能性があります。
- 刺激物質が絶対に必要な場合(刺激物質を使用しないと唾液を採取できない場合)
- 研究期間中は控えめに、かつ一貫して使用して下さい12。
- 口腔刺激物質を使用する前に、嗅覚または視覚刺激の使用を検討して下さい。
- 実際の研究用試料を採取する前に、実験参加者と、手法について練習するようにして下さい。
- 口腔刺激物質が測定や分析対象に干渉しないことを確認するために予備実験を実施して下さい11。
- 試料を収集する前に、分析対象の唾液採取プロトコルを確認するか、実行する測定の数や種類に応じた試料必要量についてお問合せ下さい。
唾液分析とDNA解析の組み合わせ
現在の研究にDNA解析を含める予定がある場合や、将来のDNA解析のために試料を保管する場合、または以前に保管しておいた既存の試料に対してDNA解析を実行する場合は、「DNA解析のための唾液採取」を参照して下さい。
唾液への血液混入
多くの分析対象の濃度は唾液よりも全身を循環している血液の方が高く、特定の状況下では血液の混入が懸念される可能性があります21~24。
- 以下の点にご注意下さい。
- 実験参加者は試料採取前の45分以内に歯を磨いてはいけません23。
- 試料採取前の24時間以内に歯科治療を行わないで下さい。
- 実験参加者は口腔内の健康状態や怪我の有無についてスクリーニングされる必要があります。
- 目に見えて血液が混入した唾液試料は廃棄し、再採取する必要があります22。
唾液採取器具の検討
使用する採取プロトコルが分析対象に適合していることは非常に重要です。一部の分析対象は流涎で採取した試料でのみ測定できます。スワブを使用してこれらの分析物を測定すると、測定される分析対象の回収率が過大または過小になる可能性があります。
すべてのスワブが同じ材質で開発されているわけではなく、唾液検体の採取用に特別に設計されているわけでもありません。スワブ自体の材質が測定対象の回収率に影響を与える可能性もあり、分析対象での測定が検証されているスワブの使用をお勧めします。一部のメーカーでは、コルチゾール専用のスワブを製造しており、コルチゾールの測定のみで検証されています。このスワブを使用してテストステロンなどの別のホルモンを測定すると、誤った結果につながる恐れがあります。コットンをスワブの素材として使用すると、結果が変動する原因になることが文献ですでに実証されているため、一貫した結果が必要な場合には推奨されません。Salimetrics社では、コットンの採取器具のデータが、よく引用されているShirtcliff, E. A., et alの論文(2001)と一致することが多いことが確認されています。ただし、コットンベースの方法では変動性も大きくなり、以下に示すように「真の流涎」での値とは大幅に異なるデータが得られています。

Salimetrics Oral Swab(SOS)で採取した唾液試料は、流涎によって採取した試料とほぼ一致した。N=10。
測定対象物質の完全性の維持
試料を採取する前に、基本的な分析対象の安定性を調べ、保管に関する推奨事項に従うことが重要です。試料を保管するには、高品質なポリプロピレン製の採取器具とバイアルのみを使用して下さい。ポリスチレンやその他の検証されていないプラスチック製の器具は、分析対象の測定値に悪影響を与える恐れがあります。Salimetrics社の採取器具とバイアルはすべて高品質のポリプロピレンで作られています。
Salimetrics社では、すべての試料を採取後すぐに凍結することを推奨しています。これが不可能な場合は、以下のことを考慮する必要があります。
- 不安定な分析対象物の中には室温で急速に変化するものもあります(ペプチドやタンパク質など)。
- DHEA、プロゲステロン、エストラジオールなどの一部の分析対象物については、凍結融解の繰り返しを最小限に抑える必要があります。

3つの異なる温度で96時間保存した場合の唾液エストラジオール濃度への影響(n=10)。
| ⓘ | 生体試料の種類にかかわらず、凍結融解はほとんどの生物学的測定に劇的な影響を及ぼす恐れがあります。原則として、複数回の凍結融解は避けるべきです。複数の分析対象を測定する場合、最も実用的な対処方法は、採取後すぐに試料を分注することです。唾液は粘性が高いため、これは難しい工程になる可能性があり、試料の分注によって分析対象の値がわずかに変わってしまう場合がありますが、凍結融解の劇的な影響を回避するには有益です。1回凍結融解した後に遠心分離して分注すると、粘性が低く、ピペッティングしやすい液体になり、より再現性が高く分注できるようになります。 |
唾液採取前
- 唾液を適切に採取するには、結果に影響を与える可能性のある項目を記録し、イムノアッセイに干渉する可能性のある物質によって唾液が汚染される可能性を避けるため以下のような手順に従う必要があります。
- 唾液試料採取直前には糖分や酸性度の高い食品、カフェイン含有量の多い食品の摂取は避けて下さい。これらは、唾液のpHを下げて細菌の増殖を促進し、測定結果に悪影響を及ぼす可能性があります13、14。
- 過去12時間以内のアルコール、カフェイン、ニコチン、処方薬/市販薬の摂取は記録して下さい15~18。
- 激しい身体活動と口腔内の傷や疾患の存在も記録してして下さい19、20。
- 試料採取前の60分以内はメインの食事を避け、30分以内は一切の食物の摂取を避けて下さい。
- 口腔内の食物残渣を取り除くために水で口をすすいで下さい。試料の希釈を避けるためにすすいでから唾液を採取するまで少なくとも10分間待って下さい。
唾液採取方法:採取方法と器具
- 流涎:ほとんどの研究者は、採取された試料の種類の一貫性を維持するために、流涎により採取された刺激されていない全唾液を使用することを好みます。
- スワブによる唾液採取:スワブを口の中に入れて唾液を採取できるので、使いやすさが向上します。小さな児童や流涎による唾液採取が困難な人を対象とした研究では、実験参加者に適したスワブを用いた採取が必要になる場合もあります。ただし、スワブを使用できる分析対象は限定されます。Salimetrics社のスワブはすべて、同様に、無毒で不活性なポリマーで作られており、すべてのロットで一貫性が確認されているため、長期的および複数の実験参加者によるグループ研究に最適です。
- 適切な唾液採取方法を選択する前に、次の基準を考慮して下さい。
- 実験参加者の年齢と動物種
- 目的の分析対象について検証済みかどうか
- 必要な試料数
- 必要な試料量
- 分析対象が単一もしくは複数かどうか。DNA分析を実施するかどうか。
- 実験参加者自身で唾液を採取するか、もしくは補助が必要かどうか。
- バイオバンクへの寄託と試料の廃棄
- 唾液採取の案内動画はこちらからご確認下さい。
唾液採取方法:成人および6歳以上の児童
流涎による唾液採取
流涎による唾液採取は、コスト効率が良く、ほぼすべての分析対象物での使用が承認されており、試料の完全性を維持するため、強く推奨されます(流涎による唾液採取の手順を参照、メーカーサイトにジャンプします)。実験参加者がバイアルに唾液を垂らすことを望まない、またはできない場合は、Salimetrics Oral Swabを代替採取方法として使用できます。ただし、スワブは特定の分析対象物にのみ使用できます。
分析対象物の保持や汚染物質の混入による問題を回避するために、採取には2 ml Cryovial(Salimetrics社#5004.02)などの検証済みのポリプロピレン製バイアルを使用して下さい。バイアルはしっかりと密閉でき、-80℃までの温度に耐えられ、唾液をクライオバイアルに直接効果的に導くための唾液採取補助具(SCA、Salimetrics社#5016.04)を使用できるように外ネジ(外側にネジ山が切られている)タイプである必要があります。
| ⚠ | バイオマーカー分析のために唾液を採取し、遺伝子分析も行う可能性がある場合は、続行する前に「DNA解析のための唾液採取」を参照して下さい。 |
- 必要な材料:
| ⚠ | 唾液中の分泌型IgAおよびDHEA-Sの濃度は唾液の流速によって影響を受けます。また、α-アミラーゼも影響を受ける可能性があります6、9、10。Salimetrics社メーカーサイト「流量と口腔内の位置の影響」を参照するか、詳細については当社テクニカルサポート(試薬担当)までお問い合わせ下さい。 |
Salimetrics Oral Swab(SOS)
特定の分析対象物(SOSの説明書を参照)については、Salimetrics Oral Swab(SOS、#5001.02)が、その使いやすさから、流涎の代わりとして最適です。SOSは、試料から大きな高分子やその他の粒子状物質を濾過するのにも有用で、分析結果の改善に役立ちます。
| ⓘ | 遠心分離ができない場合は、針なしの5 ccプラスチックシリンジを使用して、採取した唾液をスワブから2 mlのクライオバイアルに絞り出す方法があります。ただし、試料を絞り出す際に試料量にロスが生じます。 |
唾液採取方法:6歳未満の児童(乳児および幼児)
採取器具を口に入れると窒息する可能性があるため、乳児や6歳未満の児童から唾液を採取する場合は特別な配慮が必要です。
Salimetrics Children's Swab(SCS)とSalimetrics Infant's Swab(SIS)
6歳未満の児童には、Salimetrics Children's Swab(SCS、#5001.06)を、6か月未満の乳児には、Salimetrics Infant's Swab(SIS、#5001.08)をお勧めします。
| ⓘ | 長めのSalimetrics Children's Swab(SCS、#5001.06)は、窒息の危険を避けるために、高齢者などご自身での唾液採取が難しい実験参加者らの唾液採取にも使用できます。製品添付された資料の指示に従って下さい。 |
- Salimetrics Children's Swab(SCS):

- Salimetrics Infant's Swab(SIS):

SCSおよびSISは、長く小さめの径で製造されているため、スワブの一方の端を親または実験者が持った状態で、もう一方の端を児童の口に入れることができます。直径は児童の口の大きさに適しています。ポリマー素材は耐久性があり、噛んでも耐えることができ、味と食感も児童に受け入れられます。SCSおよびSISから回収される試料の容量は、通常200~1,000 μlの範囲です。成人のSOSと同様に、SCSまたはSISで収集された試料は、さまざまな分析対象物についてテストできます(SCSの説明を参照、SISの説明を参照)。Salimetrics社のスワブはすべて、同様の非毒性の不活性ポリマーで作られており、すべてのロットで一貫性が確認されているため、長期的および複数の実験参加者によるグループ研究に最適です。
| ⓘ | 有効な試験結果を得るには、十分な量を採取することが重要です。測定する分析対象の最小採取量については、Salimetrics社のガイドラインを参照して下さい。すぐに量を評価する必要がある場合は、試料の保管方法の指示に従って、シリンジを使用して下さい。 |
唾液採取方法:動物用の採取方法と器具
唾液中のバイオマーカーは、動物の健康や幸福度のモニタリングにますます利用されるようになっています(例:犬の唾液コルチゾールとストレス)。この技術は、多くの生物行動学的研究において、研究者に有効で一貫性や再現性のある結論を得る機会を継続的に提供しています。コットンロープ、コットンスワブ、パッド、Salivettes、水和セルローススポンジなどの器具が、シカ、モルモット、イヌ、ウマ、霊長類、その他の動物種から唾液を採取するといった最初の技術として使用されました19~36。しかし、最新の唾液採取デバイス技術と採取プロトコルにより、以前の採取方法での負担が大幅に軽減されました。
Salimetrics社では、快適で安全な唾液採取を実現するために、直径8 mm以上の口を持つ動物から唾液を採取するための検証済みの方法として、Salimetrics Infant's SwabおよびSalimetrics Children's Swabを推奨しています。
- 動物の唾液採取におけるSalimetrics社スワブの利点:
- 快適で無毒に採取可能
- 破れや裂けに強い
- 毛細管現象により迅速に採取可能
- 容量1~2 ml(器具によって異なります)
- 窒息の危険なし(実験者が安全に保持している場合)
- 動物からの唾液採取を成功させるためのヒント:
- 唾液をゆすがせようとするのではなく、唾液が溜まっている部分にスワブを「軽く当てる」
- 採取前に動物を訓練し、スワブをゆっくりと挿入する
- 非家畜動物の唾液採取には、「届く範囲が広い」器具(ポール、棒など)がよく使用される
小動物:文献には、毛細管、ろ紙片、プラスチックピペットなど、より高度な吸引装置などによるマウスやラットからの唾液採取のさまざまな技術が記載されています。ただし、Salimetrics社では、このような方法を直接使用した経験がないため、それらの使用についてアドバイスすることはできません。
唾液バイオサイエンスを非ヒト科学研究に統合する研究に関連する方法の完全な概要については、「Advancing the social neuroscience of Human-Animal Interaction: The Role of Salivary Bioscience」(第9章)を参照して下さい。
DNA解析のための唾液採取
採取方法と試料量
Salimetrics社がDNA抽出を委託で行う場合、唾液DNA分析にはスワブにより採取された試料が推奨されます。流涎法により採取した試料でも対応可能ですが、マイクロアレイゲノム分析などの研究において高収量であることが重要な場合、研究者自身がDNA抽出を行うことが望ましい場合があります。Salimetrics社が独自に開発したスワブからのDNA抽出法では、A260:A280比が1.8以上の高純度DNAを2~5 μg/mlの収量で得ることができます。
DNAは他の分析対象物/バイオマーカー分析のためにすでに収集された試料から得ることもでき、DNA抽出のために新しい試料を収集する必要はありません。唾液DNA解析の場合、試料の遠心分離によって形成されたペレットには、DNAの由来となる細胞が含まれています。遺伝子解析が必要な場合は、ペレットまたはスワブを捨てないで下さい。ただしDNAの劣化を最小限に抑えるために試料はすぐに凍結し、ペレットまたはスワブを複数回凍結融解しないことをお勧めします。
頬粘膜スワブなどの採取器具が使用可能な場合もあります。最新のアドバイスについては当社テクニカルサポート(試薬担当)までお問い合わせ下さい。頬粘膜細胞を採取するときは、必ず頬の内側を30~60秒間、しっかりと圧力をかけてこすって下さい。
唾液DNAの安定性
すべての個人のDNA配列は生涯を通じて一定です。プロジェクトのさまざまな段階から試料を抽出し、DNA解析に提出することができます。
唾液DNA試料の保存
唾液試料は採取後できるだけ早く凍結して下さい。ただし一部の遺伝子解析では、室温で最大5日間保存してもDNAの品質が損なわれることはありません38。また、DNAは複数回の凍結融解サイクルにも耐え、DNAの品質に大きな影響はありません。
DNA解析に加えて他の分析対象を測定する場合は、Salimetrics社により検証されている採取方法と器具のみを使用して下さい。バッファーや安定化物質を含む採取器具を使用した場合はDNA解析以外の試験を行えるかどうか保証いたしかねますので、ご注意下さい。唾液を未知の量に希釈することは避け、分析に干渉する恐れのある器具は使用しないで下さい。また、よりセンシティブな分析対象(ホルモンやバイオマーカーなど)から先に保管手順に従って保存して下さい。
試料の汚染防止
- DNA解析用の唾液試料の汚染を防ぐために、イムノアッセイ用の唾液試料の採取に関する推奨事項に加えて、次のことを推奨します。
- 研究対象者間の汚染を防ぐため、試料の採取/移動には使い捨ての材料(使い捨て鉗子など)のみを使用して下さい。
- 採取を手伝う研究者は手袋を着用し、採取器具や試料に触れないようにする必要があります。
- スワブやブラシに指で触れないで下さい。
唾液採取後の取り扱い
採取後すぐに試料を-20℃(家庭用冷凍庫の温度)以下で凍結して下さい。
| ⓘ | 冷凍が不可能な場合は、すぐに4℃で冷蔵し、このまま必要以上に長く保管せず(理想的には2時間未満)、その後-20℃以下で冷凍して劣化を最小限に抑え、細菌の増殖を防ぎます25。 |
Salimetrics Swabによる採取:試料はスワブ内で最大6か月間凍結することができ、分析対象物の劣化はありません。6か月間の保存期間中に起こり得る唯一のリスクは試料の蒸発ですが、分析対象自体は劣化しないはずです。ただし、試料を6か月以上保存する必要があることが事前にわかっている場合は、採取後すぐに遠心分離またはシリンジでスワブから唾液を絞り出し、回収した唾液をクライオバイアルに移して-80℃で保存することをお勧めします。
長期試料保存
試料は、-80℃で数年間保存可能ですが、正確な保存期間は定まっておらず、分析対象によって異なる場合があります。ただし、4年以上適切に保存された試料の多くは、劣化がほとんど見られません。詳細については文献を参照するか、当社テクニカルサポート(試薬担当)までお問い合わせ下さい。
試験前の事前処理
試料を分析する際は試料を室温に戻してボルテックスし、1,500×gで15分間遠心分離します。試料に粘性があるように見える場合は、2,500×gなどの高速で遠心分離するか、ピペットチップで凝血塊を砕いて再度遠心分離します。分析は透明な唾液のみを使用して行い、バイアルの底に形成されたペレットは避けて下さい。唾液などの粘性溶液をピペッティングする場合は、泡の形成を避けるためにゆっくりと吸引すると精度が向上します。再凍結時に沈殿物が発生する可能性があるため、凍結融解サイクルのたびにチューブをボルテックスして再度遠心分離します。
| ⓘ | 試料を遺伝子分析に使用する場合は、細胞沈殿物を唾液試料の底に沈めるか、スワブに含ませておくことが重要です。 |
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