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単一アミノ酸レベルで網羅的なエピトープ解析を行います DECODE法によるエピトープ解析受託サービス

掲載日情報:2025/05/16 現在Webページ番号:72142

理化学研究所の上田 泰己 チームリーダー(東京大学教授)らの共同研究グループが開発したDECODE*1法を用いたエピトープ解析受託サービスです。この方法は、抗体に高い親和性を持つペプチド配列を選択・回収(ペプチドセレクション)し、GPU搭載の高性能PCを用いた次世代シークエンス(NGS)解析によってエピトープ情報を「単一アミノ酸レベル」で特定します。さらにタンパク質データベース全体から交差反応性を予測することが可能です。この特長によって、モノクローナル抗体のエピトープ情報を特定するだけでなく、非特異結合の解析やポリクローナル抗体の交差反応性の解析も可能です。

*1 DECODEDecoding Epitope Composition by Optimized-mRNA-display, Data analysis, and Expression sequencing
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

DECODE法によるエピトープ解析受託サービス

エピトープ解析とDECODE法について

抗体のエピトープについて

現在、700万を超える抗体が世界中で市販化されていますが、それらの抗体の再現性や信頼性については長年の懸案事項です。特に、抗体が標的以外のタンパク質を認識する非特異結合の存在や、ポリクローナル抗体のロットごとに染色性や特異性が変わることは、研究者にとって悩みのタネとなっています。
抗体の特異性や交差反応性を評価する上で、抗原決定基(エピトープ=抗体が認識する部位)は重要な情報です。通常、抗体が線状エピトープ(単純な直線状のアミノ酸配列)を認識する場合は10残基以下のアミノ酸配列を認識できますが、抗体とタンパク質との相互作用で特に重要なアミノ酸配列(ホットスポット)は5残基以下と考えられています。
特異性や選択性の高い最適な抗体の選択や、抗体を用いる実験の条件最適化、再現性および信頼性の向上、実験結果の正しい解釈のためには、エピトープ情報を正確に把握することが重要です。

DECODE法を用いたエピトープ解析とは

DECODE法は、mRNAディスプレイのプロトコルを改良したペプチドセレクションです。
DECODE法では、まずはランダムDNAライブラリ(1×1013)を用いて、in vitroでmRNAに転写し、mRNAにピューロマイシンをライゲーションさせます。ピューロマイシンは翻訳の際、リボソームのAサイトに入り、翻訳されたペプチドのC末端と連結(共有結合)する性質を持っています。この性質を利用して翻訳を進め、mRNAにライゲーションしたピューロマイシンと翻訳が完了したペプチドを連結させます(下図右)。連結させたmRNA-ペプチドを任意の抗体(+ビーズ)とインキュベーションし、抗体に結合した配列を選択・回収します。

ペプチドセレクションDECODE法
mRNAにライゲーションしたピューロマイシンと翻訳が完了したペプチドとの連結
図をクリックすると拡大します(🔍)

この工程を3ラウンド繰り返した後、濃縮した配列を次世代シークエンサーで読み取り、最も収束した上位のペプチド情報を基にアミノ酸の出現頻度をシークエンスロゴとして視覚的に表します(下図.アミノ酸認識モチーフ、 アルファベットはアミノ酸配列の1文字記号を示し、フォントの大きさはアミノ酸の重要度を表します。二つ以上のアミノ酸が縦に並んでいるものは同じ位置に複数のアミノ酸のバリエーションが存在することを示します)。さらにタンパク質データベース(PDB)とエピトープ情報から抗体の交差反応/特異性を予測します(下図.ゲノムワイドな交差反応性、 赤点が対象因子)。


アミノ酸認識モチーフ ゲノムワイドな交差反応性
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参考文献

  • Matsumoto, K., et al., "DECODE enables high-throughput mapping of antibody epitopes at single amino acid resolution", PLoS Biol., 23(1), e3002707 (2025). [PMID:39847587]

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特長

  • 単一アミノ酸レベルの分解能でエピトープ情報が得られます*2
  • タンパク質データベース全域に対する交差反応性を予測します*3
  • 8万円/1抗体で解析できます。9抗体目以降は6万円/1抗体です*4

*2 解析できるのは線状エピトープに対する認識のみです。立体構造や糖鎖などの修飾に対する認識は解析できません。
*3 タンパク質データベースに登録のない配列についてはご相談下さい。
*4 9抗体以上ご依頼の場合も、8抗体分の解析料は8万円/抗体です。なお、解析項目の追加や高度な解析などがある場合、追加料金が別途必要になります。


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解析項目

  • 標的タンパク質のエピトープ部位の特定
  • 抗体が強く認識するアミノ酸残基の特定
  • ゲノムワイドな交差反応性の予測(種としてマウス、ラット、ヒトのどれかを選択)

高度な解析や解析対象の追加、全タンパク質の計算結果のご提供についてはご相談下さい。

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解析例

抗FLAG抗体

抗FLAGモノクローナル抗体(M2)

抗FLAGモノクローナル抗体

エピトープモチーフ(DYKXXD)が報告されている抗FLAG抗体をDECODE法で解析した。同抗体を用いて濃縮された配列をNGSで解析した結果、既報と同様にエピトープDYKXXDを持つペプチドがDECODE法によって濃縮されたことが示された。

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モノクローナル抗体の特異性評価

c-fosに対する3種類のクローン違い(クローンⅠ、クローンⅡ、クローンⅢ)の抗体をDECODE法により評価した。DECODE法を用いて抗体が結合する部位とホットスポットを同定し、収束した上位20%のアミノ酸をシークエンスロゴとして可視化した(下図シークエンスロゴ)。DECODEスコアの高い配列(12アミノ酸残基)を化学合成し、各抗体との結合をELISA法にて評価したところ、DECODEによって特定された配列を認識することが分かった。また、予測されたホットスポット残基のうち2つのアミノ酸に変異を加えたペプチドと抗体との結合を同様に評価したところ、変異体には結合しなかったことからDECODE法が単一アミノ酸レベルで正確なエピトープを識別していることが分かった(下図ELISAによる評価)。 ゲノムワイドな交差反応性を推定するために、UniProtから得られたすべてのマウスタンパク質のDECODEスコアを評価したところ、クローンⅠ、クローンⅡは高い特異性を示したのに対し、クローンⅢは他のタンパク質との交差反応性を示した(下図、ゲノムワイドな交差反応性)。

ELISAによる評価は、本サービスの解析項目に含まれません。


クローンⅠ クローンⅡ クローンⅢ
シークエンスロゴ クローンⅠシークエンスロゴ クローンⅡシークエンスロゴ クローンⅢシークエンスロゴ
ELISAによる評価 クローンⅠELISAによる評価 クローンⅡELISAによる評価 クローンⅡELISAによる評価
ゲノムワイドな交差反応性 クローンⅠゲノムワイドな交差反応 クローンⅡゲノムワイドな交差反応 クローンⅢゲノムワイドな交差反応

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モノクローナル抗体(クローン違い)の解析

モノクローナル抗体(クローン違い)の解析

モノクローナル抗体(クローン違い)の解析

クローン違いの抗p53モノクローナル抗体をDECODE法にて解析した結果、異なるクローンであるにも関わらず認識モチーフレベルで同一のエピトープを認識する抗体があることが分かった(図赤枠クローン:A/B/C、図青枠クローン:D/E)。

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ポリクローナル抗体(ロット違い)の解析

ロット① ロット②
Sequencelogo Sequencelog0
抗p53抗体(クローン違い)の解析 抗p53抗体(クローン違い)の解析

ポリクローナル抗体(ロット違い)の解析

ポリクローナル抗体について同じ型番でロット違い(ロット①、ロット②)の抗体を解析(ポリクローナル抗体なので認識する配列は複数あり)。型番が同じでもロットが異なると異なるエピトープを認識するため、再現性が低い研究になる可能性があることが分かる。

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解析可能な抗体の種類および必要抗体量について

  • 解析可能な抗体の種類:IgG抗体*5
  • 必要抗体量:5 μg*6

*5 解析できる抗体は、一次構造(線状エピトープ)を認識する抗体です。立体構造や糖鎖などの修飾の解析には対応していません。
*6 5 μg以下の抗体量の場合はご相談下さい。


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ご注文方法および納期について

納期の目安は2か月です*7。ご注文方法の詳細は当社受託・特注品担当(下記参照)までお問い合わせ下さい。

*7 毎月月末の最終営業日(土日祝祭日の場合はその前営業日)をメーカー試料到着締切日とし、そこから約2か月(目安)で解析データを納品いたします。


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