Bondシリーズ（Leica Biosystems社）、BenchMark（Roche Diagnostics社）自動免疫染色装置用抗体 自動免疫染色装置用抗体 Q Series／ULTRALINE（Biocare Medical社）

CDX2は、十二指腸から直腸までの腸の上皮細胞核で発現し、腸特異的転写因子をコードするホメオボックス遺伝子です。CDX2は、卵巣に転移した結腸がんに対する高感度のマーカーで、漿液性がんや子宮内膜がんでは発現しないため、CK20よりも特異性が高いことが示されています。CDX2は、粘液性卵巣がんでも発現しますが、正常な胃粘膜では発現しません。原発性卵巣腫瘍と上部消化管起源の転移の区別において、CDX2はCK20よりも有利であることが報告されています。

GATAファミリーに属するGATA-3（GATA結合タンパク質3）は、50 kDaの核タンパク質で、複数の組織の発生とその後の維持を制御します。GATA3は、造血細胞、皮膚、腎臓、乳腺、中枢神経系などのさまざまなヒト組織の胚発生中において遺伝子発現プロファイルを制御することが示されています。また、GATA-3は、乳腺の管腔細胞分化の重要な役割を担っていることが確認されており、乳がんの分化と増殖に関与する一連の遺伝子を制御していると考えられています。さらに膀胱がんの新しいマーカーであることも示されています。

PAX5は、B細胞特異的活性化タンパク質（B-cell Specific Activator Protein、BSAP）です。B細胞の発達の初期段階では、PAX5はCD19やCD20などのいくつかのB細胞特異的遺伝子の発現に影響を及ぼします。PAX5はプレB細胞および成熟B細胞で発現しますが、形質細胞では発現しません。
CD20とPAX5の発現には優れた相関関係がありますが、抗PAX5抗体はB細胞分化においてより早く検出し、古典的なホジキンリンパ腫を含むすべての分化B細胞も検出できるため、L26（CD20）より特異性と感度に優れています。B細胞系統に非常に特異的で、T細胞は染色しません。本質的に、PAX5はCD20よりも優れた汎B細胞マーカーである可能性があります。

PAX8は、転写因子のペアボックス（PAX）に属し、ペアードボックスドメイン、オクタペプチド、およびペア型ホメオドメインを含むタンパク質をコードします。PAXは、胎児の発達とがんの成長において重要な役割を果たしており、また腎臓細胞の分化、甲状腺の発達／発育不全に関与しています。PAX8は、腎細胞がんおよび卵巣がんにおいて高く発現しています。
抗PAX8マウスモノクローナル抗体 [BC12] （本製品）は、特定のエピトープを標的とするように設計されています。抗PAX8ウサギポリクローナル抗体とは異なり、B細胞を染色せず、膵臓起源のエピトープや胃および結腸の神経内分泌細胞を認識しないため、優れた特異性を提供します。本製品を用いたPAX8標的抗原の発現は、正常な腎臓、甲状腺、および子宮頸部で確認されましたが、正常な卵巣では確認されませんでした。また、ウエスタンブロットではPAX8を認識し、PAX2、PAX5、またはPAX6タンパク質を認識しないことが示されました。本製品は、核のみを染色し、ホルマリン固定パラフィン包埋組織で良好な染色結果を示します。

抗p40抗体はヒトp53の最も短い変異体を認識し、従来抗p63抗体が使用されてきた症例では貴重なマーカーとなる可能性があります。現在は、抗p63抗体は肺扁平上皮がん（SqCC）の最も頻繁に使用されるマーカーであり、SqCCに対して非常に感度が高いものの、肺腺がんのサブセットで反応するため特異性に限界があり、少量の試料（生検、セルブロック、FNAなど）での形態学による非小細胞肺がん（NSCLC）の診断は困難な場合があります。
一方、抗p40抗体は、肺扁平上皮がんに対する感度では抗p63抗体と同等ですが、特異性では抗p63抗体より著しく優れています。抗p40抗体はp63陽性腺がんを扁平上皮がんと誤診する懸念事項が払拭されたことが報告されており、肺扁平上皮がんの診断では抗p63抗体の代替として抗p40抗体の使用を強く支持しています。そのため、抗p40抗体は、肺腺がんと肺扁平上皮がんの診断において重要な抗体となる可能性があります。

Uroplakin Ⅱは、尿路上皮プラークを構成する15 kDaのタンパク質です。Uroplakin ⅡのmRNAは特異的で膀胱がん組織と膀胱の原発性および転移性尿路上皮がん患者の末梢血の両方において発現していることが示されています。
抗Uroplakin Ⅱ抗体（クローン：BC21）（本製品）は、膀胱尿路上皮がんの場合において、Uroplakin Ⅲ [AU1]（191/56、34%）との比較で感度が上昇（46/59、78%）しています。また、膀胱と尿管を除き、さまざまな正常組織と腫瘍組織で染色の高い特異性が示されています。したがって、本製品は、尿路上皮起源の腫瘍の特定に役立つ可能性のある特異性の高い抗体です。