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各種ヒトFcRを発現している細胞 Fcレセプター安定発現細胞株(GenScript社)

掲載日情報:2024/09/03 現在Webページ番号:71924

さまざまなクラスのFcγレセプター(Fc gamma receptor、FcγR)と胎児性Fcレセプター(Neonatal Fc receptor、FcRn)を発現する単一クローン由来のCHO-K1細胞株です。遺伝子多型を含む6種類のヒトFcγRおよび1種類のヒトFcRnを発現する、計9種類の細胞株を取りそろえています。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


Fcレセプター安定発現細胞株フライヤー GenScript社 安定細胞株パンフレット

Fcレセプター安定発現細胞株フライヤー(左)およびGenScript社 安定細胞株パンフレット(右)
各画像をクリックすると、PDF版がご覧いただけます。


Fcレセプター(Fc Receptor、FcR)とは

FcRの構造について

FcRの構造は、抗体結合親和性や抗体結合時の機能に影響を与えます。GenScript社が提供するFcγRおよびFcRn過剰発現細胞株はすべて、野生型のレセプターと同様の発現をしています。 FcγRI、FcγRⅡa、FcγRⅡc、およびFcγRⅢaは、α鎖または関連するγ鎖上に免疫受容体チロシン活性化モチーフ(Immunoreceptor Tyrosine Activating Motif、ITAM)が存在する活性化レセプターです。一方、抑制性レセプターであるFcγRⅡbは、免疫受容体チロシン抑制モチーフ(Immunoreceptor Tyrosine Inhibitory Motif、ITIM)が存在します。FcγRⅢbレセプターはGPIアンカー型タンパク質であり、ITAMとITIMは存在せず、他のFcRと関連してシグナル伝達を行います。FcRnレセプターはα鎖とβ2ミクログロブリン(β2m)からなるヘテロ二量体の構造をしており、これらはレセプターの細胞表面で発現と最適なIgG結合活性に重要な役割を担っています。


図1. 細胞表面上のヒトFcγRとFcRnの模式図

図1. 細胞表面上のヒトFcγRとFcRnの模式図
α:α鎖、γ:γ鎖
ITAM:免疫受容体チロシン活性化モチーフ
ITIM:免疫受容体チロシン抑制モチーフ
β2m:β2ミクログロブリン

Fc-FcγRとFc-FcRnの結合親和性評価

FcγRおよびFcRn過剰発現細胞株は、Fc-FcγRおよびFc-FcRnの結合能を評価する細胞ベースアッセイ用に設計されています。
病原体や感染細胞に抗体が結合すると、抗体のFc領域を認識するFcyRが、抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)や抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)などのエフェクター機能を媒介します。抗体医薬開発におけるFcエンジニアリングでは、Fc-FcγR結合親和性を増減させることで、エフェクター機能を調節する可能性があります。FcRnは血清中のIgG型抗体のリサイクルに関与し、抗体の安定性と半減期を増加させます。したがって、Fc-FcRn結合親和性を高める抗体Fcエンジニアリングは、抗体の循環半減期を延長する可能性があります。

図2. Fcレセプター発現細胞株を用いた細胞ベースアッセイ(フローサイトメトリー)

図2. FcR発現細胞株を用いた細胞ベースアッセイ(フローサイトメトリー)
フローサイトメーターを用いた細胞ベースアッセイは、結合能を評価する方法の1つです。


一塩基多型はFcγRの遺伝子多型に関連し、抗体医薬や免疫療法に対する個人の免疫応答に影響を及ぼす可能性があります。そのため、遺伝子多型FcγRを持つ患者では、同じ抗体ベースの薬剤でも効果が異なる可能性があります。GenScript社では、遺伝子多型研究を行うための遺伝子多型FcγRs過剰発現細胞株を提供しています。



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製品ラインナップ

細胞株品名をクリックするとメーカーサイトでの製品の詳細、商品コードをクリックすると価格表をご覧いただけます。

遺伝子名 レセプター名 別名 多型 IgGサブクラス結合 機能 細胞株品名 商品コード
FCGR3A FcγRⅢa CD16A V158 すべてのヒトIgGに対して
F158より高親和性
活性化/抑制 CHO-K1/CD16A 158V M00597
F158 すべてのヒトIgGに対して
V158より低親和性
活性化/抑制 CHO-K1/CD16A 158F M00586
FCGR3B FcγRⅢb CD16B IgG1、IgG3 活性化 CHO-K1/CD16B M00602
FCGR2A FcγRⅡa CD32A H131 IgG1、IgG2、IgG3、IgG4 活性化/抑制 CHO-K1/CD32A 131H M00598
R131 H131、IgG3、IgG4よりも
IgG1およびIgG2に対して低親和性
活性化/抑制 CHO-K1/CD32A 131R M00887
FCGR2B FcγRⅡb CD32B T232 IgG1、IgG2、IgG3、IgG4 抑制 CHO-K1/CD32B 232T M00600
FCGR2C FcγRⅡc CD32C IgG1、IgG2、IgG3、IgG4 活性化 CHO-K1/CD32C 13Gln M00601
FCGR1 FcγRI CD64 IgG1、IgG3、IgG4 活性化 CHO-K1/CD64 M00588
FCGRT FcRn FcRn IgG1、IgG2、IgG3、IgG4 リサイクル、輸送、取り込み CHO-K1/FcRn M00603

価格などの詳細については当社受託・特注品担当(Tel. 03-5684-1645、Fax 03-5684-6539、e-mail:jutaku@funakoshi.co.jp)までお問い合わせ下さい。



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特長

  • 宿主細胞:CHO-K1細胞
  • 細胞数:>1×106 cells/vial
  • 包装:2 vials
  • 保存条件:液体窒素
特長


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アプリケーション例

  • 抗体またはFc融合タンパク質の結合親和性の測定
  • 抗体またはFc融合タンパク質の半減期の測定
  • in vitroでの抗体またはFc融合タンパク質の作用メカニズムの決定

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使用例

使用例

図3. フローサイトメトリーを用いた細胞表面抗原解析
青色:CHO-K1/CD16A 158V細胞株(#M00597
赤色:CHO-K1細胞(ネガティブコントロール)
使用抗体:PE-Cy5標識抗ヒトCD16抗体



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参考文献

  • Bequignon, E., et al., Int. J. Mol. Sci., 20(6), 1379 (2019). [PMID: 30893823]
  • Praetor, A. and Hunziker, W., J. Cell Sci., 115(Pt 11), 2389~2397 (2002). [PMID: 12006623]
  • Kelley, J.M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 108(51), 20736~20741 (2011). [PMID: 22147912]
  • Bournazos, S., et al., Nat. Rev. Immunol., 20(10), 633~643 (2020). [PMID: 32782358]
  • Kara, S., et al., Front. Immunol., 11, 1320 (2020). [PMID: 32714325]

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Genscript社安定発現細胞株製品のご購入上の注意

本製品は商業目的での使用が禁じられています。ご購入に際して事前にライセンス同意書が必要です。ライセンス同意書(pdf)に必要事項をご記入の上、販売店担当者にお渡し下さい。
詳細は当社受託・特注品担当(Tel. 03-5684-1645、Fax 03-5684-6539、e-mail:jutaku@funakoshi.co.jp)までお問い合わせ下さい。


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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当/テクニカルサポート 機器担当/受託・特注品業務担当)

reagent@funakoshi.co.jp

kiki@funakoshi.co.jp

jutaku@funakoshi.co.jp

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