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Q&A:組織中の糖鎖を検出する方法

掲載日情報:2024/04/09 現在Webページ番号:71316

Vector Laboratories社のサイエンスブログ(SpeakEasy Science Blog)からレクチンに関するブログをご紹介します。

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Vector Laboratories社のレクチン製品は標識・非標識レクチンをご覧下さい。


by Camila Suhett, Ph.D.


糖鎖イメージ像

グリコシル化は、細胞機能とコミュニケーションにおいて重要な役割を果たします。グリコシル化の変化は、がん生物学、免疫生物学、神経科学などの多くの研究分野の生理学および病態生理学に関連しています。

Vector Laboratories社は、糖鎖生物学分野での研究を支援する3種類のGlysite Scout Glycan Screening Kit(#GSK-1000、#GSK-2000、#GSK-3000)を開発しました 。本キットは、厳選されたレクチンパネル、最適化された試薬、および蛍光プローブを使用した、組織切片内の糖鎖を検出するためのプロトコルがあります。免疫蛍光染色/糖鎖蛍光染色の二重標識も可能です。多用途で使いやすい糖鎖検出ツールは、正常あるいは疾患におけるバイオマーカーの探索を強化し、新たな標的治療薬の同定に貢献します。

The Scientist誌は、Vector Laboratories社のシニア・サイエンティストであるDr. August Estabrookを招いてウェビナーを開催しました。Dr. Estabrookは、糖鎖スクリーニングの基本を説明し、本キットを用いて組織切片内の糖鎖発現を検出する方法に焦点を当てました。以下の質疑応答セッションからキット使用法のヒントやコツをお読み頂けます。

Glysite Scout Glycan Screening Kitのレクチンパネルの選定基準は何ですか?

選択プロセスでは、さまざまな研究分野において生物学的に関連性のある広範なレクチンを特定することに重点が置かれました。最初の文献検索により、さまざまな分野で最も頻繁に調査されているレクチンと糖鎖が特定されました。次に、選定されたパネルについて何人かの専門家からご意見を頂き、特定のレクチンをキットに含めるか否かについての助言も頂きました。

Glysite Scout Glycan Screening Kitの中身をカスタマイズすることはできますか?

本キットは、幅広いレクチンのパネルを作成することに重点を置いていますが、網羅的なキットではありません。そのような場合は、お客様の実験ニーズに合わせ、レクチンパネルをご自身でカスタマイズすることができます。本キットには、レクチンパネルに加え、補助試薬、ブロッキング溶液、最適化されたプロトコルなど、プラグアンドプレイ(plug-and-play)のワークフローに必要なすべての試薬とガイドが含まれています。アプリケーションに最適なレクチンを見つけたら、付属の最適化されたプロトコルに従いながら、新しいレクチンとキットに含まれる試薬を用いて実験を行うことができます。

Glysite Scout Glycan Screening Kitは、一般的な実験でも使用できますか?

本キットは 、大腸、肺、脾臓、腎臓、肝臓、膵臓、精巣、心臓、膀胱、子宮など多くのヒトおよびマウスの組織型での糖鎖の蛍光検出に使用することを前提に検定・最適化されています。ただし、レクチンは汎用性の高いツールであり、他の組織型や用途にも使用できます。たとえば、フローサイトメトリーではレクチン染色が頻繁に使用されます。本キットはこのような用途に最適化されてはいませんが、実験の計画時にいくつかの追加ステップを加えれば、高品質の結果が得られます。

文献レビューは、お客様が検討されている用途でレクチン染色を使用した過去の研究を特定するのに役立ちます。次に、公開された方法論と結果に基づいてプロトコルを最適化することが不可欠です。また、Vector Laboratories社のテクニカルサポートチームにご連絡頂ければ、特定のアプリケーションや組織タイプに最適なレクチンを特定するお手伝いをすることもできます。

新しい組織試料やアプリケーションでレクチン染色の特異性を確認する方法は?

いくつかの追加ステップを行うことで、Vector Laboratories社が過去に行ったことのない異なる組織やシステムにおいて結果を検証することができます。阻害糖(inhibiting sugar)とのプレインキュベーションにより、レクチンの糖鎖結合能が中和されます。あるいは、目的の糖鎖を除去する可能性のある酵素で組織試料を処理することもできます。例えば、一般的にN-グリカンを除去するときはPNGase F(Peptide N-Glycosidase F)を用います。目的の糖鎖がなければ、レクチンとインキュベートしても蛍光シグナルは得られません。このような簡単なステップで、レクチン染色の特異性を確保するのに役立ちます。

糖鎖スクリーニングで理想的なコントロールは何ですか?

糖鎖スクリーニングでは、非特異的シグナルの検出とその発生源の特定に役立つネガティブコントロールを追加することが不可欠です。たとえば、ワークフローから検出試薬(蛍光色素で標識されたストレプトアビジン)を除いて、試料に蛍光シグナルが観察された場合、自家蛍光が原因である可能性があります。その場合、Vector TrueVIEW Autofluorescence Quenching Kitを実験に加えることで問題を解決できます。さらに、目的のレクチンを省くことで、検出試薬の非特異的結合がバックグラウンドシグナルに寄与しているかどうかを確認することができます。このような場合、Avidin/Biotin Blocking Kit、Streptavidin/Biotin Blocking Kitを用いることで、内因性ビオチンを中和し、バックグラウンド蛍光シグナルを減少させることができます。

レクチンガイドのご案内

レクチンの歴史、レクチンアッセイの方法、原理などについては、以下のレクチンガイド(Lectin Application and Resource Guide)もあわせてご参照下さい。


VEC社 Lectin Application and Resource Guide

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