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エクソソーム(エキソソーム)の生合成・分泌の阻害物質 Manumycin A(マヌマイシンA)および関連製品

掲載日情報:2023/06/07 現在Webページ番号:71256

Manumycin A(マヌマイシンA)は、強力で選択的かつ競合的な細胞透過性のRASファネシルトランスフェラーゼ(Farnesyltransferase、FTase )阻害物質で、さらに不可逆的な中性スフィンゴミエリナーゼ (nSMase)阻害物質でもあり、エクソソームの生合成と分泌を阻害します。
本ページでは併せて、エクソソーム生合成に作用する低分子化合物、エクソソームのバイオマーカーであるテトラスパニン(Tetraspanin)タンパク質に対する抗体およびTim-4組換え体タンパク質をご紹介しています。

Manumycin Aをはじめとした各種エクソソーム阻害物質

エクソソームは、細胞が外部に放出する極めて小さな膜小胞です。この小胞は細胞膜の陥入によって形成され、その後くびれの部分で切り離され周囲に放たれます。エクソソームの直径は通常約30~100 nmで、タンパク質、RNA、脂質などのさまざまな生体分子を内包した脂質二重層で構成されています。エクソソームは細胞間コミュニケーションに重要な役割を果たし、幅広い生理的・病理的プロセスに関与しています。細胞間の分子輸送手段として機能し、免疫系の調節を助け、細胞の増殖、分化、アポトーシスを制御します。最近の研究では、エクソソームががんやその他の疾患の診断マーカーとなりうることが判明しているほか、特定の細胞や組織に治療用分子を送達するドラッグデリバリーの手法としてエクソソームの利用が検討されています。

エクソソームとさまざまな阻害物質
図. エクソソームの生合成と阻害の概略図(Catalano, M., and O'Driscoll, L., J. Extracell. Vesicles, 9(1), 1703244 (2019). [PMID: 32002167] より改変)。

エクソソームの生合成・放出は上図の2つの経路が考えられており、図の左側RAS経路は、様々なカーゴ(運搬物)のエクソソームへの選別を直接制御しています。RASタンパク質は、細胞のシグナル伝達経路において重要な役割を果たす低分子GTPaseです。ファルネシルトランスフェラーゼ(Farnesyltransferase、FTase)は、RASタンパク質にファルネシル基を付加する役割を担っており、これはRASタンパク質が適切に機能し、細胞内で適切に局在するために不可欠なステップです。小胞はESCRT(Endosomal sorting complexes required for transport)依存性経路により放出されると考えられています。

図の右側中性スフィンゴミエリナーゼ(neutral sphingomyelinases、nSMase)が関与する経路は、ESCRT非依存性経路により小胞を放出すると考えられています。

Manumycin A(マヌマイシンA)は、FTaseの選択的阻害物質で、RASのファルネシル化を阻害することでRAS/RAF/ERK1/2シグナルを抑制し、エクソソームの生成を抑制します。エクソソーム生合成を標的とすることは、RASシグナル阻害物質が抗がん作用を発揮する上で極めて重要である可能性があります。また、Manumycin AはnSMaseの不可逆的阻害作用も有するため、エクソソーム生合成の二つの経路を阻害することになります。

参考文献:
  • Hara, M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90(6):2281~2285 (1993). [PMID: 8460134]
  • Nakanishi, S., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 59(7):1333~1335 (1995). [PMID: 7670197]
  • Arenz, C., et al., Chembiochem., 2(2), 141~143 (2001). [PMID: 11828438]
  • Datta, A., et al., Cancer Lett., 408, 73~81 (2017). [PMID: 28844715]
  • Tuladhar, A. and Rein, K.S., ACS Med. Chem. Lett., 9(4), 318~322 (2018). [PMID: 29670693]
  • Catalano, M. and O'Driscoll. L., J. Extracell. Vesicles., 9(1), 1703244(2020). [PMID: 32002167]
  • Horbay, R., et al., Int. J. Mol. Sci., 23(23), 15317(2022). [PMID: 36499644]
  • Han, Q.-F., et al., Mol. Cancer, 21(1), 207(2022). [PMID: 36320056]
  • Hagemann, A., et al., Front. Chem., 10, 967947(2022). [PMID: 36561140]


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Manumycin Aについて


Manumycin Aの構造

Manumycin Aの構造

  • 化学式:C31H38N2O7
  • 分子量:550.6
  • CAS No.:52665-74-4
  • 由 来:Streptomyces parvulus
  • 純 度:>98%(HPLC)
  • 溶解性:DMSO、Methanolに溶解する。水には不溶。
  • 同定法:1H-NMR
包装 商品コード
1 mg, 5 mg, 10 mg AG-CN2-2000-M
Manumycin Aは、10 mgを超えるバルク(大容量)でのご注文も承ります。
詳細については当社バルク製品担当(Tel.:03-5684-1615、Fax:03-5684-1634)までお問い合わせ下さい。

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関連製品

エクソソーム生合成に作用する低分子化合物、およびManumycin A類縁体

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製品名 主な作用 商品コード
Arglabin RAS-ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)阻害物質 AG-CN2-0458
Manumycin B BVT-0264
Palmarumycin C3 BVT-0078
OM173-αA RAS競合性の非CAAX模倣型ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)阻害物質 AG-CN2-0158
Andrastin A タンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)阻害物質 AG-CN2-0144
Altenusin 非競合的中性スフィンゴミエリナーゼ(nSMase)阻害物質 AG-CN2-0143
Dihydromanumycin A Manumycin A誘導体(生物学的活性は未検討) BVT-0414
Deoxymanumycin A BVT-0158

抗テトラスパニンタンパク質抗体:エクソソームマーカー

細胞外小胞(EV)は、由来する細胞とは異なる三次元立体構造や翻訳後修飾を持つ抗原を膜表面に有します。CD9、CD37、CD53、CD63、CD81などはtetraspanin protein(4回膜貫通型タンパク質)ファミリーに属し、最も一般的なEV関連マーカーとしてELISA、フローサイトメトリー、Lab-on-a-chipアッセイなどの多くの研究でEV検出に使用されています。これらのタンパク質はそれぞれ、EVの生合成または運搬物の選別において積極的な役割を果たすことが確認されており、またEV分泌経路における重要な役割も示唆されています。

表中の商品コードをクリックすると価格表をご覧になれます。
製品名 交差性 標的[別名] 適用 商品コード
Anti-CD9, Mouse-Mono(SN4) ヒト CD9 [TSPAN-29] フローサイトメトリー ANC-156-
Anti-CD37, Mouse-Mono(IPO-24) CD37 [TSPAN26] フローサイトメトリー ANC-186-
Anti-CD53, Mouse-Mono(63.5A3) CD53 [TSPAN25] フローサイトメトリー ANC-204-
Anti-CD63, Mouse-Mono(AHN16.1) CD63 [TSPAN30] フローサイトメトリー、免疫組織染色 ANC-215-
Anti-CD81, Mouse-Mono(1.3.3.22) CD81 [TSPAN28] フローサイトメトリー、ウェスタンブロット ANC-302-
略号 Mono:Monoclonal

Tim-4組換え体タンパク質:エクソソームの捕捉/分類に使用できるバイオマーカー

Tim-4(T cell immunoglobulin and mucin domain-containing protein 4)は、免疫グロブリンスーパーファミリーおよびTIMファミリーに属する一回膜貫通型タンパク質です。Tim-4は免疫グロブリン様ドメインを1個持ち、樹状細胞やマクロファージに発現し、Th2細胞の増殖に重要な役割を果たします。Tim-4は、カルシウム依存的にアポトーシスを起こした細胞表面のホスファチジルセリン(PS)に結合し、当該細胞の貪食を媒介します。

EV膜はホスファチジルセリン(PS)に富み、Tim-4はEV表面のPSに結合します。金沢大学の華山力成教授のグループは、Tim-4-ビオチンを結合させたストレプトアビジン磁気ビーズを用いて、カルシウム依存的にEVを捕捉するアフィニティーベースのEV分離法を提案しました。この手法は、他のアプローチ(超遠心分離、PEG沈殿、特異的抗体を用いた選択抗体免疫沈降)と比較して、良好な収率と高純度をもたらし、すべてのEV集団の単離を可能にします。EVに関連した治療法や診断法の開発に向けてさまざまな研究が行われているため、EVを単離・定量化する方法の開発は活発な研究領域となっています。

参考文献:
  • Nakai, W., et al., Sci. Rep., 6, 33935 (2016). [PMID: 27659060]
  • Yoshida, T., et al., Curr. Prot. Cell Biol., 77, 3.45.1~3.45.18 (2017). [PMID: 29227551]
  • Priedols, M., et al., Polymers (Basel), 15(4), 789 (2023). [PMID: 36850073]
表中の商品コードをクリックすると価格表をご覧になれます。
製品名 対象 商品コード
Tim-4 (Human):Fc (Human) 、Recombinant ヒト CHI-HF-210T4
Tim-4 (Human):Fc (Mouse) 、Recombinant ヒト CHI-HF-211T4
Tim-4 (Mouse):Fc (Human) 、Recombinant 、Biotin ヒト、マウス AG-40B-0180B
Tim-4 (Mouse):Fc (Human) 、Recombinant ヒト、マウス AG-40B-0180
Tim-4 (Mouse):Fc (Mouse) 、Recombinant マウス CHI-MF-110T4

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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