ウイルスの形質導入促進・濃縮に有用なフィブリル形成ペプチド 形質導入促進試薬 Protransduzin(PTD)
掲載日情報:2023/04/19 現在Webページ番号:71173
Protransduzinは、接着細胞および浮遊細胞へのレトロおよびレンチウイルス遺伝子導入を促進する、12-merのペプチドからなる高効率な形質導入増強試薬(エンハンサー)です。一般的な卓上遠心分離機での短時間の低速遠心分離により、ウイルス粒子を迅速かつ簡便に濃縮でき、選択した培地にウイルス粒子を再懸濁することができます。
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Protransduzin(PTD)について
形質導入効率が低いレトロおよびレンチウイルスベクターは、基礎研究や応用研究において大きな障壁となっています。Protransduzin(PTD)は12-merのペプチドで、ウイルス粒子を効率的かつ迅速に結合し、PTD-ウイルス複合体であるナノフィブリル(nanofibril)を形成します1。このようにウイルスを搭載したフィブリルが細胞膜に結合することにより、ウイルスの接着性が増加し、融合および形質導入が向上します。PTDは、遺伝子導入や治療に現在使用されているレトロおよびレンチウイルスベクターの形質導入効率を高めるだけでなく、HIVやSIVなどの自己複製能を獲得したレンチウイルスや、MLVなどのガンマレトロウイルスの形質導入効率も高めます。注目すべきは、この形質導入/感染促進効果は、ウイルスエンベロープ糖タンパク質に非依存的であり、通常使用されるすべての偽型ウイルスに対して作用します。ナノフィブリルは、T細胞、マクロファージ、造血幹細胞を含むすべての感受性細胞へのレトロおよびレンチウイルスの遺伝子送達を促進し、形質導入を増加させるために使用されている他の一般的な試薬に比べてより効果的です1,2。
参考文献
- Yolamanova, M., et al., "Peptide nanofibrils boost retroviral gene transfer and provide a rapid means for concentrating viruses.″ Nat. Nanotechnol., 8(2), 130~136(2013). PMID:23334171
- Meier, C., et al., "Peptide nanofibrils as enhancers of retroviral gene transfer.″ Wiley Interdiscip. Rev. Nanomed. Nanobiotechnol., 6(5), 438~451(2014). PMID:24865496
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特長
- PTD-ウイルス複合体(ナノフィブリル)形成により、細胞へのウイルス粒子の接着を高めます。
- マクロファージや幹細胞など、様々な細胞への遺伝子導入できます。
- レトロウイルスベクターシステムや糖タンパク質に関わらず、効果的に導入を促進します。
- 他のウイルス導入促進試薬と比較して、非常に優れた遺伝子導入効率が得られます。
- 卓上遠心分離機を用いた低速遠心分離によって、簡便にウイルス粒子を濃縮できます。
- ペプチド配列:QCKIKQIINMWQ(Gln-Cys-Lys-Ile-Lys-Gln-Ile-Ile-Asn-Met-Trp-Gln)
- 分子量:1532.8
- 純度:>95%(キャピラリーガスクロマトグラフィー)
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ウイルス導入促進の原理
PTDがウイルス粒子を含む培地からウイルス粒子を補足し、ナノフィブリルの複合体を形成することにより、細胞表面のウイルス粒子の数が増加します。この現象は、負に帯電したウイルスと細胞膜の間の反発力が、フィブリルの強い正電荷と細胞表面の引き付け合う相互作用により、中和(解消)することが考えられます。これにより、最終的にウイルスと細胞膜の融合が促進されます。
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導入実績のある細胞例
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操作方法概略
※ 実際の操作時は、必ず製品に同梱された資料で操作方法をご確認下さい。Protransduzin(PTD)を用いたレトロおよびレンチウイルスの形質導入効率促進方法
- PTDをDMSOに溶解し、10 mg/mlのPTDストック溶液を調製する。
- PTDストック溶液をPBSまたはFBS不含培地で10倍希釈し、1 mg/mlのPTDワーキング溶液を調製し、2秒間攪拌する。
- PTDワーキング溶液を10~50 μg/mlになるようにウイルスストックに加え、PTD-ウイルス複合体溶液を懸濁する。
- 室温で5分間、インキュベートする。
- 細胞にPTD-ウイルス複合体溶液を接種する。
- 細胞を通常の条件で培養する(オプションで4時間後に培地交換する)。
Protransduzin(PTD)を用いたレトロおよびレンチウイルスの濃縮方法
- PTDをDMSOに溶解し、10 mg/mlのPTDストック溶液を調製する。
- PTDストック溶液をPBSまたはFBS不含培地で10倍希釈し、1 mg/mlのPTDワーキング溶液を調製し、2秒間攪拌する。
- PTDワーキング溶液を10 μg/mlになるようにウイルスストックに加える。
- PTD-ウイルス溶液を2回懸濁する。
- 室温で5分間インキュベートする。
- PTD-ウイルス溶液を5,000~10,000×gで室温で5分間遠心する。
- ピペットで上清を注意深く除去し、PTD-ウイルスのペレットを培地またはバッファー10倍希釈し懸濁する。
- 細胞にPTD-ウイルス溶液を接種する。培地中のPTD濃度が50 μg/mlを超えないようにする。
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使用例

Protransduzin(PTD)および各種形質導入促進試薬の形質導入効率の比較
PTDおよびプレートへのコーティング操作不要な各種形質導入促進試薬を用いて、TZM-bl細胞でレンチウイルス粒子の感染/形質導入効率の比較を行った。3日後に、細胞ライセート(n=3, mean ± SD)中のβ-ガラクトシダーゼ活性を定量することで導入効率を算出した。棒グラフ上部の数字は、促進試薬を加えていないコントロールと相対的な比較をした最大の形質導入促進効率(倍率)を示す。
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価格
[在庫・価格 :2025年04月25日 20時55分現在]
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Protransduzin |
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[在庫・価格 :2025年04月25日 20時55分現在]
Protransduzin
文献数: 0
- 商品コード:A2115AG.6
- メーカー:IMD
- 包装:10mg
- 価格:¥173,000
- 在庫:無(未発注)
- 納期:2~3週間 ※※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。
- 法規制等:
Protransduzin
文献数: 0
- 商品コード:A2115AG.4
- メーカー:IMD
- 包装:1mg
- 価格:¥24,000
- 在庫:無(未発注)
- 納期:2~3週間 ※※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。
- 法規制等:
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