第52回 日本免疫学会学術集会 附設展示会出展のお知らせ

■附設展示会詳細

• 展示会会場：幕張メッセ 展示ホール7
• ブース番号：32
• 展示会出展期間：2024 年 1 月17日（水）～19日（金）
• 大会サイト：https://www2.aeplan.co.jp/jsi2023

■テクニカルセミナー（共催セミナー）のご案内

• 会場：幕張メッセ　国際会議場 201 / RoomD
• 日時：1月17日（水）11:45～12:45
• セミナー番号：T02
• 演題：人工知能LIGHTHOUSEによる創薬革命
• 演者：株式会社Qイノベーション　取締役・最高技術責任者（CTO）／東京医科歯科大学・高等研究院　特別栄誉教授　中山 敬一 先生
• 要旨：
  基礎研究の成果を実際に医学応用する際のボトルネックの一つは、創薬におけるハイスループット・スクリーニング（HTS）にかかる膨大なコストと時間、そして労力である。現在、実際に行われているHTSでは、スクリーニングする化合物の種類は多くても10万～100万化合物程度であるが、この世に存在する化合物の種類は10⁶⁰と推定されており、われわれは膨大なケミカルスペースのうち、ほんのわずかな空間しか探索していないことになる。
  そこでコンピューティングによってタンパク質-化合物の結合を推定するプログラムが数多く発表されている。最も直接的なものはドッキング・シミュレーションであるが、この手法はタンパク質の三次元構造情報を使用するため、一部のタンパク質にしか適応できない。また計算コストも膨大であり、スパコンを使用しても2～3化合物/分程度の探索しかできないため、アンバイアスなHTSには適さず、専らリード化合物の合成展開におけるシミュレーションに使用されているのが現状である。
  この現状を打破するため、われわれは低分子化合物とタンパク質の結合の根底にある隠れた原理を発見するためのグラフベースの深層学習アプローチ「LIGHTHOUSE」を開発した。LIGHTHOUSEは、タンパク質や化学物質の三次元構造情報がなくても、一次元情報に基いて既知の進化的関係や利用可能な実験データを取り入れたタンパク質-化合物の結合可能性を推定できる。LIGHTHOUSEは二つの独立した教師データ（STITCHデータベース、BindingDBデータベース）を使用しており、そのため出力は二次元データ（Confidence score、Interaction score）となる。AUROCはドッキング・シミュレーションとほぼ同等であるが、計算速度は6000化合物/分（=1000万化合物/日）でドッキング・シミュレーションの数千倍の速度を誇る。
  実際にわれわれはLIGHTHOUSEを用いて、特定の標的タンパク質に対する結合化合物を同定しており、がん、生活習慣病、細菌感染症などに対する新規治療薬候補を発見した。また逆に特定の標的化合物に対する結合タンパク質も探索可能である（リバースLIGHTHOUSE）。LIGHTHOUSEは合成展開による化合物の最適化にも有用である。さらに、LIGHTHOUSEはコロナウイルス感染症2019（COVID-19）の治療薬としてethoxzolamideを予測した。この薬剤は世界中で流行している重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2（SARS-CoV-2）に対して実際に有効であることを確認した。このようにLIGHTHOUSEは、トランスレーショナル・メディシンのパラダイムシフトをもたらす創薬革命を起こすことが期待される。