血漿試料中のL-ヒスチジン（L-Histidine、His）の測定キット L-Histidine ELISA Kit（ImmuSmol社）

L-ヒスチジン（L-Histidine、His）は、プロトン緩衝能、金属イオンキレート作用、酸素種のスカベンジャーなど多くの生物活性に関与し、抗酸化、抗炎症、赤血球生成、免疫系調節など多くの生理的特性を有するユニークな必須アミノ酸です¹。Hisの分解経路はいくつかありますが、ほとんどの異化はタンパク質の代謝回転（protein turnover）とグルタミン酸生成に向けられ、ヒスチダーゼ依存的な脱アミノ化から始まります。また、ヒスタミンやHisを多く含むタンパク質やペプチドの前駆体としてのHisの経路はマイナーであるため、他のアミノ酸の中でもユニークな存在です¹。Hisは栄養学的に必須なアミノ酸であるため、欠乏すると血漿中のHis濃度が低下し、免疫防御力が低下することが知られています²。一方、食事によるHis補給は、免疫系のホメオスタシスにおける役割³や、認知・神経障害、代謝・炎症症候群、悪性腫瘍などの様々な臨床症状において、多くの潜在的効果が実証されていることが最近報告されています¹。また、血漿中His濃度は、子牛の腸管粘膜損傷の特異的バイオマーカーでもあります⁴。さらに興味深いことに、Hisを補給すると、小児白血病モデルマウスにおける化学療法の感受性が高まることが示されましたが、この効果はヒスチジンの分解フラックスの増加を介しています⁵。したがって、Hisの補給ががん患者の治療効果を改善する可能性が示唆されています^6,7。このように、Hisは多くの病態において重要なアミノ酸であり、その測定は有用であると考えられます。