Huntingtin相互作用タンパク質検出用抗体、shRNA発現用レンチウイルス粒子、遺伝子ノックアウト用キット ハンチントン病研究用製品（Origene社）

ハンチントン病（Huntington's disease、HD）は、通常は中年において発症し、精神障害、不随意運動、認知症を特徴とし、10～20年以内に死に至る神経変性疾患です。

HDでは、350 kDaからなるハンチンチン（Huntingtin、HTT）タンパク質に変異が認められます。HTT遺伝子のCAGトリヌクレオチド反復配列は、HTTタンパク質のN末端ポリグルタミン鎖の伸長をコードします。HD患者では、in vitroにおける異常なHTT凝集体の形成、また神経細胞内において核内および細胞質封入体の形成が見られます。HDにおける神経変性は、異常に伸長したポリグルタミン反復配列が、CREB^*結合タンパク質（CREB binding protein、CBP）などの短いポリグルタミン鎖を有する他のタンパク質と異常な相互作用を起こすことが原因であると考えられています。

＊ CREB（cAMP response element binding protein）は、細胞の生存を促進し、また成熟神経細胞内における生存シグナルを媒介します。

HAP1は、脳内で高発現しており、ハンチントン病の神経病理学を媒介することが示されています。HAP1は、Huntingtin、2つの細胞骨格タンパク質（DynactinおよびPericentriolar autoantigen protein 1）、および肝細胞増殖因子調節チロシンキナーゼ基質と相互作用します。細胞骨格タンパク質およびキナーゼ基質との相互作用は、小胞輸送または細胞小器官輸送におけるHAP1の役割を示しています。

HIP1は、Huntingtinと結合するタンパク質として同定されました。HIP1とHuntingtinの結合は、ポリグルタミンの伸長によりに顕著に減少することから、この相互作用が疾患プロセスに強く関与していると考えられています。Huntingtinは、GAPDH、HAP1、HIP7（Huntingtin-interacting protein 7, Optineurin）、および HIP2（Huntingtin-interacting protein 2）のタンパク質と相互作用することも示されています。

HIP2は、HuntingtinのN末端の広い領域に選択的に結合するユビキチン結合酵素です。HIP2によるHuntingtinのユビキチン化は、プロテアソーム経路を介した選択的分解の目印となります。HIP2は、アポトーシスの抑制により泡沫細胞の形成を媒介する可能性があります。

HIP9は、メンブレントラフィック経路に関与するAdaptor protein complex 2（AP-2）のαサブユニットです。AP-2は、クラスリン依存性のエンドサイトーシスにおいて重要な役割を果たします。カーゴタンパク質は、CCV（Clathrin-coated vesicles）に運ばれ、初期エンドソームと融合します。HIP9（AP-2 αサブユニット）は、膜上でAP-2を配向する役割を果たします（アクセス可能なポリホスホイノサイト含有脂質を結合する)。また、C末端のサイトゾル側末端を介してエンドサイトーシス膜貫通アクセサリータンパク質のエンドサイトーシスシグナルモチーフである[ED]-X-X-X-L-[LI]を認識して結合します。

HIP14 は、新規のHuntingtin相互作用タンパク質です。Huntingtinとの相互作用は、Huntingtinのポリグルタミンの長さと逆相関します。脳内に豊富に存在する HIP14 タンパク質は、線条体においてHuntingtinと部分的に共局在することが報告されています。この共局在は、ハンチントン病で影響を受けるニューロンのサブセットで見られます。関連タンパク質として、HIP14と69%の相同性を持つHIP14様（HIP14L）があります。