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リン酸化チロシンタンパク質・ペプチドを濃縮するアフィニティビーズ SH2S固定化ビーズ

掲載日情報:2022/07/08 現在Webページ番号:70606

リン酸化チロシンと特異的に結合するタンパク質SH2 superbinder(SH2S)が固定化されたアフィニティビーズです。細胞/組織ライセートからリン酸化チロシンを有するタンパク質やペプチドを濃縮することができます。アガロースビーズと磁性アガロースビーズの2種類の製品があります。

チロシンのリン酸化について

ヒトの全タンパク質の2/3以上がリン酸化を受け、その多くが複数のリン酸化部位を持つと言われています。それら数万のリン酸化部位とそれらを触媒する数百のキナーゼによってリン酸化シグナルネットワークが構築されており、その解析は細胞の病理学的解析やがんマーカーの同定、創薬ターゲットの探索などにおいて重要です。近年の質量分析(MS)によるプロテオミクス解析技術の発達によって、細胞/組織抽出液などからタンパク質のリン酸化部位を網羅的に解析することが可能となりました。そのためにはMS解析の前処理として、リン酸化タンパク質やペプチドを濃縮するステップが必要となります。ところが、セリンやスレオニンのリン酸化ペプチドと比較してチロシンのリン酸化ペプチドはその存在量が少ないため、これまで効率的な濃縮が困難でした。また、従来用いられていたTiO2担体によるリン酸精製ビーズや抗リン酸化チロシン抗体を用いた精製は、リン酸化チロシン選択性や捕捉率が十分ではありませんでした1



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リン酸化チロシン認識タンパク質:SH2 superbinder(SH2S)とは

SH2(Src homology 2 domain)は約100アミノ酸残基からなるタンパク質ドメインで、リン酸化チロシンに特異的に結合します。Precision Proteomics社の創業者であるShawn Li博士らは、SH2ドメインのリン酸化チロシン結合部位に3つの変異を導入することで、リン酸化チロシン含有ペプチドに対する親和性を100倍以上向上させることに成功しました1。Li博士らはこの変異体をSH2 superbinder(SH2S)と名付け、リン酸化タンパク質を認識/濃縮するためのツールとして製品化しました。

SH2 superbinder(SH2S)の結晶構造解析

図1. SH2 superbinder(SH2S)の結晶構造解析
(PDB code:4F5B)



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特長

  • リン酸化チロシン特異的に結合するタンパク質SH2 superbinder(SH2S)がビーズ表面に固定化されており、リン酸化チロシンを有するタンパク質・ペプチドを濃縮することができます。
  • リン酸化セリン/スレオニンの影響を受けることなく、リン酸化チロシンを有するタンパク質・ペプチドのみを選択的に取得することができます。
  • 得られたタンパク質やペプチドをウエスタンブロットやLC-MS/MS解析に用いることで、特定の条件下でリン酸化されるチロシン部位や活性化チロシンキナーゼの情報を網羅的に得ることが可能となります。

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操作方法概略

ウエスタンブロットでの解析

  1. プロテアーゼ・ホスファターゼ阻害物質を加えた細胞/組織ライセートにSH2S固定化ビーズを加え、4℃で2時間(またはovernight)インキュベートする。
  2. 遠心分離(#PPI001:SH2SMagic-Agarose Beadsの場合)、または磁気分離(#PPI002:SH2S-Magno Magnetic Beadsの場合)で上清を取り除く。その後、Lysis bufferでビーズを3回洗浄する。
  3. SDS-PAGE sample bufferをビーズに加え、結合したタンパク質を脱着させた後、SDS-PAGE, ウエスタンブロットに用いる。

プロテオミクス解析によるリン酸化チロシン部位の特定

  1. 炭酸水素アンモニウム水溶液で3回洗浄したSH2S固定化ビーズを、トリプシン処理・不溶性物質除去したタンパク質混合物に加え、室温下で30分転倒混和する。
  2. 遠心分離(#PPI001:SH2SMagic-Agarose Beadsの場合)、または磁気分離(#PPI002:SH2S-Magno Magnetic Beadsの場合)で上清を取り除く。その後、炭酸水素アンモニウム水溶液でビーズを洗浄する。
  3. 0.4%TFA水溶液を加えて短時間撹拌し、室温下10分静置した後、遠心分離で上清を回収する。この操作は2回行う。
  4. 上清を遠心濃縮し、得られたペプチドを適切な溶媒に溶解させてLC-MS/MS測定に用いる。

SH2S固定化ビーズとプロテオミクス解析によるチロシンリン酸化の解析

図2. SH2S固定化ビーズとプロテオミクス解析によるチロシンリン酸化の解析


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使用例

SH2S固定化ビーズによるリン酸化チロシン部位の特定

種々の細胞や生体組織の抽出液から、チロシンリン酸化を受けるタンパク質とその配列情報を得ることができます。以下の表はSH2S固定化ビーズを用いた際のリン酸化チロシン部位同定数を示しています。本手法で9種類の細胞におけるリン酸化チロシン部位の同定を行ったところ、計10,030のリン酸化部位を同定することができました。それらのうち、36%が新規に判明したリン酸化部位であり、本手法の有用性が示されました2


表. SH2S固定化ビーズによって同定されたリン酸化チロシン部位の数

SH2S固定化ビーズによって同定されたリン酸化チロシン部位の数
抗リン酸化チロシン抗体を用いた場合との比較

図3. 抗リン酸化チロシン抗体を用いた場合との比較
抗体ではカバーできない多くのリン酸化部位を同定することができる。


SH2S固定化ビーズによる活性化チロシンキナーゼの同定

チロシンをリン酸化するチロシンキナーゼは、自らもリン酸化を受けることで活性化されます。特に、活性化ループのチロシンリン酸化がチロシンキナーゼ活性化に共通の機構であることが知られており、キナーゼ活性化の指標として用いられています。SH2S固定化ビーズを用いて細胞抽出液中の各種チロシンキナーゼのリン酸化された活性化ループを精製し、それらの量を比較することで、それぞれのチロシンキナーゼの活性化レベルについてプロファイリングが可能です3


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参考文献

  1. Kaneko, T., et al., Sci. Signal., 5(243):ra68 (2012). [PMID:23012655]
  2. Bian, Y., et al., Nat. Chem. Biol., 12(11):959~966 (2016). [PMID:27642862]
  3. Chu, B., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 115(38):E8863~E8872 (2018). [PMID:30190427]

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