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微生物1細胞のゲノム解析に革命を! 微生物用AGM™(アガロースゲル・マイクロカプセル化)試薬キット

掲載日情報:2024/07/24 現在Webページ番号:70489

微生物用AGM™(アガロースゲル・マイクロカプセル)は、アガロースゲルのシェル(殻)による、1細胞(シングルセル)の包埋技術*1です。一般的な生物系ラボにある理化学機器を利用して、微生物1細胞を微細なAGM™に簡便に包埋することが可能です。微生物の1細胞全ゲノム解析で課題であったゲノムカバー率の大幅な向上が期待できます。
*1 理化学研究所の特許技術(特許第7018685号)

AGM™カプセルの構造

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微生物用AGM™(アガロースゲル・マイクロカプセル)の概要

微生物用AGM™の内部は液状で外側はアガロースで覆われており、外部から細胞やゲノムDNAの混入は起こりません。1つのAGM™に微生物1細胞が包埋されます。一方、DNAポリメラーゼやdNTP、Primerはアガロースを透過することができるのでカプセル内での1細胞DNA増幅が可能です。微生物用AGM™は加温することで溶解し、増幅したDNAを容易に取り出することができます。抽出後、DNAライブラリー調整、NGS解析に使用できます。1回の実験で簡便に数十万個の微生物用AGM™を作製できます。


1細胞全ゲノム解析の課題

個々のゲノム情報をシングルセル(単一細胞)レベルで詳細に解析する「1細胞全ゲノム解析」は、「メタゲノム解析」との情報補完性の高さから注目されつつあります。微生物の1細胞全ゲノム解析の実現は極めて困難ですが、その原因は、DNAの量が絶対的に少ないという事実にあります。ゲノム解析では必要な量までDNAを増幅させる必要がありますが、その際、ゲノムの部位による増幅率の偏りが生じるため、全ゲノム解析が困難になります。この増幅バイアスの問題を克服し、ゲノムカバー率を100%に近づけることが、1細胞全ゲノム解析における重要な課題です。


AGMに包埋された大腸菌シングルセル » AGM内でMDA反応後に増幅したDNA

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AGMに包埋された大腸菌シングルセル 緑色 AGM内でMDA反応後に増幅したDNA 緑色

1細胞全ゲノム解析での増幅バイアスの発生を抑える方法としては、反応容積の微小化が有効であることが知られていますが、それを高いレベルで実現したのが微生物用AGM™(アガロースゲル・マイクロカプセル)です。


動画 AGM試薬キット解説

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特長

  • 試料の量が少なくても問題にはなりません。
      少量の試料であっても全ゲノム解析が可能なため、難培養性微生物の解析にも適用可能です。
  • 高いゲノムカバー率を誇ります。
      1細胞を微小中空カプセルへ包埋することで増幅バイアスを極限まで抑えます。これにより高いゲノムカバー率でのDNA増幅を実現します。
  • お求めになりやすい価格で、操作は簡便です。
      高価な専用機器は不要。既存のラボ設備ですぐに実験可能です。
  • 3回反応分(1回あたり3×106 cellsに対応)が含まれています。

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微生物用AGM™におけるゲノムカバー率

微生物用AGM™はピコリットルスケールの微小中空カプセルへ1細胞を包埋することができるため、増幅バイアスを極限まで抑制することができます。実際に従来法と微生物用AGM™を比較検討した大腸菌の例では、90%以上のゲノムカバー率(p<0.01、n=10)を確認しています。

MDAによるDNA増幅におけるゲノムカバー率の比較結果(大腸菌)

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MDA*2によるDNA増幅におけるゲノムカバー率の比較結果(大腸菌)

  • 従来法:フローサイトメーターでPCRプレートに細胞を単離後、MDA*2反応を行った。
  • 微生物用AGM™AGM™に細胞を包埋した状態でMDA*2反応を行った。

*2 MDAMultiple Displacement Amplification): Phi29 DNAポリメラーゼとランダムプライマーを用い、相補鎖の置換反応が複数箇所連続して多重に起こる等温DNA増幅法。

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1細胞包埋技術の比較

これまでもゲノムカバー率を高めるため、反応容積の微小化技術は考案されており、ゲルビーズ包埋(下図:ゲルビーズ)やエマルジョン(オイル中に懸濁した微小液滴/下表:Water-in-Oil)を用いた方法が開発されています。しかし、これらの方法では、微生物がゲルに埋没され空間的な自由が制限される、外部から必要な成分を供給できない、壊れやすいエマルジョンの単離が困難などの問題がありました。さらに高価で特殊な機器が必要、手間が掛かるといった課題もあります。
一方、微生物用AGM™はこれらの問題点を克服した手法です。

細胞包埋技術の種類 AGM(当技術) ゲルビーズ Water-in-Oil
ドロップレット
FACS & PCR plate
形状 AGMのイメージ ゲルビーズのイメージ Water-in-Oilドロップレットのイメージ FACS & PCR plateのイメージ
バッファー、試薬交換 容易 容易 困難
カプセル内での拡散 容易 困難 容易
1カプセルの単離 容易 容易 困難
ゲノム増幅反応回数 1 2 2 1
カバー率(%) 93.0 ± 4.7 58.6 70.4 ± 14.0 46.6
文献 Aoki, H., 20221 Bigdeli, S., 20152 Hosokawa, M., 20173 Alneberg, J., 20184

参考文献

  1. Aoki, H. et al., "Agarose gel microcapsules enable easy-to-prepare, picolitre-scale, single-cell genomics, yielding high-coverage genome sequences", Sci. Rep., 12(1), 17014 (2022). [PMID: 36257967]
  2. Bigdeli, S. et al., "A simple method for encapsulating single cells in alginate microspheres allows for direct PCR and whole genome amplification", PLoS One, 10(2), e0117738 (2015). [PMID: 25689864]
  3. Hosokawa, M. et al., "Massively parallel whole genome amplification for single-cell sequencing using droplet microfluidics", Sci. Rep., 7(1), 5199 (2017). [PMID: 28701744]
  4. Alneberg, J. et al., "Genomes from uncultivated prokaryotes: a comparison of metagenome-assembled and single-amplified genomes", Microbiome., 6(1), 173 (2018). [PMID: 30266101]

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操作方法概略

微生物を包埋したアルギン酸コアを作製後、アガロースと混和し、沈降防止用オイルを用いたエマルジョン中で安定にゲル化させます。次にコアの可溶化により、内部が液状で周囲をゲルに覆われた微生物用AGM™を作製します。

操作法の概略

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微生物用AGM™を使用した1細胞全ゲノム解析フローの例

微生物1細胞をカプセル化してAGM™を作製後、適当な試薬や機器を用いて全ゲノム増殖反応や適切なAGM™の単離、シークエンスライブラリー作製、シークエンシングなどを行います。作製されたAGM™は、限界希釈法やマイクロマニピュレーター等により単離できます。


微生物
🡇
微生物1細胞をカプセル化したAGM作製
🡇
微生物用AGM試薬キット(本製品)
🡇
AGM内で全ゲノム増幅反応
(MDA in AGM)
🡇
REPLI-g UltraFast Mini Kit(Qiagen社)
🡇
効率の良い増幅DNA保持AGMの単離
🡇
蛍光顕微鏡観察
🡇
シークエンスライブラリー作製
🡇
QIAseq FX DNA Library CDI Kit(Qiagen社)
🡇
DNAシークエンシング
🡇
MiSeq、MiSeq Reagent Kit v3(illumina社)
🡇
1細胞ゲノム配列決定・総合的解析


微生物用AGM™作製の自動化の例

微生物用AGM™オンチップバイオテクノロジーズ社製On-chip Droplet Generatorで粒径を均一に自動的に作製できます。

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微生物用AGM™の1細胞全ゲノム解析以外での使用例-微生物用AGM™内での大腸菌の培養-

微生物用AGM™試薬キットで大腸菌1細胞を包埋したAGM™を作製した。20 μlのAGM™と1 mlのLB培地を加えた15 mlチューブを用い、37℃で1日静置培養した。 微生物用AGM™内で、培養開始時1細胞であった大腸菌の増殖が確認できた(下図)。微生物1細胞の培養でもAGM™の利用が期待できる。


図A:微生物用AGM™内で1細胞から増殖した大腸菌の位相差顕微鏡像

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図A:微生物用AGM™内で1細胞から増殖した大腸菌の位相差顕微鏡像

図B:図Aで示した大腸菌DNAをSYBR Greenで染色し、得られた蛍光染色像を位相差顕微鏡像と重ね合わせた画像

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図B:図Aで示した大腸菌DNAをSYBR Greenで染色し、得られた蛍光染色像を位相差顕微鏡像と重ね合わせた画像

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アプリケーションノート

下の各画像をクリックすると本製品のアプリケーションノートをご覧いただけます。

本製品のプロトコルについては、価格表のデーターシートをご確認下さい。

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キット内容

試薬

  • 滅菌超純水
  • 酢酸バッファー
  • アルギン酸コアゲル化剤A
  • アルギン酸コア基剤
  • アルギン酸コア用オイル
  • アルギン酸コアゲル化剤B-1/B-2
  • Trisバッファー洗浄液
  • Trisバッファー
  • アガロースシェル基剤
  • アガロースシェル用オイルA/B
  • TEバッファー
  • アルギン酸ゲルコア可溶化剤
微生物用AGM製品外観

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微生物用AGM™製品外観

器具

  • 100 μm セルストレーナ
  • 300 μm セルストレーナ
  • セルカウンタープレート(フックスローゼンタールタイプ)

別途必要な試薬・機器など

試薬

  • SYBR™Green I Nucleic Acid Gel Stain(Thermo Fisher Scientific)

機器

  • ボルテックスミキサー
  • 遠心機(50 mlチューブ用
  • 蛍光位相差顕微鏡
  • 卓上遠心機
  • 電動ピペット(ピペット・エイド® XP / XPress / Gravity Drain
  • マイクロピペット
  • ドライバス(1.5 mlと50 mlチューブ用)
  • 電子天秤

滅菌済み器具など

  • 50 ml遠沈管
  • 1.5 mlマイクロチューブ
  • フィルタ付きピペットチップ
  • 10 mlディスポーザブルピペット
  • フィルタ付きワイドボアチップ(200 μl, #2069G、1,000 μl, #2079G
  • グローブ
  • DNA Away(#7010

その他の器具

  • フックスローゼンタールタイプのセルカウンタープレート( 1枚のみ付属しています)

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価格

[在庫・価格 :2025年04月25日 20時55分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
詳細 商品名
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納期 文献数
AGM(アガロースゲル・マイクロカプセル)試薬キット
2~3週間 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
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説明文
微生物用。3回反応分。AGMTM(アガロースゲル・マイクロカプセル)は,アガロースゲルのシェルによる,1細胞の包埋技術。微生物1細胞を微細なAGMTMに簡便に包埋することができる。微生物の1細胞全ゲノム解析で課題であったゲノムカバー率の大幅な向上が期待できる。
法規制等
保存条件 室温,4℃,凍結禁止 法規備考
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AGM(アガロースゲル・マイクロカプセル)試薬キット

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説明文 微生物用。3回反応分。AGMTM(アガロースゲル・マイクロカプセル)は,アガロースゲルのシェルによる,1細胞の包埋技術。微生物1細胞を微細なAGMTMに簡便に包埋することができる。微生物の1細胞全ゲノム解析で課題であったゲノムカバー率の大幅な向上が期待できる。
法規制等
保存条件 室温,4℃,凍結禁止 法規備考
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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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