豊富なラインナップ（抗原特異性、交差性、アプリケーション、フォーマット）がそろっています A型インフルエンザウイルス亜型H5N1に対する組換え抗体

A型インフルエンザウイルスの自然宿主（natural reservoir）はカモなどの水鳥であり、ウイルスに適応しているため通常無症状です¹。ウイルスは、感染した水鳥がニワトリやシチメンチョウなどの家禽と直接接触することにより伝染する可能性があります。家禽では、特にH5N1などの特定の亜型の場合重篤な症状となる可能性があり、高病原性鳥インフルエンザを引き起こします。さらに、この亜型は、極めてまれにヒトへの感染が報告されており、WHO²の監視対象となっています。現在、H5N1亜型はヒトからヒトへと伝染することは報告されてはいません。しかし、ウイルスは継続的に抗原性変化が生じているため、変化した株がヒトへの水平感染に適応するようになり、インフルエンザの広域感染を引き起こす可能性があります³。

A型インフルエンザウイルスの亜型分類は、エンベロープ表面タンパク質であるHA（ヘマグルチニン）とNA（ノイラミニダーゼ）の抗原性に基づいて行われています。現在、18種類のHA亜型（H1～H18）と11種類のNA亜型（N1～N11）が分離されています⁴。HAは、ウイルスが細胞内に侵入して感染を開始する際に重要な役割を果たし、宿主域の決定要因となります。HAは、宿主細胞表面のシアル酸に結合し、ウイルスはレセプターを介したエンドサイトーシスにより細胞内に入ります。HA細胞外ドメインは2つのドメイン、球状頭部ドメインとステムドメインから構成されています。球状頭部ドメインには、レセプター結合のキャビティと分子の抗原部位のほとんどを含まれており、継続的な抗原連続変異（antigenic drift）を受けやすい一方、ステムドメインの構造はより保存されています。NAは、複製されたウイルス粒子が宿主細胞上のシアル酸部位から切断されるステップを触媒し、宿主内でのウイルスの拡散を促進します。HAと同様に、NAも非常に変異しやすく、抗原連続変異を起こします⁵。HAとNAの球状頭部ドメインは中和抗体の主要な標的であり、ウイルスの標的細胞への結合と拡散を阻害することは、ウイルス感染と疾病を減らすことになります。