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Toll様受容体(TLR)に結合する合成/天然リガンド TLR(Toll Like Receptor)リガンド

掲載日情報:2022/04/14 現在Webページ番号:70465

Toll様受容体(トールライクレセプター、TLR)リガンドは、自然免疫応答と獲得免疫応答を結びつける能力を有し、がん、AIDS、マラリアなどの生命の脅威となる複雑な疾患に対するワクチンのアジュバントとして有望視されています。


Abeomics社からは、ここで紹介された各種TLRリガンド以外にも、下記のようなTLR研究製品が入手可能です。

TLR(Toll-like receptor、Toll様受容体)の構造と機能

Toll様受容体(TLR)は、宿主への病原体侵入の感知と応答に関わるパターン認識受容体(Pattern Recognition Receptors、PRRs)のファミリーに属する膜貫通型タンパク質1, 2です。1989年の「コールド・スプリング・ハーバー・シンポジウム」の講演で、イェール大学医学部免疫学部門の教授であったチャールズ・ジェーンウェイ(Charles Janeway)は、この「パターン認識機構」の存在を予言し3、それ以後大阪大学の審良静男教授を始めとする様々な研究者4, 5が、TLRの実在を明らかにして来ました。TLRは主として自然免疫を担当する細胞に発現しています。細胞表面に存在するもの(TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR6、TLR10)および細胞内のエンドソーム膜に発現するもの(TLR3、TLR7、TLR8、TLR9)があり、またマウスではTLR10相当を欠く12種類(TLR1~9、11~13)のTLRが存在することが知られています。TLR1~TLR9に関してはそれぞれを活性化するTLRリガンドが同定されており6、代表的なものは、グラム陰性菌のLPSなどのリポ多糖類やリポペプチド、運動性細菌の鞭毛構成タンパク質であるFlagellin、細菌・ウイルス由来の非メチル化CpG DNAやssRNA、dsRNAなどがあります。TLRを介したシグナル伝達経路は炎症に関わる遺伝子の発現誘導や免疫応答に重要な役割を担うため、TLRリガンドを利用した抗感染症、抗腫瘍、抗アレルギーやワクチン研究7などが盛んに行われています。

ヒト(およびマウス)に存在するTLR経路の概観図

TLR経路のアウトライン図

Protein Lounge Inc./ Abeomicsの"Toll-Like Receptorsの一部より抜粋。原図と脚注の詳細については、Abeomics社の"Pathway: Toll Like Receptors"をご覧下さい。

参考文献:

  1. Luchner M. et al., Pharmaceutics, 13(2), 142 (2021). [PMID: 33499143](Review)
  2. Li, D. and Wu, M., Signal Transduct. Target. Ther., 6(1), 291 (2021). [PMID: 34344870](Review)
  3. Janeway, C.A. Jr., J. Immunol., 191(9), 4475~4487 (2013). [PMID: 24141854](Classical Article)
  4. Hoshino, K. et al., J. Immunol., 162(7), 3749~3752 (1999). [PMID: 10201887]
  5. Hemmi, H. et al., Nature, 408(6813), 740~745 (2000). [PMID: 11130078]
  6. Duan, T., et al., Front. Immunol., 13, 812774 (2022). [PMID: 35309296] (Review)
  7. Sartorius, R. et al., NPJ Vaccines, 6(1), 127 (2021). [PMID: 34711839] (Review)

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Abeomics社のTLRリガンドのラインナップ

右側の青字の商品コードをクリックすると価格表をご覧いただけます。

商品名 標的 説明 主な参考文献
のPubMed ID
商品コード
Pam3CSK4
Pam3CSK4の化学構造式
TLR1/
TLR2
合成トリパルミトイル化リポペプチドで、TLR1とTLR2のヘテロダイマーを活性化する。 PMID: 30817996 15-1011
FSL-1
FSL-1の化学構造式
TLR2/
TLR6
Fibroblast-Stimulating Lipopeptide-1(FSL-1)は合成ジアシル化リポペプチドで、TLR2 / 6によって認識される。 PMID: 29230065 15-1015
Zymosan
TLR2 酵母由来の細胞壁構成成分でβ-グルカン、マンナン、マンノプロテイン、キチンなどを含む。 PMID: 32059733 15-1024
Poly(I)・Poly(C), HMW
Poly(I)・Poly(C), HMWの化学構造式
TLR3 二本鎖RNAを模した合成核酸アナログで、Poly(IC)などとも表記される。 PMID: 28881163 15-1012
Lipopolysaccharide(LPS) from E. coli 0111:B4
TLR4
(TLR2)
免疫学研究で多用される大腸菌株から、フェノール抽出で得られたリポポリサッカライド(LPS)。 PMID: 29686833
PMID: 35140704
15-1013
Lipopolysaccharide(LPS)from E. coli 0111:B4 (Ion-Exchange Chromatography)
LPSをイオン交換クロマトグラフィーでさらに精製した製品(純度:99.9%)。 15-1030
Flagellin
TLR5 Salmonella typhimurium由来の494アミノ酸残基からなるタンパク質。 PMID: 31078648 15-1014
Imiquimod (4-Amino-1-isobutyl-1H-imidazo (4,5-c) quinoline)
Imiquimod (4-Amino-1-isobutyl-1H-imidazo (4,5-c) quinoline)の化学構造式
TLR7 免疫賦活化作用を持つイミダゾキノリンアナログ。 PMID: 32934889 15-1010
Resiquimod (R-848)
(S)-Duloxetine hydrochlorideの化学構造式
TLR7/
TLR8
免疫賦活化作用を持つイミダゾキノリンアナログで、疣治療に適用される。 15-1016
CpG ODN (1585)
TLR9 Class A:形質細胞様樹状細胞(plasma-cytoid Dendritic Cell; pDC)を成熟させ、IFN-αの強力な誘導因子として機能する。 PMID: 35056969 15-1020
CpG ODN (2216)
15-1021
CpG ODN (2006)
Class B:Ⅰ型IFN(IFN-α/-β)の誘導は比較的弱いが、ヒトB細胞および単球の成熟を強く刺激する。 15-1017
CpG ODN (1826)
15-1018
CpG ODN (1668)
15-1019
CpG ODN (C274)
Class C:クラスAとクラスBの両方のODNの要素を持ち、pDCのIFN-αを誘導し、B細胞を活性化させることができる。 15-1022
CpG ODN (C792)
15-1023


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実験例1~2

Abeomics社の、TLRリガンド特異的にルシフェラーゼを発現する各種のLeeporter Luciferase Reporter Cell Lineを用い、様々なTLRリガンドの作用を検証した。

LPSによるレポータ細胞株の反応式

LPS特異的レポーター細胞株(#14-106ACL)に、イオン交換クロマトグラフィーで精製されたLPS(#15-1030)を添加し、ルシフェラーゼの発現を発光法で観察したところ、50 ng/mlでピークが観察された。


ODN2216によるレポータ細胞株の反応

細菌に特有な、非メチル化CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)特異的レポーター細胞株(#14-131ACL)に、TLR9のクラスAアゴニストであるCpG ODN (2216)(#15-1021)を添加したところ、~100 ug/mlの領域で右上がりの反応が観察された。

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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