S100タンパク質定量キット Human S100A8/S100A9 Heterodimer / S100A12 Homodimer ELISA Kit（Bertin Bioreagent社）

S100A8（S100カルシウム結合タンパク質A8、Calgranulin A、MRP8）およびS100A9（S100カルシウム結合タンパク質A9、Calgranulin B、MRP14）は、Calgranulinと呼ばれるS100ファミリーに属するCa^2＋結合タンパク質です。Calgranulinは環境要因や細胞損傷に応答して放出される内因性分子です。S100A8およびS100A9サブユニットは、ヘテロダイマーを優先的に形成するため、Calgranulinファミリーにおいて独特です。このヘテロダイマーは、自然免疫における役割に基づいて、Calprotectinと呼ばれます。ヒトのS100A8およびS100A9は主に、好中球、マクロファージ、単球などの免疫細胞に由来します^1,2。それぞれ93アミノ酸残基と113アミノ酸残基で構成されており、S100A9には110アミノ酸残基の短縮型アイソフォームがあります。細胞外のS100A8およびS100A9は、Toll様受容体（TLR）や終末糖化産物受容体（RAGE）を含むパターン認識受容体（PRR）に結合し、自然免疫系を活性化し、単球およびマクロファージの挙動に影響を与えることによって炎症を仲介します³。

S100A12もまた、Calgranulinと呼ばれるS100ファミリーに属しています。S100A12は、微生物の侵入に対する自然免疫のプロセスに関わるカルシウム、亜鉛、および銅結合タンパク質です。ヒトでは、S100A12（Calgranulin CまたはEN-RAGEとも呼ばれます）は主に好中性顆粒球によって発現および分泌され、免疫調節に関与しています。S100A12は、終末糖化産物受容体（RAGE）、トール様受容体4（TLR4）、およびCD36のリガンドであり、細胞および免疫学的経路を促進して炎症を変化させます⁴。

これらのタンパク質はダメージ関連分子パターン（Damage-Associated Molecular Pattern、DAMP）の分子としても知られ、宿主防御、創傷治癒、自己免疫、発がん、炎症など、様々な生理学的および病理学的プロセスにおいて重要な役割を果たします^5,6。

■参考文献
1. Crowe, L.A.N., et al., Sci. Rep., 9(1):1463 (2019). [PMID：30728384]
2. Catalan, V., et al., Obesity, Academic Press, 163～189 (2018).
“Chapter 8 - Inflammatory and Oxidative Stress Markers in Skeletal Muscle of Obese Subjects, Editor(s): Amelia Marti del Moral, Concepcion Maria Aguilera Garcia.”
3. Wang, S., et al., Front. Immunol., 9:1298 (2018). [PMID：29942307]
4. Garcia, A.F., et al., PLoS One., 8(12):e82555 (2013). [PMID：24367524]
5. Kerkhoff, C., et al., Birkhauser, Basel (2014).
“Alarmins. In: Parnham M. (eds) Encyclopedia of Inflammatory Diseases.”
6. Holzinger, D., et al., Mol. Cell. Pediatr., 5(1):7 (2018). [PMID：30255357]