新型コロナウイルス核カプシド測定キット SARS-CoV-2 Nucleocapsid ELISA Kit（Cell Biolabs社）

SARS-CoV-2（重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2, Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2）は、中国の武漢で発生した急性呼吸器疾患の集団に関連する3人で最初に確認された、コロナウイルスの新しい形態です。SARS-CoV-2は、副鼻腔、鼻、喉（上気道）のほか、肺や気管（下気道）にも影響を与える可能性があります。中でも、SARS-CoV-2は、肺に深刻な影響を与え、Ⅱ型肺胞細胞に豊富に含まれる酵素アンジオテンシン変換酵素2（ACE2）に結合することで宿主細胞に入ります。ウイルスは、その表面スパイク糖タンパク質を使用して宿主細胞表面のACE2に結合し、ヒト細胞に侵入します。この疾病が肺で発症すると、呼吸不全が起こり、死に至る可能性があります。

同様のコロナウイルスが中枢神経系（CNS）に侵入することがわかっていることから、SARS-CoV-2が脳幹に侵入し呼吸不全の原因となる可能性もあります。SARS-CoV-2は、死亡者の脳脊髄液で検出されていますが、CNS浸潤の正確なメカニズムはまだ判明していません。ACE2は胃、十二指腸、直腸上皮の腺細胞、および小腸の内皮細胞で発現するため、ウイルスが胃腸器官の細胞にも侵入する可能性があります。また、SARS-CoV-2は、心筋傷害や心臓血管系の損傷を引き起こす可能性があります。

SARS-CoV-2は、SARS-CoVとして知られる元のウイルスと密接に関連しています。SARS-CoV-2のタンパク質構成には、膜糖タンパク質（M）、エンベロープタンパク質（E）、スパイクタンパク質（S）、および 核カプシド（N）タンパク質があります。

Nタンパク質は、ウイルスのRNAゲノムに結合し、リボ核タンパク質（RNP）複合体と呼ばれる長いらせんを含む核カプシド構造にパッケージ化するRNA結合タンパク質です。Nタンパク質は、ウイルスゲノムの複製と転写を促進することから、RNAを高度に秩序化されたコンフォメーションに保つために非常に重要であることが示されています。また、Nタンパク質は、アクチンの再編成、アポトーシス、宿主細胞の細胞周期調節など、宿主との相互作用の調節にも関与しています。