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顕微鏡視野外への細胞の流失を防ぎ、長時間の追跡を可能にします! ライブイメージング用マイクロセルアレイ

掲載日情報:2020/04/27 現在Webページ番号:69097

本製品は微小なウェルが多数配置されているシリコーンゴム製のデバイスです。細胞をそれぞれのウェルに閉じ込めることで浮遊性細胞の視野外への流失を防ぎ、長時間にわたるライブイメージングの際にも細胞の追跡が容易に行えるようになります。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

ライブイメージング用マイクロセルアレイ

単一細胞レベルでのライブイメージングの利点と技術的問題点

顕微鏡を用いて細胞分裂・分化、外部刺激への応答、細胞間相互作用を観察することは生物の機能を正確に理解するために欠かせない手法です。特に、生細胞において、リアルタイムでこれらの過程を追跡するライブイメージング技術は非常に強力なツールであり、近年の顕微鏡性能の向上及び蛍光標識などの可視化手法の発展により、ますます盛んに行われています。
細胞は一つ一つ多様な形態や遺伝子発現パターンを示すため、それらの挙動を時空間的により高い解像度で追跡し、解析することは単細胞生物のみならず、多細胞生物の個体全体の機能を正確に理解するために必要不可欠であると考えられます。

しかし、浮遊性細胞などの非接着性の細胞は細胞が視野外に移動してしまったり(図1)、細胞同士でクラスターを形成してしまうため、数時間から数日にわたる長期間の観察において理想的なデータを得ることは容易ではなく、単一細胞レベルでの細胞動態の時空間的解析は研究のボトルネックとなっていました。

浮遊細胞の長時間ライブイメージング例

図1.浮遊細胞の長時間ライブイメージング例(同じ色の矢印は同一の細胞集団を示す。)
細胞が時間とともに視野外へ流出してしまうため、長時間の追跡は難しい。

この問題を解決するために、Microsurfaces社はリコーンゴム製のマイクロセルアレイを開発しました。マイクロセルアレイ上には微小なウェルが多数配置されており、これらのウェルに細胞を物理的に閉じ込めることで細胞が顕微鏡の視野外に移動することを防止し、長時間にわたる追跡を可能にします。また、それぞれのウェルごとに独立したデータが得られるので一度の実験で単一細胞レベルの高解像度データを多数収集できます。

マイクロセルアレイへの細胞のアプライ例

図2.マイクロセルアレイへの細胞のアプライ例
細胞はそれぞれのウェルに隔離され、ウェルの外部への移動は出来なくなる。

本製品は疎水性のため浮遊細胞など非接着性の細胞での使用に最適化されています。
接着細胞を用いる場合には別途コーティング加工が必要です。コーティング加工のプロトコルについてはhttp://microsurfaces.com.au/Coating_protocols.phpをご参照下さい。



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特長

  • 顕微鏡観察用のディッシュ、イメージングチャンバーに広く用いられているガラスやポリスチレンといった素材に、接着剤なしで貼り付けられます。そのため、新しい機材を導入せずに使用できます。
  • 細胞培養用培地を選ばずに使用できます。
  • 細胞をウェルに閉じ込める際、難しい操作は必要ありません。
  • 実験のデザインに応じて、様々な形状・サイズのウェルを選択可能です。


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製品ラインナップ

Microsurfaces社ではmicrogrid, microwell, micromesh, microEBの4種類のウェル形状のマイクロセルアレイをラインナップしています。これらの4種類のウェル形状の中からお客様の用途に応じてウェルのサイズ、アレイ本体のサイズをお選び下さい。
また、お客様のご希望のサイズ、素材のカスタム品につきましてもご相談いただけます。詳細は当社受託・特注品担当 (jutaku@funakoshi.co.jp)までお問い合わせ下さい。

製品ラインナップ

製品は全て真空パックした形でお届けいたします。

マイクロセルアレイの包装

アレイ本体のサイズと1パッケージ当たりの梱包数は下表の通りです。

アレイ本体のサイズ 1パッケージ当たりのアレイ数
φ8 mm 10 枚
φ15 mm 3 枚
φ30 mm 1 枚
9 mm×7 mm 4 枚
19 mm×9 mm 2 枚
75 mm×25 mm 1 枚


Microgrid Array(商品コード:MGA-XXX-01またはMGA-XXX-02)

直方体型のウェルが配置されたアレイです。ウェルの深さは60μmで底面は貫通していません。ウェルのサイズは縦横50μm, 75μm, 125μm, 250μm, 500μmから選択可能です。ウェル間の壁の加工によって2種類のタイプがあります。

Microgrid Array

①ウェルの壁面が分厚く荒く加工されたタイプ(商品コード末尾-01)
ウェルとウェルの間の壁が分厚くざらざらに加工されています。ウェルの位置を特定する番号の刻印はありません。
こちらは旧型の製品となり、今後廃番となる可能性があります。特別な理由がない限り②壁面が薄いタイプのご使用をお勧めいたします。

Microgrid Array タイプ①

②ウェルの壁面が薄く滑らかに加工されたタイプ(商品コード末尾-02)
ウェルとウェルの間の壁が薄くなめらかに加工されています。ウェルの位置が特定できるように番号が刻印されています。

Microgrid Array タイプ②

Microgrid Array製品ラインナップ

商品コードをクリックすると個別価格表をご覧いただけます。

ウェルのサイズ(μm) アレイ本体のサイズ(mm) アレイ一枚当たりのウェル数 商品コード 品名 包装 価格
50L×50W×60D φ8 4,096
75L×75W×60D φ8 2,304
125L×125W×60D φ8 1,024
250L×250W×60D φ8 324
500L×500W×60D φ8 81

スターターキット、サンプル品

お客様に最適な製品をお選びいただくためのスターターキットや無料サンプル品もあります。サンプル品のお申し込みは弊社テクニカルサポート部(reagent@funakoshi.co.jp)までお問い合わせ下さい。


商品コード 品名 キット内容 包装
Starterkit-02 Microgrid Array Starter kit-02 #MGA-050-02, #MGA-125-02, #MGA-250-02, #MGA-500-02に含まれるアレイを3枚ずつ 4×3 枚
Sampler Microgrid Array Sampler #MGA-050-02, #MGA-125-02, #MGA-250-02, #MGA-500-02に含まれるアレイを1枚ずつ 4×1 枚


Microwell Array (商品コード:MWA-XXX-XX-02)

円柱型のウェルが配置されたアレイです。ウェルの深さは80μmで底面は貫通していません。ウェルの直径は20μmまたは100μmから選択できます。

Microwell Array

Microwell Array製品ラインナップ

商品コードをクリックすると個別価格表をご覧いただけます。

ウェルのサイズ(μm) アレイ本体のサイズ(mm) アレイ一枚当たりのウェル数 商品コード 品名 包装 価格
φ15×10D φ8 24,358
φ100×80D φ8 1,256
φ100×80D φ15 4,415
φ100×80D φ30 17,665
φ100×80D 9×7 1,575
φ100×80D 19×9 4,275
φ10×10D 75×25 1,671,294


Micromesh Array (商品コード:MMA-XXX-XXX-XX-01)

逆円錐台型(底面の直径75μm, 100μm, 150μm, 250μm)、または逆四角錐台型(底面が一辺500μm, 750μm, 1,000μm)のウェルが配置されたアレイです。このシリーズはウェルが底面まで貫通しています。そのため、ユーザーのニーズに応じてコーティング加工済みのディッシュやイメージングチャンバーと組み合わせて、ウェルの壁面と底面とで異なる特性を持たせることができます。また、クッキーの抜型のように使用して、タンパク質のマイクロパターンを作ることも可能です。ウェルの深さは100μmと650μmをラインナップしています。

Micromesh Array

Micromesh Array製品ラインナップ

商品コードをクリックすると個別価格表をご覧いただけます。

ウェルのサイズ(μm) アレイ本体のサイズ(mm) アレイ一枚当たりのウェル数 商品コード 品名 包装 価格
φ75×100D φ8 145 MMA-0075-100-08-01
φ75×100D φ15 532 MMA-0075-100-15-01
φ75×100D φ30 2,245 MMA-0075-100-30-01
φ100×100D φ8 145 MMA-0100-100-08-01
φ100×100D φ15 532 MMA-0100-100-15-01
φ100×100D φ30 2,245 MMA-0100-100-30-01
φ150×100D φ8 145 MMA-0150-100-08-01
φ150×100D φ15 532 MMA-0150-100-15-01
φ150×100D φ30 2,245 MMA-0150-100-30-01
φ250×100D φ8 145 MMA-0250-100-08-01
φ250×100D φ15 532 MMA-0250-100-15-01
φ250×100D φ30 2,245 MMA-0250-100-30-01
500L×500W×100D φ8 34 MMA-0500-100-08-01
500L×500W×100D φ15 129 MMA-0500-100-15-01
500L×500W×100D φ30 583 MMA-0500-100-30-01
750L×750W×100D φ8 16 MMA-0750-100-08-01
750L×750W×100D φ15 74 MMA-0750-100-15-01
750L×750W×100D φ30 349 MMA-0750-100-30-01
1,000L×1,000W×100D φ8 9 MMA-1000-100-08-01
1,000L×1,000W×100D φ15 46 MMA-1000-100-15-01
1,000L×1,000W×100D φ30 226 MMA-1000-100-30-01
1,000L×1,000W×650D φ15 46 MMA-1000-650-15-01
1,000L×1,000W×650D φ30 226 MMA-1000-650-30-01


MicroEB Array(商品コード:MEB-150-XX-01)

おわん型のウェルが配置されたアレイです。このシリーズを用いることで胚様体(embryoid)を培養できます。ウェルの直径は150μm、ウェルの深さは80μmです。

MicroEB Array

MicroEB Array 製品ラインナップ

商品コードをクリックすると個別価格表をご覧いただけます。

ウェルのサイズ(μm) アレイ本体のサイズ(mm) アレイ一枚当たりのウェル数 商品コード 品名 包装 価格
φ150×80D φ8 711
φ150×80D φ15 2,500
φ150×80D φ30 10,000


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使用方法

1. マイクロセルアレイをピンセットで端から持ち上げて剥がします。皮膚由来のホコリや皮脂の付着はアレイの性能を損なうので、マイクロセルアレイを操作する際は常にグローブを着用して下さい。

使用方法①

2. マイクロセルアレイを片方の端から気泡が入らないように注意して、イメージングチャンバーなどの観察用の器材に貼り付けます。もし気泡が入ってしまった場合は、いったん剥がして再度貼り付けて下さい。それでも気泡が入る場合には器材にエタノールを1、2滴垂らしてから、アレイを張り付けて下さい。エタノールを使用した場合には、そのまま培地を加えるとアレイが剥がれてしまいますので、クリーンベンチの中で最低30分は乾かして下さい。

使用方法②

3.マイクロセルアレイは真空パックされていますが、滅菌のために次の操作を行うことをお勧めします。
チャンバー全体が浸るまで、100%エタノールをゆっくりとアレイ上に滴下します。ピペットでチャンバー中のエタノールを混合し、気泡をすべて除去します。

使用方法③

4. チャンバーがほぼいっぱいになるまで、チャンバーの端から温かい培地をゆっくりと加えます。

使用方法④

5. チャンバーの反対側の端から培地とエタノールの混合液を吸い出します。この際、マイクロセルアレイは常に液体に浸った状態を保つようにご注意下さい。エタノールを完全に希釈洗浄するためにステップ4.と5.を少なくとも5回は繰り返して下さい。

使用方法⑤

6. 細胞を播種します。(一般的なチャンバースライドの場合、1~2x104個の細胞を播種します。)

使用方法⑥

7. 細胞が沈殿するまで10~30分程度待ってから観察を行います。



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使用例動画

“Time-lapse video of a cell clone with cells conserving polarized morphologies”
参考文献4より引用


“Real time imaging of dying infected T cells in the presence of broadly neutralizing antibody (bNAb) and NK cells”
参考文献5より引用


“Time-lapse imaging of individual Fucci CD8+ T cells - microgrid array”
参考文献6より引用



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参考文献

  1. Kenneth, KH Ng., et al., eLife. 7, e37851(2018). [PMID:30457103]
  2. Pham, K., et al., Cell Cycle, 17(16), 2041(2018). [PMID:30205749]
  3. Simon, M., PNAS., 115(12), E2888~E2897(2018). [PMID:29514960]
  4. Moussy, A., et al., PLoS Biol., 15(7), e2001867(2017). [PMID:28749943]
  5. Bruel, T., et al., Nature Comm., 7, 10844(2016). [PMID:26936020]
  6. Kinjyo, I., et al., Nature Comm., 6, 6301(2015). [PMID:25709008]

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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