新型コロナウイルス（SARS-CoV-2 / COVID-19）オミクロン株にも結合する抗SARS-CoV-2組換え抗体 Anti-COVID-19 & SARS-CoV S Glycoprotein Antibody（クローン：CR3022）（Absolute Antibody社）

Absolute Antibody社独自の一過性の組換え抗体発現システム「HEXpress」により、配列が定義された抗体を、ロット間の再現性が可能な限り高く、かつ迅速・低価格で製造することが可能になりました。また、安定細胞株の作成に時間をかけることなく、グラム単位の量までスケールアップできます。
体外診断薬（IVD）メーカーは、アッセイが使用期限内において安定して実施されることを保証する必要があるため、再現性の高い抗体は体外診断薬の開発において特に重要です。

Absolute Antibody社のAnti-COVID-19 & SARS-CoV S Glycoprotein Antibody（クローン︓CR3022）は、SARS-CoV-2を検出することが⽰され、パンデミックの発⽣以来COVID-19診断アッセイで使⽤されています。
この組換え抗体のロット間の再現性を検証するため、外部委託試験を行い、3つのロットと3つのアイソタイプの間でシグナルに有意差があるかどうかを確認しました（下図参照）。クローン：CR3022の組換え抗体の製造には、無血清哺乳類一過性発現システムによりミリグラムからグラムオーダーの組換え抗体作製を可能にする「HEXpress」組換え抗体発現プラットフォームを用いています^＊。同クローン抗体の3つの異なるアイソタイプ（IgM、IgG1、およびIgG3）は、3つのロットで異なる日に製造しました。

IgG1アイソタイプにおける組換えヒト抗コロナウイルス抗体のロット間の比較結果

組換えタンパク質のロット間の再現性と安定性が確認され、濃度とシグナル強度のロット間での変動が最小限であることが示された。抗SARS-CoV-2抗体の血清学的検査のパフォーマンスを較正または評価するために互換的に使用できることが分かる。

＊「HEXpress」による組換え抗体の作製受託サービスについてはこちらの記事をご覧下さい。

抗体のFc領域には、Fcレセプター（FcγR）結合部位や、補体（C1q）結合部位が存在します。これらの領域へのFcγRやC1qの結合は、それぞれ抗体依存性細胞障害（ADCC）や補体依存性細胞障害（CDC）の原因となっています。また、フローサイトメトリーや免疫組織染色において、非特異的な交差によりバックグラウンドが生じます。
Absolute Antibody社のFc Silent製品は、これらの結合部位に点変異を導入して、非特異的な交差を抑え、バックグラウンドを減少させています。また、抗体やFc融合タンパク質において、Fc領域の存在は血漿中半減期の延長をもたらしますが、Fc Silent製品はこの性質を損なっていません。

その他のFc Silent製品については、こちら「Fc Silent組換え抗体 | Fc Silent recombinant antibody」をご覧下さい。

Absolute Antibody社では、組換えによりFab2抗体を製造しています。AbFab2フラグメントと呼ばれる組換えバージョンは、ヒンジ領域の代わりに独自の二量体化モチーフを持っているため、フラグメントの安定性が向上します。夾雑フラグメントは生成されず、精製用のHisタグが付加されています。すべての組換え抗体と同様に、フラグメントは高純度で化学的に定義され、ロット間の再現性が保証されています。