5'-ホルミルシトシン(5-fC)測定キット Cell Biolabs社 5-Formylcytosine (5-fC) ELISA Kit

DNAのメチル化はエピジェネティックな変化の1つであり、ほとんどすべての生物学的プロセスに関連しています。DNAのメチル化により、細胞プロセス制御の手段が追加され、原核生物および真核生物のゲノムの機能的な複雑性が増大します。DNAのメチル化は、また動的でもあり、そのため細胞事象のタイミングを制御することができます。

シトシンのメチル化は、DNAメチルトランスフェラーゼを介して触媒される最も一般的なDNAのメチル化です。5-メチルシトシン（5-mC）は、動植物に見られる一般的な修飾塩基です。脳や胚性幹（ES）細胞に豊富に存在し、転写調節における役割からDNAの「5番目の塩基」と呼ばれています。

最近発見された5-fCは、哺乳類の組織や細胞に存在し、7番目のDNA塩基として分類されています。5-fCは、TETヒドロキシラーゼを介する5-ヒドロキシメチルシトシンの酸化によって形成されます。遺伝子調節における5-fCの機能はまだ完全には解明されていませんが、5-fCが着床前発生の調節に機能する可能性が示唆されています。
5-fCは活性なDNA脱メチル化を示すためのマーカーとなるため、様々な組織および細胞中の5-fCの検出は重要です。5-fCは、チミンDNAグリコシラーゼ（TDG, Thymine DNA glycosylase ）によって直接切断され、それにより修飾シトシンをもとの未修飾状態に変換する塩基除去修復（BER, base excision repair ）処理が可能になります。
プロテオミクス研究では、クロマチンリモデリングを介し、5-fCと転写調節とを関連付けています。また構造分析により、5-fCが修飾塩基に関与する塩基対合のDNA二重らせん構造および立体配座溝を変化させ、巻き戻すことが示唆されています。ヌクレオソーム内では、5-fCのホルミル基とヒストン上の第一級アミン間の可逆的結合により5-fCがDNA-タンパク質の架橋に関与しています。