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免疫代謝/細胞代謝研究に有用な低分子阻害物質 Research Tools for Major Cell Metabolism Pathways

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:68748

Adipogen Life Sciences社の、主要な細胞代謝経路の研究に有用な低分子阻害物質をご紹介します。

脂肪組織における免疫代謝

脂肪組織における免疫代謝図1

図1 脂肪組織は、免疫代謝(全身代謝および微視的代謝)の相互依存性の良い例で、痩身状態と肥満状態の両方の変化の例を示します。痩身状態の脂肪組織は、免疫細胞の集積によって特徴付けられ、その表現型およびサイトカインプロファイルは、組織の健全性に必要な2型免疫の状態を維持しています。肥満は、免疫細胞と脂肪細胞が異なる代謝基質を供給する可能性のある脂肪酸組成、グルコースおよび酸素の利用の変化によって炎症性免疫細胞の蓄積および保護リンパ球を喪失することで特徴付けられます。

参考文献

  • Kammoun, H.L., et al., Rev. Endocr. Metab. Disord., 15, 31~44 (2014).[PubMed:24048715]

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免疫代謝研究とは

免疫代謝は、免疫系(免疫)と生物の代謝過程(代謝)間の動的クロストークについて、新しい洞察を提供する研究分野です。免疫代謝の研究は、免疫細胞機能を代謝がどのように制御するかについて理解を深めます。図1に示したように、脂肪組織中で巨視的に研究を行うことが可能で、また微視的には図2に示したように免疫細胞の細胞生物エネルギー学で研究を行うことが可能です。免疫細胞の活性化、生育、増殖、機能および恒常性は、細胞代謝における動的変化と密接に関連しています。特定の代謝経路の利用は、成長因子および栄養素の利用可能性(他の相互作用細胞間の競合によって決定される)および内部代謝産物、活性酸素種(ROS)および還元/酸化基質のバランスによって制御されます。免疫細胞応答を形成する主な代謝経路(図2)には、解糖系、トリカルボン酸(TCA)サイクル、ペントースリン酸経路(PPP)、脂肪酸酸化(FAO)、脂肪酸合成(FAS)およびアミノ酸代謝(グルタミン、アルギニン、トリプトファンなど)が含まれます。

様々な免疫細胞サブセットは、細胞の生存、系統生成および機能促進のために異なる代謝経路を使用します。例えば、炎症性M1マクロファージまたはTヘルパー1(TH1)、TH17および細胞傷害性CD8 T細胞などの急速に増殖するエフェクターT細胞は、細胞増殖およびサイトカインの産生を支援する解糖または脂肪酸合成などの代謝経路を用いています。炎症性シグナルを阻害するM2マクロファージまたは免疫抑制制御性T(Treg)細胞は、TCAサイクルおよび脂肪酸酸化などの抑制機能と関わる代謝経路を用います。代謝と炎症/免疫との関連付けは、低悪性度慢性炎症およびそれに関連する病状、例えば肥満(T2D)、がん、自己免疫および自己炎症性疾患の理解、そしてそれらを標的とするための手段となります。



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細胞代謝経路と低分子調節物質

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細胞代謝経路と低分子調節物質イメージマップ

STF-31WZB117RitonavirGenisteinKaempferitrinEmpagliflozin2-Deoxy-D-glucoseN-Acetyl-D-glucosamine3-Bromopyruvic acidD-MannoheptuloseItaconic acidHeptelidic acidAP-III-a4. HClShikoninTEPP46 [ML-265]AZD 7545Sodium dichloroacetate[DCA]GSK2837808Aα-Cyano-4-hydroxycinnamic acid /><area shape=UK 5099RotenoneAureothinAtpenin A5HarzianopyridoneOligomycin AVenturicidin A(+)-Etomoxir. NaAICAR3-Guanidinopropionic acidMetformin. HClC75 (FASN Inhibitor)CeruleninTOFABPTESMetformin. HCl

図2 細胞代謝経路と低分子調節物質

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解糖系(Glycolysis)

多酵素経路より成る解糖代謝経路(解糖系)(図2)に対し、グルコースは細胞内で処理され、他の多数の生成物と共にピルビン酸に還元されます。解糖系は比較的に非効率的な経路で、グルコース1単位当たり2分子のATPしか生成しません。しかし、解糖代謝により補酵素のNAD+からNADHへの還元や、同化成長をサポートする生合成成長経路への中間生成物の転換を可能にします。解糖フラックスの維持のため、細胞はしばしばピルビン酸を乳酸に還元し、NADHをリサイクルすることでNAD+レベルを維持します。解糖代謝は、急増殖する代謝において重要かつ必須なヌクレオチド、アミノ酸および脂肪酸に対するリボースの合成のための生合成中間体を提供する重要な役割を担っています。

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代謝効果標的因子化合物名商品コードメーカーサイト
解糖系阻害EnolaseAP-III-a4. HClAG-CR1-3696 メーカーロゴ
Glucokinase/Hexokinase (HK)D-MannoheptuloseAG-CR1-3695 メーカーロゴ
Glucose Transporter 1 (GLUT1)STF-31AG-CR1-3693 メーカーロゴ
Glucose Transporter 1/4 (GLUT1/4)RitonavirAG-CR1-3683 メーカーロゴ
WZB117AG-CR1-3694 メーカーロゴ
Glucose Transporter 4 (GLUT4)GenisteinAG-CN2-0427 メーカーロゴ
KaempferitrinAG-CN2-0039 メーカーロゴ
Glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase (GAPDH)Heptelidic acidAG-CN2-0118 メーカーロゴ
Glycolysis SubstrateD-Fructose 1,6-diphosphate. 3NaCDX-F0218 メーカーロゴ
Hexokinase (HK)2-Deoxy-D-glucoseAG-CR1-3681 メーカーロゴ
N-Acetyl-D-glucosamineAG-CN2-0489 メーカーロゴ
Hexokinase II (HK2)3-Bromopyruvic acidAG-CR1-3682 メーカーロゴ
Lactate Dehydrogenase A (LDHA)GSK2837808AAG-CR1-3685 メーカーロゴ
Monocarboxylate Transporter (MCT) α-Cyano-4-hydroxycinnamic acidAG-CR1-3686 メーカーロゴ
Pyruvate Dehydrogenase Kinase (PDK)Sodium dichloroacetate [DCA]AG-CR1-3684 メーカーロゴ
Pyruvate Dehydrogenase Kinase 2 (PDK2)AZD 7545AG-CR1-3692 メーカーロゴ
Sodium Glucose Co-Transporter 2(SGLT-2)EmpagliflozinAG-CR1-3619 メーカーロゴ
HIF-1α/解糖系阻害Pyruvate Kinase M2 (PKM2)ShikoninAG-CN2-0487 メーカーロゴ
TEPP46 [ML-265]AG-CR1-3687 メーカーロゴ
解糖系/TCA回路阻害Phosphofructokinase (PFKII) Succinate Dehydrogenase (SDH)Itaconic acidAG-CN2-0426 メーカーロゴ

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トリカルボン酸回路 (TCA:Tricarboxylic Acid Cycle)

トリカルボン酸(TCA)サイクル(別名:クエン酸サイクル、クレブスサイクル)(図2)は、ミトコンドリアマトリックス内で起こる主要代謝経路で、静止期のほとんどや、非増殖性細胞の設定で用いられると考えられています。静止幹細胞は主に解糖を用いますが、TCAサイクルと酸化的リン酸化(OXPHOS)は、細胞により使用され、エネルギーや寿命に必要となるATP生成の非常に効率的なモードです(単位グルコース当たり34分子のATP)。
グルコース由来のピルビン酸または脂肪酸は、オキザロ酢酸とのアルドール縮合によってアセチル-コエンザイムA(アセチル- CoA)に変換されてクエン酸を形成し、TCA回路に入ります。グルタミン酸は、TCA中間体α-ケトグルタル酸への直接変換を介してTCA回路にとって重要な燃料となります。TCA回路の2つの主要な産物はNADHとFADH2で、これらは電子を電子輸送鎖に移動し酸化的リン酸化および非常に効率的なATP生成を支援します。

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代謝効果標的因子化合物名商品コードメーカーサイト
OXPHOS阻害ATP Synthase (ATPases (F1F0))Oligomycin AAG-CN2-0517 メーカーロゴ
Venturicidin ABVT-0454 メーカーロゴ
Deoxyhypusine Synthase (DHPS)N1-Guanyl-1,7-diaminoheptane (GC7)AG-CR1-3702 メーカーロゴ
NADH-Coenzyme Q Oxidoreductase(Complex I)AureothinBVT-0303 メーカーロゴ
RotenoneAG-CN2-0516 メーカーロゴ
Succinate-Q Oxidoreductase (Complex II)Atpenin A5AG-CN2-0100 メーカーロゴ
HarzianopyridoneAG-CN2-0149 メーカーロゴ
PRAK and MAPKAP-K2 (Mitochondrial Membrane Potential)RottlerinAG-CN2-0526 メーカーロゴ
TCA回路阻害Mitochondrial Pyruvate Carrier (MPC)UK 5099AG-CR1-3691 メーカーロゴ
TCA回路調節PDH Stimulating SubstratePropionyl-L-carnitine. HClAG-CR1-3595 メーカーロゴ
(R)-3-Hydroxybutyric acidSubstrate for Acetyl-CoA GenerationAG-CR1-3616 メーカーロゴ

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脂肪酸酸化経路(FAO)

脂肪酸酸化経路図2)により、脂肪酸から、細胞がTCA回路で処理されるアセチルCoA、NADH、FADH2、および大量のATPを生成する電子伝達連鎖などのエネルギー生成に用いることができる様々な生成物へのミトコンドリア変換が可能になります。

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代謝効果標的因子化合物名商品コードメーカーサイト
FAO経路阻害AMP-activated Protein Kinase (AMPK)3-Guanidinopropionic acidAG-CR1-3678 メーカーロゴ
AICARAG-CR1-0061 メーカーロゴ
Carnitine Palmitoyltransferase-1 (CPT-1a)(+)-Etomoxir. NaAG-CR1-3688 メーカーロゴ
FAO経路阻害
OXPHOS阻害
AMP-activated Protein Kinase (AMPK) NADH-Coenzyme Q Oxidoreductase(Complex I)Metformin. HClAG-CR1-3689 メーカーロゴ

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脂肪酸合成経路(FAS)

脂肪酸合成経路(図2)は、他の細胞固有の代謝経路に由来する前駆体から、細胞の成長および増殖に必要な脂質を生成します。肪酸合成経路の活性は、mTORシグナル伝達と密接に関連しており、SREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)、SREBPによって誘導されるFASN(脂肪酸シンターゼ)、ACC(アセチル-CoAカルボキシラーゼ)などのde novo脂質合成に関与する多くの重要な酵素の調節を介して、脂肪酸合成を促進することが示されています。

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代謝効果標的因子化合物名商品コードメーカーサイト
FAS経路阻害Acetyl-CoA Carboxylase (ACC)
Fatty Acid Synthase (FASN)
TOFAAG-CR1-2905 メーカーロゴ
C75 (FASN Inhibitor)Fatty Acid Synthase (FASN)AG-CR1-2904 メーカーロゴ
CeruleninAG-CN2-0513 メーカーロゴ

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アミノ酸代謝経路

アミノ酸代謝経路(図2)は、細胞生物学の様々な側面において重要な役割を果たしています。多くの固有のアミノ酸で予想されるように、アミノ酸が基質として用いられる多様な代謝経路があります。タンパク質合成のための基質として利用されるアミノ酸は、重要な同化細胞シグナル伝達経路に関連し、特にmTOR経路やヌクレオチド合成にも密接に関連しています。いくつかのアミノ酸は、代謝経路においてより特異的な役割を果たします。例えば、グルタミン、アルギニンおよびトリプトファンは、細胞増殖および同化増殖を支えるために代謝経路を通して代謝されます。

グルタミン酸の代謝

グルタミン代謝は免疫細胞機能の多数の局面を調節し、敗血症または火傷のような深刻な炎症の状況において免疫機能の重要な役割を果たすと考えられてきました。LPS刺激に反応してマクロファージがIL-1を誘導するには、十分量のグルタミンが必要となります。アルギニン合成への供給を介して一酸化窒素(NO)の生成にもグルタミンの代謝は重要となります。

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代謝効果標的因子化合物名商品コードメーカーサイト
グルタミノリシス阻害Glutaminase 1 (GLS1)BPTESAG-CR1-3690 メーカーロゴ

アルギニンの代謝

アルギニンの代謝は、マクロファージの炎症機能において重要な役割を果たすことがわかっています。マクロファージは、2つの異なる代謝経路、一酸化窒素合成(NOS)経路とアルギナーゼ経路、でアルギニンを使用します。一酸化窒素合成経路へのアルギニンのマクロファージ流動は炎症性M1表現型と関連しています。アルギナーゼは、アルギニンのオルニチンと尿素への加水分解を触媒します。この酵素の遺伝的欠乏は、アルギニン血症、高アンモニア血症を特徴とする常染色体劣性疾患をもたらします。アルギナーゼは、基本的にがん、炎症、感染症、線維性疾患、神経生物学、妊娠および免疫調節全般に関与しています。

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酵素名酵素活性曲線生物活性商品コードメーカーサイト
Arginase I (human) (rec.) (highly active) Arginase I活性曲線1.6 ± 0.2U/μg proteinAG-40T-0124 メーカーロゴ

1 unitは、37℃、pH 9.5において、1分間に1μmolのL-アルギニンをL-オルニチンおよび尿素に変換する酵素量として定義されます。

トリプトファンの代謝

トリプトファン(Trp)は生物によって合成されることができない必須アミノ酸であり、食事より摂取する必要があります。トリプトファンは、タンパク質生合成におけるビルディングブロックとして作用し、またニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の内因性のde novo合成するための唯一の前駆体です。
IDO1は、ヒトのトリプトファン異化作用の主要経路であるキヌレニン経路における最初の律速段階を触媒するヘム酵素であり、トリプトファンの枯渇を引き起こし、微生物ならびにT細胞の増殖停止をもたらします。IDO1は、抗微生物および抗腫瘍防御、神経病理学、免疫調節および抗酸化活性など、様々な病態生理学的過程において役割を担っていると考えられている免疫チェックポイントタンパク質です。キヌレニンなどのトリプトファン異化作用から生成される代謝産物は、リガンド活性化転写因子であるアリール炭化水素レセプター(AHR)の活性化を介して免疫細胞機能の調節に重要な役割を果たします。

(1) IDO1組換え体タンパク質

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酵素名酵素活性曲線生物活性商品コードメーカーサイト
IDO1 (human) (rec.) (His) (highly active) IDO1活性曲線>100,000 U/mg proteinAG-40B-0161 メーカーロゴ

1 unitは、1時間に1 nmolのN-ホルミルキヌレニン(NFK)を生成する酵素量として定義されます。


(2) IDO1阻害物質

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標的因子化合物名商品コードメーカーサイト
IDO1EbselenAG-CR1-0031 メーカーロゴ
EpacadostatAG-CR1-3634 メーカーロゴ
MMG-0358AG-CR1-3630 メーカーロゴ
Necrostatin-1AG-CR1-2900 メーカーロゴ

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免疫代謝研究のメーカー資料

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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