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pluriMateシリーズを用いたカニクイザルPBMCの分離

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pluriMateシリーズを用いたカニクイザルPBMCの分離

ユーザー様レビュー
pluriMateシリーズを用いたカニクイザルPBMCの分離

掲載日情報:2023/04/12 現在Webページ番号:68469

pluriSelect Life Science社のpluriMateシリーズを用いたカニクイザルPBMCの分離について、民間企業にご所属のお客様より詳細なレビューをご提供いただきましたので、本ページでご紹介いたします。

ご注意:本ページに掲載の製品について、pluriSelect Life Science社ではヒト細胞分離用試薬として販売しており、その他の動物種でのご使用については保証しておりません。お客様ご自身でのご判断の上で、ご使用をお願いいたします。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


一連の実験の背景について

全血試料からのPBMCの分離について、ヒトや、アカゲザル、ニホンザルでは、通常の密度勾配遠心法であまり個体差も経験せずに分離できています。
カニクイザルの問題点は、うまく分離できる個体もいるのですが、カニクイザルの産地によって、赤血球の比重、あるいは細胞表面のレクチン様の物質が異なるためか、赤血球の凝縮・沈降がうまくできない個体がいることです。
今回、pluriMateシリーズを用いたカニクイザルPBMCの分離について、以下の実験を行いました。

実験一覧

実験番号をクリックすると該当箇所へページ内ジャンプします。

実験 PBMC分離に用いた製品 用いたカニクイザル血液試料
実験①
  • pluriMateⅡ - 15 ml Pre-filled(Lympho Spin Medium充填済み)
  • pluriMateⅡ - 15 ml Unfilled + B社密度勾配溶液(95%希釈)
  • A社製品 + B社密度勾配溶液(95%希釈)
  • 赤血球アグリゲーション難個体の全血
    (添加前に遠心にて血漿除去。全血で約2.0 ml相当)
実験②
  • pluriMateⅡ - 15 ml Pre-filled(Lympho Spin Medium充填済み)
  • pluriMateⅡ - 15 ml Unfilled + B社密度勾配溶液
  • A社製品 + B社密度勾配溶液
  • 通常分離可能な個体の全血
    (添加前に遠心にて血漿除去。全血で約2.0 ml相当)
実験③
  • pluriMate - 2 ml Pre-filled(Lympho Spin Medium充填済み)
  • pluriMate - 2 ml Unfilled + B社密度勾配溶液
  • 赤血球アグリゲーション難個体の全血
  • 通常分離可能な個体の全血
    (それぞれ全血0.7 ml)
実験④
  • pluriMate - 2 ml Unfilled + Lympho 24+ Spin Medium
  • pluriMate - 2 ml Unfilled + B社密度勾配溶液
  • pluriMate - 2 ml Unfilled + B社密度勾配溶液(95%希釈)
  • 赤血球アグリゲーション難個体の全血
    (添加前に遠心にて血漿除去。全血で約0.7 ml相当)

実験①:赤血球アグリゲーション難個体よりpluriMateⅡ(15 mlチューブ)にて分離

用いた製品および試料

PBMC分離に用いた製品

  • pluriMateⅡ - 15 ml Pre-filled(Lympho Spin Medium充填済み、#44-19215
  • pluriMateⅡ - 15 ml Unfilled(#44-10015) + B社密度勾配溶液(95%希釈)
  • A社製品 + B社密度勾配溶液(95%希釈)

用いたカニクイザル血液試料
赤血球アグリゲーション難個体(Mfas 1)の全血(添加前に遠心にて血漿除去。全血で約2.0 ml相当)

実験操作および結果

  1. B社密度勾配溶液にPBSを加えて95%溶液をつくる。

  2. 95% B社密度勾配溶液を、Unfilled pluriMateⅡには4.5 ml、A社製品には3 ml入れ、Pre-filled pluriMateⅡとともにスピンダウンする。

    密度勾配溶液膨潤

  3. カニクイザル(赤血球アグリゲーション難個体)全血約6 mlを遠心し、血漿を分離・回収する。残った血球に6.6 mlの2% FBS-PBSを加える(元の全血量換算で5/3倍希釈)。
    希釈条件は、A社製品の取り扱い説明書に従う。

  4. それぞれのチューブに希釈した血球懸濁液を3分割して乗せる(約3 ml、元の全血量換算でそれぞれ約2 mlずつ)。

    血球試料を添加

  5. 室温、800×gで25分間遠心する。
遠心分離

コメント:どのチューブでも、支持体よりも上に白いPBMC層が確認できた。赤血球のコンタミネーションは、95% B社密度勾配溶液を充填したUnfilled pluriMateⅡやA社製品の方が、Pre-filled pluriMateⅡよりも少ない。



  1. 上清をピペットで除く。

    赤血球除去

  2. デカンテーションでPBMC層を含む上清を新しい15 ml遠沈管に移す。

    PBMC回収

  3. 2% FBS-PBSを加えて洗浄する。

    洗浄ステップ

  4. 室温、300×g (血小板を浮かせる回転加速度)で10分間遠心をする。デカンテーションで上清を捨て、チューブを直立させる。
血小板除去

コメント:どのチューブでも赤血球の上に白いPBMC層が確認できる。赤血球のコンタミネーションはPre-filledのチューブで多い。



  1. 細胞ペレットより上にある余剰洗浄液(血小板を含む)を注意深く取り除く。

  2. 洗浄ステップ(8~10)を繰り返す。

  3. 細胞ペレットを優しくタッピングし、2 mlの2% FBS-PBSを加えて均一にして、細胞数をカウントする。試料は氷上に置く。

  4. カウント用に分取した懸濁液は、Hoffman's Lysis Bufferで赤血球をLysis処理する。
    コメント:Pre-filled pluriMateⅡでは3.8×106 cells、Unfilled pluriMateⅡおよびA社製品では2.5×106 cellsのPBMCが回収できた。

    Hoffman, R.A., et al., "Simple and rapid measurement of human T lymphocytes and their subclasses in peripheral blood"
    Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77 (8), 4914-4917 (1980). [PMID:6968909]

  5. 氷冷した10% DMSO-FBSに懸濁し、CoolCell(Corning社)に入れ、-80℃フリーザーで凍結する。

感想

pluriMateⅡ 15 mlのPre-filledタイプおよびUnfilledタイプ、それぞれA社製品と同様に問題無くPBMCの分取ができました。赤血球アグリゲーション難個体で、95%希釈のB社密度勾配溶液を用いたUnfilled pluriMateⅡおよびA社製品の方が赤血球のコンタミネーションは少ないが、PBMC回収量がやや少なくなるのは想定内です。
Pre-filled、Unfilledいずれにしても、デカンテーションでPBMC層を移すときに支持体より下層からの流出が無いので、使い勝手が良く、ストレスなく分取できます。A社製品では長時間傾けると、セパレーション下の液も混入してしまうので、デカンテーションを急いで行う必要がありました。特に、赤血球アグリゲーション難個体では、できるだけPBMC層を移そうとすると赤血球のコンタミネーションが多くなるので困っていました。
赤血球のコンタミネーション抑制を重視する場合は、Unfilled pluriMateⅡに密度勾配溶液を充填して使用します。通常のサルの場合は、どちらでもOKです。
A社製品よりも、処理できる試料液量が多いので(A社製品:3~8 mlに対し、pluriMateⅡ:2~11 ml)、このサイズでは汎用性が大きいです。



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実験②:通常分離可能な個体よりpluriMateⅡ(15 mlチューブ)にて分離

用いた製品および試料

PBMC分離に用いた製品

  • pluriMateⅡ - 15 ml Pre-filled(Lympho Spin Medium充填済み、#44-19215
  • pluriMateⅡ - 15 ml Unfilled(#44-10015) + B社密度勾配溶液
  • A社製品 + B社密度勾配溶液

用いたカニクイザル血液試料
通常分離可能な個体(Mfas 4)の全血(添加前に遠心にて血漿除去。全血で約2.0 ml相当)

実験操作および結果

  1. B社密度勾配溶液を、Unfilled pluriMateⅡには4.5 ml、A社製品には3 ml入れ、Pre-filled pluriMateⅡとともにスピンダウンする。

    密度勾配溶液膨潤

  2. カニクイザル(赤血球アグリゲーション通常個体)全血約6 mlを遠心し、血漿を分離・回収する。残った血球に6.6 mlの2% FBS-PBSを加える(元の全血量換算で5/3倍希釈)。
    希釈条件は、A社製品の取り扱い説明書に従う。

  3. それぞれのチューブに希釈した血球懸濁液を3分割して乗せる(約3 ml、元の全血量換算でそれぞれ約2 mlずつ)。

    血球試料を添加

  4. 室温、800×gで25分間遠心する。
遠心分離

コメント:どのチューブでも支持体よりも上に、白いPBMC層が確認できた。



  1. 上清をピペットで除く。

    赤血球除去

  2. デカンテーションでPBMC層を含む上清を新しい15 ml遠沈管に移す。

    PBMC回収

  3. 2% FBS-PBSを加えて洗浄する。

    洗浄ステップ

  4. 室温、300×g (血小板を浮かせる回転加速度)で10分間遠心をする。デカンテーションで上清を捨て、チューブを直立させる。
血小板除去

コメント:どのチューブでも赤血球の上に白いPBMC層が確認できる。赤血球のコンタミネーションは殆ど無い。



  1. 細胞ペレットより上にある余剰洗浄液(血小板を含む)を注意深く取り除く。

  2. 洗浄ステップ(7~9)を繰り返す。

  3. 細胞ペレットを優しくタッピングし、2 mlの2% FBS-PBSを加えて均一にして、細胞数をカウントする。試料は氷上に置く。

  4. カウント用に分取した懸濁液は、Hoffman's Lysis Bufferで赤血球をLysis処理する。
    コメント:赤血球のコンタミネーションは殆ど無い。いずれのチューブでも3×106 cells程度のPBMCが回収できた。

  5. 氷冷した10% DMSO-FBSに懸濁し、CoolCell(Corning社)に入れ、-80℃フリーザーで凍結する。

感想

pluriMateⅡ 15 mlのPre-filledタイプおよびUnfilledタイプ、それぞれA社製品と同様に問題無く、典型的カニクイザルPBMCの分取ができました。今回は分離難個体ではありませんでしたので、赤血球コンタミネーションも殆どありませんでした。
遠心して赤血球凝縮させた後、デカンテーションでPBMC層を別チューブに移す場合、PBMC層がメッシュ支持体や分離バリアよりも確実に上にある方が良いです。従って、今回はUnfilledタイプに密度勾配溶液4.5 mlを充填する方が使い易かったです。
実験①の感想にも記載のとおり、pluriMateⅡ 15 mlのPre-filledタイプおよびUnfilledタイプいずれにしても、使い勝手が良く、ストレスなくPBMCを分取できます。



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実験③:赤血球アグリゲーション難個体/通常分離可能な個体よりpluriMate(2 mlチューブ)にて分離

用いた製品および試料

PBMC分離に用いた製品

  • pluriMate - 2 ml Pre-filled(Lympho Spin Medium充填済み、#44-09202
  • pluriMate - 2 ml Unfilled(#44-00002) + B社密度勾配溶液

用いたカニクイザル血液試料
赤血球アグリゲーション難個体(Mfas 1)および通常分離可能な個体(Mfas 2)の全血(それぞれ全血0.7 ml)

実験操作および結果

  1. UnfilledのチューブにはB社密度勾配溶液を0.75 mlずつ入れ、Pre-filledのチューブとともにスピンダウンする。

    密度勾配分離

  2. それぞれのチューブにカニクイザル全血0.7 mlずつ乗せる。

    全血を添加

  3. 室温、800×gで25分間遠心する。
遠心分離

コメント:通常分離できる個体(Mfas 2)の試料はUnfilled、Pre-filledのどちらでも目的細胞の層が鮮明にできました。
分離困難な個体(Mfas 1)の試料はUnfilled、Pre-filledどちらも赤血球の沈降が良くないですが、白い層は見えます。


  1. ピペットで目的細胞層の上まで上清を取り除き、デカンテーションで新しい1.5 mlマイクロチューブに移す。
赤血球除去Mfas1

Mfas 1は赤血球も混入している。

赤血球除去Mfas2

Mfas 2はきれいに分取できた。


  1. 2% FBS-PBSを加えて約1.5 mlにし、室温、800×gで10分間遠心する。
PBMC回収Mfas1

Mfas 1では、赤血球の上にかろうじて白い細胞層が見える。

PBMC回収Mfas2

Mfas 2では、目的細胞ペレットが鮮明に見える。


  1. 2% FBS-PBSでの洗浄・遠心(4 ℃)を繰り返して、試料は氷上に置く。

  2. 0.7 mlの2% FBS-PBSに懸濁させて、細胞数をカウントする。この際、カウント用に分取した懸濁液は、Hoffman's Lysis Bufferで赤血球をLysis処理する。
    コメント:それぞれのチューブでPBMC回収数に大きな差は無く、6~9×105 cells程が得られた。

  3. 氷冷した10% DMSO-FBSに懸濁し、CoolCell(Corning社)に入れ、-80℃フリーザーで凍結する。

感想

分離困難カニクイザルの全血試料は、pluriMate - 2 ml Unfilled(#44-00002)、Pre-filled(#44-09202)双方ともスポンジより上まで赤血球が残るので、赤血球のコンタミネーションは避けられません。しかしながら、プラスチック板や多孔質バリアで仕切った他社製品チューブよりも、使い勝手は良い印象です。
通常個体の全血試料は、まったくストレスなくPBMCが分取できます。
1 mlまでの微量血液試料からのPBMC分離には、pluriMate - 2 mlを選択します。



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実験④:赤血球アグリゲーション難個体よりpluriMate(2 mlチューブ)にて分離

用いた製品および試料

PBMC分離に用いた製品

  • pluriMate - 2 ml Unfilled(#44-00002) + Lympho 24+ Spin Medium(#60-00093
  • pluriMate - 2 ml Unfilled(#44-00002) + B社密度勾配溶液
  • pluriMate - 2 ml Unfilled(#44-00002) + B社密度勾配溶液(95%希釈)

用いたカニクイザル血液試料
赤血球アグリゲーション難個体(Mfas 1)の全血(添加前に遠心にて血漿除去。全血で約0.7 ml相当)

実験操作および結果

  1. B社密度勾配溶液、95% B社密度勾配溶液(PBSを加えて希釈)およびLympho 24+ Spin Medium(以下Lympho 24+)を0.75 mlずつpluriMate - 2 ml Unfilledに入れ、スピンダウンする。

    密度勾配分離

  2. カニクイザル(赤血球アグリゲーション難個体)全血約2.4 mlを遠心し、血漿を分離・回収する。残った血球に2.64 mlの2% FBS-PBSを加える(元の全血量換算で5/3倍希釈)。
    希釈条件は、実験①②で用いたA社製品の取り扱い説明書に従う。

  3. それぞれのチューブに希釈した血球懸濁液を3分割して乗せる(約1 ml、元の全血量換算でそれぞれ約0.7 mlずつ)。

    血球試料を添加

  4. 室温、800×gで15分間遠心する。
遠心分離

コメント:B社密度勾配溶液(原液)でも白いPBMC層はできるが、赤血球の分離は悪い。
95% B社密度勾配溶液ではシャープなPBMC層が確認できた。
Lympho 24+による赤血球アグリゲーションは95% B社密度勾配溶液よりも良い。Lympho 24+では、95% B社密度勾配溶液の場合よりもPBMC層がブロードになり、2 mm程の幅に確認できた。


  1. 上清をピペットで除く。

    赤血球除去

  2. デカンテーションでPBMC層を含む上清を新しい1.5 mlマイクロチューブに移す。
PBMC回収

コメント:B社密度勾配溶液(原液)では赤血球の混入が多い。95% B社密度勾配溶液でもデカンテーションでチューブを傾けると赤血球が少し混入した。Lympho 24+では赤血球の混入は無かった。


  1. 2% FBS-PBSを加えて洗浄する。

    洗浄ステップ

  2. 遠心(300×g, 10分)、洗浄ステップを繰り返す。

  3. 細胞ペレットを優しくタッピングし、0.7 mlの2% FBS-PBSを加えて均一にして、細胞数をカウントする。試料は氷上に置く。

  4. カウント用に分取した懸濁液は、Hoffman's Lysis Bufferで赤血球をLysis処理する。
    コメント:B社密度勾配溶液(原液)では1.2×106 cells、95% B社密度勾配溶液では1.1×106 cells、Lympho 24+では7.5×105 cellsのPBMCが回収できた。

  5. 氷冷した10% DMSO-FBSに懸濁し、CoolCell(Corning社)に入れ、-80℃フリーザーで凍結する。

感想

B社密度勾配溶液(原液)では赤血球アグリゲーションが難しかったカニクイザルの血液試料に対し、Lympho 24+ Spin Mediumを用いたところ、赤血球のコンタミネーションがまったく無くPBMCを分離することができました。赤血球のアグリゲーションは95% B社密度勾配溶液を使うよりも良いです。デカンテーションでチューブ(pluriMate-2 ml)を傾けても赤血球が落ちてこないので、きれいに分取できました。
今回のテストでLympho 24+ではPBMC層が約2 mm幅のブロードになりました。遠心時間については検討の余地があるかもしれません。
今後は、赤血球コンタミネーションが多いカニクイザル試料のPBMC分離は、Lympho 24+ Spin Mediumを使用したいと思います。



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