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「生きた状態」での電子顕微鏡観察を行えます NanoSuit®法を用いた電子顕微鏡観察受託サービス

掲載日情報:2021/01/08 現在Webページ番号:68248

従来の電子顕微鏡観察では、化学固定や乾燥処理、金属コーティングを行うことで「生きた状態に類似した死んだ生物の微細構造」の観察が行われてきました。それに対してNanoSuit社が開発したNanoSuit®法を用いた電子顕微鏡観察では、生体組織、細胞、昆虫、病理検体などの生物試料の微細構造を生きた状態のまま観察することが可能です。また、 生体以外の材料観察にも適します。
電子顕微鏡下で昆虫などの生存を維持した事例はありますが、すべての細胞・生物の生存を保証するものではありません。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


水分の蒸発を抑制するコーティング技術「NanoSuit法」について

浜松医科大学 針山教授の研究グループが開発したナノスーツ溶液を生物の個体や組織、細胞などに塗布してプラズマ照射すると、薄い被膜が形成されます。この被膜が細胞膜等の上から対象を覆うことで、真空下の電子顕微鏡観察においても対象物からの水分の蒸発を抑制することが可能になり、生物をより生きた状態に近い形で観察できます。

NanoSuit被膜

ナノスーツ溶液による薄い被膜の形成

NanoSuit形状維持

従来法ではボウフラは乾燥してつぶれてしまうが、NanoSuit®法では形状が維持されている。

NanoSuitボウフラ

生きているボウフラの観察


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NanoSuit法紹介の動画

NanoSuit株式会社は、2019年4月設立の浜松医科大学発のベンチャー企業です。
同社代表取締役でもある浜松医科大学 針山教授によるNanoSuit®法紹介の動画です。


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特長

  • 「生きた状態」に近い微細構造を電子顕微鏡で観察できます。
  • 導電性を付与できるため、静電気を帯び易い試料でも電子顕微鏡で観察できます。
     (例)輪ゴム、発砲スチロールなどの化学材料など
  • HE染色した病理標本をNanoSuit®法で観察した後に、再染色することもできます。

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観察実績のある試料

NanoSuit観察実績のある試料

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従来法とNanoSuit法との比較

NanoSuitパンジー比較

パンジー(植物)の表面
従来法では乾燥してしまっているが、NanoSuit®法では微細な突起構造が維持される。

NanoSuit黒色腫比較

悪性黒色腫細胞
従来固定法では細胞から伸長するフィラメントが縮んでいるが、NanoSuit®法を用いると実は遠くまで伸長していることが見て取れる。

NanoSuit線維芽細胞比較

マウス繊維芽細胞
従来固定法(化学固定。脱水・乾燥・金属蒸着)ではフィラメント様の微細構造が乾燥で痛んであちこち切れてしまっているが(矢印)、NanoSuit®法ではそのままの状態で観察可能。


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NanoSuit法によるアプリケーション例

アプリケーション例(組織・細胞・細菌・ウイルス・エクソソーム試料) (クリックで展開します)

正常組織と胃がん組織の観察

NanoSuit正常組織と胃がん組織の観察

正常組織(左)と胃がん組織(右)


線維芽細胞

NanoSuit線維芽細胞

リンパ管内皮細胞(マウス)

NanoSuitリンパ管内皮細胞

マウス由来のリンパ管内皮細胞を、生きた状態のままNanoSuit®溶液を使用して観察した。細胞には核(*)が見られる。また、強拡大すると、細胞間隙にはフィラメント様の微細構造(赤矢印)が確認できる。


光—電子相関顕微鏡法(CLEM)による細菌感染の検出

CLEMによる細菌感染の検出

光学顕微鏡で染色像を得た箇所をNanoSuitでコートしてから電子顕微鏡(SEM)観察すると、拡大して三次元的なイメージを得ることができ、この事例では細菌の存在が実際に確認できる。


光—電子相関顕微鏡法(CLEM)によるサイトメガロウイルス感染の検出

CLEMによるCMV感染の検出

ナットウ菌

NanoSuitナットウ菌

エクソソーム

NanoSuitエクソソーム

エクソソームのライブ観察
(a)ヒトから精製したエクソソームを、化学固定などを行わずにNanoSuit®法で 直接『高分解能SEM』観察した像。含水状態で観察できるので、従来の脱水・乾燥を伴う試料作成法に比べ立体的な像が得られる。
(b)エクソソームを細胞に播種すると、生きた状態のままエンドサイトーシスを継時的に追跡解析することが可能であった(矢印)。
東京大学医学部附属病院 消化器内科 柴田 智華子 先生・大塚 基之 先生のご厚意により掲載。



アプリケーション例(生物・生体試料) (クリックで展開します)

福寿草

NanoSuit福寿草

蓮の葉

NanoSuit蓮の葉

ハマトビムシ

NanoSuitハマトビムシ

ヒトスジシマカ

NanoSuitヒトスジシマカ

アミメアリ

NanoSuitアミメアリ

ユリクビナガハムシ

NanoSuitユリクビナガハムシ

アロエ:SEM–EDX(エネルギー分散型X線分光法)によるイメージング

NanoSuitアロエ

ネオンテトラ

NanoSuitネオンテトラ

ネオンテトラの鱗を、生きた状態のまま観察した 。鱗表面(B, C)、鱗裏面 (D, E)。元素分析を行うと、鱗表面にのみリン(P:橙)とカルシウム(Ca:黄)の強いシグナルが確認される(F)。



アプリケーション例(食品試料) (クリックで展開します)

鶏モモ肉(生と冷凍解凍後)

NanoSuit鶏モモ肉

NanoSuit®溶液で保護し、FE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)で高分解能観察した「生トリもも肉」表面には、均一なサイズの繊維状の微細構造が見られる。これに対し、同じ方法で調べた「解凍トリもも肉」では、表面の微細構造は壊れていて、かつ液状の物質が表面に染み出している様子が観察された。このような表面状態の違いが、解凍食材のモサモサ感の原因となっている可能性が示唆された。


魚(アマゴ)へ 冷凍条件が及ぼす影響

NanoSuitアマゴ

NanoSuit®溶液で処理した「アマゴ(生)」と、「アマゴ(-20度・家庭用フリーザーで凍結)」、「アマゴ(液体窒素で急速凍結)」像の比較。光学顕微鏡の低倍率観察でも3つの材料は異なって見えるが、電子顕微鏡で濡れたまま高倍率・高分解能観察すると、表面構造にさらに大きな違いが見られる。生のアマゴの表面には規則的な縞状構造が見られるが、同じ試料をフリーザーで凍結すると、そのような構造は観察されない。一方、液体窒素で急速凍結した試料は、コントロールに比べると少し痛んでいるが、同様な縞状構造が確認された。


カニとカニ蒲鉾

NanoSuitカニとカニ蒲鉾

左側)NanoSuit®溶液で処理した「蟹(生)」と「蟹(生→冷凍→解凍)」「蟹(茹でたもの)」像の比較
光学顕微鏡の低倍率観察でも3つの材料は異なって見えるが、電子顕微鏡で濡れたまま高倍率・高分解能観察すると、表面構造にはさらに大きな違いが見られる。生の蟹の表面構造は滑らかで平らだが、同じ試料を凍結後、解凍し観察すると、表面微細構造には穴が見られ、凸凹が生じている。また、生の蟹を茹でると、微細構造には穴や凸凹が生じている。

右側)NanoSuit®溶液で処理した「含水状態の本物の蟹(ボイル・解凍)」と「本物の蟹そっくりのカニカマ」「あまり蟹には見えないカニカマ」像の比較
光学顕微鏡の低倍率観察では、3つの材料は同じもののように見えるが、電子顕微鏡で濡れたまま観察すると、これらの表面構造には大きな違いが見られる。「本物の蟹」では、異なる組織に由来する異なる微細構造が見られる(左)。これに対して「生のカニカマ」では、どこを観察しても規則性のある一様な構造で出来ている(中・左)。また同じカニカマでも、本物の蟹に見えるもの(中)では、赤白のそっくりの模様が、独立した柱状の構造に再現されている。一方、あまり蟹には見えない製品(右)には、このような特徴がない。このような構造の差により、食感の違いが生じていることが示唆される。


生のネギとフリーズドライのネギ

NanoSuit生のネギとフリーズドライのネギ

NanoSuit®溶液で保護し、FE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)で高分解能観察した「生の青ネギ」表面には均一なサイズの繊維状の超微細構造が見られる。これに対し、同じ方法で調べた「フリーズドライの青ネギ」では表面の微細構造は壊れていて、且つ液状の物質が多く観察された。このような微細構造の違いが、生食材のシャキシャキ感、あるいはフリーズドライ食材のベッタリ感の原因となっている可能性が示唆された。




アプリケーション例(化学材料) (クリックで展開します)

輪ゴム

NanoSuit輪ゴム

NanoSuit®溶液で処理した後、FE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)で観察した新品と劣化した輪ゴム
新品の輪ゴムでは、引っ張ると、伸びた方向に向かって超微細構造が縦長になる。一方、劣化した輪ゴムでは、表面にたくさんのひび割れが見られる。引っ張ると、ひび割れ内部にみられるやわらかい部位のみが伸びるが、元には戻らなくなる。



NanoSuit輪ゴム2

絶縁性材料をSEM観察するとチャージアップが発生して観察しにくくなる。それに対して、 NanoSuit®溶液で処理すると表面に導電性が付与されるため良好な観察像が得られる。



発泡スチロール

NanoSuit発泡スチロール

発泡スチロールをそのままFE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)で観察すると、チャージアップが生じてしまう(① 未処理:control)。一方、NanoSuit®溶液で前処理すると、チャージアップすることなく超微細構造が観察できる(②)。



ヨーグルト容器フタ紙の裏面

NanoSuitヨーグルト容器フタ紙の裏面

3種類のヨーグルトの付着を防ぐことが出来るふたを、NanoSuit®法で比較解析した。NanoSuit®溶液で処理することにより、このような超微細構造を簡単に観察することが可能となる。





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サービスの流れ

  1. お問合せ
     ヒアリングシートにご記入いただき、内容確認をさせていただきます。
  2. お見積り提示
     ご提供いただいた情報を元に解析可否の検討をし、お見積もりをご提示いたします。
  3. ご依頼・試料送付
     ご依頼をいただいた後、試料をお送りいただきます。
  4. 解析・データ納品
     解析を実施し、得られたデータを納品いたします。

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ご注文方法/価格

詳細は、当社受託・特注品担当までお問い合わせ下さい。


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