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リン酸化パスウェイの活性化度を網羅的に可視化! リン酸化アレイ解析受託サービス Phospho-Totum

掲載日情報:2020/12/08 現在Webページ番号:68247

Phospho-Totumは、アレイ上にスポットされたタンパク質(基質)が細胞・組織抽出液中のチロシンキナーゼによってリン酸化された量から、細胞内キナーゼの活性化度を推定するシステムです。チロシンキナーゼに関わる231のシグナル伝達パスウェイを構成する1,471種のタンパク質をスポットした独自のタンパク質アレイを用いた測定と、数理解析技術により、個々のチロシンキナーゼの活性化度合いを明らかにするだけでなく、パスウェイ全体のリン酸化パターンを推定できます。
すなわち、ご提供いただいた試料における活性化/不活性化したパスウェイと、チロシンキナーゼ群の活性化度を網羅的に推定することが可能です。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


チロシンキナーゼとシグナル伝達パスウェイについて

哺乳動物では58種以上の受容体(レセプター)型チロシンキナーゼ、32種以上の非受容体型チロシンキナーゼの存在が知られています。これらのチロシンキナーゼファミリーは、細胞外からの増殖シグナルや分化シグナルを受容することで活性化し、細胞内のシグナル伝達パスウェイを介して、細胞増殖や多くの細胞の刺激に対する反応を引き起こします。その機能異常は、がん・自己免疫疾患など多くの疾患への関与が示されています。


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サービスの概要

お客様からご提供いただいた試料を用いて、網羅的なリン酸化パスウェイ解析を行います。ソシウム社独自のタンパク質アレイと数理解析によって、試料中のどのチロシンキナーゼまたはリン酸化パスウェイが活性化または不活性化しているかを推定し、その結果を可視化します。リン酸化パスウェイを標的とした薬剤候補物質のスクリーニングや、化合物の標的分子やパスウェイのプロファイリングなどに非常に強力な手法です。試料は細胞株、生検組織、異種移植片などの抽出液を用いることが可能です。


Phospho-Totumサービスの概要


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Phospho-Totumによる解析の原理・特長

独自のタンパク質アレイを用いたリン酸化活性の検出

Phospho-Totumと抗体アレイの比較

Phospho-Totumによる解析では、最初にソシウム社独自のタンパク質アレイを用いて試料中のチロシンキナーゼによるタンパク質のリン酸化量の検出を行います。このタンパク質アレイは一般的に用いられている抗体アレイと異なり、リン酸化の標的となる基質タンパク質の方をスポットしています。
既存の抗体アレイによるリン酸化解析では、検出できるのは抗体に結合するリン酸化タンパク質に限られることから、抗体の種類に限りがあり自由度が低いという問題がありました。一方、ソシウム社のタンパク質アレイでは、自由にタンパク質を選択してアレイに搭載することができるため、解析対象に応じて最適なタンパク質を搭載したアレイを設計でき、高い自由度を実現しています。また、既存の抗体アレイでは細胞内のリン酸化されたタンパク質の量を測定するのに対し、ソシウム社のタンパク質アレイでは、細胞抽出液中のチロシンキナーゼによってリン酸化されたアレイ上のタンパク質量を測定することで、キナーゼの活性化度に相当する量を測定する点が異なります。

現在ソシウム社で提供しているチロシンキナーゼ解析用のPhospho-Totum用アレイには、ヒトで見つかっているチロシンキナーゼ106種(チロシン残基をリン酸化する酵素)の既知の基質タンパク質と、それらに関連するシグナル伝達パスウェイ上のタンパク質の計1,471種の組換え体タンパク質がスポットされており、蛍光標識抗チロシンリン酸化抗体によって各スポットのチロシンリン酸化を検出します。この解析では、試料量に応じた線形性と高い同時再現性が確認されています。

Phospho-Totumの測定範囲と再現性


独自のアルゴリズムによる数理解析

上記のアレイによる解析で得られたタンパク質のリン酸化量のデータから、ソシウム社独自のアルゴリズムを用いた数理解析によって106種のチロシンキナーゼの活性化度を推定し、さらにどのリン酸化パスウェイが活性化あるいは不活性化しているかを推定し、可視化します。
例えば、キナーゼ阻害物質の標的パスウェイを明らかにしたい場合には、阻害物質で処理した試料とコントロール処理した試料との間でPhospho-Totumの結果を比較し、阻害物質特異的に変動しているリン酸化パスウェイをピックアップすることが可能です。
また同様に、疾患試料とコントロールとの間のPhospho-Totumの結果を比較することで、疾患特異的シグナル伝達経路を明らかにすることが可能です。

Phospho-Totum数理解析

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実施例

実施例1:チロシンキナーゼの活性化度推定

試料中の106種のチロシンキナーゼの活性化度を、アレイ上の当該基質のリン酸化量計測データから独自アルゴリズムで推定した。
下図は、チロシンキナーゼ阻害物質候補Xを1μMまたは10μM投与した後、0.5時間、1時間、6時間経過した時点での106種のチロシンキナーゼの活性化度を推定した例である。各濃度と各時点で顕著に活性化度が低下しているチロシンキナーゼ群を赤線で囲んだ。これらのチロシンキナーゼ群は、阻害物質候補Xのターゲットである可能性が高い。
チロシンキナーゼの活性化度推定は、阻害物質のターゲット同定に利用できる。


チロシンキナーゼの活性化度推定


実施例2:薬剤投与後の活性化/不活性化パスウェイの時系列変化

アレイ上に構成タンパク質が搭載されている231種のシグナル伝達パスウェイについて、独自技術であるパスウェイスクリーニングによって、活性化している(ピンク)パスウェイと不活性化する(水色)パスウェイを定量的に検出した。
下図は、投与前に活性化していたパスウェイの中から、チロシンキナーゼ阻害物質X投与後0.5時間、1時間、6時間で不活性化するパスウェイを推定した結果である。
阻害物質の作用機序解明およびターゲットパスウェイの同定に利用できる。


薬剤投与後の活性化/不活性化パスウェイの時系列変化


実施例3:活性化/不活性化パスウェイの可視化

231種のシグナル伝達パスウェイを、主に受容体(レセプター)を指標に27のカテゴリーに分類し、それぞれのカテゴリーに属するパスウェイを、活性パスウェイ(赤色)と不活性パスウェイ(灰色)で表して可視化した。可視化においては、各タンパク質の局在(細胞外、細胞膜、細胞質、核内)を考慮している。
下図は、疾患Yの試料について健常者試料との比較により、顕著に活性化/不活性化したカテゴリーを可視化した例である。シグナル伝達の活性化/不活性化の全体像を俯瞰的に理解することに利用できる。

活性化/不活性化パスウェイを可視化


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ご注文方法/価格

詳細は、当社受託・特注品担当までお問い合わせ下さい。


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Check it out!

チロシンキナーゼ阻害物質 アーブスタチン Erbstatin [CAS: 100827-28-9]

Erbstatin-Structure

Erbstatin(アーブスタチンはcAMP依存性Protein kinaseやProtein kinase Cを阻害せずに、EGFRチロシンキナーゼのような受容体型チロシンキナーゼを阻害する放線菌由来の天然物です。


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